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第2章 聖魔法王国編
第60話 司祭解任と老夫婦の若返り
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マルソは五人の元司祭を集めた。
既に身寄りの無い死を待つだけのジジィとババァは全員20歳のピッチピチになっていた。
ババァ2人は体型補正済で以前とは比べ物にならない魅惑の身体の所持者となっていた。
実験前にマルソが五人と教会で盟約を作った。
実験が成功したので以前の名前と関係性を捨てて、新たに名前を変える事。
これは若返っただけで姿かたちが全く別人に生まれ変わったのだから全員賛成してくれた。
そして、当然だが若返りの魔法は絶対の秘密である。
これも承諾してくれた。
最後にもう一度教会の為に働いて欲しいと頼んだところ・・・意見がばらついた。
承諾した2人。
暫く考えさせて欲しいと言った2人。
1人は違う生き方をしたいと言ってきた。
マルソはしめしめと思った。
「違う生き方だが、席は教会に置いて世界を旅するのはどうだ?」
「えっ?」
「司祭としてでは無くですか?」
「あぁそうだ。と言っても教会の指示で動いてもらうのだがな。どこかの教会でずっと働く訳では無い。世界の情報を集めるのが仕事だ。当然、危険もあるだろう」
説明しながら違う生き方をしたい者を見ると嬉しそうに身を乗り出して聞いている。
「それで、どうだ?」
「やります。やらせてください」
「ウム。その方との細かな打ち合わせは後で良いか?」
「ハイ」
「では、皆聞いて欲しい。五人には新しい人生を送ってもらいたいと考えています。ただし、過去を消し、名前も替えるとなると生活が出来ない。この者とも話した様に違う仕事も教会は用意するぞ。まだ、仕事がどうなるか分からないが五人の管轄はクラベルの教会とする」
「それからクラベルの司教を誰かにお願いしたいのだが」
「・・・私が!」
「おぉ、では貴男にお願いします」
「所でクラベルにはリカルド殿がいらっしゃいますが転任でしょうか?」
「彼は昇進です」
「「「「「おぉ! 」」」」」
「それは良かった。向こうではお世話になっていましたから。ところで我らの新しい名前はどのような名でしょうか?」
「では教会で司祭を務めてもらう貴男はプルガル。そして冒険家になる貴男はインディセ。残りの三人にも名を付けようか」
とその時追加の希望者が現れた。
「私も冒険者になりたいです」
2人女性が居るが、その内の1人だった。
「良かろう。1人よりも2人の方が怪しまれない事もあるだろう。では貴女はアヌラス。残りの2人は男性がメディオ。女性がメニケとします。この2人は特に希望が無ければプルガルの手伝いをして地域の発展に貢献して欲しいです」
「解りました」
「返答は一月後でお願いします。それでは全員でクラベルに向かいますが、必要な物を持って夕方中央協会に集合です」
「「「「「分かりました」」」」」
「さてと、リカルドにはサプライズの演出をするか・・・」
意地悪なマルソだ。
パブロを使い事前に連絡させた。
「夕方に中央教会から五人の使者と先代国王のマルソ様がいらっしゃる」
「えっ、マルソ様が!」
「お前・・・何かやったか?」
思いっきり首を横に振るリカルド。
「王家からの要請で村外れに施設を作る手続きとか手伝いをしたが、ミスはなかったはず・・・」
不安になるリカルド。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
エルヴィーノはロリと相談をしていた。
それはマルソから手紙を読み聞かせた曾祖母エネロ(教祖であり聖女)と、曾祖父フェブレロ(大司教)がエルヴィーノの提案を受け入れたから宜しく頼むと言う物。
「ついては至急お願いしたいのだ。どうも年寄りはせっかちでいかん!」
などと言いながら、自分はクラベルに人員の手配やエルヴィーノの一族の住む施設の改築を検討しに行くと言ってそそくさと居なくなってしまった。
「どっちがせっかちだか・・・」
取り残されたエルヴィーノとロリが話す。
「それでだ、エネロをどうするかだ」
「どうするとは?」
「分かるだろ! プリマベラ(現王妃兼聖女)の胸の件で揉めただろ」
