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第2章 聖魔法王国編
第34話 人族の悪巧み?
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「ハァーイ!」
ギルマスが居る執務室に入ってきたのは若い従業員女性だ。
「オイ!この加入用紙を書いたのはお前か?」
加入用紙を見る女性。
「イイエ、私ではありません。おばちゃんじゃないですか?」
従業員は若い女性とおばちゃんしか居ない。
田舎のギルドでは依頼や冒険者も少ないから1日交代で店番をしている。
「直ぐにおばちゃんを呼んで来てくれ」
「えぇ~、カウンターに誰も居なくなりますよ」
「クッ、じゃ俺がおばちゃんの家に言って来る。おばちゃんの家はどこだったか知っているか?」
「たしか、B地区の外れで解体屋の隣だったと思いますけど・・・」
「良し、行って来る」
丁度お昼に差し掛かった所で、おばちゃんの家に着く。
「すみませんが・・・」
扉を叩くと家の中から男が出てきた。
「ギルドの者ですが奥さんにお話がありまして、ご在宅ですか?」
「あぁ? ババァなら飯食いに行ったよ。いつも行くのは宿屋の食堂だ」
行き先を聞いてギルマスが数件ある宿屋を見て回る。
「居た! 探したぞ」
「あらギルマス。どうしたんだい私は今日休みだけどねぇ」
「あぁ解ってる。チョット話を聞きたいだけだ」
隣のテーブルで獣人達が溜息をつく横には娼館の夫婦が獣人達を宥めていた。
「昨日新しくギルドに加入した奴について少し聞きたい事があってな」
その言葉に耳がビクッとした宿屋の親父。
料理を嫁に任せ、支給を店員に任せ、ギルマスの後ろ、娼館夫婦の横に自分の飲み物を持って腰掛ける。
「で、何を聞きたいんだい?」
「昨日のモンドリアンと言う奴についてだが詳しく聞きたい」
「あぁ、あの子かい。色男だったねぇ。久しぶりにいい男を見たよ」
その言葉に獣人達と娼館の夫婦の耳が傾く・・・そして黙る。
ギルマスとおばちゃんのやり取りに集中している。
勿論、宿屋の親父もだ。
「見た目は色白で(あの人だと獣人が話す)髪と目は黒(やっぱり間違い無い)背はあんたと同じくらいだったかねぇ。そう言えば頭に布を巻いていたねぇ」
「あの客に間違いねぇ」
と宿屋の主人が頷く。
「それで?」
「それでって、それだけだよ」
「他に何か特徴は? 思い出してくれ」
「えぇっと・・・そういえば」
「なんだ?」
周りが静かになる。
「ギルドの認識票が出来たら直ぐに出て行ったよ。宿屋の主人に渡す物が有るって言っていたねぇ」
やべぇっと思い、宿屋の親父は席を立つが・・・
「おい、親父。どこに行くつもりだ」
「なに・・・ちょっと忙しいようだし手伝わないと・・・・」
「何が忙しいだ。客は俺達しか居ねぇじゃねぇか!」
「いや、片付けをさ・・・」
「お前・・・さては、知っているな?」
「何の事だかさっぱり分からんが・・・」
ギルマスがギロリと獣人達を見ると一斉に顔を背ける。
「そうかいそうかい・・・じゃ俺が知っているヤツの事はお前たちには教えてやらん」
バッと立ち上がりギルマスの左右の腕を掴むがガトー族の獣人アミスターとペロ族の獣人チャルタラン。
「私たちが知っている事を教える変わり、そちらの知っている事も全部教えて貰えるかしら?」
「おい、どうなっているんだ? この2人はなんだ。説明しろ」
やれやれと娼館の主が立ち上がる。
「まぁまぁ、2人とも落着け」
男達は全員顔見知りだ。
「お前まで絡んでいるのか?」
「ちょっとな。まぁ事件とかでは無い」
「「事件よ!」」
と騒ぎ出す獣人達。
「どっちなんだ」
と尋ねるギルマス。
みんなの話を面白そうに聞いているおばちゃん。
「俺が順を追って話そう」
宿屋の主が説明を始めた。
「見かけない色男が泊まりたいと俺の宿屋に来たから泊める手続きをして、女の手配もしてやろうとしたら、俺がピンハネするのがバレてよう、逆に向こうから提案して来やがったのさ。そんなに色男だと言うなら俺が用意する女に、一番高値を付けた女が奴を買えるってな。俺は面白れぇと思って知り合いの娼館の夫婦に話したわけさ」
「ココからは俺達が説明しよう」
そう言って娼館の夫婦が話し出す。
「俺達もコイツから話しを聞いて面白いと思ったが、実際の所、男を見て無かったから眉唾で用意したのさ。ただ、そいつが獣人を希望していたから、うちの1、2を争う美人の獣人2人を連れて来たんだがよ。まず、俺達夫婦で男を確かめて、言うほどでも無ければ帰るつもりだったが、こいつなんか見とれちまってよ」
「煩いねぇあんた。余計な事は言わなくていいだろ」
「まぁ、"それだけ"って事だ。で、この2人に決まって一晩のつもりが4日も帰ってこない。まぁ4日分の金は貰ったからいいが・・・そのあとこいつ等仕事を放棄しやがってよ。どうしたものか、ここで話していたわけさ」
「なるほど・・・モンドリアンは4日もこの町に居たのか・・・」
「あのぉ、そのモンドリアンって言うのは・・・」
「ん? ヤツの名前だ」
「そうなんだ。私達にはエルヴィーノとしか教えてくれなかったから・・・エルヴィーノ・モンドリアンって名前?」
「いや違う。正式にはエルヴィーノ・デ・モンドリアンだ」
「わっ何か、偉そう・・・」
「ウム。実際そうかも知れんぞ」
既に、ギルマス、おばちゃん、宿屋の主、娼館の夫婦、アミスターと、チャルタランがテーブルを囲んで話をしている。
「ギルドの登録では出身がメディテッラネウスで種族エルフになっている」
「エルフって金髪じゃ無いのか?」
宿屋の主が質問し、同意して頷く娼館の夫婦。
「そうだ、そして職業だ。ヤツはオスクロ・エチセロだ」
全員が首を傾げる。
「なんだそりゃ。レアな職種か?」
「多分俺だから解ったと思う」とギルマスが言う。
「説明してください」とアミスターとチャルタラン。
顔を近づけろと手招きするギルマスが説明する。
「俺の予想だが、ヤツはダークエルフだ」
「「知らなぁい」」
アミスターとチャルタランは興味なさそうにする。
他も首を横に振る。
「仕方ないか・・・よく聞けよ。ダークエルフは100年以上前に滅んだ種族だ。俺もギルドの文献でしか見た事が無い。奴らが何故滅んだのかは知らないが、奴らの好んで使う魔法がオスクロ・マヒアだ。その使い手をオスクロ・エチセロと言う。ギルドの文献に出ている魔法の中でもオスクロ・マヒアは膨大な魔素を使い、長い時間を掛けてレベルが上がると書いてある。俺は見てないが、実際の年齢は見た目よりもかなり上だと思うぞ」
そこまで言うと、おばちゃんが答える。
「思い出したよ、あの子もう俺1人だからエルフに直してくれって言うからエルフにしたの・・・」
上目使いでギルマスに甘えるおばちゃん。
「分かった分かった。もうするなよ。今の証言で確定した。俺の予想では奴はダークエルフで多分・・・王族だろう」
と言うギルマス。
「王族!」
飛び上がるアミスターとチャルタラン。
「あぁ~」
しょげて見つめ合う2人。
大物を逃してがっかりしている。
「でもチャルタラン・・・もしかしたら」
「えぇ・・・もしかしたら・・・フフフッ」
「で、だとしたらどうするんだ、ギルマスさんよ」
凄む娼館の主。
「決まっているだろう。うちのギルド専属になってもらうんだ。そして沢山子供を作ってもらう」
「「「「「「「その話乗ったぁ―――」」」」」」」
「「オイ」」
とギルマスがおばちゃんを、娼館の主が嫁を。
「良いじゃないか私達も賛成したって」
「賛成だけだぞ」
念を押される2人。
「まず俺から言わせてくれ」とギルマス。
「俺はゴルフィーニョのギルドを強くしたい。基本的にはそれだけだ。オスクロ・エチセロを見つけたのは良いが俺は合っていない。実際文献ではオスクロ・マヒアは最強の部類に入るらしい。そして子供を増やせば、いつかギルドの覇権を取る事が出来るかも知れん。まぁ俺の夢だがな」
