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39) JK達の【お仕事プロジェクト】

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☆☆☆他者視点


 ここは皇帝の謁見の間。立派なたてがみの皇帝は報告に耳を疑った。

渡り人を連れ去られ、しかもヴァンパイアが絡んでいるという。

「ギザよ、話が違う。エリクサーが手に入るのではないのか。」皇帝はお怒りだ。

「私も予想外の事でして、今回の事はハースラート公爵家にも抗議をしておきます。」

「やめろ!そちらと争う気は毛頭ないぞ。もう一人の少年とは誰なのだ。」

「ニトという少年と思われます。渡り人に力添えしている人物かと。」獣人兵から赤毛の少年と聞いてギザは間違いないと思っている。

「確かテスランも保護しておると報告があったな。おい、誰か! テスランを呼べ。至急だ。」

 ギザは獣人国を利用して大儲けする算段だったが風向きが怪しくなってきた。
(これ以上は危険か。潮時かもしれない。)

お得意様のテスランに迷惑をかけるのも不本意だ。
エリクサー100個の件で魔界ギルドから無期限の取引停止、レッドカードを出された。
こんな失態を知られる訳にはいかない。凶暴なリオンとニトにも関わりたくない。

「お力及ばずに申し訳ございません。私はお暇させていただきます。」

「ふっ、何を言うギザよ。貴様には最後まで付き合ってもらおう。」




 数時間後、テスランが謁見に訪れた。ギザがいるので訝しげだ。

「来たかテスラン。」

「はっ、テスラン参上致しました。ご用は何でしょうか。」

「貴殿は渡り人を保護しているそうだな。間違いないか。」

「はい、死の森で倒れているのを保護致しました。」

「今日、地下牢から渡り人が攫われたのだが、貴殿が関係しているのか?」

「いいえ、存じません。保護した渡り人の少女達は開放し今はグランダ王国におります。
召喚したのはグランダですから。グランダが攫ったのではないですかな?」

そう言って ジロリとギザを睨む。(余計な事を言ったら殺す)
殺気でギザは全身の毛が立ち、この先どう立ち回ろうかと思案する。

「しかしなぜ渡り人を地下牢に? なにか狼藉でも働きましたかな?」

「それは・・・」皇帝が言い淀むと皇帝の臣下が割り込んできた。

「恐れながら皇帝。」 「うむ、発言を許す!」

「保護した少女たちは瀕死の重傷であったと聞き及んでおります。」

「テスラン、どうなのだ?」

「その通りです。治癒師に回復させました。」

「その治癒師が少女達は手足が欠損していたと申しております。」

テスランは歯ぎしりした(大金を掴ませたのに治癒師め、喋りやがった。)

「少女達はグランダ王国のブラックドラゴン討伐に向かう時は全快していたようです。」


「・・・テスラン、全て話せ。」

「ギザに聞いた方が早いですぜ。なぁギザ。」

観念してギザは全て皇帝に話した。
「どこかに”copy"というエリクサーを調達できる人物がいまして既に3本取引がありました。
しかしそれはテスラン様が保護した人間の少女達に使われて、その後取引を希望しても連絡がとれない状況です。」

「俺は、後2本用意しろとギザに言ったんだぜ。それは皇帝に献上する気だった。」

「テ、テスラン様・・・・」

「さっさと”copy"  を探し出せとも言ったよな。おめぇ何やってんだよ。」

「”copy" に付きましては心当たりがございます。地下牢に現れたニト少年が”copy"  とつながっています。青い疾風という冒険者PTのダニーという男がニト少年を保護しています。」

「そこまでわかっているなら、あとは簡単じゃねーか。」
「それが不思議な少年で、なかなか接触出来ないのですぅ~」

「テスラン、エリクサーで救った少女たちがグランダ王国にいるのだな。」
「はい。」

「なら、ニト少年に接触させて”copy"とやらと取引出来るようギザに協力させるのだ。」
「はっ、承りました。」



謁見が終わるとギザはテスランに締め上げられた。

「おいギザ、もう汚い手使うんじゃねーぞ。わかってんな!」
「ひぃぃぃ わかってますぅ。」
「地下牢の渡り人を救ったのがニト少年なら、お前は表に出るな。」
「もう関わりたくないのですがぁ・・・」
「馬鹿言え、皇帝命令だ。逃げんじゃねーぞ。」

逃げられないギザは再びグランダ王国に出向き”copy"探しを命じられたのだった。



           **********



 レン達も保護して今の所は問題は無い。渡り人の皆はここの生活に馴染んでいるようだ。
俺も肩の荷が下りて解放感に包まれていた。

リオンも度々やって来る。コアが拒否反応を示すがホテルの客として訪れるのだと言い張る。
実際何度も宿泊して料金も払っている。お喋りなのでJK達ともすぐ仲良くなった。

新年を迎え、皆でお祝いをして三が日が過ぎるとユカとトモが話しかけてきた。

「前に話したお仕事のことなんですが。いいこと考えました!」

2人はお隣のバングール国の北のカスタル辺境伯の領地で店を出したいのだと言う。
バングール国は勇者リーファスの出身地で治安はグランダ王国とそう変わらない。

「キアラさんに相談したら、魔界情報を調べてくれて、カスタル辺境伯のところがお勧めだって。」

ダンジョンの畑でユカのスキルで育てる作物がどんどんとれる。
俺たちはコピー食料を食べているので作物は倉庫に増える一方だ。

カスタル辺境伯の領土は凍土で作物は育たない。だが狩が盛んで経済状況は良い。
高位ダンジョンも保有して、冒険者が多々訪れている。
豊富な資金で他の領地から食料を買い取っている。

「そこで商業ギルドと取引しようと思うの。お金が溜まったらお店を出したい。」

「ジューク達もそこで狩りをして資金集めに協力してくれます。」

同級生全員の意向であり【お仕事プロジェクト】を立ち上げて1年以内に成果を出すという。

プロジェクトとはやったことがないことを、
何が起こるのか分からないのに、計画して、
予定通りのモノ(コト)を、期限までつくる(終らせる)ことらしい。

「僕も協力するから、ダンジョンを利用して挑戦するといいよ。」

「マスターありがとう!」JK達にちょっと父性本能をくすぐられた俺は今年10歳になるのだ。


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