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第四章 過去の真実と未来への希望
第84話 新たな嫉妬
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そこは監視対象者とパウリナの婚姻式で、祝福に訪れた来賓を招く謁見会場だった。
「みんな、実はもう1人どうしても合わせたい者がいるので呼ぶけど良いか? この国にとって、俺にとって、パウリナにとって、運命的な出会いを齎してくれた者を紹介しよう。どうぞ!」
何も無い場所に忽然と現れた男は微笑んでいた。
(姫様。久しぶりだね)
ハッとしたパウリナはそれが念話だと直ぐに理解した。
(もしかしてコラソンなの?)
(ああ、そうだよ。ぼくも成長したんだよ)
駆け寄るパウリナ。
(立派になったわ。素敵よコラソン)
(ハハハッありがとう。ところで念話だと君のご両親が不思議がって見ているけど良いの?)
「コラソン! 無事で良かったわ」
手を取りあって話す2人。
「龍人の腕輪は気に入って貰えたかい?」
「ええっ本当にありがとうコラソン」
しばしパウリナとコラソンが想い出話しに花を咲かせていたが、続きは監視室でしようと提案を受けて納得した。
そしてコラソンから2人に提案を告げた。
「2人に紹介したい者がいます。その者は新たに作る棘城にとても役に立つと思う者ですが、良いですか?」
一同はうなづいた。
「では、この地域の妖精王を紹介しましょう」
「何ぃぃ! 妖精王だとおぉぉ!」
先代獣王が突っ込んできた。
「そっ、それはあの幻の島に居ると言うアレか!」
「ええ、そうです。では来てください」
再度、空間が歪み中からコラソンと同等の背丈の美しい女性が現れた。
妖精王の周りには羽の生えた小さな妖精が飛び回っており纏わりついているようにしか見えないが、警護しているのだと後から聞いた。
監視対象者の前に近づいて膝まづく。
「初めまして黒竜王様。私は聖妖輪廻華王のヴィオレタ・ルルディと申します。代々転生を繰り返し、棘王を見守ってきた妖精の主でございます。この度は棘王を滅ぼしていただいて誠に感謝しております。つきましてはお礼をしたいのですが何なりとお申し付けください」
紫色の巻き毛が胸部を隠すほど長く、薄紫の瞳が妖艶な面持ちで監視対象者達と同じ背丈になった背中には羽が無い。
「参ったなぁ」
いきなりそんな事を言われても新妻と相談するが特に欲しいモノは無く、ふと思った事を振り向きながら言ってしまった。
「妖精の”カラダ”って結構大きいんだね」
パウリナに言ったつもりが、驚いたルルディは思った。
(からだ! 私の身体を差し出せと言うのか!)
その場と”物がモノだけに”コラソンと念話していたルルディ。
(仕方ないですね。モンドリアンさんがそんな趣味だとは知りませんでしたよ。しかしながら良いでしょう。ルルディを好きにしてください貴男の僕として、性奴隷にしても構いませんよ)
ニヤニヤと笑うコラソンが念話で監視対象者とパウリナに話していた。
「ちょっと待て、一体何の話しだ」
(モンドリアンさんの言霊はコラソンの名に置いて契約されました。今後聖妖輪廻華王ヴィオレタ・ルルディは貴男の性奴隷として従うでしょう)
「はぁぁ?!」
睨むパウリナ。
「ちっ、違う、俺は無実だ」
ヴィオレタ・ルルディは頬を染めて上目使いで監視対象者を見ていた。
そこからドタバタの騒ぎになるが、念話で聞かれたのがパウリナだけだから良かった。
周りには何を騒いでいるのか解らなかったらしい。
翌日にはアルセ・ティロと対面し、全員で聖魔法王国に見学しに行った。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
「ルルディ。お前の住家決まったぞ」
「本当ですか? コラソン様」
「この塔は下界での職場としようかな。替わりの住家だが、モンドリアンさんが”お前の為に”わざわざ用意してくれた物だ」
「そっそんなぁ」
真っ赤になった妖精王を見て楽しんでいるコラソン。
「そこは、ここと同じく転移でしか行けない場所だけど、私とモンドリアンさんとルルディだけの秘密になったから」
そう言うと嬉しそうに微笑んでみせた。
「では早速だが行こう。おっと、言い忘れる所だ。その場所は三人で生活する場所になるので、寝室は私の場所と”2人の場所”は離れて配置するように」
見る見る内に真っ赤になるルルディを気にも留めず転移しようとするコラソン。
「では行くぞ」
2人でエスパシオ・ギガンテスコの別空間に漂う石作りの4階建ての建物の中に転移したのだった。
「ここは四階分有るし広いからいいな。しかし、無重力はイカン」
コラソンは建物の外に出て大地に面していた所に立ち、重力制御の魔法陣を使った。
すると中から「キャァ」と妖精の声がしたが気にせずに歩いて行く。
「これで暮らしやすくなるだろう」
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
僅かな時間差で龍国のテネブリスとアルブマに報告が入った。
「ロサァァァッ!! 何て事をしてくれたのぉぉぉ!!」
「でもお姉様、ロサのする事は”何でも”許してあげるのでしょう?」
「それとこれとは話しが別よっ!!」
「でもお姉様がそんな事を言うとロサが悲しむと思うわ」
「!!・・・ぬぐぐぐぐぅぅぅっ」
苦悶の表情でアルブマを睨むテネブリス。
「とにかく、あの2人を至急呼び寄せて!! 私は外郭に行ってくるからっ」
そう言い残して消えたテネブリス。
「ふぅ。お姉様も、ロサも、困ったものねぇ・・・」
Epílogo
調整役のアルブマ。
「みんな、実はもう1人どうしても合わせたい者がいるので呼ぶけど良いか? この国にとって、俺にとって、パウリナにとって、運命的な出会いを齎してくれた者を紹介しよう。どうぞ!」
何も無い場所に忽然と現れた男は微笑んでいた。
(姫様。久しぶりだね)
ハッとしたパウリナはそれが念話だと直ぐに理解した。
(もしかしてコラソンなの?)