「ギルマス、お前の考えに協力しよう」
娼館の主が賛同した。
「あれだけの色男に最強の魔法使いだと、いくら金を出しても子供を欲しがる女は沢山いるぜ」
「この町が有名になれば客も沢山くるな。俺も協力するぜ」
と宿屋の主。
「ちょっと、最初に子供を産むのは私たちかもしれないのよ。もっと優遇してよね」
「あっ、そうだったな。そうなればお前たち暫く仕事禁止だ」
「当たり前よ。今頃気づいたの?」
「どういう事だ?」
「解らないの? 私たちにはエルヴィーノの赤ちゃんがいるかもしれないのよ!」
「何ぃ―――!」驚くギルマス。
「なるほど、俺達の夢は既に走り出していたのか?」
全員が頷く。
「では、役割分担だ。実際合って話さないと解らんが、どんな提示で専属になってくれるかだ。後、当然ギルドとしてはこの宿に優先して客を回そう。ギルドが直接お前の娼館に客を回すのはまずいが宿屋経由なら問題ないだろう」
「あぁ俺達はそれで構わない」
と答える娼館の主。
「この町に居る限り女の手配をして子作りをしてもらう」
「ダメよ。私達がするの」
「お前たちが妊娠したら出来ねぇだろ」
「それは・・・」
「後は本人の居場所と本人の確認、オスクロ・マヒアを見てみたいなぁ」
「「「見たい見たい」」」
「よし、とりあえず近場の町のギルドに依頼を出そう。まてよ、俺みたいに気が付く奴が居るかもしれん」
「最近ギルドに入いられたモンドリアン様へ。重要な案件がございますので、至急ゴルフィーニョのギルドにお越しください。これでどう?」
とおばちゃんが言う。
「その名前、気づく奴が居るかもしれん」
「じゃエルヴィーノ様?」
「まだそっちの方が良いかもな。後はこの中では・・・」
ギルマスが娼館の主を見て問いかけた。
「直接探しに行くかだ」
「そいつは難しいな・・・」
「ウム、あんたが行けないなら誰も探しには行けんな。よし、では近場のギルドへ伝言を飛ばそう」
あとがき
本人の居ない所で盛り上がる話し。
よくありますね。
ギルマスが居る執務室に入ってきたのは若い従業員女性だ。
「オイ!この加入用紙を書いたのはお前か?」
加入用紙を見る女性。
「イイエ、私ではありません。おばちゃんじゃないですか?」
従業員は若い女性とおばちゃんしか居ない。
田舎のギルドでは依頼や冒険者も少ないから1日交代で店番をしている。
「直ぐにおばちゃんを呼んで来てくれ」
「えぇ~、カウンターに誰も居なくなりますよ」
「クッ、じゃ俺がおばちゃんの家に言って来る。おばちゃんの家はどこだったか知っているか?」
「たしか、B地区の外れで解体屋の隣だったと思いますけど・・・」
「良し、行って来る」
丁度お昼に差し掛かった所で、おばちゃんの家に着く。
「すみませんが・・・」
扉を叩くと家の中から男が出てきた。
「ギルドの者ですが奥さんにお話がありまして、ご在宅ですか?」
「あぁ? ババァなら飯食いに行ったよ。いつも行くのは宿屋の食堂だ」
行き先を聞いてギルマスが数件ある宿屋を見て回る。
「居た! 探したぞ」
「あらギルマス。どうしたんだい私は今日休みだけどねぇ」
「あぁ解ってる。チョット話を聞きたいだけだ」
隣のテーブルで獣人達が溜息をつく横には娼館の夫婦が獣人達を宥めていた。
「昨日新しくギルドに加入した奴について少し聞きたい事があってな」
その言葉に耳がビクッとした宿屋の親父。
料理を嫁に任せ、支給を店員に任せ、ギルマスの後ろ、娼館夫婦の横に自分の飲み物を持って腰掛ける。
「で、何を聞きたいんだい?」
「昨日のモンドリアンと言う奴についてだが詳しく聞きたい」
「あぁ、あの子かい。色男だったねぇ。久しぶりにいい男を見たよ」
その言葉に獣人達と娼館の夫婦の耳が傾く・・・そして黙る。
ギルマスとおばちゃんのやり取りに集中している。
勿論、宿屋の親父もだ。
