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第13章 建国

第357話 築城の前に

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一応、城と街の予定は出来たが、今回も細かな図面や装飾はお任せで、実行日は龍人達からの連絡待ちとなった。

そうなると、龍人の力を使う事は極秘にしなければならないので、現地に来ているアルコンと同族に一時的にノタムル国へ戻ってもらう事となる。

だが、その前にやる事が有る。
日時を指定してゲレミオの幹部をラ・ノチェ・デル・カスティリオ夜の帝國城・インペリオに集める事にした。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


「皆に集まってもらったのは、これから重要な事を伝える為だ」

常闇の帝王の玉座に座り、眼下に平伏する配下の者達に”例の計画”を説明した。

当初は一族の城が出来るまでが計画期間だったが、直ぐに出来そうなので予定変更した。

「・・・であるから、今のゲレミオの体勢が十分かどうかはアベストロースの攻略に掛かっている。かの国にゲレミオの存在を知られる事無く実行するには非常に難しいと思うが、俺への報連相はエマスコで随時受け付けるから、ガンソを筆頭に十二分な計画を練って欲しい。侵略開始は計画が完成してからで目下の完了は”かの地”でそれぞれの部隊の収益が出るまでとする。その後の事は言うまでも無いなガンソよ」

「は、陛下の御心のままに・・・」
自分達だけで一国の裏社会を侵略支配する計画の総責任者に任命されたガンソの目は爛々と輝いていた。


アルモニアとバリアンテの状況は順調に高収益を出し、数値においてはエルフ国メディテッラネウスとノタルム国においても順調な滑り出しの様だ。

ただし、メディテッラネウスの場合は内容が多少異なる。
それは、利用客のエルフが少なくアルモニアからの遊興で訪れる人族が多いと報告で聞いたからだ。
具体的な人数までは解らないが、現場の認識では八割方人族だと言う。

(そんなにエルフが好きなのか人族は・・・哀れな種族だ)
何故そのように思うのか。
それは報告の内訳を聞いたからだ。

エルフ倶楽部アリウス・ムンディの収益が断凸だんとつで、続くのは飲み食いする店だ。
部門としてもコメルベビーダ飲食関係が多い。
と言うよりもほぼ全てコメルベビーダの収益だ。

つまりアリウス・ムンディの年齢不詳で綺麗なお姉さんが食べ物を”おねだり”して組織内で収益を上げている訳だ。

また、娼館に至っては特定種族の指名予約が数か月有ると言う。
エルフ国の娼館は比較的小規模だが人族、獣人、エルフ族の混成だ。
そして客のほとんどが人族でエルフは予約しないと会う事は出来ないらしい。

(ったく・・・取りあえずは様子を見るか・・・)


ノタムル国は順調だ。
シオンの報告は随時見ているが、この国でもコメルベビーダの収益が早くて高い。

そして問題も出ていた。
ノタルム国のゲレミオ内ではピラタ病なる”言葉”が流行っていると聞いた。
言葉だけならば問題視しないのだが、やはり重要な問題が発生していたのだ。

そもそもピラタ病とは・・・
“アルモニア人の女性に恋をする”と言う現象らしいのだ。
その説明を聞いてガックリとした常闇の帝王だった。

「それで、ピラタみたいなのが大勢出て来たと言うのか? ほっとけ、そんな奴らは!!」
「は、確かに仰る通りですが、ゲレミオの収益に繋がるので陛下の御口添えを賜りたく存じます」
「ん・・・どういう事だ?」
「実は・・・」

出所は不明だが、城下街に作ったゲレミオの娼館でファルソの様なアルモニア人が相手をしてくれると言う噂が広まったらしいのだ。
そして噂が噂を呼び、娼館には毎日のようにアルモニア人を求めて来る客が多いらしい。


(どいつもこいつも異国の女と”やりたい”だけだろうに!!)
「・・・なるほど・・・トラバオン」
「はっ」
「何時までに何人ほど用意できる?」
「・・・仰せとあればすぐにでも・・・しかしながら、ある程度再教育が必要かと」
「ふむ・・・ではこうしよう。アルモニア人の女がノタルム国に出張する場合は取り分を2倍いや、3倍にすれば良いだろう。当たり前だが”商品の値段”も3倍にしろよ」
「ははぁ、直ちに手配致します」


その場で配列するシオンの配下が心で誓った。
(俺も絶対に行くぞぉ!!)


