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42) イブキの予感
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年中常春の俺の保留ダンジョン。箱庭ダンジョンと揶揄されようが構わない。平和が1番だ。
「ここは良いな。私もダンジョンの一部を改造してホテルを建てるとするかな。」
すっかり常連のリオンは最近【お仕事プロジェクト】にも参加している。
『バングール国 北のカスタル辺境伯領でお仕事します!』とJK達は簡単に考えているようだけど、まず、どうやって隣国まで行くのか。身元の保証はどうするのか・・・ここからだ。
準備する事が多くて目標の1年以内にお店を出すのは無理だと俺は考えていた。
テオに銅板のネームプレートを作ってもらい、ヤマトの街で身分証明となるギルドカードを作成する所からスタート。
だがリオンの参加(テレポート)で一気にプロジェクトは進みそうな雰囲気なのだ。
リオンは参加に対し交換条件を出してきた。
「献血を諸君達に頼みたいである。」
トモ 「まさか、吸血?」
ユカ 「きっと魔界には人間牧場があるのよ。そこで家畜として・・」
「違う!! 魔界商人から購入しておる。だが不健康な血が多くて不味いのだ。」
トモ 「不健康な血って・・・ ん~ 私は痛くないなら献血いいよ。」
ユカ 「私もいいよ。みんなにも献血頼んでみよう。」
「助かる、1回で良いである。」そう言ってリオンは俺に微笑み「コピー代は大金貨1枚でどうであるか?」
若人の新鮮な血はきっと美味いのだろう。大金貨1枚は魅力的だ。
「ユカたちの手伝いと交換だ、大金貨はいらないよ。 ただし!」
「分かっておるわ、シークレットであるな。」
「そうだよ。エリクサーの次にブラッド騒ぎはごめんだ。」
「私だけの秘密にするである。」
「ヴァンパイアは人間と同じように生活できるが、長期間血を摂取できないと体が枯渇して【狂化】するのである。
そうなると人間を襲う場合もある。」
そんなリオンの話を普通に聞いているJK達。
【狂化】なんて冗談じゃない。俺はいっぱいコピーしてやろうと思うのだった。
こうして美味しい血液のストックを大量に得たリオンはユカ達に協力を約束した。
リオンは遊び半分なのだろうが、JK達の護衛になるからいいだろう。
勇者PTは昼間はユカ達を手伝い、時にはテオと射撃で的当てをして楽しんでいる。
夜には貧民街にテオとクロを伴いグロス退治だ。穢れたキューブ集めに励む。
臭いから俺は行かない。テオには回復爆弾をたくさん持たせている。
射撃は「危険のない弾を作ったのだ。」とテオに言われ信用して許可を出した。
危険のない弾なんてあるのか疑問だったが、まぁ怪我さえしなければいいだろう。
イブキにはホテルに飾る日本の風景画を描いて貰っている。
その為ログハウスの絵画室に籠る事が多くなっていた。
さて、おわかりだろうか? 俺は今ヒマなのだ。そして、こういう時に事件は起こる。
「ねねね、マスター。」
「ん?」
「イブキが変なのー。ずっと絵を描いてて最近は部屋に籠ってる~。」
「前からだろう?」
「だって返事もしてくれないのよぉ~」
「それはヘンであるな。」「でしょう~? あ、いらっしゃいリオン~。」
「毎日来なくていいよ。コアに寿命を吸われるぞ。」
「問題ない。ここのコアとは協定を結んだのである。」
アイツめ買収されたか。チョロイヤツだ。
リオンとログハウスにイブキの様子を見に行く。
扉をノックしても返事がない「イブキ、開けるよ?」
部屋の中はラフ画が床に散らばりイブキはキャンパスの前から動かない。
「トランス状態であるな。」
床のラフ画を俺は拾っていく。
「これは、ギザ・・イブキはギザに会った事はないのに。」
「これは獣人国の皇帝であるな。」ライオンの獣人の姿が描かれている。
「ダニーの絵まである・・・・これはレン・・タツキも。」
「これは、美人画であるな。」
「こ、これは・・・」
「嘘だろう・・・ワイルナー・・・親父だ。」
「ロスもかよ・・・・・」
思わずラフ画を握りしめてしまった。
「あれ、シェル君いつの間に? リオンちゃんも。」
「イブキ、これ、なんでロスの絵を描いたの?」
「その人存在するの? 夢中になって、気が付いたら描いていたの。」
「イブキは眷属であるから、これらはシェルに関わる絵であるな。」
(イブキの<予感>なのか。嫌な予感バリバリだ。)
「シェル、この美人画は誰なのだ? どこで会ったのだ?」
「わからない。貴族の令嬢みたいだな。」
キャンパスには描きかけの青年の絵、よく見るとダミアンに似ている。
「サスペンサー公爵家に行ってみよう。絵を借りるね。」
「うん。その絵とても嫌な予感がする。」
「どんな予感なの?」「わかんない、辛くて見ていられない。」
「ベルルが心配してたよ、行こう。」俺はイブキの背中をそっと押した。
公爵家に何かが起こる。俺が関係したからだろうか。
