377 / 430
第13章 建国
第376話 シーラ親衛隊からの連絡
しおりを挟む
建国の日程が近づく中、携わっている者達が慌しく毎日を過ごしていた。
エルヴィーノの計画は順調だった。
元々、最低限の生活を目指していたのだが親族からの援助も有り、国として規模は小さいが申し分の無い環境になっていた。
城内と街の整備に備品の調達、名物料理に土産物も万全だ。
農産畜産鮮魚の設備も順調ですでに国内に循環している。
連日のように試作品を試食して国内の者達の意見を聞いた結果だ。
同じ食材を使っても、調理方法や味付けを変えた店が軒を連ねている。
少ない同族に対して獣人と人族にクエルノ族も多数暮らしている。
入植も転移魔法を使っての移動なので、すでに二回目の入植を終わったところだ。
総人口は既に1500人を超えていて、準備に伴う人材を含めると2000人は超えているだろう。
これは二度目の入植が思っていた以上に多かった為だ。
ベルデボラの助力によって公募の勧誘がうまくいったのだろう。
流石はガンソ達だ。
現在の人口比率は、獣人4割、アルモニア人4割、クエルノ族1.5割、ダークエルフにその他の人族が0.5割だ。
一体どこの種族の国なのか疑問に思う数値だが、悩んだら負けだと自分に言い聞かせるエルヴィーノだ。
また、驚いた事にクエルノ族の入植者が意外にもの農耕や畜産に従事しているらしい。
以前、戦いだけではなく穏健派も沢山居るとシオンから聞いていた通りの者達が来てくれたようだ。
既に食品の生産で作れないのは酒精くらいだ。
いずれ着手するつもりだが、今は輸入で十分だろう。
趣向品は後からだ。
まずは国として、自立できる力を付けるために生産に注力する。
武力はとりあえず現状で放置しよう。
それは城内を警備する獣人達だ。
因みに城内の警備に人族は居ない。
そもそもダークエルフは魔法師だ。
そして決定的に忠誠心の差だ。
どの種族よりも獣人族が信頼できるし、魅力効果も有り、魔法攻撃を使えない事を除けば各種族が持つ能力の素晴らしさはバリアンテで実証済みだし、親族からアルコン達にも説明してある。
勿論、ゲレミオの仲間を除いての話だ。
そしてアルモニア人だが、大聖堂が拠点になっている。
そもそもアルモニア教の信者がほとんどだし、教会関係者も多数居るが兼業を義務付けている。
これは余りにも新興国への赴任応募が多かった為に、本来の教会で従事する職務は交代制にして人数を増やしたからだ。
本来司祭や教会従事者の募集は20人だったが、結局は60人を超えているのだ。
普通司教は1人だが、2人もいるのだから。
実際はその数倍の応募や嘆願書が有り、狭き門を通り抜けた幸運の持ち主がこの国で信仰に身を捧げる事となる。
リカルドの報告を見る限り、いまだに中央教会に嘆願書が送られているらしい。
まだまだ教会関係者が増える予感がするが、放置するアルモニア国の国王だ。
港町も大いに賑わっている。
近海は魚種も豊富で、アルモニア人の料理人や獣人にカランバノの漁師達も初めて見る魚が多く扱いに戸惑っていたらしいが、クエルノ族が教えてくれたらしい。
毒が有り食べてはいけない魚に、触ってはいけない魚、獰猛な魚も教えてくれたそうだ。
一部のアルモニア人はクエルノ族と有効に接していると獣人から噂が流れているようだ。
また漁は船で行っているが、海上警備は”船型のブロマル”を使っている。
理由は、ブロマルであれば波に関係無く沖合に出られるからだ。
着水する事無く目的を達成できるし、もしも魔素切れになったとしても船型なので梶で漕ぐ事も可能だ。
実際にクエルノ族やアルモニア人が漁師になるのならば、同様の船型ブロマルを使った方が効率的に良いのではないかと妄想するエルヴィーノだ。
それはそれとして、港町の一番重要な施設は極秘に作った料理店だ。
ゲレミオの管轄で海鮮料理を中心とした高級料理店で”特別室”が存在する。
一般用の特別室は2階に数部屋あるが、本当の特別室は1階の厨房の横に存在する。
誰かの為に、食べたいだけ作って即座に提供できるように厨房の隣にしたのだ。
とは言え、まだ本格的に稼働していない。
店は営業しているが、料理が普通なのだ。
これはゲレミオの料理人のこだわりらしい。
専任の料理人はこの店の設備を知っている。
一体どうやって作ったのか? どうして魚が集まってくるのか?
なぜ魚がそこに居るのか?