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


アベストロース帝國の侵略もガンソを中心としたゲレミオの精鋭に丸投げしたので、心おきなく自国の再建に取り掛かれるエルヴィーノはメルヴィとの打ち合わせにも余念がない。

龍人達とは城と城下街に別れて意見を出し合ったので、改めて2人で打ち合わせする事にした。

「・・・まぁ、こんな感じかな。龍人達の意見も聞き入れたし今回は最初からゲレミオの施設を作ってあるしな」

「良い感じね。早く完成するのが待ち遠しいわ」
「それで城内はどうなったんだ?」
「主要施設を決めて、みんなの部屋と客室にお風呂に家族の施設を最初に考えたわ。後は大きさこそ違うけど”パウリナのお城”と大差ないわよ」

(”パウリナの城”って・・・確かに間違ってはいないが・・・)
余計な事は言わずに飲み込んだエルヴィーノだ。

「ねぇ、城内の調度品に備品や私達の部屋の家具はどうするつもりなの?」
「そうだなぁ・・・向こうで使うブエロ・マシルベーゴォ飛行魔導具もクラベルに発注しないといけないし、あそこは家具職人もいるからある程度依頼しようと思ってるが」
「じゃ私も一緒に行く」
「解かったよ」


今回はペンタガラマの築城とは違い、起伏の大きい斜面が有る。
島の中腹に平らな平野が有り中心に湖が有る。
その湖の中央に城を作り石橋を渡し、湖に面して城下町を作る予定だ。
因みに湖の奥は森が広がり岩山へと続いている。
龍人達は湖も根本的に見直すと言っていたので、境目は公園を配置するらしい。
これは今までに無い試みだった。

また、城下街と港町の間には農耕地帯と牧場地帯が別れ、左右に広大な敷地を開墾する計画だ。
バレンティアの開墾は一度見ているので全く持って安心のエルヴィーノだ。
その速さときたら、振り返ってみたら出来上がっていた程度の速さなのだから・・・
余談だが、飼育される食肉獣は龍人達が厳選するらしい・・・既に彼らの思考は”別の事”で一杯なのだろう。

そして石畳みで続く道を数本港町に繋げるらしい。
これは港町が横に長い為だ。
また、過去の成功例でブエロ・マシルベーゴォの多様化を予定しているので道幅は従来の2倍から3倍を予定している。
(今さらだがアルモニアでは巷で呼ばれている”ブロマル”に呼称を替えようかなぁって思ってる・・・)

問題の港町だが、ペンタガラマとは違いかなりの作り込みが予定されている。
沢山の大型船舶を想定した石造りの桟橋や倉庫連。
災害にも考慮した堤防や波消しの岩場に灯台と言う埠頭も予定されていた。

そしてコラソンと極秘に進めていた地下海水道を利用した魚を集める施設は街よりも早く着手するらしい。
これは初めての試みなので、海流を利用する為にカマラダが中心となりバレンティアの技術力と魔法力に期待するしかないのだが、多分大丈夫だろうとコラソンが言っていた。

(今回はコラソンと龍人達の力の入れようが半端無いなぁ・・・)

メルヴィとの打ち合わせも終わりイチャついていた頃、良く知った念話の声がした。

(モンドリアンさん、今話せますか?)
(ああ、大丈夫だよコラソン)
(こちらの準備が出来たので明日にでも初めていのだけど大丈夫ですか?)
(ええええっ!! もう準備が終わったのかぁ!?)
(はい、今回は期待してください!!)
(ああ、解かった・・・明日には無人にするから俺の連絡を待ってほしい)
(解かりましたよぉ)


「どうしたのお兄ちゃん」
「んんんっとな、明日から城を作るらしいから、これからアルコン達を移動させて来るよ」
「頑張ってね」





俺が頑張る訳では無いけどな。
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