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第6章 棘城編2
第151話 ネル殿の隊員発掘の旅
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「まぁ、急いではおらん。候補者が決まれば連絡するか次回来た時でも教えて欲しい」
ネル殿はそう言ったが種族長達は気が気では無かった。
何故なら国中を回って候補者を探していると先代獣王からの告知だからだ。
昔は”飛ぶ者と這う者”などと言って自分達の方が崇高だと考えていたが最近は違っていた。
特に棘の森の件である。
アベス族からも賞金目当てで力の有る者が大勢出向いたが誰1人帰っては来なかったのだ。
そこに見知らぬ”人族”がやって来て巨大な龍を召喚したと言う。
その巨大な龍が棘の森を消滅させ、あっという間に城と街を作ったと聞いている。
一部の族長達は現地に行って、その素晴らしい街や城に圧倒されたのだ。
それに宙を浮く乗り物まで存在して街中を回り獣人達を乗せて運んでいる姿を見て、アベス族としては新しい獣王に近づき加護を得たいと考え、要望の有った城壁の警護に沢山の種族を送り込んでいた。
そんな中でアベス族からも龍に乗る者を排出したいと思うのは致し方ない事だ。
「ところでモンドラゴン様。今夜はどちらでお泊りでしょうか?」
「今日はお前達に会うのが一番重要な事だったので特に考えてはおらん」
事実、獣王国は雨が余り振らないので昼夜の温度差はあるが野宿も一般的だ。
街道は昔と違って強力な魔物もほとんど出ない。
魔物の生息している地域に近づかなければ危険は無いのだ。
「それでしたら、どうぞこの街にお泊り下さい」
「しかしプテオサウラ達が居るからな」
「龍達は餌を与え、外でも構わないのではないですか?」
1人の族長の言葉に激昂するネル殿。
バッと立ち上がり吠えた。
「愚か者め! 彼らは我が友。何より我らの言葉を理解して会話が出来るのだぞ。少なくとも我らよりは格上の種族だと知れ! そのような態度では先ほどの話しも無かったことにする」
激昂するネル殿に平謝りするアベス族達。
「「「もっ、申し訳ありません」」」
「無知な我らをお許しくださいモンドラゴン様」
黙って考えるネル殿だ。
「先ほどは我がお前達にお願いして、これからこの国の未来を作ると言ったお前達がそれでは困るではないか。我とお前達の付き合いも長いから良いが、黒龍王がこの事を聞いたら何と言うかのぉ」
「ヒィ! それだけはどうかご容赦ください」
族長全員では無いが、魅力に取りつかれた者は慌てふためいて懇願してきた。
「ではプテオサウラ達にも屋根の有る寝床を用意してくれ。それと食べる物は肉だが隊員達に詳しく聞いて欲しい」
「「「ハハァ」」」
半分の族長が部屋を出て食事の準備に宿とプテオサウラ達の対応に追われる。
もう直ぐ夕暮れだが今日はここで泊まることにしたネル殿は、後で族長たちのお願いに困ってしまうのだった。
プテオサウラ達の寝床は、急な事も有り大きな倉庫に藁を敷いて対応した。
アギラ族の族長とプテオサウラ達の居る所へ戻って来ると、沢山の若いアベス族でごった返していた。
「コラ! お前達、ちょっと離れなさい」
騒ぎの中心にはプテオサウラ達と龍騎士隊を取り囲む様に話していた。
先代獣王で龍騎士隊隊長とこの街の長でありアギラ族の族長が騒ぎの中心に歩いて行く。
「フィド、紹介しよう。彼はアベス族の中でも一番勇猛なアギラ族の族長だ」
グルルッ
「宜しくと言っているぞ。族長、彼はプテオサウラのリーダーでフィドし言う」
「初めまして。ご紹介いただいたアギラ族の族長です。本日は急な来訪でフィド様達の宿は簡素な物となりますが、次回来られる時まではご要望に沿った寝床を作りますので宜しくお願いします」
族長の丁寧な挨拶を見て若いアベス族が神妙に見ていた。
「また、お食事に付きましても出来るだけご要望の物をお出ししますので、言い付けてください」
言葉の通わぬプテオサウラに対する接し方を見て困惑する者と、言葉を理解していると副隊長カニーチェから聞いていた者達は感心していた。
そして、宴の為に各自が解散して用意する事となったアベス族。