多種多様な魚が地下の”海と繋がっている生けす”に大量に居るのだ。
今は未知の食材と格闘を繰り返し、至高の料理を作るべく日々研鑽していると聞いていた。
コラソン達にはある程度、料理人が納得できる料理が完成してから呼ぶ事にすると連絡してある。
勿論、コラソンとの約束はもう一つあり、超高級店も専用の個室を要望しているので準備してある。
場所はゲレミオの運営する高級旅館の最上階で予定している店だ。
重要なのは美しい景色の見える専用の個室が有り、コラソンの容姿を店の従事者が認識して、全ての支払いはエルヴィーノが受け持つ事だ。
コラソンの一番の要望であり、これが条件で城と街が出来たと言っても過言ではないかも。
どれだけ食費を使おうとも、全て受け入れる気持ちのエルヴィーノだ。
港町を歩きながら固い決意を胸に誓うエルヴィーノにエマスコの着信があった。
“シーラ様の陣痛が始まりました。大至急お戻りください。シーラ親衛隊一同より。”
「まじか!!」
シーラ親衛隊とは、シーラ付きの召使い10人の事だ。
もう数十日で建国の記念日だったが、忙しさのあまりシーラの出産予定日を忘れていた夫だった。
しかも大分予定日より早いのだ。
“シーラの陣痛が始まったらしい。予定より早いけど現地に行くから。”
親族一同に一斉エマスコしてノタルム国に転移するエルヴィーノだった。
☆
流石に”7回目”ともなれば落ち着いているお父さんだ。
エルヴィーノの計画は順調だった。
元々、最低限の生活を目指していたのだが親族からの援助も有り、国として規模は小さいが申し分の無い環境になっていた。
城内と街の整備に備品の調達、名物料理に土産物も万全だ。
農産畜産鮮魚の設備も順調ですでに国内に循環している。
連日のように試作品を試食して国内の者達の意見を聞いた結果だ。
同じ食材を使っても、調理方法や味付けを変えた店が軒を連ねている。
少ない同族に対して獣人と人族にクエルノ族も多数暮らしている。
入植も転移魔法を使っての移動なので、すでに二回目の入植を終わったところだ。
総人口は既に1500人を超えていて、準備に伴う人材を含めると2000人は超えているだろう。
これは二度目の入植が思っていた以上に多かった為だ。
ベルデボラの助力によって公募の勧誘がうまくいったのだろう。
流石はガンソ達だ。
現在の人口比率は、獣人4割、アルモニア人4割、クエルノ族1.5割、ダークエルフにその他の人族が0.5割だ。
一体どこの種族の国なのか疑問に思う数値だが、悩んだら負けだと自分に言い聞かせるエルヴィーノだ。
また、驚いた事にクエルノ族の入植者が意外にもの農耕や畜産に従事しているらしい。
以前、戦いだけではなく穏健派も沢山居るとシオンから聞いていた通りの者達が来てくれたようだ。
既に食品の生産で作れないのは酒精くらいだ。
いずれ着手するつもりだが、今は輸入で十分だろう。
趣向品は後からだ。
まずは国として、自立できる力を付けるために生産に注力する。
武力はとりあえず現状で放置しよう。
それは城内を警備する獣人達だ。
因みに城内の警備に人族は居ない。
そもそもダークエルフは魔法師だ。
そして決定的に忠誠心の差だ。
どの種族よりも獣人族が信頼できるし、魅力効果も有り、魔法攻撃を使えない事を除けば各種族が持つ能力の素晴らしさはバリアンテで実証済みだし、親族からアルコン達にも説明してある。
勿論、ゲレミオの仲間を除いての話だ。
そしてアルモニア人だが、大聖堂が拠点になっている。
そもそもアルモニア教の信者がほとんどだし、教会関係者も多数居るが兼業を義務付けている。
これは余りにも新興国への赴任応募が多かった為に、本来の教会で従事する職務は交代制にして人数を増やしたからだ。
本来司祭や教会従事者の募集は20人だったが、結局は60人を超えているのだ。
普通司教は1人だが、2人もいるのだから。
実際はその数倍の応募や嘆願書が有り、狭き門を通り抜けた幸運の持ち主がこの国で信仰に身を捧げる事となる。
リカルドの報告を見る限り、いまだに中央教会に嘆願書が送られているらしい。
まだまだ教会関係者が増える予感がするが、放置するアルモニア国の国王だ。
港町も大いに賑わっている。
近海は魚種も豊富で、アルモニア人の料理人や獣人にカランバノの漁師達も初めて見る魚が多く扱いに戸惑っていたらしいが、クエルノ族が教えてくれたらしい。
毒が有り食べてはいけない魚に、触ってはいけない魚、獰猛な魚も教えてくれたそうだ。
一部のアルモニア人はクエルノ族と有効に接していると獣人から噂が流れているようだ。
また漁は船で行っているが、海上警備は”船型のブロマル”を使っている。
理由は、ブロマルであれば波に関係無く沖合に出られるからだ。
着水する事無く目的を達成できるし、もしも魔素切れになったとしても船型なので梶で漕ぐ事も可能だ。
実際にクエルノ族やアルモニア人が漁師になるのならば、同様の船型ブロマルを使った方が効率的に良いのではないかと妄想するエルヴィーノだ。
それはそれとして、港町の一番重要な施設は極秘に作った料理店だ。
ゲレミオの管轄で海鮮料理を中心とした高級料理店で”特別室”が存在する。
一般用の特別室は2階に数部屋あるが、本当の特別室は1階の厨房の横に存在する。
誰かの為に、食べたいだけ作って即座に提供できるように厨房の隣にしたのだ。
とは言え、まだ本格的に稼働していない。
店は営業しているが、料理が普通なのだ。
これはゲレミオの料理人のこだわりらしい。
専任の料理人はこの店の設備を知っている。
一体どうやって作ったのか? どうして魚が集まってくるのか?
