55 / 430
第2章 聖魔法王国編
第55話 2人の共闘
しおりを挟む
約束を果たし2人はエルヴィーノの母親リーゼロッテに会いに行くと言う。
「俺も行こうか?」
一応、気を効かせて2人に訊ねる。
「「これは嫁の問題ですから貴男は待っていてください」」
そして2人で転移しリーゼロッテに会う。
ロザリーは、いきなりの訪問はしない。
事前にエマスコ(通信魔道具)で連絡を取り合っている。
前回の続きを居間のソファに腰かけて行う3人だ。
「では、確認しましょうか?」
リーゼロッテが問いかけ、用意してあったエマスコ(通信魔道具)でエルヴィーノに手紙を送った。
「さぁ返信が届くまで時間が有るわ。それで・・・どうだったの? 2人共」
2人は顔を紅葉させて答えた。
「「良かったです・・・」」
思いがけずハモってしまった2人は顔を見合った。
「その様子からすると、うまく行ったのかしら? フフフッ」
そう言うとエマスコ(通信魔道具)の魔法石が点滅し着信を知らせる。
中から手紙を出しエルヴィーノがしたためた手紙を読んで聞かせるリーゼロッテ。
(母さん、昨夜は2人の嫁と仲良く3人で愛し合う事が出来ました。2人の事が心配だったけど、屋敷に戻るとロザリーの部屋からロリの笑い声が聞こえ、打ち解けていた様子だったよ。ただ、やはりライバル心は有るようだけどね。でも助かった。ありがとう母さん)
「エルヴィーノからの手紙には仲良くなった様に書いてありますが・・・・私の前で証明してもらえるかしら?」
「「そんな!」」
「私はね、私の分もエルヴィーノには幸せになって欲しいの。あの子を幸せにするのは私ではなくて当家の嫁です。私の目の前で口づけをしてください。勿論舌を絡ませてね」
ニッコリと微笑むリーゼロッテ。
最後の試練と感じた2人は、恥ずかしいが昨夜実践経験済みだ。
「「ハイ、解かりましたお母様」」
2人は立ち上がり、抱き合い見つめ合って唇を重ねた。
そしてお互いの舌を求め、分泌液を混ぜ合わせるように絡ませた。
しばし見ていたリーゼロッテが「もう良いですわ」と納得し、ゆっくりと離れる唇と舌。
透明な分泌液が糸を引く。
「2人共座ってください。合格ですわ」
「「ありがとうございます、お母様」」
「それで、式はどうするの?」
それぞれの都合があるので、要望と問題点を出し合った。
まず、ロザリーはブリンクス王に認められエアハルトも認められたので既に望みは無い。
と言いながら式は挙げたい。
だが、エルヴィーノはダークエルフで国外追放の身。
自分は国の要職を預かる身なので表立った行動が出来ない事だから既に諦めて、踏ん切りもついている。
だが・・・ロリの事を聞くと羨ましく思い腹立たしくて切なくて泣きたくなる。
そのロリは・・・
「国を挙げての祝賀になります。諸外国からの来賓や、国中から貴族達など様々な者が王都イグレシアに集まると思います。祝いの行事は少なくとも1ヶ月は続くはずです。新しい王と王妃の誕生ですから・・・ですが、当のエルヴィーノは王と大司教の座を要らないと言っているのです。どうしたら良いか・・・」
「解りました。ではまずロザリーさん」
「ハイ」
「貴女を第一夫人とします」
バッと立ち上がり
「本当ですかお母様。ありがとうございます」
その事をロリはある程度想定していた。
「ロリさん」
「ハイ」
「貴女を第二夫人とします」
同じく立ち上がり
「ありがとうございます、お母様」
ロリはこの事に文句は無いようだ。
実際50年の差は埋めようが無い。
過去に囚われず未来を作ろうと考えた。
「それからロザリーさんがロリさんと呼ぶのは良いですが・・・ロリさんは公私共に、お姉様と呼んだ方が良いわね」
「何故ですか?」
「貴女の地位や名声が2人の邪魔をするかも知れません。だから義理の姉妹とした方が、後々都合が良いと思いますよ」
ロリは考えた・・・
ロザリーが礼を言う。
「お母様のご配慮痛み入ります」
(後から教えてください)とロリが小声で問う。
「しょうがないわね・・・貴女は王妃。私はタダのエルフ。貴女の国の人がどう思うかしら?」
ハッと気づくロリ。
いろんな意味を含めて経験豊富なロザリーと、まだまだ子供のロリ。
当事者以外の周りの者が余計な事で騒ぎ立てなくする為に、仲の良い関係を公表する為だ。
「解りました、お母様」
