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37 秘密
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殿下の部屋で二人っきり、秘密って何だろう?ちょっとワクワクする。
アーヴィング殿下は私をソファーに座らせ、手を握ると私の足元に跪いた。
「ユナは私が何の獣人なのか知らないよね?」
「はい、だいたい予想は付きますが」
殿下は頷いて目を瞑ると、大きく息を吸って体中に魔力を流した。すると目じりから頬に掛けて銀色の鱗が現れた。
犬歯が伸びて、頭には尖った小さな角が生えていた。
赤い瞳の中心は筋になった金色の瞳孔に変化し、爬虫類を思わせる。
殿下の姿が変化していくのを私はポカーンと見つめていた。
「私は竜人なんだ、気味が悪いだろう? この姿は一部の人にしか見せていない」
服の袖をめくると腕にもびっしりと鱗が生えて、足も同じ状態、耳と手の爪は伸びて尖っていた。
御免なさい殿下、正直モフモフが良かったです。ワンコさんは可愛かった。
でもアーヴィング殿下、ヒーロー番組の怪人みたいで恰好いいです!
顔が美形だから悪役でも人気が出そうだ。
ヒーロー寄りの悪役なんて推せる!
カードにしたら超レアでプレミアムが付きそう。
「ユナ?」
馬鹿なことを考えていると不安そうな顔で殿下に名前を呼ばれた。
「はい、あの、尻尾はあるんですか?」
「あるよ、でも恥ずかしいから見せられない・・・」
「えっと、気味は悪くないです。鱗が綺麗で、指輪を作るのに剥がしたのはどの部分ですか?」
「・・・尻尾だ」
「鱗を剥がす時に痛みは?」
「あったが、大したことはなかった」
本当かな?爪を剥がすと痛いよね。
「竜人と人型どっちが本当の姿なんですか?」
「原型は人型だ。体全体に魔力を巡らすと変化する」
「角に触れても良いですか?」
「いいよ」
殿下はかがんで角に触れさせてくれた。だんだら角は石のように硬くて冷たい。
「角はまだ伸びるの?」
「ああ、伸びる。最終的には銀の鱗に包まれてシルバードラゴンに変化できるだろう。まだ数十年先だけど」
「獣王様は?ドラゴンに変化できるんですか?」
「できるよ、巨大ドラゴンにね。ユナは人外の私が怖くないの?」
全然!ダイナソーや怪獣映画大好きでした。
「恰好いいと思います。私も人外ですよ、妖精ですから」
ちょっと質問がしつこかったかな?でも殿下のことを深く知りたかった。
殿下は元の姿に戻ると私の手にキスをした。
「ユナが番で良かった。恐れられたらどうしようかと悩んでいたよ」
「びっくりしたけど、怖くないです。ここは異世界でいろんな種族が存在するもの」
「ユナに口付けたいけど、君が元の姿に戻ってからにしよう。楽しみだよ」
期待されると困るよ殿下。
竜人のようなインパクトは無いけど、前世の地味な姿に戻ってガッカリさせたらどうしよう。
「そろそろオーハン卿の元に戻ろうか。とても心配されていた」
「はい」
塔に戻ろうと殿下と二人で部屋を出るなり護衛騎士が二名、殿下の前に進み出た。
「殿下、お出かけの際には我々を置いて行かないで欲しいです」
「すまなかった、急いでいたんだ。今からオーハン卿を訪ねる」
「畏まりました」
塔に戻れる、バレンシアに会って元に戻るんだ。ミリアンとお父様にも早く会いたい。
そう思ったのに、息を切らせた年配の男性が足早で近づいてくる。
「殿下ーー!」
「ユナちょっと待ってて」
殿下は男性と再び部屋に戻り、しばらくすると廊下に出てきた。殿下の顔が暗くて気になる。
「待たせたね、行こうか」
「大丈夫ですか?私一人で塔に戻りますよ?」
「大丈夫だよ。オーハン卿にも会いたいからね」
不穏な空気を醸し出しながら「殿下、早く戻って下さいよ!」と中年男が叫んだ。
「わかってる」
何だろう気になる。
アーヴィング殿下は私をソファーに座らせ、手を握ると私の足元に跪いた。
「ユナは私が何の獣人なのか知らないよね?」
「はい、だいたい予想は付きますが」
殿下は頷いて目を瞑ると、大きく息を吸って体中に魔力を流した。すると目じりから頬に掛けて銀色の鱗が現れた。
犬歯が伸びて、頭には尖った小さな角が生えていた。
赤い瞳の中心は筋になった金色の瞳孔に変化し、爬虫類を思わせる。
殿下の姿が変化していくのを私はポカーンと見つめていた。
「私は竜人なんだ、気味が悪いだろう? この姿は一部の人にしか見せていない」
服の袖をめくると腕にもびっしりと鱗が生えて、足も同じ状態、耳と手の爪は伸びて尖っていた。
御免なさい殿下、正直モフモフが良かったです。ワンコさんは可愛かった。
でもアーヴィング殿下、ヒーロー番組の怪人みたいで恰好いいです!
顔が美形だから悪役でも人気が出そうだ。
ヒーロー寄りの悪役なんて推せる!
カードにしたら超レアでプレミアムが付きそう。
「ユナ?」
馬鹿なことを考えていると不安そうな顔で殿下に名前を呼ばれた。
「はい、あの、尻尾はあるんですか?」
「あるよ、でも恥ずかしいから見せられない・・・」
「えっと、気味は悪くないです。鱗が綺麗で、指輪を作るのに剥がしたのはどの部分ですか?」
「・・・尻尾だ」
「鱗を剥がす時に痛みは?」
「あったが、大したことはなかった」
本当かな?爪を剥がすと痛いよね。
「竜人と人型どっちが本当の姿なんですか?」
「原型は人型だ。体全体に魔力を巡らすと変化する」
「角に触れても良いですか?」
「いいよ」
殿下はかがんで角に触れさせてくれた。だんだら角は石のように硬くて冷たい。
「角はまだ伸びるの?」
「ああ、伸びる。最終的には銀の鱗に包まれてシルバードラゴンに変化できるだろう。まだ数十年先だけど」
「獣王様は?ドラゴンに変化できるんですか?」
「できるよ、巨大ドラゴンにね。ユナは人外の私が怖くないの?」
全然!ダイナソーや怪獣映画大好きでした。
「恰好いいと思います。私も人外ですよ、妖精ですから」
ちょっと質問がしつこかったかな?でも殿下のことを深く知りたかった。
殿下は元の姿に戻ると私の手にキスをした。
「ユナが番で良かった。恐れられたらどうしようかと悩んでいたよ」
「びっくりしたけど、怖くないです。ここは異世界でいろんな種族が存在するもの」
「ユナに口付けたいけど、君が元の姿に戻ってからにしよう。楽しみだよ」
期待されると困るよ殿下。
竜人のようなインパクトは無いけど、前世の地味な姿に戻ってガッカリさせたらどうしよう。
「そろそろオーハン卿の元に戻ろうか。とても心配されていた」
「はい」
塔に戻ろうと殿下と二人で部屋を出るなり護衛騎士が二名、殿下の前に進み出た。
「殿下、お出かけの際には我々を置いて行かないで欲しいです」
「すまなかった、急いでいたんだ。今からオーハン卿を訪ねる」
「畏まりました」
塔に戻れる、バレンシアに会って元に戻るんだ。ミリアンとお父様にも早く会いたい。
そう思ったのに、息を切らせた年配の男性が足早で近づいてくる。
「殿下ーー!」
「ユナちょっと待ってて」
殿下は男性と再び部屋に戻り、しばらくすると廊下に出てきた。殿下の顔が暗くて気になる。
「待たせたね、行こうか」
「大丈夫ですか?私一人で塔に戻りますよ?」
「大丈夫だよ。オーハン卿にも会いたいからね」
不穏な空気を醸し出しながら「殿下、早く戻って下さいよ!」と中年男が叫んだ。
「わかってる」
何だろう気になる。
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