なぜ魚がそこに居るのか?
多種多様な魚が地下の”海と繋がっている生けす”に大量に居るのだ。
今は未知の食材と格闘を繰り返し、至高の料理を作るべく日々研鑽していると聞いていた。
コラソン達にはある程度、料理人が納得できる料理が完成してから呼ぶ事にすると連絡してある。
勿論、コラソンとの約束はもう一つあり、超高級店も専用の個室を要望しているので準備してある。
場所はゲレミオの運営する高級旅館の最上階で予定している店だ。
重要なのは美しい景色の見える専用の個室が有り、コラソンの容姿を店の従事者が認識して、全ての支払いはエルヴィーノが受け持つ事だ。
コラソンの一番の要望であり、これが条件で城と街が出来たと言っても過言ではないかも。
どれだけ食費を使おうとも、全て受け入れる気持ちのエルヴィーノだ。
港町を歩きながら固い決意を胸に誓うエルヴィーノにエマスコの着信があった。
“シーラ様の陣痛が始まりました。大至急お戻りください。シーラ親衛隊一同より。”
「まじか!!」
シーラ親衛隊とは、シーラ付きの召使い10人の事だ。
もう数十日で建国の記念日だったが、忙しさのあまりシーラの出産予定日を忘れていた夫だった。
しかも大分予定日より早いのだ。
“シーラの陣痛が始まったらしい。予定より早いけど現地に行くから。”
親族一同に一斉エマスコしてノタルム国に転移するエルヴィーノだった。
☆
流石に”7回目”ともなれば落ち着いているお父さんだ。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~
秋刀魚妹子
ファンタジー
お腹が直ぐに空く女子高生、狩人喰は修学旅行の帰り道事故に合い死んでしまう。
そう、良くある異世界召喚に巻き込まれたのだ!
他のクラスメイトが生前のまま異世界に召喚されていく中、喰だけはコンプレックスを打開すべく人間を辞めて巨人に転生!?
自称創造神の爺を口車に乗せて、新しく造ってもらったスキル鑑定は超便利!?
転生先の両親祖父は優しいけど、巨人はやっぱり脳筋だった!
家族や村の人達と仲良く暮らしてたのに、喰はある日とんでもない事に巻き込まれる!
口数は少ないけど、心の中はマシンガントークなJKの日常系コメディの大食い冒険物語り!
食べて食べて食べまくる!
野菜だろうが、果物だろうが、魔物だろうが何だって食べる喰。
だって、直ぐにお腹空くから仕方ない。
食べて食べて、強く大きい巨人になるのだ!
※筆者の妄想からこの作品は成り立っているので、読まれる方によっては不快に思われるかもしれません。
※筆者の本業の状況により、執筆の更新遅延や更新中止になる可能性がございます。
※主人公は多少価値観がズレているので、残酷な描写や不快になる描写がある恐れが有ります。
それでも良いよ、と言って下さる方。
どうか、気長にお付き合い頂けたら幸いです。
ラストで死ぬ主人公に転生したけど死なないから!!
as
ファンタジー
前世で読んだ「孤高の女王」の小説の主人公ユーリアシェに転生した飛鳥。妹のリーシェ姫を溺愛しユーリアシェを空気扱いする両親である王や王妃、王太女であるユーリアシェを軽んじる家臣達。婚約者までリーシェに奪われ最後は国が滅び1人城で死ぬーーーそんな死に方あるかー!?こっちから捨ててやる!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
勇者はいいですって言ったよね!〜死地のダンジョンから幼馴染を救え!勇者?いらないです!僕は好きな女性を守りたいだけだから!〜
KeyBow
ファンタジー
異世界に転生する時に神に対し勇者はやっぱいいですとやらないとの意味で言ったが、良いですと思われたようで、意にそぐわないのに勇者として転生させられた。そして16歳になり、通称死地のダンジョンに大事な幼馴染と共に送り込まれた。スローライフを希望している勇者転生した男の悲哀の物語。目指せスローライフ!何故かチート能力を身に着ける。その力を使い好きな子を救いたかっただけだが、ダンジョンで多くの恋と出会う?・・・
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる