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3 バッドエンド
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今回ナーディアは生き残った。あの漆黒の羽ペンを使ったのだろう、病が回復するとすぐ懐妊した。
それと私の母もエイーダの献身的な看護で奇跡的に回復し、生き残った。
私の選択は間違ってはいなかった。侯爵家は妹夫婦によって繁栄を保つだろう。
喜んでいると思いがけず、残してきたエイーダという一滴の毒がコートバル侯爵家に波紋を広げていた。
その日、エイーダが私を追ってやって来た。手には母からの推薦状と手紙を携えて。
「若旦那様に襲われたんです」
泣きながらエイーダはレイモンドの悪業を告白した。
「大丈夫だったの?」
「はい・・・危ないところを執事さんに助けられました」
それでも抵抗してケガをしたようだ。顔には殴られた痣が残り、手足に包帯が巻かれている。
「っ!あの男・・・」
思わずエイーダの体を抱きしめた。痛ましい姿に胸がズキッとする。
レイモンドは王都に用事で来た時に、タウンハウスで過ごすうちにエイーダを見初め、愛人になるよう強要した。
『心は一生ナーディアのもの。あの世で僕達は再び結ばれる』そんな戯言をよく言ったものだ。
私は・・・私を苦しめたレイモンドの<真実の愛>が本物なのか確かめたかった。
結果、あの男に真実の愛などなかった。快楽を求めてエイーダに手を出そうとした屑だった。
「エイーダはレイモンドをどう思ってたの?」
「大嫌いです!」
「既婚者は相手にしないのね?」
「もちろんです!コーネリア様は私をそんな女だと思うのですか?」
そんな女かもしれないと考えていた。今回もレイモンドの愛人の座を狙うかもしれないから、執事に一応は注意するよう言っておいた。
「いいえ、違うわ。ごめんね、ケガをさせて申し訳なかったわ」
「奥様は関係ありません。謝らないで下さい。あの男が悪いんです!」
私が悪い。あの二人に復讐してやろうと、悪意を持ってエイーダを雇ったんだもの。
エイーダは前回きっと仕方なく愛人になったのだろう。今回は利用して申し訳なかった。エイーダには誠実で素敵な結婚相手を紹介してあげたい。
エイーダの雇い入れ準備を侍女長に任せると、私は母からの手紙を開封した。
レイモンドとナーディアは離婚が決定。妹のお腹には跡継ぎがいるのでレイモンドは切り捨てられた。
跡継ぎの子は母によって立派に育てられるだろう。今はショックを受けているナーディアも次の相手を探せばいい、まだ若いのだから。
「ゴミは捨てられた。ふふふ」
久しぶりにルドルフ様が帰宅した。
流行り病も収束をみせて落ち着いてきたが、まだ多忙を極めて疲れ切っている。
私の侍女だと紹介したエイーダを、夫はジッと見ていた。
「その怪我はどうしたんだ?」
「妹の夫に乱暴されたのです。妻がありながら最低の男ですわ」
「そうか・・・大変だったな」
「エイーダと申します。よろしくお願いします」
私の隣でエイーダもルドルフ様を熱く見つめているのを私は気づかなかった。
半年後、エイーダはルドルフ様の子どもを身ごもっていた。
「奥様申し訳ございません・・・」
やはりエイーダは敵だった。・・・自業自得だ、人の不幸を願えば己にも返ってくる。彼女を信じていただけに悔しくて、私は冷静さを失った。
「いいわ、その子は私の子として育てましょう。夫の愛人になればいいわ。それが貴方にはお似合いよ!出て行って!もう顔も見たくないわ!」
私の言葉にエイーダは俯いて肩を震わせていた。
その夜、眠っていた私は胸を剣で串刺しにされた。
「ルド・・ル・フ・・さ・・ま・・」
「賊が侵入したようだ。妻が殺された」
「まぁ旦那様、恐ろしいですわ」
剣は引き抜かれ、飛び散る鮮血に目の前は真っ赤に染まった。
*
「きゃぁぁああああーーー!いやぁぁああーーーーーー!」
恐怖で私は叫び続けていた。
「はぁ、はぁ・・・私はエイーダとルドルフに殺された」
「くっくっ・・・お前の願う過去の結末は悲惨だな」
堕天使が嘲笑している。
「今のは…幻?・・・私は死んだ。やっぱり堕天使の祝福なんて呪いじゃないの!」
「そうだ、侯爵家の発展だけを望め。お前に幸せなんか無い。私の祝福を受けた母親から誕生したんだからな」
「っは、あははははは、貴方は優しいのね。また時間を戻してくれたんでしょう?」
