75 / 98
第四章 過去の真実と未来への希望
第75話 監視対象者との邂逅
しおりを挟む
テネブリスは前回の一件から、フィドキアが入手した情報で重要度が高いと判断した場合は、即座に念話で報告するように指示していたのだった。
(我が神よ、宜しいでしょうか?)
(あらフィドキア、何か有ったのかしら?)
(はっ、お耳に入れた方が良い件が御座います)
(何かしら、話して頂戴)
(はっ、アルブマ様の眷族の末裔が”かの男”に求婚を迫っており、半ば承諾した様子でございます)
(なっ・・・)
テネブリスは憤怒の表情だった。
(ころせ・・・)
(は?)
(例の魔物を使って襲わせろ!!)
(しかし・・・畏まりました。魔物を向かわせます)
フィドキアが躊躇したのは、襲わせる場所に神が大事にしている男がいるからだ。
しかも宗教関係者はアルブマの眷族の末裔であることも知っているからだが、瞬時に否定し、神の言葉を最優先させた。
(あの者ならば、ある程度の魔物など造作も無いはずだ・・・)
念話を終え、大声で叫ぶテネブリスだった。
眷族達が先走った行動に出たが、姉の眷族と交配させると言う嬉しい計画を聞いて満面の笑みを浮かべていたアルブマに大声が聞こえた。
「アルブマァァァァ!! 外郭に行くわぁ!!」
その言葉に驚いたが、既に姉の姿は無かった。
「やっぱり怒ってたのねぇ・・・」
そして時間差で、ラソンからオルキス、ベルス経由でフィドキアからテネブリスに伝わった情報を聞いたアルプマだった。
(それは・・・不味いわ。只でさえ”お兄ちゃん”の浮気で激怒していたのに、私の末裔が求婚させるなんて・・・でもここを乗り切ればお姉様と混じり合う事が出来るわ・・・ウフッ)
姉の怒りを抑えるよりも自らの欲望を優先するアルブマだ。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
テネブリスが外郭で暴れている一方で、下界では出会いが有った。
フィドキアとラソンが監視対象者を観察する為に作った地下施設は上部を迷宮にしていたため、何故か監視対象者が迷宮を突破して訪れていたのだった。
「ふむ、やはりあの程度の魔物では壁にもならんか」
「どうするの、フィドキア」
「良い機会だ、ここに通せばよかろう」
「ではわたくし達の事を教えても良いのね?」
「ふむ、いずれ話さなければならない事実だ。予定には無かったが、向こうからこの場所を探り当てたのなら誉めてやろうではないか」
「あら、随分と優しいのね」
「ふん」
「では扉を開けるわ」
フィドキアとラソンの前に監視対象者と、ラソンとインスティントの末裔を交配させた女性が現れた。
「ようこそ監視室へ。2人を待っていたわ、さぁこちらの椅子に掛けてください」
2人は驚き戸惑っている。
「初めまして、わたくしはラソンよ。貴方達の事は良く存じていますわ。」
「あのぉこの迷宮の底で、あなた達は何をされているのですか?」
「その質問には我が答えよう」
「フィドキア! 何故ここに居る」
「又会ったな。今は待て、戦いの時では無い」
「随分と勝手な事を言うな、フィドキア」
「わたくしからもお願いしますわ。今回は2人に私たちの事を説明したいのです」
「わたくしの事が解りますか?」
暫らく考える様に沈黙していたが女性が話し出した。
「聖魔法王国の最も神聖なる場所であり崇拝の対象物、”神の坐する場所”の壁に掛けてある絵に私達の神と使者の方達が描かれています。あのぉ・・・貴女はその中の1人と良く似ていますが・・・」
「ええ・・・そうね。あの絵は後世に掛かれた物だけど、わたくしが時の教祖に言って修正させたのよ。最初の絵は記憶を頼りに口頭で説明して絵師に描かせた物だったから・・・余り似ていなかったの。描かれている人物は全部で3人でしょ?」
「ハイ」
「わたくしは右端に居るわ」
「ハイ。では、貴女は龍人で・・・」
「フフフッそうよ。わたくしは我らが神、聖白龍アルブマ・クリスタ様の僕、龍人のラソンです」
「説明してもらおうかフィドキア」
「何をだ?」
「お前がエルフの国を襲った理由だ」
「・・・分かった。説明はするが、今は出来ん」
「それは、しないと同じことだぞ!」
「では、こうしよう。説明は、エルフの街を我に襲えと指示した者にしてもらおう」
「何ぃ? それは・・・お前よりも高位の存在か?」
「当然だ」
「何故今話せない」
「今はその時では無いからだ」
「・・・さっきラソンが言っていたような龍の存在がお前を動かしているのか?」
「ラソンの言葉を借りるなら、お前たちダークエルフの先祖は・・・我の種族だ」
「何ぃ!」
「驚いたか?」
「本当か?」
「勿論だ。信じるか信じないかはお前の自由だが・・・そうだな・・・後で魔法を教えてやろう」
「こんな所で何をしていたんだ?」
「監視だ」
「何の?」
「地上の監視だ」
「話しをもどすが、先日の魔物の大群の事は見ていたのか?」
自らの神の命令で”お前達を襲え”と指示が有った事は伏せた。
「当然、見知っている」
「では何故対処しなかった?」
「お前が居たからな。我らは監視する者だ。我らが直接手を出すのはよっぽどの事が起きなければ無い」
「エルフの街を襲ったのは、よっぽどの事か?」
「その通りだ」
「ラソンはどうも思わないのか?」
「何が?」
「自分の子孫が同じ龍人に襲われた事に対してだ」
こそは、間髪入れずにキッパリと言い切るラソンだ。
「無いわ。わたくし達にはエルフや王国の者よりも、大切な意思があるの。例えエルフや王国の者が滅びても、その意思の指示の元で私達は動いているのよ」
「「・・・・・」」
「まぁ、そんなにしょげるな。良い物を授けよう。魔法も後で教えるが、これをお前たちにやろう。我らはお前たちと敵対しない。むしろ友好関係を築きたいと思っている。その証しとして龍人の腕輪を与えよう。我らからはお前たちが何処に居ようとも居場所が解り、お前たちの呼び出しで転移して現れよう」
様々な魔法の伝授と自らを召喚できる魔法陣が付与された腕輪を与えた2人だった。
Epílogo
真実は伏せられたまま。
(我が神よ、宜しいでしょうか?)
(あらフィドキア、何か有ったのかしら?)
(はっ、お耳に入れた方が良い件が御座います)
(何かしら、話して頂戴)
(はっ、アルブマ様の眷族の末裔が”かの男”に求婚を迫っており、半ば承諾した様子でございます)
(なっ・・・)
テネブリスは憤怒の表情だった。
(ころせ・・・)
(は?)
(例の魔物を使って襲わせろ!!)
(しかし・・・畏まりました。魔物を向かわせます)
フィドキアが躊躇したのは、襲わせる場所に神が大事にしている男がいるからだ。
しかも宗教関係者はアルブマの眷族の末裔であることも知っているからだが、瞬時に否定し、神の言葉を最優先させた。
(あの者ならば、ある程度の魔物など造作も無いはずだ・・・)
念話を終え、大声で叫ぶテネブリスだった。
眷族達が先走った行動に出たが、姉の眷族と交配させると言う嬉しい計画を聞いて満面の笑みを浮かべていたアルブマに大声が聞こえた。
「アルブマァァァァ!! 外郭に行くわぁ!!」
その言葉に驚いたが、既に姉の姿は無かった。
「やっぱり怒ってたのねぇ・・・」
そして時間差で、ラソンからオルキス、ベルス経由でフィドキアからテネブリスに伝わった情報を聞いたアルプマだった。
(それは・・・不味いわ。只でさえ”お兄ちゃん”の浮気で激怒していたのに、私の末裔が求婚させるなんて・・・でもここを乗り切ればお姉様と混じり合う事が出来るわ・・・ウフッ)
姉の怒りを抑えるよりも自らの欲望を優先するアルブマだ。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
テネブリスが外郭で暴れている一方で、下界では出会いが有った。
フィドキアとラソンが監視対象者を観察する為に作った地下施設は上部を迷宮にしていたため、何故か監視対象者が迷宮を突破して訪れていたのだった。
「ふむ、やはりあの程度の魔物では壁にもならんか」
「どうするの、フィドキア」
「良い機会だ、ここに通せばよかろう」
「ではわたくし達の事を教えても良いのね?」
「ふむ、いずれ話さなければならない事実だ。予定には無かったが、向こうからこの場所を探り当てたのなら誉めてやろうではないか」
「あら、随分と優しいのね」
「ふん」
「では扉を開けるわ」
フィドキアとラソンの前に監視対象者と、ラソンとインスティントの末裔を交配させた女性が現れた。