どっしりと大地に座るネル殿が聞いてきた。
「みんなアベス族と話してどうだった?」
副隊長カニーチェが答えた。
「プテオサウラに興味津々と言った所ですかね。いろんな質問をされましたよ」
(若い者たちばかりだったからな、初めて見る我らに興味が有るのだろう)
フィドも答えてくれた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
アギラ族の族長がアベントゥラを呼び出していた。
「息子よ、龍を見てどう思ったか?」
「はい、初めて聞きましたが我らの言葉を理解すると言われましたので驚きました」
「ふむ。私もそうだ。だからあのように接したのだ」
「やはりそうでしたか」
「で、どう思う?」
「どうとは?」
「アレに乗りたいか? と言う事だ」
「まさか、我らを乗せてくれる訳が有りません」
「何故そう思う」
「我らは飛べるのですよ」
「フム。お前は今来ている先代獣王程度かもな」
「何がですか!?」
「今回の訪問は国中を回って龍騎士隊候補者を探しているらしい」
「本当ですか!」
「あの黒龍王様の”指示だろう”一体何をお考えなのやら」
族長も勝手に黒竜王の考えだと妄想しアベントゥラも妄想していた。
それは自らがプテオサウラに騎乗し大空を駆け巡っている姿だ。
「アベントゥラよ、今すぐお前に頼みたい事が有る」
「はい、何でしょう」
「ストラシオ族で若手一番の弓使いと、アベス族で五指に入る綺麗処を連れて来てくれ。大至急だ」
「オヤジ、一体何をしたいのか説明したてくれ」
仕方なく簡単に答える族長。
「募集は遠距離攻撃に長けている者を優先しているそうだ」
「チッ」アベントゥラが悔しがる。
「綺麗処はモンドラゴン様に見せるのだ」
「まさかオヤジ」
「まぁ聞け。今、全ての部族や種族の族長達が一番欲しい物を知っているか?」
首を捻るアベントゥラ。
「金? 魔石か?」
「愚か者め。黒龍王の子種だ」
「おぉぉ!」
「理解したか。既にご懐妊の噂が出ているからな。これで黒龍王の力を我らの一族に混ぜる事が出来ると思っているのは我らの種族だけでは無いと言う事だ」
「だったら妹に」
「馬鹿者。若すぎるだろ。我ら一族で無くともアベス族としてでも構わん。何としてでも子種をもらうのだ」
「しかしよう、噂に聞くと人族だろ?」
「だからお前はまだまだ子供なのだ。黒龍王の本当の名前を知っているか?」
「えぇっと、エル・・・何だっけ」
「愚か者め、では聖魔法王国アルモニアの国王の名を知っているか?」
「よその国の王様の名前なんか知る訳ないだろ!」
「ハァ・・・」
頭を抱えて落ち込む父親の族長。
「あの方の名は、エルヴィーノ・デ・モンドリアン様だ。広大な国土を統べるバリアンテの黒龍王にして、聖魔法王国アルモニアの国王でも在らせられる。歴史の中では、この二大国家で争った事も有るが、両国を統べた者は未だかつて居ないのだぞ! それも何の争いも無くだ。これがどれだけ凄い事かお前には解らんのか!」
言われる事は理解するがピンと来ない息子に激昂する。
「えぇい、お前は言われた通りに準備しろ!」
宴会までの時間は少なく、それぞれの族長がアギラ族の族長と同じ考えで動いていた。
種族は違うがこちらの言葉を理解する龍族も同席出来る宴会場を仕立てあげ料理が作られて行く。
集まった族長達は、アベス族の威信を掛けて仲間から(出来れば自分の種族から) 龍騎士隊候補者を出したいと望む一方で、要望に応える為飛べない鳥ストラシオ族の者も呼び寄せた。
そして、これも全員が取った行動だが一族の綺麗処を集めていたので歓迎会場の裏手は異様な雰囲気になっていた。
宴会場として用意されたのは大きな倉庫のような建物だ。
三分の一はプテオサウラの食事場所で残りはアベス族と龍騎士隊の懇親を計る為の場所だ。
そして全体で食事を出来るようにしてある。
集まった一同は龍騎士隊隊長のネル殿の周りには族長などで、プテオサウラの近くに副隊長のカニーチェと隊員2人にアベス族の若手達だ。
カニーチェからプテオサウラの主食は生肉だが、串焼きのタレを使った焼肉も大好物だと教えて有り、プテオサウラ四体の前には大量の焼肉が香ばしい匂いを出していた。
(腹が減った!)
