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第2章 聖魔法王国編

第55話 2人の共闘

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約束を果たし2人はエルヴィーノの母親リーゼロッテに会いに行くと言う。

「俺も行こうか?」
一応、気を効かせて2人にたずねる。

「「これは嫁の問題ですから貴男あなたは待っていてください」」

そして2人で転移しリーゼロッテに会う。
ロザリーは、いきなりの訪問はしない。
事前にエマスコ(通信魔道具)で連絡を取り合っている。
前回の続きを居間のソファに腰かけて行う3人だ。

「では、確認しましょうか?」
リーゼロッテが問いかけ、用意してあったエマスコ(通信魔道具)でエルヴィーノに手紙を送った。

「さぁ返信が届くまで時間が有るわ。それで・・・どうだったの? 2人共」
2人は顔を紅葉させて答えた。

「「良かったです・・・」」

思いがけずハモってしまった2人は顔を見合った。

「その様子からすると、うまく行ったのかしら? フフフッ」
そう言うとエマスコ(通信魔道具)の魔法石が点滅し着信を知らせる。
中から手紙を出しエルヴィーノがしたためた手紙を読んで聞かせるリーゼロッテ。

(母さん、昨夜は2人の嫁と仲良く3人で愛し合う事が出来ました。2人の事が心配だったけど、屋敷に戻るとロザリーの部屋からロリの笑い声が聞こえ、打ち解けていた様子だったよ。ただ、やはりライバル心は有るようだけどね。でも助かった。ありがとう母さん)

「エルヴィーノからの手紙には仲良くなった様に書いてありますが・・・・私の前で証明してもらえるかしら?」
「「そんな!」」
「私はね、私の分もエルヴィーノには幸せになって欲しいの。あの子を幸せにするのは私ではなくて当家の嫁です。私の目の前で口づけをしてください。勿論舌を絡ませてね」

ニッコリと微笑むリーゼロッテ。
最後の試練と感じた2人は、恥ずかしいが昨夜実践経験済みだ。

「「ハイ、解かりましたお母様」」

2人は立ち上がり、抱き合い見つめ合って唇を重ねた。
そしてお互いの舌を求め、分泌液を混ぜ合わせるように絡ませた。
しばし見ていたリーゼロッテが「もう良いですわ」と納得し、ゆっくりと離れる唇と舌。
透明な分泌液が糸を引く。

「2人共座ってください。合格ですわ」
「「ありがとうございます、お母様」」
「それで、式はどうするの?」

それぞれの都合があるので、要望と問題点を出し合った。
まず、ロザリーはブリンクス王に認められエアハルトも認められたので既に望みは無い。
と言いながら式は挙げたい。
だが、エルヴィーノはダークエルフで国外追放の身。
自分は国の要職を預かる身なので表立った行動が出来ない事だから既に諦めて、踏ん切りもついている。
だが・・・ロリの事を聞くと羨ましく思い腹立たしくて切なくて泣きたくなる。

そのロリは・・・
「国を挙げての祝賀になります。諸外国からの来賓や、国中から貴族達など様々な者が王都イグレシアに集まると思います。祝いの行事は少なくとも1ヶ月は続くはずです。新しい王と王妃の誕生ですから・・・ですが、当のエルヴィーノは王と大司教の座を要らないと言っているのです。どうしたら良いか・・・」

「解りました。ではまずロザリーさん」
「ハイ」
「貴女を第一夫人とします」

バッと立ち上がり
「本当ですかお母様。ありがとうございます」

その事をロリはある程度想定していた。

「ロリさん」
「ハイ」
「貴女を第二夫人とします」

同じく立ち上がり
「ありがとうございます、お母様」
ロリはこの事に文句は無いようだ。
実際50年の差は埋めようが無い。
過去に囚われず未来を作ろうと考えた。

「それからロザリーさんがロリさんと呼ぶのは良いですが・・・ロリさんは公私共に、お姉様と呼んだ方が良いわね」
「何故ですか?」
「貴女の地位や名声が2人の邪魔をするかも知れません。だから義理の姉妹とした方が、後々都合が良いと思いますよ」

ロリは考えた・・・
ロザリーが礼を言う。
「お母様のご配慮痛み入ります」
(後から教えてください)とロリが小声で問う。

「しょうがないわね・・・貴女は王妃。私はタダのエルフ。貴女の国の人がどう思うかしら?」

ハッと気づくロリ。
いろんな意味を含めて経験豊富なロザリーと、まだまだ子供のロリ。
当事者以外の周りの者が余計な事で騒ぎ立てなくする為に、仲の良い関係を公表する為だ。

「解りました、お母様」
立ち上がりロザリーを見て告げた。
「これからも末永くご一緒させて頂きますので、どうか宜しくお願いします、お姉様」
そう言って90度腰を折った。

「こちらこそ、頼もしい妹が出来て光栄よ。宜しくお願いね」
ロザリーも立ち90度腰を折った。

「あと・・・エルヴィーノの行動ですが10日に2日はやっぱり長いわよね? よく我慢したわ、ロザリーさん」
「ハイ、お母様」
「基本設定をもう少し短い期間に替えるようブリンクス王に進言しましょう」
「ありがとうございますお母様」

涙ぐんで喜ぶロザリーだったが、あまり面白くないロリ。
だが、リーゼロッテの前で悪態をつくのは良くないと思い自粛する。

「では式典ですが・・・エルヴィーノが成人の歳になってから、伯爵家、当家、王国で祝いをしましょう」
「「ハイ」」
「この事はブリンクス王とロリさんの一族に確認を取ってください」
「「判りました、お母様」」

ロリが笑った。
それに気づいたリーゼロッテ。

「どうしたのかしらロリさん」
「すみません、ちょっと面白いなって。私は16歳です。成人しています。でも、エルヴィーノは149歳でまだ成人していません。それが可笑しくて」
「・・・そうね」

