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第8章 魔王国編

第232話 親衛隊の試練

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前日の約束通り親衛隊の三人に試練を与えるべく、シオンとブオ、ポヨォ、ファイサンの四人を連れてペンタガラマの郊外へ出た。
シオンの姿を見て驚く三人がどのような態度に出るか想像出来なかったので人気の無い場所へ移動したのだ。

「三人とも、昨日シオンと話してどうだったか?」
「はい印象と違い、とても気さくな御仁でした」
体格の良いブオの感想だ。
「全くです。とても年季の入った御尊顔ですが話して見ると楽しい方だと知りました」
単に顔が怖いと言いたいのだろうポヨォだ。
「武闘派でもシオン殿の様に礼儀正しい方は初めてお会いしました」
ファイサンも印象とのギャップに感心している様だ。

「そうだろうな。見た目がこれだからな」
「陛下、申し訳ありませんが顔は変えようが無いので」
「気にするな。これからも言われるだろうからな」
「はっ」
エルヴィーノよりも遥かに巨体のシオンが腰を折り、礼を取る姿を見て親衛隊は感慨深く見ていた。
「では、これより試練を行なう」
緊張が走る親衛隊の三人。

「アルモニア教での敵対者は何だ」
「「「魔族です」」」
「魔族とは何だ?」
「恐ろしい容姿と魔法を使い人々をたぶらかし、悪事をする者達です」
「恐ろしい容姿とは?」
「一言では言い表せない程の多種多様な姿形をしているようですが共通する箇所が有るようです」
「それは何だ?」
「頭部から角が生えていると聞き及んでおります」
国王の質問に三人が交互に答えてくれた。
「ふむ、ではお前達の言う魔族と言うのは”こんな奴か”?」
そう言ってシオンの変化を解除した。

「うわぁぁ」
「馬鹿な!」
「陛下、これは一体」
ポヨォが驚き、ブオが否定し、ファイサンが問いただしてきた。
「どうだ、お前達。教えられていた事と、自らが体験し納得した事実が真実の秘密だと知った今は」
「「「・・・」」」
予想通りの絶句だった。

「お前達、魔族の共通は角だと言ったな」
親衛隊の三人にカンビオ・マヒア変化の魔法を使った。
カンビオ・マヒアは練度もさることながら想像力が重要だ。
頭で描いた三人の角を込めて魔素を使う。
「三人ともお互いの頭を見て見ろ」

「角だ!」
「我らが魔族になってしまった」
「ああぁもう司教に戻れないぃぃ」
一番嘆いたのはポヨォだった。
ブオもかなり驚いていたが、ファイサンが一番冷静だった。
「2人共、これは陛下の魔法です。本当に角が生えた訳では無いのですから」

「その通りだファイサン。自身に角が生えればポヨォの様になげく者も居るし、ブオの様に動揺している者も居るだろう」
そう言って魔法を解除した。
そしてエルヴィーノが角を出す。
「へ、陛下に角が出た」
泣いていたポヨォがもう復活したので、すかさず畳み込む。
「ノタルム国へは全員が魔法で角を出して出向く事になる。シオンはこちらに来る時は角を隠した状態で来る。この意味は解るな?」
「「「・・・はい」」」
「陛下、質問いえ、確認が有ります」
ブオからだ。
「シオン殿は魔族なのでしょうか?」
待っていた質問が来た。

「違うな。お前達、聞いただろう? ノタルム国のクエルノ族だと」
「ですが角が」
「分かっている。だが、お前達に聞こう。シオンがお前達の言う魔族に当てはまるのか”目を閉じて”思い出して見よ」
「「「・・・」」」
一番早かったのはファイサンだった。
「確かに昨日のシオン殿を見る限りは立派な方だと思いましたが、それよりも我らは陛下の親衛隊です。例え魔族でもノタルム国でも陛下の御側に付き従うのが我らの使命です」
「ふむ、私も同じ思いです陛下」
「私もです、陛下」
ブオもポヨォも同意した。

「よく言った。それでこそ親衛隊だ」
「流石は陛下の親衛隊ですなぁ、肝が据わっておる」
シオンも感心している。
そこで、改めて全員でクエルノ族に変化した。
「御三方も似合っておりますぞ」
引き攣った顔の三人だが、まだ話す事が有った。
「みんな良く聞け。昼過ぎに教祖様と大司教様にサンクタ・フェミナ以外の王族が極秘でペンタガラマの大聖堂に来られる」
真剣な表情で聞いている親衛隊に角が生えているから吹き出しそうになった国王だ。

「目的はシオンに合う事で、教祖様と大司教様に一族の許可を得てノタルム国に出向く事になる。お前達三人はアルモニア教として初めて出向く訳だから覚悟を決めて欲しい」

「へっ、陛下。質問が有ります」
体格の良いブオが震えながら聞いて来た。
「何だ」
「ノタルム国へは何をしに行くのでしょうか?」
どうやら戦の準備か偵察とでも思っているのだろうが、それも宗教柄仕方が無いか。
「本来、司祭の仕事とは何だ?」
「それは・・・布教と祭事です」
「分かっているじゃないか。だが、簡単ではないだろうがな」

