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4.ある意味終わった最終決戦
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つい先ほどまで、官能の絶頂を謳歌していた二人は、今身の回りで起きている状況を飲み込めないでいる。というか、そこにいる全員が目の前の状況をどう受け止めて良いかわからず、思考を停止させていた。
(え?何この状況・・・。俺たちさっきまで何もない白い空間で、二人の世界に浸ってたはず。)
先ほどまでの出来事は夢だったのか?一瞬そう思ったが、玲司の両手がつかんでいるのは間違いなく愛梨のお尻で、彼のものは先ほどの余韻を残し、残滓もすべて送り込もうというのか、今もまだ少し脈動している。脈動はもう弱くなっているが、それでも脈動するたびに愛梨が小さく「あっ・・・」と喘いだ。
ドサッ──
人が倒れる音がした。勇者ボルグの戦友ライネルが現実を受け入れられず、失神した。それとほぼ同時に賢者マリリンが、ボルグ(玲司)に殴りかかった。鬼の形相だ。激怒している。
「あ、あ、あんた。何やってんのよぉおお!!!」
ボクッ──
びんたではない。グーだ。突然のことに身を守ることもできずボルグ(玲司)は、殴り飛ばされた。その衝撃で、根元まで深々とつながっていた二人の結合は解除され、玲司は吹き飛ばされた。
「キャッ!」
不意にマリリンが顔を覆った。結合が外れ玲司が吹き飛んだ拍子に、二人の愛のしずくが飛沫となって飛び、マリリンの目に入ったのだ。
「あ、あの?なんか・・・ごめん。」
殴られた頬をさすりながら、とりあえず謝るボルグ(玲司)。しかし、それはマリリンの激怒を沈めるどころか火に油を注ぐ結果にしかならなかった。ものすごい表情で、言葉にならない怒りの咆哮をあげながら、マリリンがボルグ(玲司)に襲い掛かり、拳を打ち下ろす。先ほどまで醸し出していた、知性漂うゆるふわ美人賢者の様相は、もうかけらも残ってない。気づけば、ボルグ(玲司)は、マリリンにマウントポジションを取られ、タコ殴りに殴られていた。
(な、なんで。痛ッ──、ちょっ、痛い。この子何でそこまで怒ってらっしゃるの?)
頂きに上りきり、賢者モードに入りかけていたボルグ(玲司)は、今は本物の賢者に馬乗りにされ撲殺される勢いだ。そのまま何をする暇もなく、ボルグ(玲司)は意識を失った。
魔王陣営もただ事ではなかった。崇拝してきた彼らの女王が、闇を統べる暗黒の絶対君主、魔王リルリアが、丸裸にされて人間の男に犯されていたのだ。周囲に破かれた魔王の衣服が散乱している。タナトスはマリリンに殴られボルグ(玲司)が吹き飛んだ拍子に、魔王リルリア(愛梨)を引き寄せ己のマントを上着代わりに、彼女をくるんだ。その形相は怒りに満ちている。魔王が勇者にレイプされたと解釈するに十分な状況証拠が揃っているのだ。
魔族たちにとってその惨状は、許しがたいという言葉では飽き足らない。元々人間など滅ぼしてくれると思って、この最終決戦に臨んでいたが、これほどの屈辱を味わわされては、もう人類一人一人に地獄を見せてあの世に送り届けなければ気が済まない、というほどの怒りだ。
「この・・・、地上の愚民どもがぁ!!その魂魄百万回切り裂いても飽き足らぬことをしでかしてくれたな。」
「待て!」
「ぬ、ヒュプノス!離せ!!」
辛うじて冷静さを保っていたヒュプノスが止める。
「魔王様にこれ以上恥をかかせてはならん。まずは陛下を人目に付かぬとこへ。陛下の威厳に関わることぞ。」
「ぬぬぅ。た、確かに。」タナトスが歯噛みする。
「や、やめたげて!玲くんが、玲くんが死んじゃう!!」
マントにくるまれたリルリア(愛梨)がボルグ(玲司)に走り寄ろうとしたので、慌ててヒュプノスがそれを制する。
「どこへ行かれる。陛下!」
「お、お兄さんどいてください。玲くんが!」
必死に訴えかけるリルリア(愛梨)を見て、ヒュプノスは魔王が記憶を失っていることに気付き始めた。その時、勇者の仲間である大魔術師ゴットフリートがヒュプノスに歩み寄った。
「あんた。一番冷静さを保っているようなので、話させてくれ。」
「何だ。」
「うちらもあんたらも、どうやらリーダーの様子がおかしい。先ほどの衝撃の顛末は、お互い憎悪を煽る出来事であることは間違いないが、こちらもうちの賢者の様子を見ての通り、予想だにしないことだった。」
「・・・・・・」
「お互いの恨み、怒りはいったん凍結し、決着は、後日。ここは退かせてほしい。」
「条件が一つ。」
「言ってくれ。」
「我が魔王の受けた辱め。決して口外なきこと。我が魔王の誇りを傷つけるようなことをしてみろ、この私が命に代えてもお前たちを地獄に叩き落してくれる。」
「承知した。約束は守る。」
ヒュプノスが、怒りに我を忘れたタナトスをたしなめ、ゴットフリートが拳に血豆を作りながらなおも殴ろうとするマリリンをたしなめ、失神したライネルを引きずって去り、伝説となるべき勇者VS魔王の最終決戦は、未決着のまま一旦幕を下ろしたのだった。
──────────────