「見た目は色白で(あの人だと獣人が話す)髪と目は黒(やっぱり間違い無い)背はあんたと同じくらいだったかねぇ。そう言えば頭に布を巻いていたねぇ」
「あの客に間違いねぇ」
と宿屋の主人が頷く。
「それで?」
「それでって、それだけだよ」
「他に何か特徴は? 思い出してくれ」
「えぇっと・・・そういえば」
「なんだ?」
周りが静かになる。
「ギルドの認識票が出来たら直ぐに出て行ったよ。宿屋の主人に渡す物が有るって言っていたねぇ」
やべぇっと思い、宿屋の親父は席を立つが・・・
「おい、親父。どこに行くつもりだ」
「なに・・・ちょっと忙しいようだし手伝わないと・・・・」
「何が忙しいだ。客は俺達しか居ねぇじゃねぇか!」
「いや、片付けをさ・・・」
「お前・・・さては、知っているな?」
「何の事だかさっぱり分からんが・・・」
ギルマスがギロリと獣人達を見ると一斉に顔を背ける。
「そうかいそうかい・・・じゃ俺が知っているヤツの事はお前たちには教えてやらん」
バッと立ち上がりギルマスの左右の腕を掴むがガトー族の獣人アミスターとペロ族の獣人チャルタラン。
「私たちが知っている事を教える変わり、そちらの知っている事も全部教えて貰えるかしら?」
「おい、どうなっているんだ? この2人はなんだ。説明しろ」
やれやれと娼館の主が立ち上がる。
「まぁまぁ、2人とも落着け」
男達は全員顔見知りだ。
「お前まで絡んでいるのか?」
「ちょっとな。まぁ事件とかでは無い」
「「事件よ!」」
と騒ぎ出す獣人達。
「どっちなんだ」
と尋ねるギルマス。
みんなの話を面白そうに聞いているおばちゃん。
「俺が順を追って話そう」
宿屋の主が説明を始めた。
「見かけない色男が泊まりたいと俺の宿屋に来たから泊める手続きをして、女の手配もしてやろうとしたら、俺がピンハネするのがバレてよう、逆に向こうから提案して来やがったのさ。そんなに色男だと言うなら俺が用意する女に、一番高値を付けた女が奴を買えるってな。俺は面白れぇと思って知り合いの娼館の夫婦に話したわけさ」
「ココからは俺達が説明しよう」
そう言って娼館の夫婦が話し出す。
「俺達もコイツから話しを聞いて面白いと思ったが、実際の所、男を見て無かったから眉唾で用意したのさ。ただ、そいつが獣人を希望していたから、うちの1、2を争う美人の獣人2人を連れて来たんだがよ。まず、俺達夫婦で男を確かめて、言うほどでも無ければ帰るつもりだったが、こいつなんか見とれちまってよ」
「煩いねぇあんた。余計な事は言わなくていいだろ」
「まぁ、"それだけ"って事だ。で、この2人に決まって一晩のつもりが4日も帰ってこない。まぁ4日分の金は貰ったからいいが・・・そのあとこいつ等仕事を放棄しやがってよ。どうしたものか、ここで話していたわけさ」
「なるほど・・・モンドリアンは4日もこの町に居たのか・・・」
「あのぉ、そのモンドリアンって言うのは・・・」
「ん? ヤツの名前だ」
「そうなんだ。私達にはエルヴィーノとしか教えてくれなかったから・・・エルヴィーノ・モンドリアンって名前?」
「いや違う。正式にはエルヴィーノ・デ・モンドリアンだ」
「わっ何か、偉そう・・・」
「ウム。実際そうかも知れんぞ」
既に、ギルマス、おばちゃん、宿屋の主、娼館の夫婦、アミスターと、チャルタランがテーブルを囲んで話をしている。
「ギルドの登録では出身がメディテッラネウスで種族エルフになっている」
「エルフって金髪じゃ無いのか?」
宿屋の主が質問し、同意して頷く娼館の夫婦。
「そうだ、そして職業だ。ヤツはオスクロ・エチセロだ」
全員が首を傾げる。
「なんだそりゃ。レアな職種か?」
「多分俺だから解ったと思う」とギルマスが言う。
「説明してください」とアミスターとチャルタラン。
顔を近づけろと手招きするギルマスが説明する。
「俺の予想だが、ヤツはダークエルフだ」
「「知らなぁい」」
アミスターとチャルタランは興味なさそうにする。
他も首を横に振る。