「次は無いぞ。ただ侯爵家の発展を望め」
「ええ、今回はバッドエンドだった、あの二人許さない!次はうまくやるわ」
それと私の母もエイーダの献身的な看護で奇跡的に回復し、生き残った。
私の選択は間違ってはいなかった。侯爵家は妹夫婦によって繁栄を保つだろう。
喜んでいると思いがけず、残してきたエイーダという一滴の毒がコートバル侯爵家に波紋を広げていた。
その日、エイーダが私を追ってやって来た。手には母からの推薦状と手紙を携えて。
「若旦那様に襲われたんです」
泣きながらエイーダはレイモンドの悪業を告白した。
「大丈夫だったの?」
「はい・・・危ないところを執事さんに助けられました」
それでも抵抗してケガをしたようだ。顔には殴られた痣が残り、手足に包帯が巻かれている。
「っ!あの男・・・」
思わずエイーダの体を抱きしめた。痛ましい姿に胸がズキッとする。
レイモンドは王都に用事で来た時に、タウンハウスで過ごすうちにエイーダを見初め、愛人になるよう強要した。
『心は一生ナーディアのもの。あの世で僕達は再び結ばれる』そんな戯言をよく言ったものだ。
私は・・・私を苦しめたレイモンドの<真実の愛>が本物なのか確かめたかった。
結果、あの男に真実の愛などなかった。快楽を求めてエイーダに手を出そうとした屑だった。
「エイーダはレイモンドをどう思ってたの?」
「大嫌いです!」
「既婚者は相手にしないのね?」
「もちろんです!コーネリア様は私をそんな女だと思うのですか?」
そんな女かもしれないと考えていた。今回もレイモンドの愛人の座を狙うかもしれないから、執事に一応は注意するよう言っておいた。
「いいえ、違うわ。ごめんね、ケガをさせて申し訳なかったわ」
「奥様は関係ありません。謝らないで下さい。あの男が悪いんです!」
私が悪い。あの二人に復讐してやろうと、悪意を持ってエイーダを雇ったんだもの。
エイーダは前回きっと仕方なく愛人になったのだろう。今回は利用して申し訳なかった。エイーダには誠実で素敵な結婚相手を紹介してあげたい。
エイーダの雇い入れ準備を侍女長に任せると、私は母からの手紙を開封した。
レイモンドとナーディアは離婚が決定。妹のお腹には跡継ぎがいるのでレイモンドは切り捨てられた。
跡継ぎの子は母によって立派に育てられるだろう。今はショックを受けているナーディアも次の相手を探せばいい、まだ若いのだから。
「ゴミは捨てられた。ふふふ」
久しぶりにルドルフ様が帰宅した。
流行り病も収束をみせて落ち着いてきたが、まだ多忙を極めて疲れ切っている。
私の侍女だと紹介したエイーダを、夫はジッと見ていた。
「その怪我はどうしたんだ?」
「妹の夫に乱暴されたのです。妻がありながら最低の男ですわ」
「そうか・・・大変だったな」
「エイーダと申します。よろしくお願いします」
私の隣でエイーダもルドルフ様を熱く見つめているのを私は気づかなかった。
半年後、エイーダはルドルフ様の子どもを身ごもっていた。
「奥様申し訳ございません・・・」
やはりエイーダは敵だった。・・・自業自得だ、人の不幸を願えば己にも返ってくる。彼女を信じていただけに悔しくて、私は冷静さを失った。
「いいわ、その子は私の子として育てましょう。夫の愛人になればいいわ。それが貴方にはお似合いよ!出て行って!もう顔も見たくないわ!」
私の言葉にエイーダは俯いて肩を震わせていた。
その夜、眠っていた私は胸を剣で串刺しにされた。
「ルド・・ル・フ・・さ・・ま・・」
「賊が侵入したようだ。妻が殺された」
「まぁ旦那様、恐ろしいですわ」
剣は引き抜かれ、飛び散る鮮血に目の前は真っ赤に染まった。
*
「きゃぁぁああああーーー!いやぁぁああーーーーーー!」
恐怖で私は叫び続けていた。
「はぁ、はぁ・・・私はエイーダとルドルフに殺された」
「くっくっ・・・お前の願う過去の結末は悲惨だな」
堕天使が嘲笑している。
「今のは…幻?・・・私は死んだ。やっぱり堕天使の祝福なんて呪いじゃないの!」
「そうだ、侯爵家の発展だけを望め。お前に幸せなんか無い。私の祝福を受けた母親から誕生したんだからな」
「っは、あははははは、貴方は優しいのね。また時間を戻してくれたんでしょう?」
「次は無いぞ。ただ侯爵家の発展を望め」
「ええ、今回はバッドエンドだった、あの二人許さない!次はうまくやるわ」
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