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第3章 獣王国編
第83話 お引っ越し
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エルヴィーノはフィドキアに連れられて監視室に転移していた。
「お疲れ様でしたモンドリアン」
優しく答えてくれたのはラソンだった。
「結局棘王はどうなるの?」
エルヴィーノは心配になって聞いてみた。
「邪悪な外皮が破れて元の核に戻るために土に埋めたのよ。あなた達の栄養を与えたでしょ? 暫らくすると生まれるわ。新たなオルギデア・ロサ・ティロとしてね」
「なるほど、まるで植物だね」
「それは我が創造主の能力の1つだ」
「へぇ~便利だなぁ。もしかして死なないのか?」
「我らと死は無縁だ」
「マジで?!」
頷くラソン。
「流石は龍人だな、じゃ俺行くよ」
「近いうちに連絡する」
「あぁ」
手を振って立ち去った。
向った先はロリの場所でマルソを呼んでもらった。
一族の移転先がどうなったのか知りたかったからだ。
「おぉ婿殿、無事に戻ったか。で、首尾は?」
「あぁ倒したよ」
「流石は婿殿だ」
「それで一族の移転先はどうなりましたか?」
「フム、既に改築も終わり、ロザリーが荷物を運ぶと言っていたぞ」
「そうですか、ありがとうございます。じゃチョット行って来る」
そう言って皆が見る中、ロリの頬に優しくキスして「行ってらっしゃいアナタ」などと言われ逃げるように転移した。
今朝からイロイロあったがロリとロザリーに合うのが後ろめたい・・・だが行かないと。
転移して公爵家に着くと、皆慌ただしそうにしていた。
ロザリーはおらずメイドの1人に聞いてみた。
「エルヴィーノ様の一族が引っ越しなさるそうで、お手伝いに向われています」
(なるほど、では俺も行ってみよう)
実家に転移するとロザリーとナタリーが荷物の整理を手伝っていた。
エルヴィーノはアロンソの事が気になりデイビットに聞くと、まだ屋根裏で隠れているらしい。
確かにあの2人が居ると面倒だ。
そう思って考えていた事を2人に話すべく対自した。
「ロザリー、ナタリー少し話しがあるから来てくれる?」
「お帰りなさいエルヴィーノ、直ぐに行くわ」
2人を連れて家の外に出た。
家全体が見えるように離れてからエルヴィーノは秘策を思い出していた。
それは、別荘計画だ。
このダークエルフが住んでいる家と土地をロザリーか自分、もしくはエアハルトの物として譲ってもらう。
そこに伯爵家と王家に協力してもらってエルヴィーノの家族専用の家と言うか別荘を作ってもらう。
直系の家族が過ごす場所。
あぁそんな夢のような生活が出来るのかなぁ・・・絶対にロザリーは乗って来るはずだ。
となると嫁達とリーゼロッテで親父に懇願してもらおう。
多少は譲歩してくれるはずだ。
「ロザリーこの家には誰も居なくなるよね」
「えぇそうね」
「ところでここは本来、誰の持ち物なの?」
「それは・・・王の物だと思うわ」
「じゃぁさロザリーが交渉してくれないかな?」
「何を?」
「この場所を俺かエアハルトの所有にして欲しいと」
「何故なの? 一族の新しい家が出来るでしょ?」
「そんなの簡単だよ。これから移る場所はダークエルフ”一族”の仮住まいとしての家で、ここには俺の血族だけの家を作りたいと思ってさ。ロリの子も産まれるしエアハルトも大人になれば1人の時間も欲しいだろう? 俺の物でも良いけど、いずれエアハルトに与える事になるなら初めからそうした方が良いと思ってね」
「素晴らしいわ、アナタ! 素敵よ、その考え!」
「それでね、王との交渉と新しい家の設計とお金を・・・何とかして!」
ロザリーはニコニコと微笑んで対価を要求してきた。
「私にそこまでさせるのですから、どれほどの御返しが必要か解っているわよね・・・」
淫獣の目で睨んでくるロザリーをたじろぎながら答えた。
「も、勿論だよ・・・」
あぁ軽はずみで答えてしまった。
「だから引っ越しは俺が手伝うから、2人は帰って計画を練って欲しいんだ。勿論俺も設計には参加したいからね」
「分かったわ。ではお義母様達に挨拶をして帰ります」
ロザリー達はリーゼロッテにエルヴィーノと交代する事を告げて帰って行った。
「で、どこまで進んでいるの?」
エルヴィーノは皆に聞いた。
「もう終わっていたけどロザリーさんが居たからアロンソの荷物を出せなかったのよ」