「仕方ないか・・・よく聞けよ。ダークエルフは100年以上前に滅んだ種族だ。俺もギルドの文献でしか見た事が無い。奴らが何故滅んだのかは知らないが、奴らの好んで使う魔法がオスクロ・マヒアだ。その使い手をオスクロ・エチセロと言う。ギルドの文献に出ている魔法の中でもオスクロ・マヒアは膨大な魔素を使い、長い時間を掛けてレベルが上がると書いてある。俺は見てないが、実際の年齢は見た目よりもかなり上だと思うぞ」
そこまで言うと、おばちゃんが答える。
「思い出したよ、あの子もう俺1人だからエルフに直してくれって言うからエルフにしたの・・・」
上目使いでギルマスに甘えるおばちゃん。
「分かった分かった。もうするなよ。今の証言で確定した。俺の予想では奴はダークエルフで多分・・・王族だろう」
と言うギルマス。
「王族!」
飛び上がるアミスターとチャルタラン。
「あぁ~」
しょげて見つめ合う2人。
大物を逃してがっかりしている。
「でもチャルタラン・・・もしかしたら」
「えぇ・・・もしかしたら・・・フフフッ」
「で、だとしたらどうするんだ、ギルマスさんよ」
凄む娼館の主。
「決まっているだろう。うちのギルド専属になってもらうんだ。そして沢山子供を作ってもらう」
「「「「「「「その話乗ったぁ―――」」」」」」」
「「オイ」」
とギルマスがおばちゃんを、娼館の主が嫁を。
「良いじゃないか私達も賛成したって」
「賛成だけだぞ」
念を押される2人。
「まず俺から言わせてくれ」とギルマス。
「俺はゴルフィーニョのギルドを強くしたい。基本的にはそれだけだ。オスクロ・エチセロを見つけたのは良いが俺は合っていない。実際文献ではオスクロ・マヒアは最強の部類に入るらしい。そして子供を増やせば、いつかギルドの覇権を取る事が出来るかも知れん。まぁ俺の夢だがな」
「ギルマス、お前の考えに協力しよう」
娼館の主が賛同した。
「あれだけの色男に最強の魔法使いだと、いくら金を出しても子供を欲しがる女は沢山いるぜ」
「この町が有名になれば客も沢山くるな。俺も協力するぜ」
と宿屋の主。
「ちょっと、最初に子供を産むのは私たちかもしれないのよ。もっと優遇してよね」
「あっ、そうだったな。そうなればお前たち暫く仕事禁止だ」
「当たり前よ。今頃気づいたの?」
「どういう事だ?」
「解らないの? 私たちにはエルヴィーノの赤ちゃんがいるかもしれないのよ!」
「何ぃ―――!」驚くギルマス。
「なるほど、俺達の夢は既に走り出していたのか?」
全員が頷く。
「では、役割分担だ。実際合って話さないと解らんが、どんな提示で専属になってくれるかだ。後、当然ギルドとしてはこの宿に優先して客を回そう。ギルドが直接お前の娼館に客を回すのはまずいが宿屋経由なら問題ないだろう」
「あぁ俺達はそれで構わない」
と答える娼館の主。
「この町に居る限り女の手配をして子作りをしてもらう」
「ダメよ。私達がするの」
「お前たちが妊娠したら出来ねぇだろ」
「それは・・・」
「後は本人の居場所と本人の確認、オスクロ・マヒアを見てみたいなぁ」
「「「見たい見たい」」」
「よし、とりあえず近場の町のギルドに依頼を出そう。まてよ、俺みたいに気が付く奴が居るかもしれん」
「最近ギルドに入いられたモンドリアン様へ。重要な案件がございますので、至急ゴルフィーニョのギルドにお越しください。これでどう?」
とおばちゃんが言う。
「その名前、気づく奴が居るかもしれん」
「じゃエルヴィーノ様?」
「まだそっちの方が良いかもな。後はこの中では・・・」
ギルマスが娼館の主を見て問いかけた。
「直接探しに行くかだ」
「そいつは難しいな・・・」
「ウム、あんたが行けないなら誰も探しには行けんな。よし、では近場のギルドへ伝言を飛ばそう」
あとがき
本人の居ない所で盛り上がる話し。
よくありますね。
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