立ち上がりロザリーを見て告げた。
「これからも末永くご一緒させて頂きますので、どうか宜しくお願いします、お姉様」
そう言って90度腰を折った。
「こちらこそ、頼もしい妹が出来て光栄よ。宜しくお願いね」
ロザリーも立ち90度腰を折った。
「あと・・・エルヴィーノの行動ですが10日に2日はやっぱり長いわよね? よく我慢したわ、ロザリーさん」
「ハイ、お母様」
「基本設定をもう少し短い期間に替えるようブリンクス王に進言しましょう」
「ありがとうございますお母様」
涙ぐんで喜ぶロザリーだったが、あまり面白くないロリ。
だが、リーゼロッテの前で悪態をつくのは良くないと思い自粛する。
「では式典ですが・・・エルヴィーノが成人の歳になってから、伯爵家、当家、王国で祝いをしましょう」
「「ハイ」」
「この事はブリンクス王とロリさんの一族に確認を取ってください」
「「判りました、お母様」」
ロリが笑った。
それに気づいたリーゼロッテ。
「どうしたのかしらロリさん」
「すみません、ちょっと面白いなって。私は16歳です。成人しています。でも、エルヴィーノは149歳でまだ成人していません。それが可笑しくて」
「・・・そうね」
リーゼロッテは思った。
(この子はクォーター。どんなに長生きしても200歳位か・・・いずれ襲う悲しみは・・・今は止しましょう)
「お母様」
「なぁにロリさん」
「また、訪問しても宜しいでしょうか?」
「勿論よ。いつでも来て頂戴。エマスコ(通信魔道具)で連絡して下さいね」
「解りましたお母様」
しばし会話を楽しみ、帰宅する2人。
「ロリさん」
「なぁに、お姉様」
「「ふふふっ」」
「私は妹など居なかったから貴女にそのように呼ばれると、くすぐったいわ」
「私も妹はいますが、姉はいませんので凄く新鮮です」
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
伯爵家の転移室に戻ってきた2人今後の打ち合わせをする事にした。
「とりあえず2つ相談事が有りますから、私の執務室へ行きましょう」
「ハイ」
「・・・まず、エルヴィーノがここに来た時貴女は何処で泊まるの?」
「一緒ですわ」
「そうね。では、夜以外は?」
「それは・・・お母様の所に!」
「それはダメよ」
「何故ですの?」
「基本的にあの家は管理、監視されているの。だから貴女が1人でウロウロしていると余計な揉め事になるわ」
「ではどうやってお母様に会いに行くの?」
「今日の様に私か他のエルフと数人で訪れるのが望ましいわ」
「そんな! 不便よ」
「勘違いしないで! 不便なのはお母様よ!」
ハッと気づくロリ。
「自分の都合ばかりでは無く相手の事も考えないといけないわ」
ロザリーに諭され、しょげるロリ。
「だからエルヴィーノは自分たちの国を作ろうとしているのではないかしら」
ガーン! 雷鳴に撃たれたような錯覚を感じたロリ。
「それは聞いたのですか?」
「いいえ、エルヴィーノの行動を熟考したら出てきた答えです」
「それは!」
手で止めるロザリー。
「お母様に確認したわ。そしたらね、お母様もそれが望みだったけど、エルヴィーノには言わなかったらしいの。だけどね、国外追放になったのはエルヴィーノがブリンクス王にお願いしたのよ。新天地を探して旅に出る為に。当時はイロイロあってね・・・」
自分の国よりも一族の国を作ろうとするエルヴィーノの真の理由を知ったロリは涙した。
「お姉様。私達が力を合わせて新しい国を作ろうとするエルヴィーノを助けましょう」
「勿論よ、ロリさん」
ガッシリと握った2人の両手。
ロザリーも貰い泣きをしている。
涙を拭きながら改めて話し出すロザリー。
「話しがそれてしまいましたが、貴方の部屋を作ろうと思っています」
「本当ですか! お姉様」
「えぇ。ですから希望があれば聞いておこうと思ってね」
「エルヴィーノの隣が良いです。お姉様のお部屋仕様で。それで鍵がかかり、魔法陣が有れば」
「・・・魔法陣は難しいわ。屋敷の転移部屋を使ってもいいのよ」
「解りました・・・」
(エルヴィーノにコッソリと転移魔法を教えて貰おう)と考えているロリ。
「あとは、特に無いですわお姉様」
2つ目はロザリーからロリへの依頼だった。
キリッとした表情で告げた。
「ロリさんに依頼します」
「何でしょうか?」
