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第12章 戻ってから四度目の儀式
第343話 大魔王杯闘技大会その後
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大魔王杯闘技大会も無事に終了し、王城に城下町は大いに盛り上がっていた。
勿論、話題の中心は戦乙女のファルソだ。
城下街のあちらこちらで酒盛りが始まり、王城でも祝賀会が催されていた。
そんな酒宴の席で1人だけ納得のいかない者が居た。
だれあろう優勝者だ。
三位決定戦を見れば、自分の試合では手を貫かれたと思うのは致し方ないかもしれない。
大会の結果が種族別となった為に、円卓を用意してそれぞれの種族が囲み、戦いを観戦して賛辞を贈る他種族が列を成していた。
優勝したクエルノ族は当然ながら初参戦の二か国、特に三位の円卓が異様に長い”挨拶の列”が続いていた。
聖魔法王国の王妃であり、サンクタ・フェミナと言う称号を持つ大魔王の”第三夫人”はご機嫌だった。
“アルモニアの順位”は”バリアンテの下”だが、挨拶しに来るクエルノ族の列の長さに疲労感と優越感を実感していたのだ。
勿論パウリナも自慢げな態度だ。
流石に他国の大会で主催者側より上位になるのは良くないと理解はしていたが、都合良く二位になった事に上機嫌だった。
パウリナは順位に。
ロリはクエルノ族の支持者が増えた事に。
シーラは優勝した自身の種族に。
それぞれが思い思いの満足度と優越感に満たされて終始笑顔で宴会を過ごしていた。
とは言え、大会の主役は上位三名だ。
クエルノ族の将軍補佐をしている猛将と招待剣闘士2人だ。
当たり前だが主催者としてエルヴィーノも顔を出し労いの声をかける。
「あれ? お前ピラタ?・・・ピラタだよな?」
一応ゲレミオの者は全て顔を覚えているエルヴィーノ。
見知った顔が場違いな場所に居たので驚いた。
因みにゲレミオの人数はまだ二桁しか居ないのだ。
流石に三桁になると覚える自信が無いのも事実だ。
「なんでピラタがここに居るんだ?」
「はっ、我は元将軍であるレボル・シオン閣下の配下にして忠実な兵士であり、閣下に此度の闘技大会に出場の許可を頂いて参戦した次第です」
(なんだとおぉぉぉっ!)
非常に驚いたが口にはせず、冷静にやり過ごし大魔王の威厳が崩れない様に努力したが、多少顔には出ていた様だ。
(元将軍の補佐・・・部下? 本当か・・・流石は元海賊だ)
「それで、お前は何位だったんだ?」
「シオン閣下との約束通り優勝致しました」
「そっか、優勝・・・優勝ぉぉ!? お前がぁぁぁ?」
今さらだがエルヴィーノは出場者の名前など気にもしていなかったからだ。
また、アルマドゥラも顕現出来ない一般兵士たちは普通に全身鎧を着用し闘っていたので、全く気付く事が無かった。
エルヴィーノが驚いて戦いの様子を聞いていた所に駆けつけた一団が現れた。
「陛下、遅くなり申し訳ございませぬ」
傷だらけの顔で厳つい巨体が敬意を示すと後の三人と周りの者達まで神妙になった。
三人はピラタを除くシオンの配下で四天王の三人だ。
「シオン、凄いなお前の部下は」
「はっ、お褒めに預かり恐縮です。ピラタも我との約束を果たし十分な戦果を残したので評価してやります」
「そうだな、出来る限りの褒美をやろう」
「「はっ、ありがとうございます」」
シオンにかけた言葉だが、ピラタも一緒に答えた。
「陛下、褒美の件ですが可能であればお願いしたき事があります」
「ピラタ、陛下の御前で何と言う事を!!」
今が好機とばかりに褒美を強請って来たピラタ。
そんなピラタに部下の無作法を嗜めて注意するシオン。
金や地位であれば出来る限り望みを叶えてやるつもりのエルヴィーノだ。
なんてったって大魔王杯で優勝したのだからその位の融通は応えたい信条だった。
「別に構わないさシオン」
「申し訳ございませぬ」
「それで、何が望みだ?」
「は、ファルソを・・・ファルソ殿を嫁に迎えたいと強く願っております」
「・・・」
エルヴィーノの思考が停止してしまった。
「何を言うか、相手はアルモニア人の女だぞ」
「こいつ浮かれやがって、勝てば自分のモノになる訳じゃないんだぞ」
「おいピラタ、気は確かか? イディオタだぞ!!」
「戦闘で正気を失ったか?」
シオンと仲間の四天王がピラタに向って酷い言葉を投げかけるが、ピラタは真剣な表情だった。
「陛下、申し訳ございませぬ。ピラタにはちゃんと言い聞かせますので」
シオンからの問いかけで”我に帰る”エルヴィーノだ。
第三者から見ても解かるはずが無い。
ピラタの”口撃”で思考があらゆる事を想定し意識が飛んでいたなどと。
「ああぁピラタ。その件は・・・保留にしてくれ」
「はっ」
「陛下、こやつの戯言に気を使われる必要はございません。忘れてください」
シオンはそう言うが本人はそうはいかない。
(ああぁぁ面倒くさい。次から次えと・・・)
「まぁ、本人が断れば諦めてくれよ」
「はっ」
「ではお前の祝賀を存分に楽しめ。この後ゲレミオの祝賀も有るのだろぉ?」
「はい、まさか本当に優勝するとは思ってもいなかったので、急遽準備の手配に時間がかかっておりました」
シオンが遅れて来た理由を教えてくれた後、その場を後にして準優勝した席に向う大魔王だ。
☆
また災いの種に芽が出たのか?
