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第四章 過去の真実と未来への希望
第72話 罪と罰
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「・・・お前達には罰を与える」
黒づくめの男が言い放った言葉には男達の抵抗心を掻き消し純粋な心に楔を打つかのように深く・・・深く刻まれた。
ガックリと膝を付き呆然とする者。
嗚咽交じりで大地に塞ぎ込む者。
立ったまま大声で泣き喚く者。
手を握りグッと歯を食いしばって我慢する者など様々だった。
その中で頭目らしき男はエルフの依頼を受けた事が原因だと理解しているものの涙目で黒づくめの男に反論した。
「俺達が一体何をしたと言うんだ!!」
「お前達の罪は・・・知る必要は無い」
下界の者達に神の話しをしても無意味だと考えた龍人だ。
「そっ、そんな・・・何も解らないまま罰を受けるのか!?」
フィドキアの素っ気ない回答に愕然とする頭目に反して、やけになった配下の男が動いた。
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
持っていた剣を抜き、フィドキアに襲い掛かった。
瞬間、ゴォッと豪風音がして横に飛ばされた
ザザァァァァッと横滑りした男は蠢いていた。
別の男が見に行くと体の左半分が窪み生きているのが不思議な状態で、とても手を出せる状態では無かった。
「あらあら、随分と無謀な事をしたわねぇ。痛いでしょう、直ぐに楽にしてあげるわ」
突然、そこに今まで居なかった女性の声がした。
息も絶え絶えに今にも死にそうな男は涙目に神の姿を見たと思い込んでいた。
ラソンが手を翳すと、男の身体が見る見るうちに元に戻っていった。
「ああぁっ女神よぉ!! ありがとうございますぅぅ!!」
一方の黒づくめの男が質問していた。
「一応確認だが、お前達に依頼したのは誰だ?」
「俺達が口を割るとでも思うのか?」
「・・・ではこうしよう。お前達の応え次第では直ぐに死ぬか、”しばらく生きている”か変わって来るぞ」
「・・・」
「あ、アニキ・・・」
手下たちが頭目の顔色を見ていた。
「チッ、俺達を雇ったのはエルフの伯爵だ!」
「ふむ、それは男なのか? それとも女なのか?」
「伯爵は女だ」
「・・・良いだろう、我が与えるお前達の罰は、この”迷宮”で永遠に生きるのだ。決して外に出る事も死ぬ事も無い」
「はぁぁ!? 何言ってんだ、あんた! それにここは迷宮なのかぁ!?」
「そうよ、あなた達には侵入者と戦ってもらいたいの」
ゆっくりと歩くラソンの後ろには先程の男が付き従っていた。
「でも、その身なりでは強そうじゃないわねぇ・・・」
「ふむ、では始めるか」
まずはフィドキアが何かの魔法陣を発動させた。
男達を包む魔法陣は、温かく攻撃性の物では無いと即座に感じ取った頭目だった。
輝きが消え魔法陣が消え去ると黒づくめの男が問うてきた。
「さて、どんな気分だ不死になった身体は?」
「「「なんだとぉぉぉ!!」」」
「さっき言っただろう。お前達は永遠に生きるのだからな」
「馬鹿な!! ありえんっ!!」
「でもアニキィ、剣で切られたらどうなるんだろう?」
手下の質問に答えるフィドキアだ。
「例え、首を刎ねたとしても、消し炭に成ろうとも、しばらくすれば元に戻る」
「・・・信じられん・・・」
「時間はたっぷりとあるから自分達で試すと良かろう」
「じゃ仕上げをするわね」
「まだ何かするのか!?」
仲間の女が何かするので恐ろしくなった頭目だった。
「今のあなた達では弱すぎるから、魔物になって少しは強くなってもらいまぁす」
男達は、女の話した”意味”が理解出来なかった。
「では」
その言葉の後、先程と同様の魔法陣が発動した。
だが、男達は即座に理解した。
自らの体が見る見るうちに変わっている事に気付いたのだ。
腕が太くなり、身体も大きくなって目線が高くなった。
周りを見ると悍ましい化け物が数体、自分と同じ様に驚いている様子だった。
魔法陣が集束すると、周りには見た事も無い魔物が数体いで喚いていた。
「お前達は種族の言葉を話す事は出来ないが、聞き取ることは出来る。そしてお前達同志が念話で話す事も可能にしてある」
目の前の魔物達からは叫び者や、うめき声をたて泣いている魔物もいた。
「ハイハイ、皆さんじゃぁねぇ。あっそうだわ、あなた達はもう食事も必要無いからね。それと階段が有るけど、あなた達は通れないから無駄な事はしないようにね。この階層を頼むわねぇ」
そう言って女が歩き出した。
「最後に我らは二度とお前達に会う事は無い」
黒づくめの男が言い放つと女の後を追い、階層の端にある階段を下りて行った。
(アニキィィィ!)
(御頭ぁぁぁ!)
(うおぉぉぉぉぉ!)
(うっうううぅぅぅ・・・)
(なんてこった・・・)
途方に暮れる元男達は魔物として迷宮で永遠に生き続ける事となった。
(どうしてっ)
(クソッ)
(チクショォォォォォ!!)
(ウッウッ・・・)
(本当に元に戻れないのかなぁ?)
Epílogo
この迷宮と魔物は、あの・・・のアソコに出てくるアレですね。
黒づくめの男が言い放った言葉には男達の抵抗心を掻き消し純粋な心に楔を打つかのように深く・・・深く刻まれた。
ガックリと膝を付き呆然とする者。
嗚咽交じりで大地に塞ぎ込む者。
立ったまま大声で泣き喚く者。
手を握りグッと歯を食いしばって我慢する者など様々だった。
その中で頭目らしき男はエルフの依頼を受けた事が原因だと理解しているものの涙目で黒づくめの男に反論した。
「俺達が一体何をしたと言うんだ!!」
「お前達の罪は・・・知る必要は無い」
下界の者達に神の話しをしても無意味だと考えた龍人だ。
「そっ、そんな・・・何も解らないまま罰を受けるのか!?」
フィドキアの素っ気ない回答に愕然とする頭目に反して、やけになった配下の男が動いた。
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
持っていた剣を抜き、フィドキアに襲い掛かった。
瞬間、ゴォッと豪風音がして横に飛ばされた
ザザァァァァッと横滑りした男は蠢いていた。
別の男が見に行くと体の左半分が窪み生きているのが不思議な状態で、とても手を出せる状態では無かった。
「あらあら、随分と無謀な事をしたわねぇ。痛いでしょう、直ぐに楽にしてあげるわ」
突然、そこに今まで居なかった女性の声がした。
息も絶え絶えに今にも死にそうな男は涙目に神の姿を見たと思い込んでいた。
ラソンが手を翳すと、男の身体が見る見るうちに元に戻っていった。
「ああぁっ女神よぉ!! ありがとうございますぅぅ!!」
一方の黒づくめの男が質問していた。
「一応確認だが、お前達に依頼したのは誰だ?」
「俺達が口を割るとでも思うのか?」
「・・・ではこうしよう。お前達の応え次第では直ぐに死ぬか、”しばらく生きている”か変わって来るぞ」
「・・・」
「あ、アニキ・・・」
手下たちが頭目の顔色を見ていた。
「チッ、俺達を雇ったのはエルフの伯爵だ!」
「ふむ、それは男なのか? それとも女なのか?」
「伯爵は女だ」
「・・・良いだろう、我が与えるお前達の罰は、この”迷宮”で永遠に生きるのだ。決して外に出る事も死ぬ事も無い」
「はぁぁ!? 何言ってんだ、あんた! それにここは迷宮なのかぁ!?」
「そうよ、あなた達には侵入者と戦ってもらいたいの」
ゆっくりと歩くラソンの後ろには先程の男が付き従っていた。
「でも、その身なりでは強そうじゃないわねぇ・・・」
「ふむ、では始めるか」
まずはフィドキアが何かの魔法陣を発動させた。
男達を包む魔法陣は、温かく攻撃性の物では無いと即座に感じ取った頭目だった。
輝きが消え魔法陣が消え去ると黒づくめの男が問うてきた。
「さて、どんな気分だ不死になった身体は?」
「「「なんだとぉぉぉ!!」」」
「さっき言っただろう。お前達は永遠に生きるのだからな」
「馬鹿な!! ありえんっ!!」
「でもアニキィ、剣で切られたらどうなるんだろう?」
手下の質問に答えるフィドキアだ。
「例え、首を刎ねたとしても、消し炭に成ろうとも、しばらくすれば元に戻る」
「・・・信じられん・・・」
「時間はたっぷりとあるから自分達で試すと良かろう」
「じゃ仕上げをするわね」
「まだ何かするのか!?」
仲間の女が何かするので恐ろしくなった頭目だった。
「今のあなた達では弱すぎるから、魔物になって少しは強くなってもらいまぁす」
男達は、女の話した”意味”が理解出来なかった。
「では」
その言葉の後、先程と同様の魔法陣が発動した。
だが、男達は即座に理解した。
自らの体が見る見るうちに変わっている事に気付いたのだ。
腕が太くなり、身体も大きくなって目線が高くなった。
周りを見ると悍ましい化け物が数体、自分と同じ様に驚いている様子だった。
魔法陣が集束すると、周りには見た事も無い魔物が数体いで喚いていた。
「お前達は種族の言葉を話す事は出来ないが、聞き取ることは出来る。そしてお前達同志が念話で話す事も可能にしてある」
目の前の魔物達からは叫び者や、うめき声をたて泣いている魔物もいた。
「ハイハイ、皆さんじゃぁねぇ。あっそうだわ、あなた達はもう食事も必要無いからね。それと階段が有るけど、あなた達は通れないから無駄な事はしないようにね。この階層を頼むわねぇ」
そう言って女が歩き出した。
「最後に我らは二度とお前達に会う事は無い」
黒づくめの男が言い放つと女の後を追い、階層の端にある階段を下りて行った。
(アニキィィィ!)
(御頭ぁぁぁ!)
(うおぉぉぉぉぉ!)
(うっうううぅぅぅ・・・)
(なんてこった・・・)
途方に暮れる元男達は魔物として迷宮で永遠に生き続ける事となった。
(どうしてっ)
(クソッ)
(チクショォォォォォ!!)
(ウッウッ・・・)
(本当に元に戻れないのかなぁ?)
Epílogo
この迷宮と魔物は、あの・・・のアソコに出てくるアレですね。
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