「ようこそ監視室へ。2人を待っていたわ、さぁこちらの椅子に掛けてください」
2人は驚き戸惑っている。
「初めまして、わたくしはラソンよ。貴方達の事は良く存じていますわ。」
「あのぉこの迷宮の底で、あなた達は何をされているのですか?」
「その質問には我が答えよう」
「フィドキア! 何故ここに居る」
「又会ったな。今は待て、戦いの時では無い」
「随分と勝手な事を言うな、フィドキア」
「わたくしからもお願いしますわ。今回は2人に私たちの事を説明したいのです」
「わたくしの事が解りますか?」
暫らく考える様に沈黙していたが女性が話し出した。
「聖魔法王国の最も神聖なる場所であり崇拝の対象物、”神の坐する場所”の壁に掛けてある絵に私達の神と使者の方達が描かれています。あのぉ・・・貴女はその中の1人と良く似ていますが・・・」
「ええ・・・そうね。あの絵は後世に掛かれた物だけど、わたくしが時の教祖に言って修正させたのよ。最初の絵は記憶を頼りに口頭で説明して絵師に描かせた物だったから・・・余り似ていなかったの。描かれている人物は全部で3人でしょ?」
「ハイ」
「わたくしは右端に居るわ」
「ハイ。では、貴女は龍人で・・・」
「フフフッそうよ。わたくしは我らが神、聖白龍アルブマ・クリスタ様の僕、龍人のラソンです」
「説明してもらおうかフィドキア」
「何をだ?」
「お前がエルフの国を襲った理由だ」
「・・・分かった。説明はするが、今は出来ん」
「それは、しないと同じことだぞ!」
「では、こうしよう。説明は、エルフの街を我に襲えと指示した者にしてもらおう」
「何ぃ? それは・・・お前よりも高位の存在か?」
「当然だ」
「何故今話せない」
「今はその時では無いからだ」
「・・・さっきラソンが言っていたような龍の存在がお前を動かしているのか?」
「ラソンの言葉を借りるなら、お前たちダークエルフの先祖は・・・我の種族だ」
「何ぃ!」
「驚いたか?」
「本当か?」
「勿論だ。信じるか信じないかはお前の自由だが・・・そうだな・・・後で魔法を教えてやろう」
「こんな所で何をしていたんだ?」
「監視だ」
「何の?」
「地上の監視だ」
「話しをもどすが、先日の魔物の大群の事は見ていたのか?」
自らの神の命令で”お前達を襲え”と指示が有った事は伏せた。
「当然、見知っている」
「では何故対処しなかった?」
「お前が居たからな。我らは監視する者だ。我らが直接手を出すのはよっぽどの事が起きなければ無い」
「エルフの街を襲ったのは、よっぽどの事か?」
「その通りだ」
「ラソンはどうも思わないのか?」
「何が?」
「自分の子孫が同じ龍人に襲われた事に対してだ」
こそは、間髪入れずにキッパリと言い切るラソンだ。
「無いわ。わたくし達にはエルフや王国の者よりも、大切な意思があるの。例えエルフや王国の者が滅びても、その意思の指示の元で私達は動いているのよ」
「「・・・・・」」
「まぁ、そんなにしょげるな。良い物を授けよう。魔法も後で教えるが、これをお前たちにやろう。我らはお前たちと敵対しない。むしろ友好関係を築きたいと思っている。その証しとして龍人の腕輪を与えよう。我らからはお前たちが何処に居ようとも居場所が解り、お前たちの呼び出しで転移して現れよう」
様々な魔法の伝授と自らを召喚できる魔法陣が付与された腕輪を与えた2人だった。
Epílogo
真実は伏せられたまま。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】番を監禁して早5年、愚かな獣王はようやく運命を知る
紺
恋愛
獣人国の王バレインは明日の婚儀に胸踊らせていた。相手は長年愛し合った美しい獣人の恋人、信頼する家臣たちに祝われながらある女の存在を思い出す。
父が他国より勝手に連れてきた自称"番(つがい)"である少女。
5年間、古びた離れに監禁していた彼女に最後の別れでも伝えようと出向くと、そこには誰よりも美しく成長した番が待ち構えていた。
基本ざまぁ対象目線。ほんのり恋愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる