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第2章 聖魔法王国編

第52話 Shu・Ra・Ba

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「良いか順を追って話すぞ」

そして、ブリンクス王が語りだした。
エルフの忌まわしき闇の歴史を・・・

話しの途中、エルヴィーノとロザリーは数十年の間柄で2人の間に子供が居る事を告げる。
ここでロリが叫ぶ。

「何ですってぇっ、子供が居る事は聞いていましたが、まさか貴女だったとは・・・」
「落着けロリ・・・」

マルソがなだめるが、既にロザリーとロリの間には激しい闘気が渦巻いていた。
そして黒龍襲来の際にダークエルフである事が民衆にバレてしまった為、国外追放となっている事。
ただし、10日に2日は密かに戻っている事。

「・・・以上だ。私は最も大切な息子がおこなった結果は全て受け入れる。そして誰が反対しようとも私は常に息子の味方である。例え全てを敵に回してもな・・・マルソよ」
「ハイ」
「我らが一族の恥ずべき秘密を知り、私の考えを聞いて、お前はどう考え、どう答えを出す」

「・・・では、私の考えを」
「ウム」
「条件付きですが・・・・認めます」

ロザリーが勢いよく近づき叱咤する。
「マルソ! 貴方何を言っているの! 私とエルヴィーノには子供が居るのよ。私達の関係を引き裂くつもりなの?」

「グンデリック」
ブリンクス王が呼ぶと即座に応えグンデリックがロザリーをマルソから引き離す。

「ロザリー、もう少し待て」
ブリンクス王が場を静める。
「クッ!」
(激オコのロザリー)

「マルソよ、その条件とは?」
「ハイ。我らエルフと聖魔法王国も共に祖先をたどれば聖白龍様に行きつきます」
「ウム」
「それは遠い親戚のような関係です。ですが片や排除の感情を持ち、片や国王となれば災いが訪れる事は時間の問題かと思われます」
「ウム」
「聖魔法王国の民もダークエルフ族の事は調べれば解る事です。本音を言いますと、国と国の関係性から見れば隠したい所です」
「ではどうする?」
「人族と偽りたいと思います。現にエルヴィーノ君もその事を察して耳を隠す様にされていますし・・・」


「私はブリンクス王の御考えを教えて頂きたいです」
「ウム。私は・・・・マルソの考えで賛成だ」

「ブリンクス王!」
大声で叫ぶロザリーをグンデリックが拘束する。
「何故ですか? 私と言う者が居ながら、他の女と婚姻だなんて絶対に認めません」
叫ぶロザリーにたじろくマルソ。

「まぁ待てロザリー」
そんなロザリーに優しく接するブリンクス王。
「ブリンクス王は私とあの女と、どちらが大切なのですか!」
「そんなもの決まっておる。私が1番大切なのはこの中では一人だけだ」

「エルフの聖女とまで言われていたロザリーがあのような態度を・・・」
マルソが呟き、ブリンクス王が答える。

「それについては、これから話すので2人共よく聞いて欲しい。エルヴィーノよ」
「ハイ」
「私はお前とロリ・ヴァネッサ・シャイニングの婚姻を認めよう」
「反対です、私は反対です」
叫ぶロザリー。

「そして、ロザリーよ。公表は出来ないがお前とエルヴィーノの婚姻も認めよう」
「えっ」
「だが公には出来んぞ」
「・・・ハイ」
「追放の身だからな・・・それにエアハルトの件も有る」

マルソが訊ねる。
「エアハルトとは?」
「エルヴィーノとロザリーの子だが、ゆくゆくは私の後を継いでもらう予定だ」

「「何ですってぇぇっ」」
今日は驚いてばかりのマルソとロリ。

「ブリンクス王はダークエルフをエルフの王にするおつもりか!」
「心配はいらん。ロザリーに似たエルフの男の子だ。エルヴィーノよ」
「ハイ」
「お前が我が子だと言う証しをマルソに見せてやれ」
「ハイ」

「マルソよ」
「ハイ」
「ダークエルフが使えない魔法は何だ?」
「それは我らの得意とするブランコ・マヒア(白の魔法)は一部使えると思いますが、サント・マヒア(神聖の魔法) は絶対に使えないです」
「・・・エルヴィーノよ」
「ハイ」

