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第13章 建国

第366話 説明3

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翌日、メルヴィ以外の妻達がシーラの元へ集まって来た。

「みなさん、今回集まってもらったのはエルヴィーノの新しい国に使う調度品や
家具を無償で集める事についての事だけど」

「その前にお姉様、あの人が私達に全く説明が無いのは納得できませんけど」
「そうよ、自分だけで勝手に進めちゃってさぁ、私達は放っばらかしだもの」
「ロリィ、パウリナまで・・・でもね、あの人は私達に心配をかけない様にしているだけなのよ」
「「解かってるわ!!」」

「それでも少し位相談があっても良かったと思うけどなぁ」
シーラが独り言のようにつぶやいた。

「「そうよ!!」」
「いつも自分ばっかり進めちゃって・・・」
「やっぱりお仕置きが必要ね」

ロリとパウリナの怒りが収まらないので妥協案を出すロザリーだ。

「解かったわ。とりあえずお仕置きは決定事項とします。シーラは”出産後の期間”を長くすれば良いでしょ?」
「はい、それで」
にこやかなシーラだ。

「では、あの人の為では無くお義母様の国なので調度品や家具を統一した物でお渡ししたいの」
「それは賛成だわ、お姉様」
「でも一体どれだけの量が必要なの?」
「あの人は何も教えてくれないから、私達が手を回さなければならないわ。だから直接お母様にお伺いしようと思うのよ」

「じゃ、ペンタガラマに来てもらう?」
「そうね、お母様は”ここ”には来れないし」
「シーラはもう暫らく我慢ね」
「うん、決まったら教えて」


ロザリーはエマスコでリーゼロッテに諸問題の打ち合わせをペンタガラマで行ないたいと連絡した。

事前の連絡で理解したリーゼロッテは、城の間取りや街の簡単な図面にそれぞれ代表的な部屋の間取りの寸法を記入した物を用意して嫁達と会っていた。


「皆さんの気持ちはありがたいわ、だけどこれは種族として国の問題でしょ? 他国にお願いするのはどうかしら?」
リーゼロッテの考えも理解する妻達だが、”妻として”夫を助ける義務を主張するロザリーに賛同するロリ達だ。
「解かりました。あなた達の気持ちには本当に感謝するわ」
感激して涙するリーゼロッテを見て、過去からの全ての事情を知る妻達も貰い泣きする。

「じゃ皆さんには城の調度品をお願いしても良いかしら」
「「「喜んでお手伝い致しますわ、お義母様!!」」」

リーゼロッテが用意した城の平面図を見ながら打ち合わせに入る女性達。
依頼は地下から5階までの共用階で必要な調度品だ。
一族で用意している物はリーゼロッテが把握しているので、細かな所まで打ち合わせされていった。

メルヴィにエマスコが届く。
送り主はロザリーだ。
ほかの妻たちの動向と”リーゼ”とのやり取りを簡潔に記した内容だ。
ロザリーはメルヴィに妻たちの報告を内密で随時送っている。
それは当たり前の責務のように行っている。

いつものように妻たちの情報を入手するメルヴィは、再度家族が使う家具や調度品を念入りに検討して夫であるアルモニア国王を連れてクラベルの職人たちに細かな指示を行なったり、移住して街中で生活する為に必要とされる最低限の道具などの手配を行なっていた。



更にエルヴィーノはグラナダとガルガンダにアミスターに指示して、ゲレミオの旅館と施設の準備を用意させた。

連日の慌ただしさで忘れていた事が有った。
それは衣服だ。
各国の王族や重臣に騎士達は相応の衣装や防具を身に付けている。
現在は何も無い状態なので意見を聞く為に集まってもらった。

リーゼロッテ、デイビット、オリビア、アルコンと過去に城勤めの経験のある数人だ。
早急に決めるのは女王の衣装が数着。
側近の衣装、近衛兵達の鎧に武器、一般兵は獣人兵を多く採用するので統一した防具と武器、城勤めの者達専用のローブなどだ。
それにメイド服も必要だ。

以上が新しい国として他国とは違う様式にするのか、とりあえずバラバラでも取りそろえるかだ。
流石に人目につかない厨房で働く者達は他国と同じでも良い同意を得た。

まずはダークエルフの伝統っぽい物だが、所持品に過去の物は一切無いらしい。
仕方がないので記憶を辿って絵に描いてもらうが、悲しい事に全員が下手くそだった。
そんな中で終わりの無い意見が飛び交っていた。
しかし、リーゼロッテの一言が事態を変えていくのだった。

「そこはエルヴィーノ、貴男に任せます」
「・・・解かったよ」
「では近衛兵の鎧は最終的にどっちにするんだ?」
「それは・・・モンドリアンに任せる」
アルコンもリーゼロッテにならった。
「あとで文句言うなよ」
「じゃ側近の衣装もエルヴィーノに任せる」
「・・・解かった。出来上がっても文句は聞かないし必ず着てもらうからな」
面倒でエルヴィーノに丸投げしたデイビットには意地悪して派手な衣装にしようと思った。
しかし、謁見の場で国の重臣としての衣装で有れば恥ずかしい物では駄目だと自らの考えを捨てる。

「じゃ獣人達の鎧はどうするんだ?」
「そりゃぁ、揃ってた方が見栄えはするわなぁ」
「確かに」
男達が勝手な事を言っている。

「あなた、予算だって限られているのよ」
デイビットが代表してオリビアに怒られる。
「エルヴィーノ・・・」
母親からすがるような困った顔で見られると否定が出来なくなる息子だ。
「・・・ちょっと・・・いや、解かった何とかして見るよ」

だがエルヴィーノには別の悩みが有った。
「新調するのは別に構わないけど、種族的な何かが見て解かった方が良いよなぁ。アルモニアや全ての国に紋様があるから俺達にも有った方が良いと思うけど」

そう言うとリーゼロッテが小さな木の箱を渡してくれた。
箱の上蓋には変わった絵が刻印されていた。

「丸っぽいけど、あえて言えば三日月の中に翼の様な物が三つ重なっている。そして五芒星が1つ描かれている。これってダークエルフの紋様なの?」

「「「おおおっこれだ!!」」」

デイビットにアルコンと他の者達も声を揃えて同意した。
初めて知ったダークエルフの紋様だった。
実は幼い時の記憶に有ったエルヴィーノだが、それが種族の紋様とは知らなかったのだ。

「じゃこれから作る全ての物にこの紋様を入れる事でいいか?」
エルヴィーノの意見に反対する者はおらず全員の同意を得た。

そうなればエルヴィーノは忙しくなる。
調度品など依頼した所に出向き、事の次第を説明して紋様を入れる様に指示した。

そして、イグレシアの王城に戻って来た国王はリカルドを訪れた。

「やぁリカルド、忙しそうだなぁ」
「これは陛下、わざわざこの様な場所まで・・・」
そう言ってリカルトは仰々しく応接室に案内した。

「それで今日はどの様な件で・・・」




リカルド再び。
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