「・・・変な事を言わないでください!」
「お前は若いからそうだけどさ、娘のアヴリルがあんなに若返ってさ~自分の顔はそのままだぜ・・・胸くらい何とかしろって言うよ・・・絶対」
「曾祖母はそのような事は絶対に言いません」
「よし! じゃ賭けようぜ!」
「何を賭けるのよ?」
「エネロが少しでも胸を大きくするかどうかだ。俺は"する"に賭ける。ロリは"しない"だな?」
「勿論です」
「報酬は何? 勝った方が負けた方に・・・ロリはどうして欲しい?」
絶対の信頼があるロリは自信満々で答えた。
「では、旅は止めて王国に留まってください」
(ゲッ! なんて事を言いだすんだ! 変な事を言わなきゃ良かった・・・)
「分かった」
「本当ですか?」
「ロリが妊娠している間は王国とエルフの国の行き来だけにしよう」
「チッ・・・でもちゃんと聞きましたからね」
「じゃ俺のして欲しい事は大人しくして元気な子を産んで欲しい。そして、俺は明日にでも旅に出る」
考える事は逆の事だ。
「そんな! 明日だなんて早すぎます! せめて数日後にしてください」
(ロリは何を警戒しているのだろうか・・・俺の目的は一つだけなのに・・・)
エルヴィーノは勝ったも同然だと思っていた。
まず当事者の心理は若いロリには絶対に解らない。
事前にエマスコ(通信魔道具)でロリがエネロに注意したとしても、唆す事など#容易__たやす#い。
エルヴィーノはアヴリル、プリマベラ、ロリと母娘三代引き連れてエネロの元にやって来た。
全て予測通りだ。
2人は取り戻した若さを自慢したくて体の強調される服を着ている。
ロリは体を締め付けない服だが、霊峰は異様に前面に貼り出ている。
これはロザリーの霊峰を見聞きして同じようにした結果であった。
部分的な重力制御魔法を低魔素で常時発動している魔導具はロリに作った物をレプリカ・マヒア(複製、複写の魔法)で複製しプリマベラにプレゼントした。
国王と王妃は、とても喜んでいたよ。
マルソとアヴリルは病気が治り、若返った事に満足しそれ以上求めなかった。
なぜなら・・・遺伝しているからだ。
霊峰が・・・アヴリルにも霊峰がある。
と言う事は・・・エネロが求め訴えるとエルヴィーノは確信していた。
4人でエネロの部屋に行き、肉体の若返りの説明をする。
エルヴィーノが説明しプリマベラが見せつける。
これも作戦だ。
要約すると、まずスプレモ・デセオ・ドスで体内の異分子を除去する。
次にスプレモ・デセオ・トレスで体内の血管や臓器器官の細胞活性化させる。
最後にスプレモ・デセオ・クアトロで脂肪除去、脂肪移動、シワ取りを行ないます。
椅子に座って聞いているエネロ。
「分かったぞ・・・幾つか質問が有るのじゃが・・・」
「ハイ何でしょうか?」
「少しだけ顔のシワ取りをして欲しいのじゃがのぉ・・・」
「分かりました」
「おぉ本当か?」
「アヴリルさん、プリマベラさんとロリが許可する範囲で行ないます」
「おぉありがたい。お前たちどうじゃ?」
「お母様・・・」「お祖母様・・・」「曾祖母様・・・」
娘達の険しい表情を見て黙り込むエネロが叫ぶ。
「良いではないか少しぐらい!」
「お母様は教会の頂点なのですよ!」
「だから少しだと言ってるじゃろ」
「いけません、お祖母様!」
「ロリは解ってくれるじゃろ?」
「・・・曾祖母様」
ションボリする老婆にしか見えない・・・
「シワ取りはゆっくり考えて頂いて、とりあえずスプレモ・デセオ・ドスとスプレモ・デセオ・トレスで体内を健康体にします」
流石に90歳を超えると時間がかかる。
それでも2つの魔法で40分ほど。
「どうですか気分は?」
立ち上がるエネロ。
「おぉ体が何処も痛く無い! 骨も軋まん。凄いのぉこの魔法は!」
「肉体年齢は50歳ほどになっていると思います。骨や血管、血液もです」
「おぉぉ・・・」
嬉しがるエネロ。
「では脂肪除去と移動。シワ取りですがどうされますか?」
そう聞くと
「顔以外は綺麗にしても良いな?」
エネロが3人に問いただす。
「「「まぁ良いですが・・・」」」
お許しが出た所でエルヴィーノが念の為確認する。
「どこを綺麗にするのですか?」
「そんなもん決まっとる」
「ワシは50の時でも、こやつ等と同じ位の大きさじゃった!」
良しっと、心で叫ぶ!