(早く食べさせろ)
目の前に御馳走を並べられ御預けされているプテオサウラ達がわめいている。
「族長達よ、肩ぐるしい挨拶は不要だ。皆好きに食べても良いか?」
そのように聞かれてダメとは言えず許可を出した。
「皆の者よ、今宵は好きなだけ喰って酔うが良い!」
ネル殿がそのように吠えるとフィド達は一斉に食べだした。
食事をしながら会話も弾み一息した所でアギラ族の族長が龍騎士隊隊長に話しかけた。
「モンドラゴン様、実は裏でアベス族の龍騎士隊候補を待機させて有りますが、一度会って頂けますか?」
ほろ酔い気分のネル殿は”ウム”と言って候補者を品定めする。
一通り聞いているが余り理解していない。
そして最後の候補者の説明になる。
「こちらがアベス族で一番の弓の使い手ストラシオ族の者でございます」
「ストラシオ族のボエロです」
飛べないアベス族のストラシオ族で大柄のボエロと言う男だった。
「ポエロよ、お前の弓の腕前を見せてくれ」
そう言ったネル殿の要望に応えるべく準備するボエロ。
的を置き、弓を構え撃つと難なく当たる。
試しに他のアベス族に撃たせてみると当たらなかった。
そこでカニーチェを呼び的を撃つように命じると、多少酔ってはいたが無事に当ててネル殿の威信を保ってくれた。
あとがき
何気にエルヴィーノの事を良く知っている族長達。
ネル殿はそう言ったが種族長達は気が気では無かった。
何故なら国中を回って候補者を探していると先代獣王からの告知だからだ。
昔は”飛ぶ者と這う者”などと言って自分達の方が崇高だと考えていたが最近は違っていた。
特に棘の森の件である。
アベス族からも賞金目当てで力の有る者が大勢出向いたが誰1人帰っては来なかったのだ。
そこに見知らぬ”人族”がやって来て巨大な龍を召喚したと言う。
その巨大な龍が棘の森を消滅させ、あっという間に城と街を作ったと聞いている。
一部の族長達は現地に行って、その素晴らしい街や城に圧倒されたのだ。
それに宙を浮く乗り物まで存在して街中を回り獣人達を乗せて運んでいる姿を見て、アベス族としては新しい獣王に近づき加護を得たいと考え、要望の有った城壁の警護に沢山の種族を送り込んでいた。
そんな中でアベス族からも龍に乗る者を排出したいと思うのは致し方ない事だ。
「ところでモンドラゴン様。今夜はどちらでお泊りでしょうか?」
「今日はお前達に会うのが一番重要な事だったので特に考えてはおらん」
事実、獣王国は雨が余り振らないので昼夜の温度差はあるが野宿も一般的だ。
街道は昔と違って強力な魔物もほとんど出ない。
魔物の生息している地域に近づかなければ危険は無いのだ。
「それでしたら、どうぞこの街にお泊り下さい」
「しかしプテオサウラ達が居るからな」
「龍達は餌を与え、外でも構わないのではないですか?」
1人の族長の言葉に激昂するネル殿。
バッと立ち上がり吠えた。
「愚か者め! 彼らは我が友。何より我らの言葉を理解して会話が出来るのだぞ。少なくとも我らよりは格上の種族だと知れ! そのような態度では先ほどの話しも無かったことにする」
激昂するネル殿に平謝りするアベス族達。
「「「もっ、申し訳ありません」」」
「無知な我らをお許しくださいモンドラゴン様」
黙って考えるネル殿だ。
「先ほどは我がお前達にお願いして、これからこの国の未来を作ると言ったお前達がそれでは困るではないか。我とお前達の付き合いも長いから良いが、黒龍王がこの事を聞いたら何と言うかのぉ」
「ヒィ! それだけはどうかご容赦ください」
族長全員では無いが、魅力に取りつかれた者は慌てふためいて懇願してきた。