「もう余計な嫁を作らないように貴女に監視して欲しいのです」
「フッそんな事、お姉様に言われなくても解っているわよ」
「いいえ。貴女は解っていませんわ」
「何を解っていないと言うのかしら・・・」
「仕方ないわ。貴女もエルヴィーノの嫁ならば知っておいた方が良いわね」
「貴女、初めてエルヴィーノと唇を重ねた時どうだった?」
「えっ・・・」
ロリには思い当たる事があった。
「良かったわよ・・・」
「何が?」
「なんでそんな事を言わなきゃいけないの?」
「知りたいのでしょ? エルヴィーノの秘密を」
「それは・・・知りたいわ」
「じゃ答えて」
「だから良かったわよ」
「どう良かったの?・・・・」
「電気が走ったわ・・・」
「どこに?」
「下半身に・・・」
「イッタのね」
モジモジと恥ずかしそうに答えるロリが、バッとロザリーの顔を見た。
心では(何で解るの? この女)と思いながら答える。
「・・・そうよ」
「・・・フフフッ、私もよ」
「何ですって!」
この返事にはロリも凄く驚いた。
あの衝撃は、運命の出会いの証しだと思っていたからだ。
愛し合う話しになると対抗意識が前面に出る2人だった。
そしてロザリーから秘密が解き放たれる。
「あれは呪いなの」
「呪い!」
立ち上がり驚くロリ。
「えぇ。それもお母様が作った呪いよ」
にわかに信じられない表情のロリ。
「この事はお母様に直接教えて頂いたの」
ロリから聞かれる前に答えたロザリー。
「少なくなったダークエルフを増やすための方法だったらしいの」
「そんな方法などさせないわ」
「私もそう思っていたわ。・・・でも貴女が現れた」
「・・・・」
黙り込むロリ。
「解りましたお姉様。今後は如何なる時でも側に居るようにします」
「でも貴女は嫁であり女よ」
「ハイ」
「間者が必要ね。私達が居なくとも信頼できる男が良いのですが・・・私にはそのように者は・・・居なくは無いが老齢なので使えません」
「安心してください。お姉様。適任者が居ます。1度お姉様にもお会いして頂きますわ」
「あら、それは良かったわ。これで安心して獣王国バリエンテに向っても良いわね」
「確かに私も獣王国に向っていると聞きました」
あとがき
やっと旅の続きか・・・
でも適任者って誰だろう?
「俺も行こうか?」
一応、気を効かせて2人に訊ねる。
「「これは嫁の問題ですから貴男は待っていてください」」
そして2人で転移しリーゼロッテに会う。
ロザリーは、いきなりの訪問はしない。
事前にエマスコ(通信魔道具)で連絡を取り合っている。
前回の続きを居間のソファに腰かけて行う3人だ。
「では、確認しましょうか?」
リーゼロッテが問いかけ、用意してあったエマスコ(通信魔道具)でエルヴィーノに手紙を送った。
「さぁ返信が届くまで時間が有るわ。それで・・・どうだったの? 2人共」
2人は顔を紅葉させて答えた。
「「良かったです・・・」」
思いがけずハモってしまった2人は顔を見合った。
「その様子からすると、うまく行ったのかしら? フフフッ」
そう言うとエマスコ(通信魔道具)の魔法石が点滅し着信を知らせる。
中から手紙を出しエルヴィーノがしたためた手紙を読んで聞かせるリーゼロッテ。
(母さん、昨夜は2人の嫁と仲良く3人で愛し合う事が出来ました。2人の事が心配だったけど、屋敷に戻るとロザリーの部屋からロリの笑い声が聞こえ、打ち解けていた様子だったよ。ただ、やはりライバル心は有るようだけどね。でも助かった。ありがとう母さん)
「エルヴィーノからの手紙には仲良くなった様に書いてありますが・・・・私の前で証明してもらえるかしら?」
「「そんな!」」
「私はね、私の分もエルヴィーノには幸せになって欲しいの。あの子を幸せにするのは私ではなくて当家の嫁です。私の目の前で口づけをしてください。勿論舌を絡ませてね」
ニッコリと微笑むリーゼロッテ。
最後の試練と感じた2人は、恥ずかしいが昨夜実践経験済みだ。
「「ハイ、解かりましたお母様」」
2人は立ち上がり、抱き合い見つめ合って唇を重ねた。
そしてお互いの舌を求め、分泌液を混ぜ合わせるように絡ませた。
しばし見ていたリーゼロッテが「もう良いですわ」と納得し、ゆっくりと離れる唇と舌。
透明な分泌液が糸を引く。
「2人共座ってください。合格ですわ」
「「ありがとうございます、お母様」」