勿論、話題の中心は戦乙女のファルソだ。
城下街のあちらこちらで酒盛りが始まり、王城でも祝賀会が催されていた。
そんな酒宴の席で1人だけ納得のいかない者が居た。
だれあろう優勝者だ。
三位決定戦を見れば、自分の試合では手を貫かれたと思うのは致し方ないかもしれない。
大会の結果が種族別となった為に、円卓を用意してそれぞれの種族が囲み、戦いを観戦して賛辞を贈る他種族が列を成していた。
優勝したクエルノ族は当然ながら初参戦の二か国、特に三位の円卓が異様に長い”挨拶の列”が続いていた。
聖魔法王国の王妃であり、サンクタ・フェミナと言う称号を持つ大魔王の”第三夫人”はご機嫌だった。
“アルモニアの順位”は”バリアンテの下”だが、挨拶しに来るクエルノ族の列の長さに疲労感と優越感を実感していたのだ。
勿論パウリナも自慢げな態度だ。
流石に他国の大会で主催者側より上位になるのは良くないと理解はしていたが、都合良く二位になった事に上機嫌だった。
パウリナは順位に。
ロリはクエルノ族の支持者が増えた事に。
シーラは優勝した自身の種族に。
それぞれが思い思いの満足度と優越感に満たされて終始笑顔で宴会を過ごしていた。
とは言え、大会の主役は上位三名だ。
クエルノ族の将軍補佐をしている猛将と招待剣闘士2人だ。
当たり前だが主催者としてエルヴィーノも顔を出し労いの声をかける。
「あれ? お前ピラタ?・・・ピラタだよな?」
一応ゲレミオの者は全て顔を覚えているエルヴィーノ。
見知った顔が場違いな場所に居たので驚いた。
因みにゲレミオの人数はまだ二桁しか居ないのだ。
流石に三桁になると覚える自信が無いのも事実だ。
「なんでピラタがここに居るんだ?」
「はっ、我は元将軍であるレボル・シオン閣下の配下にして忠実な兵士であり、閣下に此度の闘技大会に出場の許可を頂いて参戦した次第です」
(なんだとおぉぉぉっ!)
非常に驚いたが口にはせず、冷静にやり過ごし大魔王の威厳が崩れない様に努力したが、多少顔には出ていた様だ。
(元将軍の補佐・・・部下? 本当か・・・流石は元海賊だ)
「それで、お前は何位だったんだ?」
「シオン閣下との約束通り優勝致しました」
「そっか、優勝・・・優勝ぉぉ!? お前がぁぁぁ?」
今さらだがエルヴィーノは出場者の名前など気にもしていなかったからだ。
また、アルマドゥラも顕現出来ない一般兵士たちは普通に全身鎧を着用し闘っていたので、全く気付く事が無かった。
エルヴィーノが驚いて戦いの様子を聞いていた所に駆けつけた一団が現れた。
「陛下、遅くなり申し訳ございませぬ」
傷だらけの顔で厳つい巨体が敬意を示すと後の三人と周りの者達まで神妙になった。
三人はピラタを除くシオンの配下で四天王の三人だ。
「シオン、凄いなお前の部下は」
「はっ、お褒めに預かり恐縮です。ピラタも我との約束を果たし十分な戦果を残したので評価してやります」
「そうだな、出来る限りの褒美をやろう」
「「はっ、ありがとうございます」」
シオンにかけた言葉だが、ピラタも一緒に答えた。
「陛下、褒美の件ですが可能であればお願いしたき事があります」
「ピラタ、陛下の御前で何と言う事を!!」
今が好機とばかりに褒美を強請って来たピラタ。
そんなピラタに部下の無作法を嗜めて注意するシオン。
金や地位であれば出来る限り望みを叶えてやるつもりのエルヴィーノだ。
なんてったって大魔王杯で優勝したのだからその位の融通は応えたい信条だった。
「別に構わないさシオン」
「申し訳ございませぬ」
「それで、何が望みだ?」
「は、ファルソを・・・ファルソ殿を嫁に迎えたいと強く願っております」
「・・・」
エルヴィーノの思考が停止してしまった。
「何を言うか、相手はアルモニア人の女だぞ」
「こいつ浮かれやがって、勝てば自分のモノになる訳じゃないんだぞ」
「おいピラタ、気は確かか? イディオタだぞ!!」
「戦闘で正気を失ったか?」
シオンと仲間の四天王がピラタに向って酷い言葉を投げかけるが、ピラタは真剣な表情だった。
「陛下、申し訳ございませぬ。ピラタにはちゃんと言い聞かせますので」
シオンからの問いかけで”我に帰る”エルヴィーノだ。
第三者から見ても解かるはずが無い。
ピラタの”口撃”で思考があらゆる事を想定し意識が飛んでいたなどと。
「ああぁピラタ。その件は・・・保留にしてくれ」
「はっ」
「陛下、こやつの戯言に気を使われる必要はございません。忘れてください」
シオンはそう言うが本人はそうはいかない。
(ああぁぁ面倒くさい。次から次えと・・・)
「まぁ、本人が断れば諦めてくれよ」
「はっ」
「ではお前の祝賀を存分に楽しめ。この後ゲレミオの祝賀も有るのだろぉ?」
「はい、まさか本当に優勝するとは思ってもいなかったので、急遽準備の手配に時間がかかっておりました」
シオンが遅れて来た理由を教えてくれた後、その場を後にして準優勝した席に向う大魔王だ。
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また災いの種に芽が出たのか?
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