「分かりやすく教えてください」
と言うと
「胸をあの頃に戻して欲しい」
エルヴィーノはグッと手を握りしめロリを見た。
ワナワナと震えながら
「曾祖母様・・・何て事を!」
「良いではないか、見えないのだから」
「あぁぁぁ」
ガックリするロリだった。
エルヴィーノは浮かれていた。
ロリとの掛けに勝ったからだ。
「では可哀想な教祖様に俺からプレゼントします」
「おぉ何をじゃ」
「皆さんには使っていない魔法です」
「おぉワシだけか!」
「ハイ」
「どんな魔法じゃ」
「スプレモ・デセオ・ウノで、部分的なシミ取りや傷を消す為の皮膚を活性化させる魔法です」
「それは凄い是非頼む」
「ハイ。後・・・脂肪の移動と除去は・・・」
エルヴィーノはプリマベラを見た。
「お祖母様は・・・貴男がして頂戴」
「分かりました。では、ロリ手伝って」
「いいえ私達がやるわ」
アヴリル、プリマベラだ。
「では裸で寝そべってください。少し足を開いて股間が見えない様に布で隠してください」
「準備出来たわ」
まずは、スプレモ・デセオ・クアトロで脂肪除去、脂肪移動、シワ取りを同時に行う。
魔法を唱えると両手が虹色に輝き、素肌を強く抑えるように触って行く。
背面から始め、90 代の肌は余計な脂肪が無く素早く終わる。
次は問題の前面だ。
エルヴィーノは後ろを向き準備を待つ。
そして足首から脂肪を上へ上へと押し上げて行く。
下半身は痩せ細った感じだ。
(これが若い子ならば細くて良いのだが・・・)
これからが問題の部分だ。
下半身と腹と腰の脂肪を全て胸部に集める。
二の腕もだ。
そして目の前にいる三人を見ながら形成させていく。
元々”大きな”家系なので、弛んだシワが風船を膨らませるように脂肪で膨らんでゆく。
高齢で余り脂肪が無いので首回りも寄せ集めた。
そのついでに首のシワも取ってあげた。
(なんとか形にはなったが・・・・この歳では異様だな)
「ではこのまま次に移ります」
スプレモ・デセオ・ウノを唱える。
両手が先ほどよりは弱く光り、撫でるように触って行く。
すると、くすんだ肌は手の触れている部分から見る見る内に白くなっていった。
そして問題の場所。
魔法処置する前は見るも無残な状態だった胸の先端。
エルヴィーノは迷わず撫でた。
処置が終わり手をどかすと、そこにあったのはロリの持っている物と同じ色をした物だった。
「「エルヴィーノさん」」
アヴリル、プリマベラがハモった。
代表してアヴリルのお願いだった。
「後から私達もお願いします」
「御祖母様! お母様まで!」
「良いじゃないのロリ。貴女はまだ若いから良いけどねぇ」
プンプンのロリがエルヴィーノを睨む。
(ええっ、俺が悪いのか?)
