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40 貴族会議 アーヴィング視点
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☆《アーヴィング殿下視点》☆
王宮の広い会議室で私は選択を迫られていた。
王族として他国の王女アテーナを娶る。それを断るなら、断る理由として獣人国のソフィア王女に婿入りして欲しいと2択を迫られているのだ。
────なぜそうなったのか?
理由は、ユナと王国に戻った日、兄である王太子が倒れて一時意識不明の状態に陥ったからだ。
アテーナ王女は兄の婚約者であるが病が理由で、もう2年も婚姻を伸ばされている。なので結婚は第二王子の私でも良いと言ってきたのだ。
アテーナ王女の国の申し入れを断れば同盟は切られ、冷戦状態になる恐れがあった。
獣人国への婿入りを理由に断れば最悪の状態を回避できる。獣人国の恐ろしさは大陸中に知られているのだから。
アテーナ王女を妃に迎えれば王位継承権の無い私を王太子にすると陛下からの言葉があった。
よって会議は開かれ、私を王太子に推したい獣人王族派、王家の尊い血を守りたい純王族派が対立している。
「アテーナ王女を迎えるべきだ!」「いや、獣人国との同盟を強化すべきだ!」
朝から同じ意見が繰り返されている。
そこに私の意思は関係ない。
【番】がいるから臣下に下りたいと言っても、彼らは聞く耳を持たない。
ここにいる貴族達は誰も、竜人の番に対する執着を知りはしない。
ユナと国外に逃げたいとすら思ったが、三日前に妖精の国に帰ったとオーハン卿から連絡があった。ユナは【番】などという意識は持たない、私が一方的に焦がれているだけだ。
先日見せた私の醜い竜人の姿を嫌って、ユナはこのまま妖精の国から戻らないかもしれない。
美しい妖精の姿に戻り、更に女神の祝福を受けたユナ。私を選ぶ必要なんてないのだ。
体が熱くなる・・・三日前、いっそ私の妻にしてしまえば良かった・・・ユナに会いたい。妖精の国だと?そこに行けばユナを取り戻せるのか?
────私は王家の人間だ、しかし・・・苛立ちが膨れ上がってくる・・・
「アーヴィング殿下?どうされました・・・・」
議長の声に気が付けば、体には銀色の鱗が表れ、頭には角がメキメキと・・・
「殿下!落ち着いて下さい!ひぃぃいいい!!!」
大勢の貴族の前で私の醜い姿は曝け出された。全員立ち上がり、中には逃げようとする者さえいる。
「「「化け物・・・」」」
無意識に竜人化したのか・・・王太子なんて断る!婿入りもごめんだ!
このまま暴走すればこの城は半壊するだろうな・・・
────あああ、血が沸騰する、大声で吠えて全て壊したい!!!
もう感情を抑え切れなくなった時、ユナの魔力を頭上から感じた。会議室の天井は一部が鏡張りになっている。
見上げるとそこから美しい少女がゆっくりと降りてくるのが見えた。
両手を広げると私の腕の中に少女は降りてきた。別人になっていたがこの魔力は間違いなくユナだ。
「変身しちゃったんですか?ふふふ」
ユナはまた私の角に触れて笑った。
「怖くないか?」
「全然。私も変身したんですけど・・・どうですか?」
「綺麗だ。どんな姿でもユナは私のユナだ」
ユナを抱きしめ、安堵と喜びで気持ちが落ち着くと私は人の姿に戻った。
「静粛に!」
議長の言葉に貴族達は席に座り、会議室に静寂が訪れる。
誰もがに私の膝の上のユナに注目している。
「私の番のユナだ。私はユナ以外は娶らない。認め無いなら私を国外追放にすればいい」
「王族なのにそれは無責任ではないですかな?」
「今こそ獣人にも王位継承権を!」
「アテーナ王女からの要望を断れるのか」
「王家の血は守られるべきだ!」
貴族たちが口々に意見を言い合っていると「あの・・・・・」とユナが挙手した。
「本日は女神フローリス様の代理で来ました。私の話を聞いて下さい」
再び会議室内は静かになった。
「誰にも私と殿下を引き離せません。私は女神の祝福を受けました。私達を引き離そうとすればこの国は女神の加護を失うでしょう」
ユナの話に私を王太子に推したい貴族達がいきり立つ。
「でたらめを言うな!お前が祝福を受けた証拠はどこにある!」
「そうだ!無関係な者は会議室から出ていけ!」
「「「「「出ていけ!」」」」」
「むぅ、私は代理で来たと申し上げました。フローリス様への無礼は許されません!」
ユナの怒りにヤジを飛ばした貴族達は声を失い茨に包まれた。
「まだ意見はありますか? 殿下は私へのご褒美なんです。誰にもあげません!いいですか、女神様を怒らせるとこの国から春は消えて王都を守る結界も消えますからね!」
ユナの性格が少し変化した?・・・ぷぅっと頬を膨らます仕草も可愛い。
「アーヴィング殿下ご決断を」
議長の発言に私は答える。
「私は女神から与えられた彼女へのご褒美のようだ。私は臣下に下りこの国を支える。王族は他にもいる。兄上の様態も回復する可能性はある」
「反対されたら殿下を妖精の国に攫っていきます。文句ある人は手を上げて下さい」
誰も手を上げなかった。
結論から言ってこの会議は無効だ。後日、仕切り直すか、もしくは王命が下されるだろう。
何があっても私の気持ちは変わらない。
会議で結果が出せず不甲斐ない。情けない顔をユナに向けると「大丈夫ですよ殿下、愛しています」私の頬にユナはキスをした。
ユナから率直に好意を向けられたのは初めてだ。
頬が熱くなって、たまらず片手で覆った。
王宮の広い会議室で私は選択を迫られていた。
王族として他国の王女アテーナを娶る。それを断るなら、断る理由として獣人国のソフィア王女に婿入りして欲しいと2択を迫られているのだ。
────なぜそうなったのか?