「ではプテオサウラ達にも屋根の有る寝床を用意してくれ。それと食べる物は肉だが隊員達に詳しく聞いて欲しい」
「「「ハハァ」」」
半分の族長が部屋を出て食事の準備に宿とプテオサウラ達の対応に追われる。
もう直ぐ夕暮れだが今日はここで泊まることにしたネル殿は、後で族長たちのお願いに困ってしまうのだった。
プテオサウラ達の寝床は、急な事も有り大きな倉庫に藁を敷いて対応した。
アギラ族の族長とプテオサウラ達の居る所へ戻って来ると、沢山の若いアベス族でごった返していた。
「コラ! お前達、ちょっと離れなさい」
騒ぎの中心にはプテオサウラ達と龍騎士隊を取り囲む様に話していた。
先代獣王で龍騎士隊隊長とこの街の長でありアギラ族の族長が騒ぎの中心に歩いて行く。
「フィド、紹介しよう。彼はアベス族の中でも一番勇猛なアギラ族の族長だ」
グルルッ
「宜しくと言っているぞ。族長、彼はプテオサウラのリーダーでフィドし言う」
「初めまして。ご紹介いただいたアギラ族の族長です。本日は急な来訪でフィド様達の宿は簡素な物となりますが、次回来られる時まではご要望に沿った寝床を作りますので宜しくお願いします」
族長の丁寧な挨拶を見て若いアベス族が神妙に見ていた。
「また、お食事に付きましても出来るだけご要望の物をお出ししますので、言い付けてください」
言葉の通わぬプテオサウラに対する接し方を見て困惑する者と、言葉を理解していると副隊長カニーチェから聞いていた者達は感心していた。
そして、宴の為に各自が解散して用意する事となったアベス族。
どっしりと大地に座るネル殿が聞いてきた。
「みんなアベス族と話してどうだった?」
副隊長カニーチェが答えた。
「プテオサウラに興味津々と言った所ですかね。いろんな質問をされましたよ」
(若い者たちばかりだったからな、初めて見る我らに興味が有るのだろう)
フィドも答えてくれた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
アギラ族の族長がアベントゥラを呼び出していた。
「息子よ、龍を見てどう思ったか?」
「はい、初めて聞きましたが我らの言葉を理解すると言われましたので驚きました」
「ふむ。私もそうだ。だからあのように接したのだ」
「やはりそうでしたか」
「で、どう思う?」
「どうとは?」
「アレに乗りたいか? と言う事だ」
「まさか、我らを乗せてくれる訳が有りません」
「何故そう思う」
「我らは飛べるのですよ」
「フム。お前は今来ている先代獣王程度かもな」
「何がですか!?」
「今回の訪問は国中を回って龍騎士隊候補者を探しているらしい」
「本当ですか!」
「あの黒龍王様の”指示だろう”一体何をお考えなのやら」
族長も勝手に黒竜王の考えだと妄想しアベントゥラも妄想していた。
それは自らがプテオサウラに騎乗し大空を駆け巡っている姿だ。
「アベントゥラよ、今すぐお前に頼みたい事が有る」
「はい、何でしょう」
「ストラシオ族で若手一番の弓使いと、アベス族で五指に入る綺麗処を連れて来てくれ。大至急だ」
「オヤジ、一体何をしたいのか説明したてくれ」
仕方なく簡単に答える族長。
「募集は遠距離攻撃に長けている者を優先しているそうだ」
「チッ」アベントゥラが悔しがる。
「綺麗処はモンドラゴン様に見せるのだ」
「まさかオヤジ」
「まぁ聞け。今、全ての部族や種族の族長達が一番欲しい物を知っているか?」
首を捻るアベントゥラ。
「金? 魔石か?」
「愚か者め。黒龍王の子種だ」
「おぉぉ!」
「理解したか。既にご懐妊の噂が出ているからな。これで黒龍王の力を我らの一族に混ぜる事が出来ると思っているのは我らの種族だけでは無いと言う事だ」
