上 下
375 / 430
第13章 建国

第374話 ファルソ再び3

しおりを挟む
フォーレ、プリマベラ、リアム、リカルド、シオンがノタルム国での騒動を収拾させるべく内合わせをしていた。

国王の”説得”に応じて再度ノタルム国に出向くことになるフォーレだが、ファルソではなくて剣舞を教えた”夫”としてペロ族に変化して対処すると、国王の指示に従うと説明したのだった。

若干予定が変わってしまったプリマベラだ。
夫婦の計画ではリアムが師匠として乗り込むつもりでいたらしいのだ。

「ではフォーレ殿が先行し、リアム殿が剣舞の開祖として後から出向くのはどうですかな?」
「それだシオン殿!!」
「そうよ、その手があるわ!」

若干の修正だけでプリマベラの計画が進もうとしていた。
それはアルモニア式剣舞踊団の結成だ。
漠然と大勢で剣舞を舞う姿を妄想するだけのプリマベラだが、リアムも演者として又指導者としても未知の剣舞に思いをせていた。

「それであれば、あなた達の名前はどうするのですか?」
フォーレは自身とファルソとファルソの夫を演じなければならないからだ。
「念のためにリアム様も違う名前にされた方が良いと思いますが」
「ふむ、どんな名にしたものか・・・」

「私はドゥでお願いします」
「では私はガブだな」
2人とも自らの名前から抜粋したようだ。

「ではファルソの夫ドゥと、その師ガブ殿で進めさせて頂く」
するとフォーレが変化した。
ドゥとして認識してもらうためにグラナダと同じペロ族だ。

「では我も変化するか」
その変化したルブルム・ディアボリスにダメだしするプリマベラとリカルドだ。
どこかの魔物と同じような姿に怒るプリマベラに、髪の色だけを変えるよう説得するリカルドだ。
再度変化したのは赤髪から茶髪に変わっただけだが、別人のように見えたリアムだった。
後日、現地に向かうときは角を出す事になった。

計画ではファルソの夫ドゥが現地で選別した者に30日ほど基礎を教えた段階で、開祖のガブが多人数演舞を教えに乗り込む予定だ。
その為には、アルモニアで多人数演舞を作らなければならないが、それはプリマベラとリアム殿に任せる事となった。

全ての計画を聞いてフォーレに魅力防止の耳飾りを渡す。
「もしも娼館へ行くならクエルノ族に変化した方が良いぞ」
「あぁ、ありがとう友よ」
人族からペロ族の耳と尻尾を出すよりも、人族からクエルノ族に変化する方が角を出すだけなので簡単なのだ。
クエルノ族は角さえ有れば受け入れてくれるのだから。


ノタルム国の城下町に新設した大聖堂では、ファルソ目当てに集まって来た者をシオンが選別していた。
前回、剣舞や強さにあこがれを抱いた者たちの連絡先を聞いていたので集めさせたのだ。
その数20人。
女性16人で男性が4人だ。
圧倒的に女性の支持率が高い。
前回シオンが見た支持者の光景は男の方が多かったのだが、”違う目的”が多かったので事前にシオンが選別して連絡先を処分したのだ。

集められた者たちはシオンが一人一人面接を行い、剣舞に興味があり習得したい者だけを厳選した。

そしてファルソは”身重”のなので夫が剣舞を教えにやってくることが告げられた。
てっきりファルソから直々の手ほどきを期待していた一同だったが、シオンの言葉で考えが変わった。

「ファルソ殿の代わりに指導してもらう夫であるドゥ殿は、ファルソ殿に双剣の演舞を教えた人物だ」
「「「おおおおっ!!」」」

サキュバスの一人が声を上げた。
「それではファルソ殿よりも強いのか!?」
「それは解らんが、その可能性はあるだろう」
「「「おおおおっ!!」」」

別のサキュバスが聞いてきた。
「いつ来るのだドゥ殿は?」
「まぁ待て。ドゥ殿の目的はお前たちに剣舞の基礎を教えるために来られる。我が聞いている限りでは剣舞とは力や技ではなく、いかに優雅に流れるように舞うことが出来るかが一番大切らしいぞ」
「舞で本当に強くなれるのか?」
少数派の男からの質問だ。

「我の話を聞いてないな。そんな事ではファルソ殿の流派に入れぬぞ」
「「「流派!!」」」
「聞けぃ。優雅に流れるように舞う事だ。強さではない」
「しかし・・・」
「強さは結果である。そのようにファルソ殿が話していたぞ」
「「「おおおっ!!」」」

「前もって教えておくがドゥ殿は獣人だ。剣舞の強さはファルソ殿と同じか、それ以上だと思え。しかるにお前たちはクエルノ族で初の剣舞の演者となる訳だ。決して粗相のないようにな」