もしそうなら『辛くて見ていられない。』そんな未来は変えなければいけない。
もし親父やロスが絡んでくるならば俺が決着をつけてやる。
「ここは良いな。私もダンジョンの一部を改造してホテルを建てるとするかな。」
すっかり常連のリオンは最近【お仕事プロジェクト】にも参加している。
『バングール国 北のカスタル辺境伯領でお仕事します!』とJK達は簡単に考えているようだけど、まず、どうやって隣国まで行くのか。身元の保証はどうするのか・・・ここからだ。
準備する事が多くて目標の1年以内にお店を出すのは無理だと俺は考えていた。
テオに銅板のネームプレートを作ってもらい、ヤマトの街で身分証明となるギルドカードを作成する所からスタート。
だがリオンの参加(テレポート)で一気にプロジェクトは進みそうな雰囲気なのだ。
リオンは参加に対し交換条件を出してきた。
「献血を諸君達に頼みたいである。」
トモ 「まさか、吸血?」
ユカ 「きっと魔界には人間牧場があるのよ。そこで家畜として・・」
「違う!! 魔界商人から購入しておる。だが不健康な血が多くて不味いのだ。」
トモ 「不健康な血って・・・ ん~ 私は痛くないなら献血いいよ。」
ユカ 「私もいいよ。みんなにも献血頼んでみよう。」
「助かる、1回で良いである。」そう言ってリオンは俺に微笑み「コピー代は大金貨1枚でどうであるか?」
若人の新鮮な血はきっと美味いのだろう。大金貨1枚は魅力的だ。
「ユカたちの手伝いと交換だ、大金貨はいらないよ。 ただし!」
「分かっておるわ、シークレットであるな。」
「そうだよ。エリクサーの次にブラッド騒ぎはごめんだ。」
「私だけの秘密にするである。」
「ヴァンパイアは人間と同じように生活できるが、長期間血を摂取できないと体が枯渇して【狂化】するのである。
そうなると人間を襲う場合もある。」
そんなリオンの話を普通に聞いているJK達。
【狂化】なんて冗談じゃない。俺はいっぱいコピーしてやろうと思うのだった。
こうして美味しい血液のストックを大量に得たリオンはユカ達に協力を約束した。
リオンは遊び半分なのだろうが、JK達の護衛になるからいいだろう。
勇者PTは昼間はユカ達を手伝い、時にはテオと射撃で的当てをして楽しんでいる。
夜には貧民街にテオとクロを伴いグロス退治だ。穢れたキューブ集めに励む。
臭いから俺は行かない。テオには回復爆弾をたくさん持たせている。
射撃は「危険のない弾を作ったのだ。」とテオに言われ信用して許可を出した。
危険のない弾なんてあるのか疑問だったが、まぁ怪我さえしなければいいだろう。
イブキにはホテルに飾る日本の風景画を描いて貰っている。
その為ログハウスの絵画室に籠る事が多くなっていた。
さて、おわかりだろうか? 俺は今ヒマなのだ。そして、こういう時に事件は起こる。
「ねねね、マスター。」
「ん?」
「イブキが変なのー。ずっと絵を描いてて最近は部屋に籠ってる~。」
「前からだろう?」
「だって返事もしてくれないのよぉ~」
「それはヘンであるな。」「でしょう~? あ、いらっしゃいリオン~。」
「毎日来なくていいよ。コアに寿命を吸われるぞ。」
「問題ない。ここのコアとは協定を結んだのである。」
アイツめ買収されたか。チョロイヤツだ。
リオンとログハウスにイブキの様子を見に行く。
扉をノックしても返事がない「イブキ、開けるよ?」
部屋の中はラフ画が床に散らばりイブキはキャンパスの前から動かない。
「トランス状態であるな。」
床のラフ画を俺は拾っていく。
「これは、ギザ・・イブキはギザに会った事はないのに。」
「これは獣人国の皇帝であるな。」ライオンの獣人の姿が描かれている。
「ダニーの絵まである・・・・これはレン・・タツキも。」
「これは、美人画であるな。」
「こ、これは・・・」
「嘘だろう・・・ワイルナー・・・親父だ。」
「ロスもかよ・・・・・」
思わずラフ画を握りしめてしまった。
「あれ、シェル君いつの間に? リオンちゃんも。」
「イブキ、これ、なんでロスの絵を描いたの?」
「その人存在するの? 夢中になって、気が付いたら描いていたの。」
「イブキは眷属であるから、これらはシェルに関わる絵であるな。」
(イブキの<予感>なのか。嫌な予感バリバリだ。)
「シェル、この美人画は誰なのだ? どこで会ったのだ?」
「わからない。貴族の令嬢みたいだな。」
キャンパスには描きかけの青年の絵、よく見るとダミアンに似ている。
「サスペンサー公爵家に行ってみよう。絵を借りるね。」
「うん。その絵とても嫌な予感がする。」
「どんな予感なの?」「わかんない、辛くて見ていられない。」
「ベルルが心配してたよ、行こう。」俺はイブキの背中をそっと押した。
公爵家に何かが起こる。俺が関係したからだろうか。
もしそうなら『辛くて見ていられない。』そんな未来は変えなければいけない。
もし親父やロスが絡んでくるならば俺が決着をつけてやる。
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