もうすでにアップアップです(笑)
ショートショートのつもりなので、長く続けるつもりはないですけど、どうやって完結させようかな。
(え?何この状況・・・。俺たちさっきまで何もない白い空間で、二人の世界に浸ってたはず。)
先ほどまでの出来事は夢だったのか?一瞬そう思ったが、玲司の両手がつかんでいるのは間違いなく愛梨のお尻で、彼のものは先ほどの余韻を残し、残滓もすべて送り込もうというのか、今もまだ少し脈動している。脈動はもう弱くなっているが、それでも脈動するたびに愛梨が小さく「あっ・・・」と喘いだ。
ドサッ──
人が倒れる音がした。勇者ボルグの戦友ライネルが現実を受け入れられず、失神した。それとほぼ同時に賢者マリリンが、ボルグ(玲司)に殴りかかった。鬼の形相だ。激怒している。
「あ、あ、あんた。何やってんのよぉおお!!!」
ボクッ──
びんたではない。グーだ。突然のことに身を守ることもできずボルグ(玲司)は、殴り飛ばされた。その衝撃で、根元まで深々とつながっていた二人の結合は解除され、玲司は吹き飛ばされた。
「キャッ!」
不意にマリリンが顔を覆った。結合が外れ玲司が吹き飛んだ拍子に、二人の愛のしずくが飛沫となって飛び、マリリンの目に入ったのだ。
「あ、あの?なんか・・・ごめん。」
殴られた頬をさすりながら、とりあえず謝るボルグ(玲司)。しかし、それはマリリンの激怒を沈めるどころか火に油を注ぐ結果にしかならなかった。ものすごい表情で、言葉にならない怒りの咆哮をあげながら、マリリンがボルグ(玲司)に襲い掛かり、拳を打ち下ろす。先ほどまで醸し出していた、知性漂うゆるふわ美人賢者の様相は、もうかけらも残ってない。気づけば、ボルグ(玲司)は、マリリンにマウントポジションを取られ、タコ殴りに殴られていた。
(な、なんで。痛ッ──、ちょっ、痛い。この子何でそこまで怒ってらっしゃるの?)
頂きに上りきり、賢者モードに入りかけていたボルグ(玲司)は、今は本物の賢者に馬乗りにされ撲殺される勢いだ。そのまま何をする暇もなく、ボルグ(玲司)は意識を失った。
魔王陣営もただ事ではなかった。崇拝してきた彼らの女王が、闇を統べる暗黒の絶対君主、魔王リルリアが、丸裸にされて人間の男に犯されていたのだ。周囲に破かれた魔王の衣服が散乱している。タナトスはマリリンに殴られボルグ(玲司)が吹き飛んだ拍子に、魔王リルリア(愛梨)を引き寄せ己のマントを上着代わりに、彼女をくるんだ。その形相は怒りに満ちている。魔王が勇者にレイプされたと解釈するに十分な状況証拠が揃っているのだ。
魔族たちにとってその惨状は、許しがたいという言葉では飽き足らない。元々人間など滅ぼしてくれると思って、この最終決戦に臨んでいたが、これほどの屈辱を味わわされては、もう人類一人一人に地獄を見せてあの世に送り届けなければ気が済まない、というほどの怒りだ。
「この・・・、地上の愚民どもがぁ!!その魂魄百万回切り裂いても飽き足らぬことをしでかしてくれたな。」
「待て!」
「ぬ、ヒュプノス!離せ!!」
辛うじて冷静さを保っていたヒュプノスが止める。
「魔王様にこれ以上恥をかかせてはならん。まずは陛下を人目に付かぬとこへ。陛下の威厳に関わることぞ。」
「ぬぬぅ。た、確かに。」タナトスが歯噛みする。
「や、やめたげて!玲くんが、玲くんが死んじゃう!!」
マントにくるまれたリルリア(愛梨)がボルグ(玲司)に走り寄ろうとしたので、慌ててヒュプノスがそれを制する。
「どこへ行かれる。陛下!」
「お、お兄さんどいてください。玲くんが!」
必死に訴えかけるリルリア(愛梨)を見て、ヒュプノスは魔王が記憶を失っていることに気付き始めた。その時、勇者の仲間である大魔術師ゴットフリートがヒュプノスに歩み寄った。
「あんた。一番冷静さを保っているようなので、話させてくれ。」
「何だ。」
「うちらもあんたらも、どうやらリーダーの様子がおかしい。先ほどの衝撃の顛末は、お互い憎悪を煽る出来事であることは間違いないが、こちらもうちの賢者の様子を見ての通り、予想だにしないことだった。」
「・・・・・・」
「お互いの恨み、怒りはいったん凍結し、決着は、後日。ここは退かせてほしい。」
「条件が一つ。」
「言ってくれ。」
「我が魔王の受けた辱め。決して口外なきこと。我が魔王の誇りを傷つけるようなことをしてみろ、この私が命に代えてもお前たちを地獄に叩き落してくれる。」
「承知した。約束は守る。」
ヒュプノスが、怒りに我を忘れたタナトスをたしなめ、ゴットフリートが拳に血豆を作りながらなおも殴ろうとするマリリンをたしなめ、失神したライネルを引きずって去り、伝説となるべき勇者VS魔王の最終決戦は、未決着のまま一旦幕を下ろしたのだった。
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もうすでにアップアップです(笑)
ショートショートのつもりなので、長く続けるつもりはないですけど、どうやって完結させようかな。
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