「それで、式はどうするの?」
それぞれの都合があるので、要望と問題点を出し合った。
まず、ロザリーはブリンクス王に認められエアハルトも認められたので既に望みは無い。
と言いながら式は挙げたい。
だが、エルヴィーノはダークエルフで国外追放の身。
自分は国の要職を預かる身なので表立った行動が出来ない事だから既に諦めて、踏ん切りもついている。
だが・・・ロリの事を聞くと羨ましく思い腹立たしくて切なくて泣きたくなる。
そのロリは・・・
「国を挙げての祝賀になります。諸外国からの来賓や、国中から貴族達など様々な者が王都イグレシアに集まると思います。祝いの行事は少なくとも1ヶ月は続くはずです。新しい王と王妃の誕生ですから・・・ですが、当のエルヴィーノは王と大司教の座を要らないと言っているのです。どうしたら良いか・・・」
「解りました。ではまずロザリーさん」
「ハイ」
「貴女を第一夫人とします」
バッと立ち上がり
「本当ですかお母様。ありがとうございます」
その事をロリはある程度想定していた。
「ロリさん」
「ハイ」
「貴女を第二夫人とします」
同じく立ち上がり
「ありがとうございます、お母様」
ロリはこの事に文句は無いようだ。
実際50年の差は埋めようが無い。
過去に囚われず未来を作ろうと考えた。
「それからロザリーさんがロリさんと呼ぶのは良いですが・・・ロリさんは公私共に、お姉様と呼んだ方が良いわね」
「何故ですか?」
「貴女の地位や名声が2人の邪魔をするかも知れません。だから義理の姉妹とした方が、後々都合が良いと思いますよ」
ロリは考えた・・・
ロザリーが礼を言う。
「お母様のご配慮痛み入ります」
(後から教えてください)とロリが小声で問う。
「しょうがないわね・・・貴女は王妃。私はタダのエルフ。貴女の国の人がどう思うかしら?」
ハッと気づくロリ。
いろんな意味を含めて経験豊富なロザリーと、まだまだ子供のロリ。
当事者以外の周りの者が余計な事で騒ぎ立てなくする為に、仲の良い関係を公表する為だ。
「解りました、お母様」
立ち上がりロザリーを見て告げた。
「これからも末永くご一緒させて頂きますので、どうか宜しくお願いします、お姉様」
そう言って90度腰を折った。
「こちらこそ、頼もしい妹が出来て光栄よ。宜しくお願いね」
ロザリーも立ち90度腰を折った。
「あと・・・エルヴィーノの行動ですが10日に2日はやっぱり長いわよね? よく我慢したわ、ロザリーさん」
「ハイ、お母様」
「基本設定をもう少し短い期間に替えるようブリンクス王に進言しましょう」
「ありがとうございますお母様」
涙ぐんで喜ぶロザリーだったが、あまり面白くないロリ。
だが、リーゼロッテの前で悪態をつくのは良くないと思い自粛する。
「では式典ですが・・・エルヴィーノが成人の歳になってから、伯爵家、当家、王国で祝いをしましょう」
「「ハイ」」
「この事はブリンクス王とロリさんの一族に確認を取ってください」
「「判りました、お母様」」
ロリが笑った。
それに気づいたリーゼロッテ。
「どうしたのかしらロリさん」
「すみません、ちょっと面白いなって。私は16歳です。成人しています。でも、エルヴィーノは149歳でまだ成人していません。それが可笑しくて」
「・・・そうね」
リーゼロッテは思った。
(この子はクォーター。どんなに長生きしても200歳位か・・・いずれ襲う悲しみは・・・今は止しましょう)
「お母様」
「なぁにロリさん」
「また、訪問しても宜しいでしょうか?」
「勿論よ。いつでも来て頂戴。エマスコ(通信魔道具)で連絡して下さいね」
「解りましたお母様」
しばし会話を楽しみ、帰宅する2人。
「ロリさん」
「なぁに、お姉様」
「「ふふふっ」」
「私は妹など居なかったから貴女にそのように呼ばれると、くすぐったいわ」
「私も妹はいますが、姉はいませんので凄く新鮮です」
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
伯爵家の転移室に戻ってきた2人今後の打ち合わせをする事にした。
「とりあえず2つ相談事が有りますから、私の執務室へ行きましょう」
「ハイ」
「・・・まず、エルヴィーノがここに来た時貴女は何処で泊まるの?」
「一緒ですわ」
「そうね。では、夜以外は?」
「それは・・・お母様の所に!」