「だったら妹に」
「馬鹿者。若すぎるだろ。我ら一族で無くともアベス族としてでも構わん。何としてでも子種をもらうのだ」
「しかしよう、噂に聞くと人族だろ?」
「だからお前はまだまだ子供なのだ。黒龍王の本当の名前を知っているか?」
「えぇっと、エル・・・何だっけ」
「愚か者め、では聖魔法王国アルモニアの国王の名を知っているか?」
「よその国の王様の名前なんか知る訳ないだろ!」
「ハァ・・・」
頭を抱えて落ち込む父親の族長。
「あの方の名は、エルヴィーノ・デ・モンドリアン様だ。広大な国土を統べるバリアンテの黒龍王にして、聖魔法王国アルモニアの国王でも在らせられる。歴史の中では、この二大国家で争った事も有るが、両国を統べた者は未だかつて居ないのだぞ! それも何の争いも無くだ。これがどれだけ凄い事かお前には解らんのか!」
言われる事は理解するがピンと来ない息子に激昂する。
「えぇい、お前は言われた通りに準備しろ!」
宴会までの時間は少なく、それぞれの族長がアギラ族の族長と同じ考えで動いていた。
種族は違うがこちらの言葉を理解する龍族も同席出来る宴会場を仕立てあげ料理が作られて行く。
集まった族長達は、アベス族の威信を掛けて仲間から(出来れば自分の種族から) 龍騎士隊候補者を出したいと望む一方で、要望に応える為飛べない鳥ストラシオ族の者も呼び寄せた。
そして、これも全員が取った行動だが一族の綺麗処を集めていたので歓迎会場の裏手は異様な雰囲気になっていた。
宴会場として用意されたのは大きな倉庫のような建物だ。
三分の一はプテオサウラの食事場所で残りはアベス族と龍騎士隊の懇親を計る為の場所だ。
そして全体で食事を出来るようにしてある。
集まった一同は龍騎士隊隊長のネル殿の周りには族長などで、プテオサウラの近くに副隊長のカニーチェと隊員2人にアベス族の若手達だ。
カニーチェからプテオサウラの主食は生肉だが、串焼きのタレを使った焼肉も大好物だと教えて有り、プテオサウラ四体の前には大量の焼肉が香ばしい匂いを出していた。
(腹が減った!)
(早く食べさせろ)
目の前に御馳走を並べられ御預けされているプテオサウラ達がわめいている。
「族長達よ、肩ぐるしい挨拶は不要だ。皆好きに食べても良いか?」
そのように聞かれてダメとは言えず許可を出した。
「皆の者よ、今宵は好きなだけ喰って酔うが良い!」
ネル殿がそのように吠えるとフィド達は一斉に食べだした。
食事をしながら会話も弾み一息した所でアギラ族の族長が龍騎士隊隊長に話しかけた。
「モンドラゴン様、実は裏でアベス族の龍騎士隊候補を待機させて有りますが、一度会って頂けますか?」
ほろ酔い気分のネル殿は”ウム”と言って候補者を品定めする。
一通り聞いているが余り理解していない。
そして最後の候補者の説明になる。
「こちらがアベス族で一番の弓の使い手ストラシオ族の者でございます」
「ストラシオ族のボエロです」
飛べないアベス族のストラシオ族で大柄のボエロと言う男だった。
「ポエロよ、お前の弓の腕前を見せてくれ」
そう言ったネル殿の要望に応えるべく準備するボエロ。
的を置き、弓を構え撃つと難なく当たる。
試しに他のアベス族に撃たせてみると当たらなかった。
そこでカニーチェを呼び的を撃つように命じると、多少酔ってはいたが無事に当ててネル殿の威信を保ってくれた。
あとがき
何気にエルヴィーノの事を良く知っている族長達。
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