(ああ、そうだよ。ぼくも成長したんだよ)
駆け寄るパウリナ。
(立派になったわ。素敵よコラソン)
(ハハハッありがとう。ところで念話だと君のご両親が不思議がって見ているけど良いの?)
「コラソン! 無事で良かったわ」
手を取りあって話す2人。
「龍人の腕輪は気に入って貰えたかい?」
「ええっ本当にありがとうコラソン」
しばしパウリナとコラソンが想い出話しに花を咲かせていたが、続きは監視室でしようと提案を受けて納得した。
そしてコラソンから2人に提案を告げた。
「2人に紹介したい者がいます。その者は新たに作る棘城にとても役に立つと思う者ですが、良いですか?」
一同はうなづいた。
「では、この地域の妖精王を紹介しましょう」
「何ぃぃ! 妖精王だとおぉぉ!」
先代獣王が突っ込んできた。
「そっ、それはあの幻の島に居ると言うアレか!」
「ええ、そうです。では来てください」
再度、空間が歪み中からコラソンと同等の背丈の美しい女性が現れた。
妖精王の周りには羽の生えた小さな妖精が飛び回っており纏わりついているようにしか見えないが、警護しているのだと後から聞いた。
監視対象者の前に近づいて膝まづく。
「初めまして黒竜王様。私は聖妖輪廻華王のヴィオレタ・ルルディと申します。代々転生を繰り返し、棘王を見守ってきた妖精の主でございます。この度は棘王を滅ぼしていただいて誠に感謝しております。つきましてはお礼をしたいのですが何なりとお申し付けください」
紫色の巻き毛が胸部を隠すほど長く、薄紫の瞳が妖艶な面持ちで監視対象者達と同じ背丈になった背中には羽が無い。
「参ったなぁ」
いきなりそんな事を言われても新妻と相談するが特に欲しいモノは無く、ふと思った事を振り向きながら言ってしまった。
「妖精の”カラダ”って結構大きいんだね」
パウリナに言ったつもりが、驚いたルルディは思った。
(からだ! 私の身体を差し出せと言うのか!)
その場と”物がモノだけに”コラソンと念話していたルルディ。
(仕方ないですね。モンドリアンさんがそんな趣味だとは知りませんでしたよ。しかしながら良いでしょう。ルルディを好きにしてください貴男の僕として、性奴隷にしても構いませんよ)
ニヤニヤと笑うコラソンが念話で監視対象者とパウリナに話していた。
「ちょっと待て、一体何の話しだ」
(モンドリアンさんの言霊はコラソンの名に置いて契約されました。今後聖妖輪廻華王ヴィオレタ・ルルディは貴男の性奴隷として従うでしょう)
「はぁぁ?!」
睨むパウリナ。
「ちっ、違う、俺は無実だ」
ヴィオレタ・ルルディは頬を染めて上目使いで監視対象者を見ていた。
そこからドタバタの騒ぎになるが、念話で聞かれたのがパウリナだけだから良かった。
周りには何を騒いでいるのか解らなかったらしい。
翌日にはアルセ・ティロと対面し、全員で聖魔法王国に見学しに行った。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
「ルルディ。お前の住家決まったぞ」
「本当ですか? コラソン様」
「この塔は下界での職場としようかな。替わりの住家だが、モンドリアンさんが”お前の為に”わざわざ用意してくれた物だ」
「そっそんなぁ」
真っ赤になった妖精王を見て楽しんでいるコラソン。
「そこは、ここと同じく転移でしか行けない場所だけど、私とモンドリアンさんとルルディだけの秘密になったから」
そう言うと嬉しそうに微笑んでみせた。
「では早速だが行こう。おっと、言い忘れる所だ。その場所は三人で生活する場所になるので、寝室は私の場所と”2人の場所”は離れて配置するように」
見る見る内に真っ赤になるルルディを気にも留めず転移しようとするコラソン。
「では行くぞ」
2人でエスパシオ・ギガンテスコの別空間に漂う石作りの4階建ての建物の中に転移したのだった。
「ここは四階分有るし広いからいいな。しかし、無重力はイカン」
コラソンは建物の外に出て大地に面していた所に立ち、重力制御の魔法陣を使った。
すると中から「キャァ」と妖精の声がしたが気にせずに歩いて行く。
「これで暮らしやすくなるだろう」
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
僅かな時間差で龍国のテネブリスとアルブマに報告が入った。
「ロサァァァッ!! 何て事をしてくれたのぉぉぉ!!」
「でもお姉様、ロサのする事は”何でも”許してあげるのでしょう?」
「それとこれとは話しが別よっ!!」
「でもお姉様がそんな事を言うとロサが悲しむと思うわ」
「!!・・・ぬぐぐぐぐぅぅぅっ」
苦悶の表情でアルブマを睨むテネブリス。
「とにかく、あの2人を至急呼び寄せて!! 私は外郭に行ってくるからっ」
そう言い残して消えたテネブリス。
「ふぅ。お姉様も、ロサも、困ったものねぇ・・・」
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調整役のアルブマ。
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