指示されてサント・マヒア(神聖の魔法)のサガラド・エスクード(聖なる盾)をマルソとロリに聞こえるように唱えた。
そして現れた通常聖女が作るサガラド・エスクードよりも遥かに強固そうで何重にもなった巨大な盾が顕現した。

その盾を見上げるマルソとロリが叫ぶ。
「これ程のサガラド・エスクードは見た事が有りません」
「当然だ。ダークエルフの膨大な魔素を使えば低級の魔法でもこのようになってしまうのだ。そしてまだ幼いので魔法は使えないが、いずれ。エアハルトも大量の魔素を持ったオスクロ・マヒア(暗黒魔法)を使えるエルフになるだろう」

(私にまで秘密にしておくなんて後でタップリお仕置きしなくちゃ!)
ロリの思考は既に暴走していた。

「さて、一応両家の確認と承諾は取れたな? マルソよ」
「ハイ」
「では、ロザリーよ」
「ハイ」
「ロリよ」
「ハイ」
「二人は何か言いたい事はあるか?」

ブリンクス王の前に一歩出た二人は・・・
ロザリーが威嚇を込めて口走る。

「私は貴女の頬を叩きたくてウズウズしていますの」
「あら、奇遇ですわ。私も同じことを考えていた所ですのよ」

相対するロリ。
睨み合う2人。
そして

「「バチーンッ」」

同時にはたき合う2人。

「クッ!」「イタッ!」

再度睨み合う2人。

「バチーンッ」
そしてロザリーが頬を叩くと負けじとロリがやり返す。
「パチーンッ」

そして髪を掴み合い、聞くに堪えない暴言を吐きだす2人。
すかさず飛び出すグンデリックとマルソ。
間に入り2人を引き離す。


その時エルヴィーノは・・・


巨大な龍が襲いかかってきた時も夢中で皆をかばったり対自もしたが、それよりもロザリーとロリは恐ろしかった・・・
この後どんな仕打ちが待っているのか、直ぐにでも逃げ出したかった。


グンデリックとマルソが2人を制す。

「「ブリンクス王の御前だぞ。落着け。ロザリー!」ロリ!」

いち早く回復したロザリーが非礼を詫びる。

「申し訳ありませんでした。ブリンクス王、見苦しい所をお見せしました」

キリッとした眼光でマルソを見て告げた。
「後で話があるから覚悟して来て頂戴。そっちの泥棒猫も連れてね」
「・・・あぁ解った」とマルソが答える。

そしてエルヴィーノを見つめてロザリーが呟いた。
「・・・浮気したのね」

そう言うと、エルヴィーノとロザリーの間にロリが入り叫ぶ。
「違うわ。これは浮気なんかじゃ無いわ。エルヴィーノと私は本気で愛し合っているの!」

そう言い切ったロリにロザリーがキレた! 
以前教えたエスパシオ・ボルサ(空間バック)から素早く短剣を出してロリに襲いかかった。

「「危ない」」とグンデリックとマルソが叫ぶ。
ロザリーの短剣がロリに襲いかかる直前、エルヴィーノがエスパシオ・モダンザ(近距離空間移動)でロリに前に現れた。

"ドンッ"
と目を閉じてぶつかったロザリーが目を開けると、ロリとエルヴィーノが入れ替わっていた事に気づく。
エルヴィーノはロザリーを抱きしめた。

「ロザリー落ち付ついて」
”ハッ”とエルヴィーノの顔を見るロザリー。
「アアァッ」

震えながら離れ自分が持っていた短剣が最愛の男の腹に刺さっている事を確認すると、泣き出し崩れ落ちるロザリー。
抱き寄せるエルヴィーノ。

「違うの。違うのよエルヴィーノ。貴方を傷つけようとした訳じゃ無いの」
「解ってるよロザリー。もう傷は治したから。大丈夫だよ」

ブリンクス王が事態を収拾すべく指示する。

「ミシェルよ」
「ハイ」
「ロザリーを奥の部屋へ。グンデリックはこのまま話を聞いてくれ」
「ハッ」

ブリンクス王が全ての責任は自分に有る様に述べた。
「皆の者、見苦しい場面を見せてしまったな。私の顔に免じて許してほしい」

沈黙の一同。

「グンデリックよ」
「ハッ」
「ロザリーが落ち着いたら連れて帰ってくれ」
「ハッ」
「マルソよ」
「ハイ」
「ロザリーとはお前だけで会った方が良さそうだな」
「・・・そのようですね」
「エルヴィーノはここに残るが良い」
「ハイ」