「シオン殿は何故陛下に忠誠を誓ったのですか?」
ファイサンの質問だ。
「紆余曲折は確かに有った。話せば長くなるが、御三方も同じでは無いのかな? それが我らの運命だったのだ」
「「「おおおっ」」」

親衛隊の三人が常に思っていた事。
それは運命。
親衛隊になるまでは全く異なる環境から出会う事も無かった三人だったが、ふとした切掛けで何気に応募した親衛隊に合格してしまったのだ。
そして試練国王の魔法攻撃を乗り越えた三人は正に戦友だった。
最近は管轄が割り振られたが、会う時はいつも運命の話しになる。

何とか打ち解けてくれたようだが、ポヨォは未だブオの後ろに隠れている。
「ボヨォ、シオンと仲良く出来ないならお前だけ現地に残すぞ。何故なら誰が見ても今のお前は魔族だからな」
「ヒッ」
自らの頭を触ると無いはずの角が有った。
「陛下ぁお許しおぉ」
「ダメだ。お前は見た目でしか判断できていないからな。親衛隊の服じゃ無かったら完璧に魔族だよな、シオン」
「全くですな陛下。ポヨォ殿も良く似合っておいでだ。もっと自信を持って堂々とされた方が良いですぞ。さもないと偽物と判明して捕まるかも知れませんな」
シオンの脅しがかなり効いたようだ。
「ヒッ陛下ぁ」
「簡単な事だ。あきらめて俺に従え」
「はっハヒィ」

グズグズのポヨォは親衛隊に任せて先を急ぐことにした。
観光用のブロエ・マルシベーゴォに乗って大聖堂へと向かった。
「しかし、陛下。この乗り物は素晴らしいですなぁ」
自国に無く生物が荷車を引かずに、自らの魔素を使い浮遊して移動する乗り物が気に入ったシオンだ。
「何かしらの手柄を立てたら、お前専用のブロエ・マルシベーゴォをやるよ」
「本当ですか陛下。何なりとご命令ください。如何なる困難も乗り越えて御覧に入れましょう」
多少堅苦しい言い方だが、それだけヤル気だと言う事と理解したエルヴィーノだ。

大聖堂に戻った一行は再びバルバと会っていた。
「バルバ、午後からの極秘事項は聞いているな?」
「はっ、教祖様御一行が非公式にこの大聖堂にお越しになられると」
「ああ、実はシオンと面談しにワザワザ来るのだ」
「さようでございますか。シオン殿にお会いされる為に」
「お前がシオンに会って感じた事を聖女様達に話して欲しいのだ」
「畏まりました。その程度の事で有れば容易たやすい事です」
さっきの親衛隊を思い出す。

「ああ、バルバ。実はシオンには秘密があってな、教祖様達はその秘密を知っているが普段のシオンを説明して欲しいのさ」
「畏まりました。昨日のひと時でシオン殿の事は理解したつもりです。ところで私にはその秘密は伏せておいた方が良いのですか?」

「勿論バルバにも教えるが、先入観が邪魔をするから今は知らない方が良い」
個人差にもよるがポヨォで実証したからだ。
あれは極端だが事実を知った後でシオンの評価が変わってしまうのは困るのでバルバだけは後で教える事にした。
「ところで親衛隊の三人はエスパシオ・ボルサ空間バックは使える様になっているな?」
以前冒険に出るなら必要最低限の魔法として覚えさせる為に魔法陣を使ったのだ。
「「「はっ」」」
「では冒険に必要な物を取り揃える為に買い物に行くか?」
「陛下。エスパシオ・ボルサとは一体何ですか?」

驚いた。
シオンが知らない魔法が有ったとは。
「知らないのか? 練度と魔素量に応じて別空間を作り出し、任意で物の出し入れを可能になる魔法だよ」
「そのような便利な魔法が有るのですなぁ」
説明を聞き、自らのエスパシオ・ボルサから”魔法を覚えさせる魔法陣”が書いてある紙を出して所定の場所にエスパシオ・ボルサと記入しシオンの手の平に乗せた。

「シオン、その紙に魔素を送ってくれ」
「はっ」
すると魔法陣が発動しシオンの脳裏へと魔法が刷り込まれた。
「おおおっこれはっ」
驚いたシオンはポケットに入っていた物を”入れたり出したりして”確認していた。
「陛下、我にこの様な便利な魔法を下賜して頂くとは」
「良い。では行こうか」
話しの途中でさえぎり、買い物に出る一行。
エルヴィーノはエスパシオ・ボルサの使い方に注意事項を教えながら買い漁った。

教祖との謁見が終われば、未知の国へと向かう好奇心で一杯だった親衛隊を引き連れてノタルム国へと転移するが、やはり教会関係者が初めて見たから精神的にキツイらしくポヨォが立ち直れないで居た。
明日の昼には転移なのにどうしたモノかと思案をめぐらせるエルヴィーノだった。






ノタルム国は荷物を背中に背負って移動するのか? 
体格が違っても辛いだろう。
随分と楽になるシオンだ。
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