リーゼロッテは思った。
(この子はクォーター。どんなに長生きしても200歳位か・・・いずれ襲う悲しみは・・・今はしましょう)

「お母様」
「なぁにロリさん」
「また、訪問しても宜しいでしょうか?」
「勿論よ。いつでも来て頂戴。エマスコ(通信魔道具)で連絡して下さいね」
「解りましたお母様」

しばし会話を楽しみ、帰宅する2人。

「ロリさん」
「なぁに、お姉様」
「「ふふふっ」」
「私は妹など居なかったから貴女にそのように呼ばれると、くすぐったいわ」
「私も妹はいますが、姉はいませんので凄く新鮮です」


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


伯爵家の転移室に戻ってきた2人今後の打ち合わせをする事にした。

「とりあえず2つ相談事が有りますから、私の執務室へ行きましょう」
「ハイ」
「・・・まず、エルヴィーノがここに来た時貴女は何処で泊まるの?」
「一緒ですわ」
「そうね。では、夜以外は?」
「それは・・・お母様の所に!」
「それはダメよ」
「何故ですの?」
「基本的にあの家は管理、監視されているの。だから貴女が1人でウロウロしていると余計な揉め事になるわ」
「ではどうやってお母様に会いに行くの?」
「今日の様に私か他のエルフと数人で訪れるのが望ましいわ」
「そんな! 不便よ」
「勘違いしないで! 不便なのはお母様よ!」

ハッと気づくロリ。
「自分の都合ばかりでは無く相手の事も考えないといけないわ」
ロザリーにさとされ、しょげるロリ。

「だからエルヴィーノは自分たちの国を作ろうとしているのではないかしら」
ガーン! 雷鳴に撃たれたような錯覚を感じたロリ。

「それは聞いたのですか?」
「いいえ、エルヴィーノの行動を熟考したら出てきた答えです」
「それは!」

手で止めるロザリー。
「お母様に確認したわ。そしたらね、お母様もそれが望みだったけど、エルヴィーノには言わなかったらしいの。だけどね、国外追放になったのはエルヴィーノがブリンクス王にお願いしたのよ。新天地を探して旅に出る為に。当時はイロイロあってね・・・」

自分の国よりも一族の国を作ろうとするエルヴィーノの真の理由を知ったロリは涙した。
「お姉様。私達が力を合わせて新しい国を作ろうとするエルヴィーノを助けましょう」
「勿論よ、ロリさん」
ガッシリと握った2人の両手。
ロザリーも貰い泣きをしている。

涙を拭きながら改めて話し出すロザリー。
「話しがそれてしまいましたが、貴方の部屋を作ろうと思っています」
「本当ですか! お姉様」
「えぇ。ですから希望があれば聞いておこうと思ってね」
「エルヴィーノの隣が良いです。お姉様のお部屋仕様で。それで鍵がかかり、魔法陣が有れば」
「・・・魔法陣は難しいわ。屋敷の転移部屋を使ってもいいのよ」
「解りました・・・」

(エルヴィーノにコッソリと転移魔法を教えて貰おう)と考えているロリ。
「あとは、特に無いですわお姉様」

2つ目はロザリーからロリへの依頼だった。

キリッとした表情で告げた。
「ロリさんに依頼します」
「何でしょうか?」
「もう余計な嫁を作らないように貴女に監視して欲しいのです」
「フッそんな事、お姉様に言われなくても解っているわよ」
「いいえ。貴女は解っていませんわ」
「何を解っていないと言うのかしら・・・」
「仕方ないわ。貴女もエルヴィーノの嫁ならば知っておいた方が良いわね」


「貴女、初めてエルヴィーノと唇を重ねた時どうだった?」
「えっ・・・」

ロリには思い当たる事があった。

「良かったわよ・・・」
「何が?」
「なんでそんな事を言わなきゃいけないの?」
「知りたいのでしょ? エルヴィーノの秘密を」
「それは・・・知りたいわ」
「じゃ答えて」
「だから良かったわよ」
「どう良かったの?・・・・」
「電気が走ったわ・・・」
「どこに?」
「下半身に・・・」
「イッタのね」

モジモジと恥ずかしそうに答えるロリが、バッとロザリーの顔を見た。
心では(何で解るの? この女)と思いながら答える。

「・・・そうよ」
「・・・フフフッ、私もよ」
「何ですって!」

この返事にはロリも凄く驚いた。
あの衝撃は、運命の出会いの証しだと思っていたからだ。

愛し合う話しになると対抗意識が前面に出る2人だった。
そしてロザリーから秘密が解き放たれる。

「あれは呪いなの」
「呪い!」
立ち上がり驚くロリ。

「えぇ。それもお母様が作った呪いよ」
にわかに信じられない表情のロリ。

「この事はお母様に直接教えて頂いたの」
ロリから聞かれる前に答えたロザリー。

「少なくなったダークエルフを増やすための方法だったらしいの」
「そんな方法などさせないわ」
「私もそう思っていたわ。・・・でも貴女が現れた」
「・・・・」
黙り込むロリ。

「解りましたお姉様。今後は如何なる時でも側に居るようにします」
「でも貴女は嫁であり女よ」
「ハイ」

「間者が必要ね。私達が居なくとも信頼できる男が良いのですが・・・私にはそのように者は・・・居なくは無いが老齢なので使えません」
「安心してください。お姉様。適任者が居ます。1度お姉様にもお会いして頂きますわ」
「あら、それは良かったわ。これで安心して獣王国バリエンテに向っても良いわね」
「確かに私も獣王国に向っていると聞きました」












あとがき
やっと旅の続きか・・・
でも適任者って誰だろう?
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