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第1章 エルフ国編

第18話 駆け引き

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数日前、親衛隊隊長の部下ミシェルに連絡をとり、ブリンクス王に相談したい事があるので王の都合の良い日で謁見の予約してもらうように王直属親衛隊隊長のジャックに伝言を依頼する。

約束の日時にロザリー、エルヴィーノ、エアハルト、グンデリック、ナタリーで王宮に向う。
ブリンクス王との面談はロザリーの挨拶から始まり順調に進んで行く。
王の前では、まだエアハルト、グンデリック、ナタリーを出さず奥で控えさせていた。
意を決してロザリーがブリンクス王に直訴する。

ロザリーがダークエルフであるエルヴィーノの全てを受け入れ現在一緒に生活をしている事。
そして離れられない関係である事も。
そこでロザリーが人払いをお願いし、エルヴィーノは頭巾を取る。
ブリンクス王は何も語らない・・・初めての親子の対面・・・のはずだ。
エルヴィーノには会った記憶が無かった。

「ブリンクス王。私とエルヴィーノの関係を認めてください」

ロザリーの問いかけにブリンクス王が答える。

「ロザリーよ。お前もエミリアンを亡くし辛い思いをしたはずだ。なぜ、寄りによってダークエルフと・・・」

ロザリーは考えてあった言葉を綴る。

「私の一目惚れです・・・。ブリンクス王! 私はすでにエルヴィーノの子を産んでおります」

「何ぃ!・・・」

熟考するエルフ王がしばしの沈黙後問いかけた。
「それで、どっちだ?」
控えているナタリーとグンデリックが産まれたばかりのエアハルトを連れてきた。
ブリンクス王は席を立ち近寄ってくる。
「おぉ! エルフではないか! 」
「ハイ義父おとう様、男の子ですわ。名はエアハルトと申します」
「そうか、エアハルトとな。ウム、ちょっと抱かせてくれるか?」
ヨシヨシと孫を抱くブリンクス王。

孫を抱いてあきらめたブリンクス王が話しかける。
「まず、エルヴィーノの事を知っているのはこれで全員か?」
「公爵家の物は全て身元のしっかりした、長年仕えている者ばかりです」
「そうか・・・それでお前たちはダークエルフの事をどこまで知っておる」
ロザリー達が知っていたのは、エルヴィーノ以外に数名が王宮から離れた場所に住んでいる程度だった。
「ウム。では、ロザリーよ。お前は今後どう考えているのだ? 」
ここまで来れば、後はロザリーの想定した要求である。息子の父親をブリンクス王と偽り、ロザリーの立場は現状のまま、エルヴィーノの事を不問にする。この3つである。
それを丁寧に説明するロザリーだった。

まず1つ目。
ブリンクス王の直系の孫に当たる子を、ブリンクス王の子と偽ってもそれほど問題ではないだろうと考えていた。
なので、ブリンクス王の子が誕生したと国民に通知したいと。
問題はブリンクス王の本当の子がダークエルフである事だ。
これは絶対に隠さなければならないとロザリーも認識している事。

2つ目。
ロザリーの立場だが、元々ブリンクス王の子に嫁いだ娘が公爵亡き後、爵位を継承し長きに渡り独り身を守ってきたが、ブリンクス王から情けを受けて身籠る。
世継ぎを産むもブリンクス王の息子の嫁なので身を引き表には出ない。
地位もそのままだがブリンクス王には後ろ楯になってもらう。と言う筋書き。

3つ目。
エルヴィーノと他のダークエルフの事。
エルヴィーノに限っては今まで通りロザリーと暮らす。
他のダークエルフはブリンクス王とロザリーで管理する。
これは愛する男の母親に対する気遣いとブリンクス王とダークエルフの橋となるための提案である。

これらの見返りとして、地位の安定、資金の提供、様々な懸案に対しての優遇処置と、これらの事を証拠として残して欲しいと。
当然そうなれば如何なる場合でも、我が一族(実家含む)はブリンクス王の味方をすると。

ブリンクス王は理解し、親衛隊隊長のジャック、部下ミシェル、ロザリー、エルヴィーノ、ナタリー、グンデリックの顔を見て問いただす。

「この件に異議の有る者は申し出よ」

・・・・・・・・

「では、誰も異議が無いとしてロザリーの意見を採用する」

「えっ」
ロザリーは驚いた。
まさかこんなにあっさりと終わってしまうとは思ってもいなかった。
もっと違う案がブリンクス王から出されたり、親衛隊隊長のジャックが異議を申し立てると考えていたからだ。
ちょっと拍子抜けな感じもするが良しとしよう。
後は根回しだ。

ロザリーは親衛隊隊長のジャックに話しかけてみる。
「今後の王宮内での対応について相談したいのですが・・・」

「あぁ心配しなくても大丈夫だ。我ら親衛隊はブリンクス王と王族を守るのが役目であります。容姿がエルフのエアハルト様に至っては何の問題もありません。私はエルヴィーノ様も同様に考えていますが、如何せん他のエルフは外観で判断する者が多くエルヴィーノ様は不自由な立場にいらっしゃるので心中お察しします」

その言葉を聞いたロザリーは、随分と私達寄りの考えでいると察した。

ブリンクス王から「皆が王宮に来ると目立つので、孫を見に私が公爵家に伺っても良いか?」
「ハイ、いつでもお越しください」と笑顔で答えるロザリーだった。










あとがき
企みが思い通りになって喜ぶロザリーだった。
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