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38) vs ギザ

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 バタバタと階段上、牢屋の奥から獣人兵が多数現れた。

「いや~ 城門で騒ぎがあったと聞いて、ここに誰か来るのではないかと予想したのですが。まさか姫様が来られるとは、どういう事なんですか?」
 
「私は・・・・渡り人を見学に来たのだ。偶々、城門前でドワーフが騒いでるのを見かけたのである。」

「ふぅん 偶々ねぇ。」
「それより、あの少年死にかけておらぬか? なんとかしてやれ。」

ギザはレンたちを一瞥すると「どちらか一人でも残れば問題ないです。」
「・・・・ならば死にかけている少年は私が下僕として頂こう、良いな?」

「姫様、首を突っ込まない方が御身の為ですよ。」
「なら、貴様も手を引くのだ。吸血鬼一族ハースラート公爵家を敵に回したいのか。」

ギザが怯んだように見える。



「姫様、これは獣人国を救う為なんですよ。この国はどうしてもエリクサーが必要なんです。」
「あの奇病だな。しかし何故こんなやり方で? 本当に手に入るのであるか?」

「渡り人が関係すれば手に入るのです。私は前に3本購入出来ました。」
「ならば、あの少年が死ねば二度と手には入らぬぞ。」

俺は錠前に近づいたが、ギザが先に錠前に手を出した。


「仕方ない。1人差し上げますから、姫様手を引いて下さいね。」そう言って開錠した。

中に入り「こっちは用なしだ。」ギザはタツキの片腕を掴んで引きずり出そうとする。
〔なんだお前、乱暴な事するなよ!〕
レンがギザの腕を掴むとギザは邪魔くさそうにレンを振り解き頬を殴った。
すかさずリオンが牢屋に入りギザに飛び蹴り、だがギザは難なく両手でブロック。

「先に手を出したのは姫様ですからね!」免罪符を得たかの如くギザがリオンに手を伸ばす。

<痺れる手>はリオンには効かない。ギザにリオンのアッパーが綺麗に決まった。
俺はテスランにチェンジ<バーサク><瞑想>
ノックバックしたギザの脇腹を蹴り飛ばすとギザは壁に激突し倒れた。

クロがギザに飛び乗り<モグモグ>・・・・・「ストップ!」
俺がクロを引き剥がすと、獣人兵達が武器を構えて臨戦態勢に入ったので「リオン 逃げるぞ!」と叫び
タツキとレンの手を取りログインした。



「敵襲! 敵襲! 即刻避難!」コアが忙しなく飛び回る。

「コア、敵じゃない。落ち着け。リオンはテレポートで逃げろよな・・・」
ログインの瞬間リオンは俺の背中にしがみ付いて来たのだ。

タツキの口にコピーエリクサーを垂らす。

〔あ、え? ユー ヘルプ アス?〕レンは怒涛の展開について行けず動揺中。
〔もう大丈夫だから安心して。〕日本語で言うと、レンはコクコク頷いた。

タツキの意識が戻ったので俺はサークルから芝生に移動させた。


 畑にいたリクとユカが走ってくるのが見える。

〔あれ~~~ レンとタツキじゃないか。〕
〔敵襲ってレン達なの~? うける~ 〕と爆笑のユカ。

〔なんで、リク達が・・〕ぶわっと涙が溢れレンはわんわん泣いた。

タツキ 〔俺はしんだのか? ここは天国?〕
リク 〔僕と同じ事いってるよ~。大丈夫生きてるよ。〕


「なんだここは? 貴様は誰だ! ニトは? 私のニトはどうした?」
「ふざけるな。ニトは俺。で俺はシェルだ。」
俺はダンジョンに戻ると必ず<base>を唱えてシェルの姿に戻るのだ。

「リオン説明は後だ。ユカ、ホテルで待ってて。」
ユカ達は不思議そうに俺とリオンを見ていたが、黙って従った。


「こんなのダンジョンでは無い。箱庭ではないか。」見渡しながらリオンが呟く。

「ああ、ここは平和な箱庭だ。厄介ごとは持ち込ませない。」

「ニトなのか? 全然別人であるな。」
「俺はシェル。本物のニトは知らない、会ったことも無い。」


「マスター 他のダンジョンマスター 危険 ダンジョン乗っ取りノ可能性有。」

「乗っ取りだとぉ?」「フン、一度出ていくである。」そうして驚くほどあっさり消えたリオン。協力してくれた礼を言えなかった。
「コア、リオンを放り出したのか?」 「否 テレポート。」
「乗っ取りってどうやるんだ?」「マスター倒シ 眷属にしまス。」

「ダンジョン2つ経営できるのか。そうか!」俺は閃いた。ダンジョンをリオンに押し付ければ良いのだ。
だがすぐに思い直した。リオンの眷属は絶対に疲れる。やはりクロに頑張ってもらおう。

「現在マスタールーム 拡大可能。」
「あ~ このままでいいよ。全然必要ないし。」


 獣人国はどうなったのか。奇病がどうとか言ってた。ギザは俺を探してる青狐だ。
資金作りにエリクサーを利用したのが全ての原因だ。俺はやり方を間違えたのか。

だが俺のコピーエリクサーで救われた人だっている。
獣人国とギザの今回のやり方は許せない。どんな理由があってもだ!
モフモフ可愛い~とか嘘だ。ギザも獣人兵も全然可愛くなかった。

 ホテルに戻るとレンとタツキはロビーで同級生に囲まれて醤油ラーメンを食べていた。

「シェル君、祝福をしないとベルルが困ってるよ。」イブキに言われ俺はすぐに祝福をしてこのダンジョンでの滞在条件を告げた。二人は牢屋暮らしが相当辛かったらしく素直に俺の話を受け入れ、何度もお礼を言った。

ーーーーーーーーーーーーーーー
レン ナナマガリ<ボランティア>男
職業レベル 1
属性 基礎 聖 水
特性スキル *慈悲の心(祈ると小回復) 
       ボランティア精神(無報酬で働くと経験値3倍)
シークレットスキル<カレー召喚>(1日3回)
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
タツキ カスガ<薪割りの達人>男
職業レベル 1
属性 基礎 火 風
特性スキル *オノ有利(オノ装備で腕力5倍)
       乾燥(湿った薪を乾燥させる)
シークレットスキル<飯盒召喚>(1日3回)
ーーーーーーーーーーーーーーー
面白い職業とスキルだ。
この世界はヤマトの街に和食が多々ありカレーだってある。
何故カレーと飯盒が召喚できるのか? シークレットは不思議だ。


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