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第12章 戻ってから四度目の儀式
第337話 大魔王杯闘技大会3
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その後の試合も大魔王が期待するモノでは無く、クエルノ族が好きな剣技と魔法を織り交ぜた技巧が続き、闘技会場は盛り上がっているが主催者の1人は期待ハズレで退屈していた。
「あなた、次はファルソちゃんの番だから」
どうやら詰まらなさそうにしていたのがシーラにバレていたらしい。
「ところで、どうしてファルソが出場する事になったんだ?」
推測の上で解ってはいるが、暇なのでシーラに聞いて見た。
そして、パウリナと内緒でアルモニアへ遊びに言った経緯を聞き、ファルソの正体を知っていると告白したシーラだ。
勝手に転移して、いろいろ見て回っている事に脅威を感じたが自然体を装う大魔王だ。
そして、パウリナが招待剣闘士を2人も送ると本人に自慢され、送り込む人材を探していたとロリだと言う。
結局、魔族の国の闘技大会などに出たい物好きはおらず、シーラに断りの連絡をしたロリだ。
そこでシーラがロリに花を持たせたのだろう。
自らファルソの参戦を促がしたのだ。
「それよぉシーラ!! ファルソを忘れていたわぁ!!」
この時、過去にロリがファルソを知らない振りをしていた事に気づくシーラだが黙って聞いていた。
それが切掛けでフォーレに特命が下ったのだが丁寧な御断りを何度もしたファルソが、その度に段々と上がっていく依頼金が怖くなり引き受けたらしい。
そうなると、昼夜を問わず元国王との激しい特訓だ。
勿論、聖女達のお墨付きで行なわれた。
たかが武術大会に出場するだけで大金が貰え、上位入賞(1位2位3位で金額の差が有る)すれば数倍の報酬を出すと言われたのだ。
確かにヘソクリは欲しい。
ただしサンクタ・フェミナの提示した金額が恐ろしかったフォーレだ。
「はっ全身全霊をもって戦ってきます」
などと言ったものの
(なんとか3位に入れれば良しとしよう)
後々の事も考えて策を練るファルソだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
闘技会場は参加者の中で1人だけの女性に観客は熱狂していた。
たとえアルモニア国からのイディオタだとしても。
たとえ背中にある役に立たない小さな羽が同族っぽく見えて、もしかしたらっと思ってもだ。
背中の羽と赤い瞳で同族を彷彿とさせるが、如何せん角が無い。
他種族との混血でも角さえ有れば認めてもらえるのがクエルノ族だ。
それでも唯一の女性剣闘士として参加したファルソに声援が多い。
そんなファルソの対戦相手は大柄だ。
ファルソの三倍以上は余裕にある巨漢のクエルノ族だ。
その顔は獲物を捕らえた野獣の様だが、イディオタとの混血を手籠めに出来ると思い込んでいるようだった。
それは、いたぶって犯してやる目だ。
実際、クエルノ族の剣闘士がファルソを蔑視する言動を発しても、翻訳魔導具を解除していて何を言っているか解らないが、どうせロクでも無い事だろうと無視していたファルソだ。
その態度に苛立つがどうせすぐに泣き叫ぶと思っていたクエルノ族の剣闘士だ。
次の試合を考えてなのか、今回は両者とも魔法剣では無く普通の剣だ。
そして試合が始まった。
片や軽装の鎧と、片やフリフリの衣装。
両者、勢いよく走り相手に近づくと巨漢から猛烈な剣圧が襲い掛かるが、ひらりと躱し反転して側面に剣を切りつけるファルソ。
致命打には成らないが血が吹いて闘技会場が湧きあがる。
クエルノ族の剣闘士が剛の剣で斬撃を放つが、ファルソは柔の剣で剣舞を舞う様にあしらって切りつける。
クエルノ族の剣闘士は苛立ちが増し、観客は更に盛り上がる。
「あれがシーラの薦めていたヤツか。なかなか見事な物よ」
魔王らの称賛を得たファルソだ。
「全くだ。まさか実戦であそこまで剣舞を使いこなすとは驚きだよ」
実際大魔王も実戦は初めて見るので感心していた。
「でしょ!! 私もあの戦闘方法には手こずったもの」
何故かシーラが自慢している。
実際クエルノ族の剣闘士は健闘している。
剛剣もファルソに当たっているのだが、魔導具のお蔭で打撃を直接受けて無いからだ。
ヒラヒラと剛剣を交わされながらクエルノ族の剣闘士の傷が増えて血が流れていく。
客観的に攻めているのはクエルノ族の剣闘士だが負傷しているのもクエルノ族の剣闘士だ。
「ちょこまかと動くなクソ餓鬼がぁ」
「どうせお前の攻撃何て当たらないよぉぉぉだ、お尻ぺんぺん」
闘っている2人に言葉の疎通は無いが態度を見ていれば自ずと理解するのだった。
結局怒りで追い回した揚句、関節に入った多数の傷から大量の血が出て戦闘不能になったクエルノ族の剣闘士だ。
かなりの対戦時間に感じられたが、それを感じさせないファルソの剣舞だったようだ。
闘技会場からの拍手と声援が凄い。
対戦相手も大振りでファルソを追いかけていたので、最後には全身血だらけで倒れたようだ。
そこだけを見れば、どんな凄い攻撃をファルソがしたのかと疑問に思うが単に貧血だ。
これはファルソの作戦と言うよりも、クエルノ族の剣闘士が意地になって追いかけ回したのが原因だろう。