「じゃ丁度良い時に俺が来たんだな」
「えぇ助かったわ」
エルヴィーノは二階の隠し部屋に行く。
「アロンソ! 」
「とうさん」
「さぁ引越しするぞ」
エルヴィーノはまだ改装後の家を見ていなかったから荷物よりも先にデイビットと転移した先は、クラベルの入口だった。
家まで歩いて行きロザリーから預かった鍵で扉を開けて中に入り魔法陣の部屋を確認してからエルヴィーノだけが転移して戻る。
荷物を転移で運ぶ事5回、全て運びだし、細かな物を最後にエルヴィーノがリーゼロッテと、オリビア、アロンソを連れて行くだけだ。
三人が家の中を寂しい目で見ている。
「母さん」
「えぇ・・・行きましょうか」
数百年隠れ住んだ家とお別れの時だった。
そして仮住まいの新居へ転移した家族。
「母さん、親父とロザリーには移った事を連絡して下さい」
「分かったわ」
「俺は教会に挨拶して、晩飯のお願いを宿屋にしてくるから」
そう言って家を出て向かったのは教会だ。
新しく司祭になったプルガルに簡単な挨拶をして家族と一緒に後日改めて伺うと伝え宿屋に向う。
元気そうな宿屋夫婦に今夜の食事を五人前頼み暗くなったら来る事を伝えた。
そのまま帰ろうと思ったが町長の所にも顔を出した。
司祭と同じく後日家族と来る事を伝え戻る。
帰ると大きな荷物は片付けてあり後は細かな荷物の整理だけだった。
事前にロザリーが買った家具が設置してあったから入れるだけの作業だ。
「皆の部屋は確認したかな?」
それぞれの返事が聞こえる中、改めて部屋の確認をした。
一階は玄関から右が転移室で左がリビングダイニング、キッチン、男女別の便所、応接室に風呂と客室だ。
玄関にある階段を昇ると二階にはリーゼロッテの部屋(広め)デイビットとオリビア夫妻の部屋(広め)俺の部屋と研究室(広め)それに男女別の便所。
そして三階だ。
アロンソの部屋(庭側で広め)客室(エアハルトや俺の子が遊びに来た時の為の部屋)が二つと男女別の便所に物置だ。
実はアロンソとエアハルトは数年前に合わせてある。
まだ子供だったが”お父さんと男同士三人だけの秘密”として誰にも話さない秘密の約束をしてある。
もしもの事が有れば身を挺して兄弟を守れと諭した。
2人には愚かなエルフの物語を話してある。
「アロンソは僕が守る」とエアハルトが言えば
「兄さんが呼べば俺はいつでも力になる」とアロンソが答える。
(あぁ、俺は幸せだ・・・)
2人を見て思っていたのがこの前の出来事だ。
そんなエルヴィーノの充実した幸福も、しばらくしてあのシュラバが再度訪れるとは夢にも思わなかった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
決戦後数日して棘王の種が眠る地中から急速に芽が出て、大輪の真っ赤な花を咲かす。
それは、5mは有ろう極大の一輪の薔薇だ。
数日後花は枯れ、つと粒の巨大な種が出来、その種にヒビが入り中から出てくる者が現れた。
その瞬間に転移して膝まずくフィドキアが居た。
「父上、長き眠りよりお目覚め、このフィドキアどれほど待ち望んだことでしょう」
「あぁフィドキアお前には苦労掛けたねぇ」
「勿体ないお言葉、このフィドキア父上の為であれば如何なる苦労も厭いません」
「ありがとう我が子よ、それより我を長き眠りより解き放った者は何処に居る?」
「ハッその者は我らが眷族に連なる者で、名をエルヴィーノ・デ・モンドリアンと申します」
「そうか一度会って話したいなぁ」
「ハッ、手配致しますが、その前に我らの神にお会いされた方が宜しいかと存じます」
「何! 我らの神が戻られたのか?」
「ハイ」
「分かったまずは我が神の御元に参ろう」
「ハハッ」
そして2人は特別な魔法陣で転移した。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
獣王国から遥か南西の海域の島にある妖精の国。
それは世界に点在する特別な力を持つ妖精が納める土地の1つで、その妖精の支配者を華王と呼んだ。
この土地の聖妖輪廻華王ヴィオレタ・ルルディ(女型)は昨今の異常に敏感に反応していた。
「棘王が消滅したのは本当か! 誰が倒してその後どうなっているのか至急調べよ!」
ヴィオレタ・ルルディの納める妖精の国はテンヤワンヤだった。
代々棘王を見守る役目を担っていたにも関わらず、知らないうちに倒され解放されたようだからだ。
