能力者は現在に

わまり

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喋らない双子 2

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凛が目を覚ます。
(おはよ、理乃)

(やっと起きたの、ご飯作ったよ)

(わかった、下りるね)


(休みだからってゴロゴロしちゃだめだよ?)

(わかってるよ)

傍から見たら無言だろう。
しかし、しっかりと会話はされているのだ。

(日直だから先行ってくるー!)

(うん、じゃあ後で私は行くね)

(行ってきます!)
と、凛はドアを開け駆け出す。

早く来ていたクラスメイトが話しかけてくる。
「ねえ凛ちゃん、理乃ちゃんと喧嘩してる?」

驚いて振り向いた。
「え?そんな事ないよ?なんで?」

「だっていつも一緒なのに話さないじゃん」

「そうかな…家では喋るよ。」

「そっか、それならいいんだけど」

そうか、喋ってないから喧嘩と思われてるのか。でも喧嘩なんてあれからした事無い。

「喧嘩なんてしないよ、理乃は大好きなんだもん。」

「ふふ、ほんと仲いいんだね」

「うん!繋がっているの!」

少し嬉しくなった。
やっぱりもやもやなんて気のせいだったんだ。


12時、今まで1度も理乃が話しかけてこなかった。まあテレパシーだが。
しかしこれまでにそんな事は1度も無かった。心配症の理乃だ。なにかあったのでは?
不吉な予感が頭をよぎる。
(理乃?)
しばらくするが、なにも返ってこない。

(理乃!どうしたの?理乃?)
だめだ、何も返してこない。

休憩中、理乃のクラスに行ってみる。
しかし、理乃の姿は無かった。
「理乃は?」
と、クラスの人に聞く。

「あ、凛ちゃん。今日は遅いね、遅刻?」

「嘘…なにも聞いてないよ…?」
そう言い駆け出した。

急いで家へ走った。
(理乃!理乃!!)
何度も呼び続けたかが、やはり帰ってこない。
(嘘でしょ!?ねえ理乃!!)
涙が出てくる。
本当に何も無いでよ…?

家のドアを開ける。
「理乃!」と声を出して呼ぶ。
家中を探した。
そしてキッチンに入った時、膝を付いた
「理乃…?」

床には皿の破片が落ちていて、その中に理乃が倒れていた。
反応は全くない。意識を失っている。
「理乃っ!!!」

「嫌だ、ウソでしょ…!」
「今、今助けるからね!理乃!」
理乃を抱え、病院へ走り出した。

(絶対にこのままで終わらせない…!)
凛はもう自分の心のもやもやが何なのか分かっていた。
単純な答えだった。
「理乃と…言葉で、声で話したい」
ただそれだけだ。
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