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第11章 分岐点

第298話 La Torre infinita 4

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風呂場で搾り取られた後、主寝室では第一夫人も参戦して満足するまで許してもらえなかった。
(ったく明日は決戦なのによぉ・・・)
心でグダを撒くが口には出さない。
”試練の塔”よりも帰ってからの方が疲れたエルヴィーノだ。
心身ともに満足で寝る妻達と、疲労が残るエルヴィーノだが爆睡する事で解放されるのだった。

翌朝、昨夜遅くまで奉仕したエルヴィーノは一番遅く起きる事となった。
風呂場で身体を洗い、身支度をして居間に向うと妻達が打ち合わせをしていた。
遅い朝食を取りながら考えた事を話す。

「今日は一気に10階まで行こうと思う。それで俺が六、七、八、九階の敵を蹴散らそうと思うけど良いか?」

そう言うとロリが答えた。
「私達も五連戦はキツイかもって話してたところなの」
「あなたが闘うなら私も戦うわ」
自分の試練なので誰よりも自分が前に出て戦う事をのぞむシーラだ。
「とりあえず九階の敵を倒したら、一時的にロリに結界を張ってもらい休憩しよう。だから皆は体力も魔素も温存してくれ」

パウリナが腕輪の魔素を使って五連戦は厳しいであろうと考えているエルヴィーノ。
事実、昨日の三連戦が終わり腕輪の魔素の量では。あと一度魔法を使えるかどうかの量だった。
だからパウリナは決戦まで温存し、ロリも出来れば温存したい。
シーラは剣技と魔法であぶれた敵の排除する事を提案した。

一応リーダーはシーラだが第二夫人の意見が大きいのでロリの顔を見ていると
「解かったわ。あなたの言う通りにします」
パウリナもシーラも承知してくれた。
「ただし、危険だと思ったら直ぐに手を出すからね」
「ああ。そうならない様にするよ」

後半戦はより強い敵ゴーレムが出て来ると予測しているので、妻達の闘う姿を見るより自分が処理した方が早いと思っている。
それに、決戦の屋上ではどんな化け物を出してくるのか予想出来ないからだ。

エルヴィーノの戦闘方法も説明する。
「俺はネグロ・ラミナ黒刃×二十もしくは三十を使って敵を切り刻む」
「何それっ!」
真っ先に食いついたのはシーラだ。
ネグロと言う単語に反応したのだろう。
必要に迫られて説明する。
ネグロ・タブラ黒板にロタシオンと言う回転魔法を何度も付与させて自由に飛ばす事で何でも斬るんだ」
ポカーンとした顔で聞くシーラに「知ってるの、シーラ?」パウリナが問いただした。

「知らないし、初めて聞いたミスクラル・マヒア合成魔法だわ」
まるで敵を睨みつけるように、”何で私に教えてくれないのよぉ”って顔のシーラだ。
そんなやり取りを”私は知っているわ”的な顔で微笑むロリ。
御立腹のシーラをパウリナに任せて説明を進める。

「あと、魔物が出たら直ぐにバシーオ真空を使うからな。敵が沢山出て混戦が予想されるなら、みんなの顔にエアラス酸素を使うぞ」
「その時は様子を見て私がサントゥアリオ・ディ神の聖域オスを使えばいいのね」
「ああ、頼む」

「私達の出る機会が無いよねぇシーラ」
「そうよ、私の試練なのに」
活躍する場を取られて文句を言って来る二人だ。
「あのなぁ、誰の為か聞いてただろう!?」
チョット怒こっただけだが「「ハーイ」」と素直な返事が帰って来た。
「念の為にオスクロ・ゴーレムも出して、こちらの攻撃を掻い潜った敵からみんなを守るようにさせよう」

敵の強度が解らないので、とりあえずネグロ・ラミナ×二十から始めるつもりだ。
過去の実験では五十回まで使った事が有る。
流石にそこまでは必要無いだろうと考えているエルヴィーノだ。
遠距離攻撃を二種類使えば何とかなるだろうし、敵が生物の場合も対策が有り万全の作戦だと自慢するのだ。

他の魔法やアルマドゥラも有るが、エルヴィーノも魔素を温存したいので使い慣れた魔法で対策を練る。
慣れていると言っても、かなりの熟練度が上がっているので相当の魔法になっているが上位魔法では無い。
あくまでも初期魔法だ。
何故ならば、今まではそれで事足りていたからだ。

そもそもオスクロ・マヒア暗黒魔法エスパシオ・マヒア空間魔法の保有者は少ない。
しかも、魔法は魔導書で読んで覚えたエルヴィーノは、子供の頃属性魔法よりも魔法陣に興味が有ったからだ。
何故なら痛い思いをするのが嫌いな幼少時代に戦う事が嫌いなり生活魔法で十分だと思っていたのだ。
とはいえ、新しい魔法も生み出した事も有るくらい魔導に関しては、そこそこ熟練の域に達している。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


「じゃ、みんな準備は良いか?」
頷く妻達。
転移魔法陣で試練の塔の五階に転移した一行だ。
やはり自宅から戦場まで転移で移動すると緊張感が無い。
「何してるのよぉ、早く行くわよ」
あえて塔に来て持ち物の点検をするエルヴィーノに急がせるシーラだ。
少し位、雰囲気で気持ちを入れ替える時間を希望するが、両腕をガッシリと掴まれて次の部屋に連行される男だ。

扉を開けると、今までと同じ広さの部屋だった。
「見て! 出て来たわ」
シーラの呼びかけに全員が敵に注目する。
「何よアレ!」
「ロリ、パウリナ」
双方を見て呼びかけると頷いた。
シーラと壁際で待機する三人。

シーラが知らないのは無理も無いが、ロリとパウリナは良く知っている。
出て来たのは五階に居たシーラと同等の能力を持つゴーレムと、二体のラナ・デプレタドルだ。
「何アレ、気持ち悪ぅい」
その魔物は太い足に腕、分厚い胸板。
がに股で両手はぶらぶらさせている。
そして大きな口。
人型だが首が無い。
肩から延びた頭は、まるで爬虫類の様だが鱗は無い。
肩まである大きな口の上に大きな目が二つギョロッとしている。
全体の皮膚が赤いヤツと青いヤツだが腹は白い。

腹を空かせているのか大きな口から涎を垂らしている。
ハッキリ言って近づきたくない。
野太い声でゲロロロと鳴く声も鳥肌が立つとシーラは耳をおさえている。
元々シーラの体型に似せたゴーレムよりも数倍の大きさだ。
エルヴィーノは無言のまま両手にネグロ・ラミナ×二十を出して投げつけた。
左右から飛んで行き交差するように”ザンッ、ザンッ、ザンッ”と音を立てて三体を切り殺した。

その後数十対が魔法陣の光と共にニョキニョキ出て来るが、ネグロ・ラミナは旋回させていたので、完全に転移が終わる前に全ての首を切り取ってやった。

どこかで
”ズルいぞ! 転移するまで待つのが礼儀だろう”と文句を言われている気がしたが、無視して三人の方へ振り向くと笑顔の妻達だった。

「扉が出たよ」
パウリナに教えられ、先程まで立って居た魔物の横を通り過ぎると「私、無理だから」とシーラが言い放った。
戦士たるシーラは死体や死に対しての免疫はある。
今は死体が気持ち悪い訳では無く、生前の容姿が女性達に不評を買っているのだ。
“俺だって触りたくないよ”と言うが先に、ロリとパウリナが交互にシーラと話していた。

(私達は戦った事が有るけどねぇ)
(消し炭にしちゃったから解らなかったけど)
((やっぱキモイね))

「多分、この先も同じような感じだと思うぞ」
そう言うと
「あなた、期待しているわよ」
「頑張ってね、あなた」
「私の事を愛しているなら・・・ね」

ここぞとばかりに三人は言いたい放題だ。
”自分達が近づきたくないだけじゃねぇかぁぁぁ!” とは言いません。
グッと心で叫んで
「ああ、任せてくれ」と恰好を付ける夫兼婚約者だった。





生ものは血や内臓が出てグロい。
やっぱ敵はゴーレムが一番だ。
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