華王の沽券に係わる事なので最優先で調べさせていた。
あとがき
出ました神です。
華王=妖精王
「お疲れ様でしたモンドリアン」
優しく答えてくれたのはラソンだった。
「結局棘王はどうなるの?」
エルヴィーノは心配になって聞いてみた。
「邪悪な外皮が破れて元の核に戻るために土に埋めたのよ。あなた達の栄養を与えたでしょ? 暫らくすると生まれるわ。新たなオルギデア・ロサ・ティロとしてね」
「なるほど、まるで植物だね」
「それは我が創造主の能力の1つだ」
「へぇ~便利だなぁ。もしかして死なないのか?」
「我らと死は無縁だ」
「マジで?!」
頷くラソン。
「流石は龍人だな、じゃ俺行くよ」
「近いうちに連絡する」
「あぁ」
手を振って立ち去った。
向った先はロリの場所でマルソを呼んでもらった。
一族の移転先がどうなったのか知りたかったからだ。
「おぉ婿殿、無事に戻ったか。で、首尾は?」
「あぁ倒したよ」
「流石は婿殿だ」
「それで一族の移転先はどうなりましたか?」
「フム、既に改築も終わり、ロザリーが荷物を運ぶと言っていたぞ」
「そうですか、ありがとうございます。じゃチョット行って来る」
そう言って皆が見る中、ロリの頬に優しくキスして「行ってらっしゃいアナタ」などと言われ逃げるように転移した。
今朝からイロイロあったがロリとロザリーに合うのが後ろめたい・・・だが行かないと。
転移して公爵家に着くと、皆慌ただしそうにしていた。
ロザリーはおらずメイドの1人に聞いてみた。
「エルヴィーノ様の一族が引っ越しなさるそうで、お手伝いに向われています」
(なるほど、では俺も行ってみよう)
実家に転移するとロザリーとナタリーが荷物の整理を手伝っていた。
エルヴィーノはアロンソの事が気になりデイビットに聞くと、まだ屋根裏で隠れているらしい。
確かにあの2人が居ると面倒だ。
そう思って考えていた事を2人に話すべく対自した。
「ロザリー、ナタリー少し話しがあるから来てくれる?」
「お帰りなさいエルヴィーノ、直ぐに行くわ」
2人を連れて家の外に出た。
家全体が見えるように離れてからエルヴィーノは秘策を思い出していた。
それは、別荘計画だ。
このダークエルフが住んでいる家と土地をロザリーか自分、もしくはエアハルトの物として譲ってもらう。
そこに伯爵家と王家に協力してもらってエルヴィーノの家族専用の家と言うか別荘を作ってもらう。
直系の家族が過ごす場所。
あぁそんな夢のような生活が出来るのかなぁ・・・絶対にロザリーは乗って来るはずだ。
となると嫁達とリーゼロッテで親父に懇願してもらおう。
多少は譲歩してくれるはずだ。
「ロザリーこの家には誰も居なくなるよね」
「えぇそうね」
「ところでここは本来、誰の持ち物なの?」
「それは・・・王の物だと思うわ」
「じゃぁさロザリーが交渉してくれないかな?」
「何を?」
「この場所を俺かエアハルトの所有にして欲しいと」
「何故なの? 一族の新しい家が出来るでしょ?」
「そんなの簡単だよ。これから移る場所はダークエルフ”一族”の仮住まいとしての家で、ここには俺の血族だけの家を作りたいと思ってさ。ロリの子も産まれるしエアハルトも大人になれば1人の時間も欲しいだろう? 俺の物でも良いけど、いずれエアハルトに与える事になるなら初めからそうした方が良いと思ってね」
「素晴らしいわ、アナタ! 素敵よ、その考え!」
「それでね、王との交渉と新しい家の設計とお金を・・・何とかして!」
ロザリーはニコニコと微笑んで対価を要求してきた。
「私にそこまでさせるのですから、どれほどの御返しが必要か解っているわよね・・・」
淫獣の目で睨んでくるロザリーをたじろぎながら答えた。
「も、勿論だよ・・・」
あぁ軽はずみで答えてしまった。
「だから引っ越しは俺が手伝うから、2人は帰って計画を練って欲しいんだ。勿論俺も設計には参加したいからね」
「分かったわ。ではお義母様達に挨拶をして帰ります」
ロザリー達はリーゼロッテにエルヴィーノと交代する事を告げて帰って行った。
「で、どこまで進んでいるの?」
エルヴィーノは皆に聞いた。
「もう終わっていたけどロザリーさんが居たからアロンソの荷物を出せなかったのよ」
「じゃ丁度良い時に俺が来たんだな」
「えぇ助かったわ」
エルヴィーノは二階の隠し部屋に行く。
「アロンソ! 」
「とうさん」
「さぁ引越しするぞ」
