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第12章 戻ってから四度目の儀式

第341話 大魔王杯闘技大会7

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“何とかして!!”

それだけ書いてあった。
(いやいや、分かんないし)
と思いながら、実は解っているエルヴィーノ。

シーラは隣で泣いている。
この状況で何とかしろと言って来るのは1人しか居ない。

何とかしろとは、ファルソを3位で勝てる様にしろと言う事だ。
あからさまに不正を行なえと言う命令? なのか、お願い? なのだ。

「はあぁぁ」
大きな溜息をつくエルヴィーノ。

明らかにファルソの勝利よりも国の立場よりも、妻同士の面子が優先している様だ。
もしも、これを無視すると・・・
(当分の間、根に持つだろうなぁ。まぁ3位だから良いか・・・だけど、どうしよう)

ノタルム国の手当ては負傷した部位も魔素も全快にするほどだ。
身体の心配は必要無いが敵を倒す方法だ。

(簡単にクエルノ族を倒す方法・・・無いなぁ。どうしよう、待てよ。アレを使えば・・・互角かぁ。じゃアレも付与して・・・良し、それで行こう!)

取りあえず解決策を見つけたので、シーラに便所に行くと言って席を立つ大魔王だ。

向うのはファルソの控室だが途中で変装する。
体型や容姿を変える事は出来るが衣服はそのままなので大魔王とバレてしまうからだ。
一応司祭の装備は持っている。
以前、親衛隊長のリカルドに用意させた物だ。
司祭の服に着替えてから茶髪に変化した。
誰が見てもアルモニア教の関係者だろう。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


「よう、フォーレ」
ファルソを見てそんな事を言う者は限られている。

「陛下か?」
「ああ、さっきの戦い凄かったな」
「あ、ありがとう。だけどアレが私の限界だ。流石にクエルノ族には通じなかったよ」
「そうか・・・次の試合はどうする?」
「多分同じ結果だろうなぁ・・・棄権しようかなぁ」
「それは勝つための方法が無いからか?」
「・・・」
「そっか。じゃ勝てる方法が有ったとしたらどうする?」

驚いた顔のファルソ。

「それは・・・良いのか?」
「・・・本来は良く無いな。まぁしかしなんだ、闘技場のクエルノ族達はすっかりお前に魅了されている様だし、いろいろと問題が有ってな・・・」
「・・・それはどんな方法だ?」
「俺が与える魔法で普通に戦うだけだけど・・・」
「・・・良く解らん」
「すまん。とりあえず簡単に言うと今から与える魔法は聖魔法王国アルモニアの中でも聖騎士か高位の教会関係者だけしか持つ事の出来ない魔法だから、聖魔法王国アルモニアの国王としてフロリッシュ・ドゥ・フォーレビアンを聖騎士に任命する」

「なっ、そんな事をして良いのか!!」
「勿論だとも。教会の要望だしな」
「本当に大丈夫なのか?」
「そりゃ俺は国王だしぃ、いろいろとシガラミが有るんだよ」
「解かった。任せるよ」
「じゃこれを」

渡されたのはフォーレと出会った時に貰った魔法陣が書いてある紙が3枚だった。
これは欲しい魔法の名前を書いて発動させる魔法陣が描かれて有り簡単に覚えられるが、魔素量に属性や魔法使いとしての経験と技術が無いと発動しない、簡単そうで難しい代物だ。

「懐かしいなぁ。それで一体どんな魔法なのさ」
「まぁ、とりあえず、やっちゃって」

エルヴィーノに言われ魔法陣を次々に展開するファルソ。

「これは・・・この魔法は・・・勝てるかも・・・でも使えるのか? 私が」
「どう? 取りあえずこの場で使えるか試して見なよ」
「ああ」

そのまま2人は新たに覚えた魔法を試し、今まで使った事の無い属性のコツと必勝の為の方法を大魔王から伝授されたファルソだった。
フォーレの新しい属性魔法は微妙だったが3枚目の魔法陣で解決出来たのだった。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


エルヴィーノは大魔王に戻り闘技大会運営本部に向かった。

「これは大魔王様。このような所へ、何かございましたでしょうか?」
「ああ、みんな聞いて欲しい。さっきのファルソの戦い振りはどうだったか?」
「は、他国の娘ながら実に見事な戦い振りでした。我らクエルノ族の前に力尽きましたが、その戦意は称賛に値すると全てのクエルノ族の者が思ったでしょう」

「ふむ。たしかに”双剣のファルソ”は敗れたな。それでな、3位決定戦にファルソが出るが呼び名を変えて欲しいんだ」
「は、どのように呼べば宜しいでしょうか?」
「双剣のファルソは力及ばずとも、聖魔法王国アルモニアの聖騎士ファルソとして刃を交える為に参戦する」
「せ、聖騎士ですか・・・」
「ああ、そうだ。今の言葉そのままに伝えよ」
「は、畏まりました」

(さてと、とりあえずやる事はやったから後はファルソ次第だな。多分大丈夫だと思うけど、フォーレなら勝てるだろう。あれで勝てなきゃおかしいだろ)

一体どのような魔法を伝授したのだろうか。





必勝の魔法。
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