しかし、会場からはそこまで細かい事は解からないのだろうか、ファルソの剣舞が一種の魔法の儀式に見えていた様だ。
☆
ファルソの勝ちぃぃ。
「あなた、次はファルソちゃんの番だから」
どうやら詰まらなさそうにしていたのがシーラにバレていたらしい。
「ところで、どうしてファルソが出場する事になったんだ?」
推測の上で解ってはいるが、暇なのでシーラに聞いて見た。
そして、パウリナと内緒でアルモニアへ遊びに言った経緯を聞き、ファルソの正体を知っていると告白したシーラだ。
勝手に転移して、いろいろ見て回っている事に脅威を感じたが自然体を装う大魔王だ。
そして、パウリナが招待剣闘士を2人も送ると本人に自慢され、送り込む人材を探していたとロリだと言う。
結局、魔族の国の闘技大会などに出たい物好きはおらず、シーラに断りの連絡をしたロリだ。
そこでシーラがロリに花を持たせたのだろう。
自らファルソの参戦を促がしたのだ。
「それよぉシーラ!! ファルソを忘れていたわぁ!!」
この時、過去にロリがファルソを知らない振りをしていた事に気づくシーラだが黙って聞いていた。
それが切掛けでフォーレに特命が下ったのだが丁寧な御断りを何度もしたファルソが、その度に段々と上がっていく依頼金が怖くなり引き受けたらしい。
そうなると、昼夜を問わず元国王との激しい特訓だ。
勿論、聖女達のお墨付きで行なわれた。
たかが武術大会に出場するだけで大金が貰え、上位入賞(1位2位3位で金額の差が有る)すれば数倍の報酬を出すと言われたのだ。
確かにヘソクリは欲しい。
ただしサンクタ・フェミナの提示した金額が恐ろしかったフォーレだ。
「はっ全身全霊をもって戦ってきます」
などと言ったものの
(なんとか3位に入れれば良しとしよう)
後々の事も考えて策を練るファルソだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
闘技会場は参加者の中で1人だけの女性に観客は熱狂していた。
たとえアルモニア国からのイディオタだとしても。
たとえ背中にある役に立たない小さな羽が同族っぽく見えて、もしかしたらっと思ってもだ。
背中の羽と赤い瞳で同族を彷彿とさせるが、如何せん角が無い。
他種族との混血でも角さえ有れば認めてもらえるのがクエルノ族だ。
それでも唯一の女性剣闘士として参加したファルソに声援が多い。
そんなファルソの対戦相手は大柄だ。
ファルソの三倍以上は余裕にある巨漢のクエルノ族だ。
その顔は獲物を捕らえた野獣の様だが、イディオタとの混血を手籠めに出来ると思い込んでいるようだった。
それは、いたぶって犯してやる目だ。
実際、クエルノ族の剣闘士がファルソを蔑視する言動を発しても、翻訳魔導具を解除していて何を言っているか解らないが、どうせロクでも無い事だろうと無視していたファルソだ。
その態度に苛立つがどうせすぐに泣き叫ぶと思っていたクエルノ族の剣闘士だ。
次の試合を考えてなのか、今回は両者とも魔法剣では無く普通の剣だ。
そして試合が始まった。
片や軽装の鎧と、片やフリフリの衣装。
両者、勢いよく走り相手に近づくと巨漢から猛烈な剣圧が襲い掛かるが、ひらりと躱し反転して側面に剣を切りつけるファルソ。
致命打には成らないが血が吹いて闘技会場が湧きあがる。
クエルノ族の剣闘士が剛の剣で斬撃を放つが、ファルソは柔の剣で剣舞を舞う様にあしらって切りつける。
クエルノ族の剣闘士は苛立ちが増し、観客は更に盛り上がる。
「あれがシーラの薦めていたヤツか。なかなか見事な物よ」
魔王らの称賛を得たファルソだ。
「全くだ。まさか実戦であそこまで剣舞を使いこなすとは驚きだよ」
実際大魔王も実戦は初めて見るので感心していた。
「でしょ!! 私もあの戦闘方法には手こずったもの」
何故かシーラが自慢している。
実際クエルノ族の剣闘士は健闘している。
剛剣もファルソに当たっているのだが、魔導具のお蔭で打撃を直接受けて無いからだ。
ヒラヒラと剛剣を交わされながらクエルノ族の剣闘士の傷が増えて血が流れていく。
客観的に攻めているのはクエルノ族の剣闘士だが負傷しているのもクエルノ族の剣闘士だ。
「ちょこまかと動くなクソ餓鬼がぁ」
「どうせお前の攻撃何て当たらないよぉぉぉだ、お尻ぺんぺん」
闘っている2人に言葉の疎通は無いが態度を見ていれば自ずと理解するのだった。
結局怒りで追い回した揚句、関節に入った多数の傷から大量の血が出て戦闘不能になったクエルノ族の剣闘士だ。
かなりの対戦時間に感じられたが、それを感じさせないファルソの剣舞だったようだ。
闘技会場からの拍手と声援が凄い。
対戦相手も大振りでファルソを追いかけていたので、最後には全身血だらけで倒れたようだ。
そこだけを見れば、どんな凄い攻撃をファルソがしたのかと疑問に思うが単に貧血だ。
これはファルソの作戦と言うよりも、クエルノ族の剣闘士が意地になって追いかけ回したのが原因だろう。
しかし、会場からはそこまで細かい事は解からないのだろうか、ファルソの剣舞が一種の魔法の儀式に見えていた様だ。
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ファルソの勝ちぃぃ。
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