「それはダメよ」
「何故ですの?」
「基本的にあの家は管理、監視されているの。だから貴女が1人でウロウロしていると余計な揉め事になるわ」
「ではどうやってお母様に会いに行くの?」
「今日の様に私か他のエルフと数人で訪れるのが望ましいわ」
「そんな! 不便よ」
「勘違いしないで! 不便なのはお母様よ!」
ハッと気づくロリ。
「自分の都合ばかりでは無く相手の事も考えないといけないわ」
ロザリーに諭され、しょげるロリ。
「だからエルヴィーノは自分たちの国を作ろうとしているのではないかしら」
ガーン! 雷鳴に撃たれたような錯覚を感じたロリ。
「それは聞いたのですか?」
「いいえ、エルヴィーノの行動を熟考したら出てきた答えです」
「それは!」
手で止めるロザリー。
「お母様に確認したわ。そしたらね、お母様もそれが望みだったけど、エルヴィーノには言わなかったらしいの。だけどね、国外追放になったのはエルヴィーノがブリンクス王にお願いしたのよ。新天地を探して旅に出る為に。当時はイロイロあってね・・・」
自分の国よりも一族の国を作ろうとするエルヴィーノの真の理由を知ったロリは涙した。
「お姉様。私達が力を合わせて新しい国を作ろうとするエルヴィーノを助けましょう」
「勿論よ、ロリさん」
ガッシリと握った2人の両手。
ロザリーも貰い泣きをしている。
涙を拭きながら改めて話し出すロザリー。
「話しがそれてしまいましたが、貴方の部屋を作ろうと思っています」
「本当ですか! お姉様」
「えぇ。ですから希望があれば聞いておこうと思ってね」
「エルヴィーノの隣が良いです。お姉様のお部屋仕様で。それで鍵がかかり、魔法陣が有れば」
「・・・魔法陣は難しいわ。屋敷の転移部屋を使ってもいいのよ」
「解りました・・・」
(エルヴィーノにコッソリと転移魔法を教えて貰おう)と考えているロリ。
「あとは、特に無いですわお姉様」
2つ目はロザリーからロリへの依頼だった。
キリッとした表情で告げた。
「ロリさんに依頼します」
「何でしょうか?」
「もう余計な嫁を作らないように貴女に監視して欲しいのです」
「フッそんな事、お姉様に言われなくても解っているわよ」
「いいえ。貴女は解っていませんわ」
「何を解っていないと言うのかしら・・・」
「仕方ないわ。貴女もエルヴィーノの嫁ならば知っておいた方が良いわね」
「貴女、初めてエルヴィーノと唇を重ねた時どうだった?」
「えっ・・・」
ロリには思い当たる事があった。
「良かったわよ・・・」
「何が?」
「なんでそんな事を言わなきゃいけないの?」
「知りたいのでしょ? エルヴィーノの秘密を」
「それは・・・知りたいわ」
「じゃ答えて」
「だから良かったわよ」
「どう良かったの?・・・・」
「電気が走ったわ・・・」
「どこに?」
「下半身に・・・」
「イッタのね」
モジモジと恥ずかしそうに答えるロリが、バッとロザリーの顔を見た。
心では(何で解るの? この女)と思いながら答える。
「・・・そうよ」
「・・・フフフッ、私もよ」
「何ですって!」
この返事にはロリも凄く驚いた。
あの衝撃は、運命の出会いの証しだと思っていたからだ。
愛し合う話しになると対抗意識が前面に出る2人だった。
そしてロザリーから秘密が解き放たれる。
「あれは呪いなの」
「呪い!」
立ち上がり驚くロリ。
「えぇ。それもお母様が作った呪いよ」
にわかに信じられない表情のロリ。
「この事はお母様に直接教えて頂いたの」
ロリから聞かれる前に答えたロザリー。
「少なくなったダークエルフを増やすための方法だったらしいの」
「そんな方法などさせないわ」
「私もそう思っていたわ。・・・でも貴女が現れた」
「・・・・」
黙り込むロリ。
「解りましたお姉様。今後は如何なる時でも側に居るようにします」
「でも貴女は嫁であり女よ」
「ハイ」
「間者が必要ね。私達が居なくとも信頼できる男が良いのですが・・・私にはそのように者は・・・居なくは無いが老齢なので使えません」
「安心してください。お姉様。適任者が居ます。1度お姉様にもお会いして頂きますわ」
「あら、それは良かったわ。これで安心して獣王国バリエンテに向っても良いわね」
「確かに私も獣王国に向っていると聞きました」
あとがき
やっと旅の続きか・・・
でも適任者って誰だろう?