前面が終わり背面もシミなどを取って綺麗になる。
因みに足の付け根は布を被せたまま手を当てた。
首から上と手首から先は元のままで歳相応だ。
「終わりました」
プリマベラが姿見の鏡を持ってきた。
全裸で自分を見るエネロ。
身体が白く美しいとも呼んでも差支えない程に綺麗になった皮膚と、昔は自慢だった胸が復活して満足そうな顔。
教祖の服を着てから両手を握りしめられて言われて一言が重かった・・・
「エルヴィーノさん、ありがとう」
この後アヴリル、プリマベラがロリの監視の元でスプレモ・デセオ・ウノ(部分的なシミ取りや傷を消す為の皮膚の活性化)をおこなった。
2人が姉妹と言っても過言では無い程、肌が綺麗になり、アノ先端も納得のいく色になっていた。
エルヴィーノはちょっと休憩させて欲しいと、ロリに言って休む振りをしてエネロに手紙を送った。
(自分は旅の目的の1つである獣王国に変化の魔法があって、それを手に入れる事を急務にしている。そして、変化の魔法を応用すれば今回何もしなかった顔と手を若返ったように見せる魔導具で常時発動させる事も可能になるので、俺の旅に協力してください)と。
拒まれれば余計に欲しくなるのが女の心理。
これはロザリーを見ていてエルヴィーノが理解した事だ。
その手紙を見た教祖様は早かった。
エルヴィーノの意見と行動に全て賛成し力を貸してくれた。
フェブレロ(大司教)の処理はもっと早かった。
スプレモ・デセオ・ドスと、スプレモ・デセオ・トレス。スプレモ・デセオ・クアトロは脂肪除去だけ。
こちらも90歳過ぎなので余り無駄な脂肪は無い。
15分程度。
あっと言う間に終わりました。
腹の筋肉が見えてご機嫌の様子だった。
結構単純な爺さんだ。
だが、体調は良いらしい。
こればかりは本人でないと解らないから。
フェブレロも両手を握りしめ「ありがとう」と言ってきた。
その日の夕方。
クラベルではリカルドとパブロが先代国王のマルソを今か今かと待っていた。
そして教会の地下に有る転移魔法陣が輝きだした。
あとがき
転機が訪れたリカルド。
既に身寄りの無い死を待つだけのジジィとババァは全員20歳のピッチピチになっていた。
ババァ2人は体型補正済で以前とは比べ物にならない魅惑の身体の所持者となっていた。
実験前にマルソが五人と教会で盟約を作った。
実験が成功したので以前の名前と関係性を捨てて、新たに名前を変える事。
これは若返っただけで姿かたちが全く別人に生まれ変わったのだから全員賛成してくれた。
そして、当然だが若返りの魔法は絶対の秘密である。
これも承諾してくれた。
最後にもう一度教会の為に働いて欲しいと頼んだところ・・・意見がばらついた。
承諾した2人。
暫く考えさせて欲しいと言った2人。
1人は違う生き方をしたいと言ってきた。
マルソはしめしめと思った。
「違う生き方だが、席は教会に置いて世界を旅するのはどうだ?」
「えっ?」
「司祭としてでは無くですか?」
「あぁそうだ。と言っても教会の指示で動いてもらうのだがな。どこかの教会でずっと働く訳では無い。世界の情報を集めるのが仕事だ。当然、危険もあるだろう」
説明しながら違う生き方をしたい者を見ると嬉しそうに身を乗り出して聞いている。
「それで、どうだ?」
「やります。やらせてください」
「ウム。その方との細かな打ち合わせは後で良いか?」
「ハイ」
「では、皆聞いて欲しい。五人には新しい人生を送ってもらいたいと考えています。ただし、過去を消し、名前も替えるとなると生活が出来ない。この者とも話した様に違う仕事も教会は用意するぞ。まだ、仕事がどうなるか分からないが五人の管轄はクラベルの教会とする」
「それからクラベルの司教を誰かにお願いしたいのだが」
「・・・私が!」
「おぉ、では貴男にお願いします」
「所でクラベルにはリカルド殿がいらっしゃいますが転任でしょうか?」
「彼は昇進です」
「「「「「おぉ! 」」」」」
