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しおりを挟む裏切ったロビンは何度も謝って来るけど、簡単には許しません。パウロを奪ってくれて感謝しますが、それとこれとは別です。
「シンディ~もう許してよ。そうだ良い事教えてあげる。メイビルがね・・」
「まさか浮気してるって?」
「知ってた?噂のビッチャー子爵令嬢、尻軽女」
ロビンだって尻軽じゃないの・・・
でもビッチャー子爵令嬢と言えばアーティ様の真実の愛のお相手じゃないですか。
「メイビルってば、さっきも口説いてたわよ、あっちで・・・」
「何ですって!」
ビッチなんかに手を出すんじゃないわよ!
学園の恋人達の集う庭園に来ると、木の陰から声がします。
「やだ~メイビル様ったら・・・うふふ」
「だからさ、絶対俺の方がいいって」
メイビルがビッチの顎をクイッてやっています。
ムカつく!
「何やってんの!この浮気モノ!」
「やだ~怖い~」
私はメイビルの腕を引っ張ってビッチから離しました。
「邪魔するなよ、もうちょっとで落とせたのに」
「また私の為とか言わないでよね」
「アーティがいいんだろ?俺があの女寝取ってやるよ」
「何でそんな下衆い事しか考えられないのよ!」
「きっとまたアーティはお前に惚れるよ」
「貴方は、また私が人妻になってもいいのね?」
「そうしたら諦め切れる。今のままでは生殺しだ。お前だって嫌いな俺と結婚したくないんだろう?」
むぅ・・切ない色っぽい目で見つめられると許したくなる・・・その目でどれだけ女の子を落としてきたのよ!
「別に貴方を嫌いじゃないから」
「本当に?キスしていい?」
「嫌!ビッチを口説いてた唇で触れないで」
「・・・おぅ!顔洗ってくる!」
そんなんじゃないわ!
本当に何で私達だけ記憶があるんでしょうね。私は他人の前世も見えるけどメイビルは自分の記憶と私がターニアだった、それだけしか分からないそうです。
「俺は死ぬ時にお前に会いたいって思ったんだよ。来世でもいいからもう1回会いたいって、俺の切なる願いが神に届いたんだな」
それは執着とも言いますね。
「ねぇ、私の子供だった記憶はないかしら?」
「ねーよ、息子だとお前と結婚できないじゃん」
そっか、三男は他人の空似だったんだわ。良かった~
メイビルを見ると前世で末っ子だった三男を思い出します。
三男は息子達の中でも一番優しくて、甘えん坊で最後まで私の傍にいた子です。
残念ながら若くして、私より早く病で亡くなりました。
***
メイビルは卒業すると父の仕事見習いに我が家に住み込みでやって来ました。
こんな危険人物を屋敷に迎え入れるなんて!
メイド達は浮かれているし、私は貞操の危機です。
「お休みのキスだけ!」
案の定メイビルは夜半に私の部屋に押しかけてきました。ドアを閉めようにも足を挟んで閉じられません。
「キスだけで終わらないわよね?部屋にお帰りなさい」
「戻って寝られると思う?朝まで無理」
ヤる気満々でしょう、コイツは!
「あのね、ちょっと真面目な話を聞いてくれる?」
私はメイビルを部屋に入れて椅子に座らせました。
「今の私の気持ちは前世からの延長線上にあるの。メイビルより傭兵ウィルの印象がまだ強いのよ」
「前世の記憶の方が強いなら、やっぱりアーティがいいのか・・・」
「違うの、この気持ちは貴方に限ってなのよ。私は貞淑な妻のつもりだったけど、白状すると傭兵ウィルに好意を持ってたわ。夫を裏切った妻になりたくないの」
ターニアはウィルの気持ちは知っていました。彼に惹かれてもいました。
それを認められず常にウィルに怒った態度で接していました。
それにまだ私はメイビルを信じきれないのです。
「うーん、俺は馬鹿なのか?意味が全然わかんねー」
「結婚して真っ新な気持ちでメイビルを愛したいの。その時に過去の記憶は全部捨てて、貴方との人生を歩んでいくわ」
「・・・結婚して俺を愛してくれるというのは理解した」
「じゃぁ、おやすみなさい」
私はメイビルにキスをして部屋から追い出しました。
「ったく!何で今からじゃダメなんだよ・・・くっそ!仕方ない、我慢して自分で処理するか・・」
「そういう事言わないの!ホント最低!」
今世もまた貴方に惹かれていく自分が怖い。メイビル、貴方の愛が本物だと信じさせて。
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