集まっていた者たちが話し合っている。

「お前たちの中から何人の者が開祖から流派に招かれるかわからんが精々励むことだな」
「「「開祖!!」」」
「あの舞の開祖が来るのか!!」
サキュバスが聞いてきた。

「ふむ。お前たちが基礎を習得出来たら呼ぶとドゥ殿から聞いておる」
「「「おおおっ!!」」」





やる気が出たようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

職業通りの世界

ヒロ
ファンタジー
この世界では、職業が全て。 勇者「俺が魔王を倒す!」 魔法使い「魔法で援護する!」 剣士「剣で切り刻んでやる!」 そんな中、主人公である館山陸人(たてやまりくと)の職業は…… 執事「何なりとお申し付けください」 予想とは裏腹に、万能な執事という職業で、陸人は強くなっていき、勇者をも超える存在に!? 投稿ペースは不定期ですが、投稿する時は20時に投稿します! 2作目になります。前作と繋がっているところはほとんどありませんので、気にせず読んでもらって結構です。 前作も良ければ読んで頂くと、かなり後の展開をより楽しめると思います。 誤字脱字の報告や感想はいつでもお待ちしております! Twitterもやりますので、感想を書くのが恥ずかしいとかある場合はそちらに是非!質問もある程度はお答えします! ヒロ @hi_rosyumi

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

クラス転移で俺は神になる〜異世界チートハーレム無双〜

guju
ファンタジー
その目が隠れるほどの長い髪の毛で、影が薄い。その癖に成績は良くてクラスのマドンナから話しかけられる。 そんな立ち位置にいる神谷 怱(かみやそう)は、毎日虐められていた。 半分人生を諦めていた彼はそのいじめに抗うことも無くただ、耐え続けていた。 だが、そんな時にクラスが異世界に転移! ステータスを見たら神になっていた。 そんな彼が異世界で楽しむ話。

幻の女たち 第三短編集 地獄の貴婦人たち 【ノーマル版】

ミスター愛妻
ファンタジー
 ラグナロク戦争も終わり、三大ミリタリーも臨戦態勢が解除された。  ヴィーナスネットワーク世界も平和が訪れた……とおもいきや、まだまだローカルな紛争?はなくならない。  どうでもいい宇宙のローカル銀河の覇権争いなど、ネットワークにとっては、関りなどなりたくないのだが……  しかし三大ミリタリーの一つ、ヨミは巻き込まれてしまった……  遙か古代に戦没したはずの、イザナミのメイド長の名前が、ゴースト電波の中に……  幻の女たち第三短編集。  本作はミッドナイトノベルズ様、FC2様、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。  一話あたり2000文字以内と短めになっています。    表紙はルイス・リカルド・ファレロ 月のニンフ でパブリックドメインとなっているものです。  カクヨム様、ミッドナイトノベルズ様でも公開しております。

木製の処刑椅子が美少女に!?悪事を働く聖騎士(笑)ざまぁして何が悪い?〜処刑椅子の妻と俺が復讐を終えて幸せに暮らす方法〜

桜城恋詠
ファンタジー
「あるじさま。エンゲージ」  エンゲージーーそれは魔石同士の結婚。 教会に濡れ衣を着せられたラクルス・カールメイクは処刑椅子と名高い木製椅子に座った男が惨殺される瞬間を見て、「次は俺の番だ」と覚悟を決めた。  わけもわからぬまま美少女に姿を変える木製椅子と婚姻(エンゲージ)してしまったラクルスは、聖騎士に成り代わり木製椅子と共に重罪人達を次々処刑していく。  木製椅子→美少女→魔樹木。三段変形する精霊(ヒロイン)。ウサギ、馬、人間。3つの血が混じり合う混血少女。魔力枯渇を起こした妹を救いたいと願う姉、神に従い善人で有り続けた結果虐められた兄の敵を討つと決意した妹。「教会の悪事を暴きたい」と行動する聖女やお嬢様。意味不明な供述をする偽聖女ーー道行く先々で様々な少女を誑かしながら、旅の途中で出会った同じ目的の仲間達と共に、教会に復讐しつつ自らの名前と生活を取り戻そうと行動する男が幸せになるまでの話。 *微エロ、PG12程度の残酷表現、暴力表現有 *後半サブキャラ登場人物に転生要素ありますが主人公は原住民です。 *第15回ファンタジー大賞エントリー作品 *2023年投稿予定作品の前日譚、あるいはスピンオフ。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

貴族の家に転生した俺は、やり過ぎチートで異世界を自由に生きる

フリウス
ファンタジー
幼い頃からファンタジー好きな夢幻才斗(むげんさいと)。 自室でのゲーム中に突然死した才斗だが、才斗大好き女神:レアオルによって、自分が管理している異世界に転生する。 だが、事前に二人で相談して身につけたチートは…一言で言えば普通の神が裸足で逃げ出すような「やり過ぎチート」だった!? 伯爵家の三男に転生した才斗=ウェルガは、今日も気ままに非常識で遊び倒し、剣と魔法の異世界を楽しんでいる…。 アホみたいに異世界転生作品を読んでいたら、自分でも作りたくなって勢いで書いちゃいましたww ご都合主義やらなにやら色々ありますが、主人公最強物が書きたかったので…興味がある方は是非♪ それと、作者の都合上、かなり更新が不安定になります。あしからず。 ちなみにミスって各話が1100~1500字と短めです。なのでなかなか主人公は大人になれません。 現在、最低でも月1~2月(ふたつき)に1話更新中…

処理中です...