「それは良かった。向こうではお世話になっていましたから。ところで我らの新しい名前はどのような名でしょうか?」
「では教会で司祭を務めてもらう貴男はプルガル。そして冒険家になる貴男はインディセ。残りの三人にも名を付けようか」
とその時追加の希望者が現れた。
「私も冒険者になりたいです」
2人女性が居るが、その内の1人だった。
「良かろう。1人よりも2人の方が怪しまれない事もあるだろう。では貴女はアヌラス。残りの2人は男性がメディオ。女性がメニケとします。この2人は特に希望が無ければプルガルの手伝いをして地域の発展に貢献して欲しいです」
「解りました」
「返答は一月後でお願いします。それでは全員でクラベルに向かいますが、必要な物を持って夕方中央協会に集合です」
「「「「「分かりました」」」」」
「さてと、リカルドにはサプライズの演出をするか・・・」
意地悪なマルソだ。
パブロを使い事前に連絡させた。
「夕方に中央教会から五人の使者と先代国王のマルソ様がいらっしゃる」
「えっ、マルソ様が!」
「お前・・・何かやったか?」
思いっきり首を横に振るリカルド。
「王家からの要請で村外れに施設を作る手続きとか手伝いをしたが、ミスはなかったはず・・・」
不安になるリカルド。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
エルヴィーノはロリと相談をしていた。
それはマルソから手紙を読み聞かせた曾祖母エネロ(教祖であり聖女)と、曾祖父フェブレロ(大司教)がエルヴィーノの提案を受け入れたから宜しく頼むと言う物。
「ついては至急お願いしたいのだ。どうも年寄りはせっかちでいかん!」
などと言いながら、自分はクラベルに人員の手配やエルヴィーノの一族の住む施設の改築を検討しに行くと言ってそそくさと居なくなってしまった。
「どっちがせっかちだか・・・」
取り残されたエルヴィーノとロリが話す。
「それでだ、エネロをどうするかだ」
「どうするとは?」
「分かるだろ! プリマベラ(現王妃兼聖女)の胸の件で揉めただろ」
「・・・変な事を言わないでください!」
「お前は若いからそうだけどさ、娘のアヴリルがあんなに若返ってさ~自分の顔はそのままだぜ・・・胸くらい何とかしろって言うよ・・・絶対」
「曾祖母はそのような事は絶対に言いません」
「よし! じゃ賭けようぜ!」
「何を賭けるのよ?」
「エネロが少しでも胸を大きくするかどうかだ。俺は"する"に賭ける。ロリは"しない"だな?」
「勿論です」
「報酬は何? 勝った方が負けた方に・・・ロリはどうして欲しい?」
絶対の信頼があるロリは自信満々で答えた。
「では、旅は止めて王国に留まってください」
(ゲッ! なんて事を言いだすんだ! 変な事を言わなきゃ良かった・・・)
「分かった」
「本当ですか?」
「ロリが妊娠している間は王国とエルフの国の行き来だけにしよう」
「チッ・・・でもちゃんと聞きましたからね」
「じゃ俺のして欲しい事は大人しくして元気な子を産んで欲しい。そして、俺は明日にでも旅に出る」
考える事は逆の事だ。
「そんな! 明日だなんて早すぎます! せめて数日後にしてください」
(ロリは何を警戒しているのだろうか・・・俺の目的は一つだけなのに・・・)
エルヴィーノは勝ったも同然だと思っていた。
まず当事者の心理は若いロリには絶対に解らない。
事前にエマスコ(通信魔道具)でロリがエネロに注意したとしても、唆す事など#容易__たやす#い。
エルヴィーノはアヴリル、プリマベラ、ロリと母娘三代引き連れてエネロの元にやって来た。
全て予測通りだ。
2人は取り戻した若さを自慢したくて体の強調される服を着ている。
ロリは体を締め付けない服だが、霊峰は異様に前面に貼り出ている。
これはロザリーの霊峰を見聞きして同じようにした結果であった。
部分的な重力制御魔法を低魔素で常時発動している魔導具はロリに作った物をレプリカ・マヒア(複製、複写の魔法)で複製しプリマベラにプレゼントした。
国王と王妃は、とても喜んでいたよ。
マルソとアヴリルは病気が治り、若返った事に満足しそれ以上求めなかった。
なぜなら・・・遺伝しているからだ。
霊峰が・・・アヴリルにも霊峰がある。
と言う事は・・・エネロが求め訴えるとエルヴィーノは確信していた。
4人でエネロの部屋に行き、肉体の若返りの説明をする。
エルヴィーノが説明しプリマベラが見せつける。
これも作戦だ。
要約すると、まずスプレモ・デセオ・ドスで体内の異分子を除去する。
次にスプレモ・デセオ・トレスで体内の血管や臓器器官の細胞活性化させる。
最後にスプレモ・デセオ・クアトロで脂肪除去、脂肪移動、シワ取りを行ないます。
椅子に座って聞いているエネロ。
「分かったぞ・・・幾つか質問が有るのじゃが・・・」
「ハイ何でしょうか?」
「少しだけ顔のシワ取りをして欲しいのじゃがのぉ・・・」
「分かりました」
「おぉ本当か?」
「アヴリルさん、プリマベラさんとロリが許可する範囲で行ないます」
「おぉありがたい。お前たちどうじゃ?」
「お母様・・・」「お祖母様・・・」「曾祖母様・・・」
娘達の険しい表情を見て黙り込むエネロが叫ぶ。
「良いではないか少しぐらい!」
「お母様は教会の頂点なのですよ!」
「だから少しだと言ってるじゃろ」
「いけません、お祖母様!」
「ロリは解ってくれるじゃろ?」
「・・・曾祖母様」
ションボリする老婆にしか見えない・・・
「シワ取りはゆっくり考えて頂いて、とりあえずスプレモ・デセオ・ドスとスプレモ・デセオ・トレスで体内を健康体にします」
流石に90歳を超えると時間がかかる。
それでも2つの魔法で40分ほど。
「どうですか気分は?」
立ち上がるエネロ。
「おぉ体が何処も痛く無い! 骨も軋まん。凄いのぉこの魔法は!」
「肉体年齢は50歳ほどになっていると思います。骨や血管、血液もです」
「おぉぉ・・・」
嬉しがるエネロ。
「では脂肪除去と移動。シワ取りですがどうされますか?」
そう聞くと
「顔以外は綺麗にしても良いな?」
エネロが3人に問いただす。
「「「まぁ良いですが・・・」」」
お許しが出た所でエルヴィーノが念の為確認する。
「どこを綺麗にするのですか?」
「そんなもん決まっとる」
「ワシは50の時でも、こやつ等と同じ位の大きさじゃった!」
良しっと、心で叫ぶ!
「分かりやすく教えてください」
と言うと
「胸をあの頃に戻して欲しい」
エルヴィーノはグッと手を握りしめロリを見た。
ワナワナと震えながら
「曾祖母様・・・何て事を!」
「良いではないか、見えないのだから」
「あぁぁぁ」
ガックリするロリだった。
エルヴィーノは浮かれていた。
ロリとの掛けに勝ったからだ。
「では可哀想な教祖様に俺からプレゼントします」
「おぉ何をじゃ」
「皆さんには使っていない魔法です」
「おぉワシだけか!」
「ハイ」
「どんな魔法じゃ」
「スプレモ・デセオ・ウノで、部分的なシミ取りや傷を消す為の皮膚を活性化させる魔法です」
「それは凄い是非頼む」
「ハイ。後・・・脂肪の移動と除去は・・・」
エルヴィーノはプリマベラを見た。
「お祖母様は・・・貴男がして頂戴」
「分かりました。では、ロリ手伝って」
「いいえ私達がやるわ」
アヴリル、プリマベラだ。
「では裸で寝そべってください。少し足を開いて股間が見えない様に布で隠してください」
「準備出来たわ」
まずは、スプレモ・デセオ・クアトロで脂肪除去、脂肪移動、シワ取りを同時に行う。
魔法を唱えると両手が虹色に輝き、素肌を強く抑えるように触って行く。
背面から始め、90 代の肌は余計な脂肪が無く素早く終わる。
次は問題の前面だ。
エルヴィーノは後ろを向き準備を待つ。
そして足首から脂肪を上へ上へと押し上げて行く。
下半身は痩せ細った感じだ。
(これが若い子ならば細くて良いのだが・・・)