理由は、ユナと王国に戻った日、兄である王太子が倒れて一時意識不明の状態に陥ったからだ。
アテーナ王女は兄の婚約者であるが病が理由で、もう2年も婚姻を伸ばされている。なので結婚は第二王子の私でも良いと言ってきたのだ。
アテーナ王女の国の申し入れを断れば同盟は切られ、冷戦状態になる恐れがあった。
獣人国への婿入りを理由に断れば最悪の状態を回避できる。獣人国の恐ろしさは大陸中に知られているのだから。
アテーナ王女を妃に迎えれば王位継承権の無い私を王太子にすると陛下からの言葉があった。
よって会議は開かれ、私を王太子に推したい獣人王族派、王家の尊い血を守りたい純王族派が対立している。
「アテーナ王女を迎えるべきだ!」「いや、獣人国との同盟を強化すべきだ!」
朝から同じ意見が繰り返されている。
そこに私の意思は関係ない。
【番】がいるから臣下に下りたいと言っても、彼らは聞く耳を持たない。
ここにいる貴族達は誰も、竜人の番に対する執着を知りはしない。
ユナと国外に逃げたいとすら思ったが、三日前に妖精の国に帰ったとオーハン卿から連絡があった。ユナは【番】などという意識は持たない、私が一方的に焦がれているだけだ。
先日見せた私の醜い竜人の姿を嫌って、ユナはこのまま妖精の国から戻らないかもしれない。
美しい妖精の姿に戻り、更に女神の祝福を受けたユナ。私を選ぶ必要なんてないのだ。
体が熱くなる・・・三日前、いっそ私の妻にしてしまえば良かった・・・ユナに会いたい。妖精の国だと?そこに行けばユナを取り戻せるのか?
────私は王家の人間だ、しかし・・・苛立ちが膨れ上がってくる・・・
「アーヴィング殿下?どうされました・・・・」
議長の声に気が付けば、体には銀色の鱗が表れ、頭には角がメキメキと・・・
「殿下!落ち着いて下さい!ひぃぃいいい!!!」
大勢の貴族の前で私の醜い姿は曝け出された。全員立ち上がり、中には逃げようとする者さえいる。
「「「化け物・・・」」」
無意識に竜人化したのか・・・王太子なんて断る!婿入りもごめんだ!
このまま暴走すればこの城は半壊するだろうな・・・
────あああ、血が沸騰する、大声で吠えて全て壊したい!!!
もう感情を抑え切れなくなった時、ユナの魔力を頭上から感じた。会議室の天井は一部が鏡張りになっている。
見上げるとそこから美しい少女がゆっくりと降りてくるのが見えた。
両手を広げると私の腕の中に少女は降りてきた。別人になっていたがこの魔力は間違いなくユナだ。
「変身しちゃったんですか?ふふふ」
ユナはまた私の角に触れて笑った。
「怖くないか?」
「全然。私も変身したんですけど・・・どうですか?」
「綺麗だ。どんな姿でもユナは私のユナだ」
ユナを抱きしめ、安堵と喜びで気持ちが落ち着くと私は人の姿に戻った。
「静粛に!」
議長の言葉に貴族達は席に座り、会議室に静寂が訪れる。
誰もがに私の膝の上のユナに注目している。
「私の番のユナだ。私はユナ以外は娶らない。認め無いなら私を国外追放にすればいい」
「王族なのにそれは無責任ではないですかな?」
「今こそ獣人にも王位継承権を!」
「アテーナ王女からの要望を断れるのか」
「王家の血は守られるべきだ!」
貴族たちが口々に意見を言い合っていると「あの・・・・・」とユナが挙手した。
「本日は女神フローリス様の代理で来ました。私の話を聞いて下さい」
再び会議室内は静かになった。
「誰にも私と殿下を引き離せません。私は女神の祝福を受けました。私達を引き離そうとすればこの国は女神の加護を失うでしょう」
ユナの話に私を王太子に推したい貴族達がいきり立つ。
「でたらめを言うな!お前が祝福を受けた証拠はどこにある!」
「そうだ!無関係な者は会議室から出ていけ!」
「「「「「出ていけ!」」」」」
「むぅ、私は代理で来たと申し上げました。フローリス様への無礼は許されません!」
ユナの怒りにヤジを飛ばした貴族達は声を失い茨に包まれた。
「まだ意見はありますか? 殿下は私へのご褒美なんです。誰にもあげません!いいですか、女神様を怒らせるとこの国から春は消えて王都を守る結界も消えますからね!」
ユナの性格が少し変化した?・・・ぷぅっと頬を膨らます仕草も可愛い。
「アーヴィング殿下ご決断を」
議長の発言に私は答える。
「私は女神から与えられた彼女へのご褒美のようだ。私は臣下に下りこの国を支える。王族は他にもいる。兄上の様態も回復する可能性はある」
「反対されたら殿下を妖精の国に攫っていきます。文句ある人は手を上げて下さい」
誰も手を上げなかった。
結論から言ってこの会議は無効だ。後日、仕切り直すか、もしくは王命が下されるだろう。
何があっても私の気持ちは変わらない。
会議で結果が出せず不甲斐ない。情けない顔をユナに向けると「大丈夫ですよ殿下、愛しています」私の頬にユナはキスをした。
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