先にマルソとロリが退場する。
グンデリックがロザリーの様子を見に行くと意気消沈していたロザリー。

「もう大丈夫よ。エルヴィーノは大丈夫なの?」
「あぁ心配はいらん。皆帰った。儂等も帰ろう」
「えぇエルヴィーノは?」
「あいつはまだここに居る。ブリンクス王と話があるようだ」
「分かったわ、先に帰りましょう」

ロザリーは罪悪感に襲われていた。
最愛の男を間違えたといえ刺してしまったからだ。

自分の部屋に戻ったロザリーとロリは布団を被りバオス・ホステ(音声調整魔法)も使わずに泣き叫んでいた。
お互いに同じ思いだった。
嫉妬、疑惑、憎悪、婚姻の許可が出た喜び。
様々な思いと感情が布団から漏れ出す。

エルヴィーノは残って何を言われるか心配だった。すると

「さて、息子よ。このままではあの二人放っておく訳にもいかん」
「はい」
「顔を合わせれば、再びケンカをするだろう。そこでだ、お前の母に報告がてら相談したらどうだ?」
「そうですね・・・久しぶりに会って話して見ます」



※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez



エルヴィーノは久しぶりに実家に帰った。
実家に帰るといつも思う。
秘密にしている息子のアロンソに変身の魔法を早くかけたいと強く思ってしまう。
また、メルヴィのように行方不明になる恐れが頭にあるからだ。
母さんには定期的に手紙を送っている。
ロザリーのように毎日では無い。

エルヴィーノは王宮での事を説明した。
リーゼロッテが笑いだす。

「クスクスクスッ」
「そんな笑うなよ母さん」
「だって貴方の呪いはちゃんと効果があるようね」
「呪い?呪いって何?」
「あら、言って無かったかしら?」
「聞いてないよ!」

でもウスウス分かっていた。
「私は貴方が産まれたばかりの時に呪いをかけたのよ。2つね!」
何となく、今までの人生の中でも数回だが思い当たる節がある。

「まず舌ね」
(やっぱり・・・)

「初めての女性と舌を絡めると、呪いが発動して相手の脳に指令が行くの。そして脳から子宮に電気信号が送られるわ。そして、その女性は絶頂を感じるの」
(あれは、呪いのせいだったのか・・・)

「もう一つは貴方の股間よ!」
(それもか!)
「普通の男性より倍の大きさにしてあるわフフフッ」
どうりで女達が同じ事を言うと思ってた。

「ロザリーさんは随分楽しんでいるようだけど、新しくロリさん?似たような名前ねぇ、そのロリさんが来て取り合いをしている訳ね」
頷くエルヴィーノ。

「ねぇエルヴィーノ?」
「何?母さん」
「それってシュラバじゃないの?」
「そうなんだよ!だから助けて欲しい!」
「しょうがない子ね・・・じゃ二人に同じ手紙を送りなさい。内容は・・・(ケンカばかりするなら、俺は旅にでる。そして2度と二人には会わない)ってね。(回りが皆、認めているのに二人が反目するなら、二人とも別れると母さんには説明した)と書きなさい。安心して大丈夫よ。私の呪いを信じなさい」

何だか意味の解らない説得だが、エルヴィーノはリーゼロッテを信じた。

「あっそれからアロンソにも呪いを掛けてあるわ!」
「母さん!一応聞くけど、何で?」
「フフフッ気持ちいいでしょう?パワフルにもしてあるから、ロザリーさん羨ましいわ」
「母さん! 」
「フフフフッ、冗談よ。私はねダークエルフの再興を考えているの!」
「やっぱり・・・」
「やっぱりってどう言う事?」

「母さんが快楽の為に俺に呪いをかける意味が無いからさ。俺が国外追放になったのは親父にそうしてくれと俺が頼んだからさ」
「どうして?」
「ウン。世界の何処かにダークエルフの国を創ろうと思ってさ」
「エルヴィーノ!」

近づいたリーゼロッテは息子の頭を抱き締めた。

「偉いわエルヴィーノ。流石お父様の孫ね」
「そうかな・・」

爺さんの事は全く知らない。
たまーに、リーゼロッテが思い出したように話す位だ。

「貴方ならきっと出来るわ!新たなダークエルフ国の建国を!」











あとがき
母さん、俺頑張るよ・・・ってマザコンかよ。
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