これからが問題の部分だ。
下半身と腹と腰の脂肪を全て胸部に集める。
二の腕もだ。
そして目の前にいる三人を見ながら形成させていく。
元々”大きな”家系なので、弛んだシワが風船を膨らませるように脂肪で膨らんでゆく。
高齢で余り脂肪が無いので首回りも寄せ集めた。
そのついでに首のシワも取ってあげた。
(なんとか形にはなったが・・・・この歳では異様だな)
「ではこのまま次に移ります」
スプレモ・デセオ・ウノを唱える。
両手が先ほどよりは弱く光り、撫でるように触って行く。
すると、くすんだ肌は手の触れている部分から見る見る内に白くなっていった。
そして問題の場所。
魔法処置する前は見るも無残な状態だった胸の先端。
エルヴィーノは迷わず撫でた。
処置が終わり手をどかすと、そこにあったのはロリの持っている物と同じ色をした物だった。
「「エルヴィーノさん」」
アヴリル、プリマベラがハモった。
代表してアヴリルのお願いだった。
「後から私達もお願いします」
「御祖母様! お母様まで!」
「良いじゃないのロリ。貴女はまだ若いから良いけどねぇ」
プンプンのロリがエルヴィーノを睨む。
(ええっ、俺が悪いのか?)
前面が終わり背面もシミなどを取って綺麗になる。
因みに足の付け根は布を被せたまま手を当てた。
首から上と手首から先は元のままで歳相応だ。
「終わりました」
プリマベラが姿見の鏡を持ってきた。
全裸で自分を見るエネロ。
身体が白く美しいとも呼んでも差支えない程に綺麗になった皮膚と、昔は自慢だった胸が復活して満足そうな顔。
教祖の服を着てから両手を握りしめられて言われて一言が重かった・・・
「エルヴィーノさん、ありがとう」
この後アヴリル、プリマベラがロリの監視の元でスプレモ・デセオ・ウノ(部分的なシミ取りや傷を消す為の皮膚の活性化)をおこなった。
2人が姉妹と言っても過言では無い程、肌が綺麗になり、アノ先端も納得のいく色になっていた。
エルヴィーノはちょっと休憩させて欲しいと、ロリに言って休む振りをしてエネロに手紙を送った。
(自分は旅の目的の1つである獣王国に変化の魔法があって、それを手に入れる事を急務にしている。そして、変化の魔法を応用すれば今回何もしなかった顔と手を若返ったように見せる魔導具で常時発動させる事も可能になるので、俺の旅に協力してください)と。
拒まれれば余計に欲しくなるのが女の心理。
これはロザリーを見ていてエルヴィーノが理解した事だ。
その手紙を見た教祖様は早かった。
エルヴィーノの意見と行動に全て賛成し力を貸してくれた。
フェブレロ(大司教)の処理はもっと早かった。
スプレモ・デセオ・ドスと、スプレモ・デセオ・トレス。スプレモ・デセオ・クアトロは脂肪除去だけ。
こちらも90歳過ぎなので余り無駄な脂肪は無い。
15分程度。
あっと言う間に終わりました。
腹の筋肉が見えてご機嫌の様子だった。
結構単純な爺さんだ。
だが、体調は良いらしい。
こればかりは本人でないと解らないから。
フェブレロも両手を握りしめ「ありがとう」と言ってきた。
その日の夕方。
クラベルではリカルドとパブロが先代国王のマルソを今か今かと待っていた。
そして教会の地下に有る転移魔法陣が輝きだした。
あとがき
転機が訪れたリカルド。
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それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
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レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
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