エルヴィーノはまだ改装後の家を見ていなかったから荷物よりも先にデイビットと転移した先は、クラベルの入口だった。
家まで歩いて行きロザリーから預かった鍵で扉を開けて中に入り魔法陣の部屋を確認してからエルヴィーノだけが転移して戻る。
荷物を転移で運ぶ事5回、全て運びだし、細かな物を最後にエルヴィーノがリーゼロッテと、オリビア、アロンソを連れて行くだけだ。
三人が家の中を寂しい目で見ている。
「母さん」
「えぇ・・・行きましょうか」
数百年隠れ住んだ家とお別れの時だった。
そして仮住まいの新居へ転移した家族。
「母さん、親父とロザリーには移った事を連絡して下さい」
「分かったわ」
「俺は教会に挨拶して、晩飯のお願いを宿屋にしてくるから」
そう言って家を出て向かったのは教会だ。
新しく司祭になったプルガルに簡単な挨拶をして家族と一緒に後日改めて伺うと伝え宿屋に向う。
元気そうな宿屋夫婦に今夜の食事を五人前頼み暗くなったら来る事を伝えた。
そのまま帰ろうと思ったが町長の所にも顔を出した。
司祭と同じく後日家族と来る事を伝え戻る。
帰ると大きな荷物は片付けてあり後は細かな荷物の整理だけだった。
事前にロザリーが買った家具が設置してあったから入れるだけの作業だ。
「皆の部屋は確認したかな?」
それぞれの返事が聞こえる中、改めて部屋の確認をした。
一階は玄関から右が転移室で左がリビングダイニング、キッチン、男女別の便所、応接室に風呂と客室だ。
玄関にある階段を昇ると二階にはリーゼロッテの部屋(広め)デイビットとオリビア夫妻の部屋(広め)俺の部屋と研究室(広め)それに男女別の便所。
そして三階だ。
アロンソの部屋(庭側で広め)客室(エアハルトや俺の子が遊びに来た時の為の部屋)が二つと男女別の便所に物置だ。
実はアロンソとエアハルトは数年前に合わせてある。
まだ子供だったが”お父さんと男同士三人だけの秘密”として誰にも話さない秘密の約束をしてある。
もしもの事が有れば身を挺して兄弟を守れと諭した。
2人には愚かなエルフの物語を話してある。
「アロンソは僕が守る」とエアハルトが言えば
「兄さんが呼べば俺はいつでも力になる」とアロンソが答える。
(あぁ、俺は幸せだ・・・)
2人を見て思っていたのがこの前の出来事だ。
そんなエルヴィーノの充実した幸福も、しばらくしてあのシュラバが再度訪れるとは夢にも思わなかった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
決戦後数日して棘王の種が眠る地中から急速に芽が出て、大輪の真っ赤な花を咲かす。
それは、5mは有ろう極大の一輪の薔薇だ。
数日後花は枯れ、つと粒の巨大な種が出来、その種にヒビが入り中から出てくる者が現れた。
その瞬間に転移して膝まずくフィドキアが居た。
「父上、長き眠りよりお目覚め、このフィドキアどれほど待ち望んだことでしょう」
「あぁフィドキアお前には苦労掛けたねぇ」
「勿体ないお言葉、このフィドキア父上の為であれば如何なる苦労も厭いません」
「ありがとう我が子よ、それより我を長き眠りより解き放った者は何処に居る?」
「ハッその者は我らが眷族に連なる者で、名をエルヴィーノ・デ・モンドリアンと申します」
「そうか一度会って話したいなぁ」
「ハッ、手配致しますが、その前に我らの神にお会いされた方が宜しいかと存じます」
「何! 我らの神が戻られたのか?」
「ハイ」
「分かったまずは我が神の御元に参ろう」
「ハハッ」
そして2人は特別な魔法陣で転移した。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
獣王国から遥か南西の海域の島にある妖精の国。
それは世界に点在する特別な力を持つ妖精が納める土地の1つで、その妖精の支配者を華王と呼んだ。
この土地の聖妖輪廻華王ヴィオレタ・ルルディ(女型)は昨今の異常に敏感に反応していた。
「棘王が消滅したのは本当か! 誰が倒してその後どうなっているのか至急調べよ!」
ヴィオレタ・ルルディの納める妖精の国はテンヤワンヤだった。
代々棘王を見守る役目を担っていたにも関わらず、知らないうちに倒され解放されたようだからだ。
華王の沽券に係わる事なので最優先で調べさせていた。
あとがき
出ました神です。
華王=妖精王
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