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
悪役聖女のやり直し~冤罪で処刑された聖女は推しの公爵を救うために我慢をやめます~
山夜みい
ファンタジー
「これより『稀代の大悪女』ローズ・スノウの公開処刑を始める!」
聖女として長年頑張って来たのに、妹に冤罪をかけられました。
助けてくれる人は誰もおらず、むざむざ殺されてしまいます。
目覚めた時、なぜかわたしは二年前の秋に戻っていました!
わたし、もう我慢しません。
嫌な仕事はやめます。わたしを虐めた奴らは許しません。
聖女として戻ってきてほしい? もう遅いです。
自業自得ですよね。あなたたちは勝手に破滅してください。
わたしは今、推し活で忙しいので。
死神と呼ばれる冷酷な公爵様と一つ屋根の下なので。
ふふ。
邪魔をする輩はどんな手を使っても排除しますね。
推しを救うためならどんな手だって使っちゃいますから。
転生幼児は夢いっぱい
meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、
ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい??
らしいというのも……前世を思い出したのは
転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。
これは秘匿された出自を知らないまま、
チートしつつ異世界を楽しむ男の話である!
☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。
誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。
☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*)
今後ともよろしくお願い致します🍀
追放された大魔導士は魔王と一緒に国をつくる
ビーグル犬のポン太
ファンタジー
大魔導士アラギウスは、聖女の登場によってお役御免を言い渡されたうえに、身に覚えのない罪をきせられてしまった。そして長年つかえてきた王国から追放されることになり、聖女によって転送魔法で飛ばされた先は、旧魔王支配地であったローデシア。彼はそこに存在するたった一人の人間となったが、廃墟で魔王の生まれ変わりと出会い、彼女に協力して、魔物、亜人種達をが暮らせる国をつくることになった。
これは人間界から追放された魔導士が、魔王とともに魔族を率いて国をつくり、人間達から彼らを守る物語である。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
危険な森で目指せ快適異世界生活!
ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・
気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました!
2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・
だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・
出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!
♢ ♢ ♢
所謂、異世界転生ものです。
初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。
誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。
内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。
「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。
※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。
離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね? 魔道具師として自立を目指します!
椿蛍
ファンタジー
【1章】
転生し、目覚めたら、旦那様から離縁されていた。
――そんなことってある?
私が転生したのは、落ちこぼれ魔道具師のサーラ。
彼女は結婚式当日、何者かの罠によって、氷の中に閉じ込められてしまった。
時を止めて眠ること十年。
彼女の魂は消滅し、肉体だけが残っていた。
「どうやって生活していくつもりかな?」
「ご心配なく。手に職を持ち、自立します」
「落ちこぼれの君が手に職? 無理だよ、無理! 現実を見つめたほうがいいよ?」
――後悔するのは、旦那様たちですよ?
【2章】
「もう一度、君を妃に迎えたい」
今まで私が魔道具師として働くのに反対で、散々嫌がらせをしてからの再プロポーズ。
再プロポーズ前にやるのは、信頼関係の再構築、まずは浮気の謝罪からでは……?
――まさか、うまくいくなんて、思ってませんよね?
【3章】
『サーラちゃん、婚約おめでとう!』
私がリアムの婚約者!?
リアムの妃の座を狙う四大公爵家の令嬢が現れ、突然の略奪宣言!
ライバル認定された私。
妃候補ふたたび――十年前と同じような状況になったけれど、犯人はもう一度現れるの?
リアムを貶めるための公爵の罠が、ヴィフレア王国の危機を招いて――
【その他】
※12月25日から3章スタート。初日2話、1日1話更新です。
※イラストは作成者様より、お借りして使用しております。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!
ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。
反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。
嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。
華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。
マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。
しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。
伯爵家はエリーゼを溺愛していた。
その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。
なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。
「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」
本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる