異世界転生先は鏡の妖精だった⁉ちょっぴりハードモードです

ミカン♬

文字の大きさ
上 下
16 / 42

16 ブサイク眼鏡のくせに

しおりを挟む
 夕食後に自室でレポートをまとめて明日は提出するだけという時に、4名の貴族令嬢達の突撃を受けた。

「ダンジョンのレポートを見せて頂けないかしら?お礼はするわよ」
「いえ、特待生は不正をすると即、退学になるのでお断りします」

「不正?見せて頂くだけよ。問題ないわよねぇ皆様?」
「そうよ、レポートを廊下に置いて、貴方はお花を摘みに行ってらっしゃいな」

 話したことのないBクラスの令嬢たちだ。
 寮の食堂でも偉そうにしている茶髪の伯爵令嬢コーデリア、後は下位貴族の取り巻き3人組。

「お断りします」
 ドアを閉めようとすると無理やり部屋に入って机上のレポートを取り上げられた。

「返して下さい!」
「平民が生意気なのよ!」
 腕を掴まれて後ろに引っ張られ、地味に痛い。

「こっちは大金寄付してるの!タダで世話になってるんだから役に立ちなさいよね」
 仕方ない、とりあえず大人しくしておこう。揉めて退学は御免だ。

 4人が戻って行くと私は尾行して部屋を確認した。
 一番下っ端の男爵令嬢が全員のレポートを押し付けられている。

「可哀そうだけど、今晩お邪魔するわね」

     *

「ニャ~ン」
「ネーロ、これは盗みじゃないわ、奪還よ?」

 深夜、鏡から男爵令嬢ウィローの部屋に入って机上を見た。

「まだ着手してないのか。提出期限は今月中だものね」
 私は自分のレポートを持って部屋に戻り、翌日の授業終わりにロアンと共にレポートを提出した。

 私から取り上げたレポートを紛失したウィローは、コーデリア達に叱られシュンと背中を丸めていた。

 その後も凝りもせず、コーデリア達は私に付き纏うので担任に相談した。A判定の成績が欲しいのだろう、私とロアンは優秀な特待生なのだから。


     *


 レポートを提出し終えて次の予定をロアンと話し合っていた。

「次は2階層だな。さっさと終わらせて単位取りたいな」
 私は土と風、ロアンは火と風の魔法を操れる。

「水魔法が得意なメンバーが欲しいわね」
「そうだな」

「良かったら組みませんか?私は水魔法が得意です」
 私達の話を聞きつけて、クラスメートのサイラスが声を掛けてきた。
 なかなかのイケメンである。
「それから彼は友人のポールです。彼も入れて貰えませんか。土と水を扱えます」

「お二人ともぜひお願いします」
 サイラスとポールが仲間になって4人チームになった。



     ***



「ブサイク眼鏡のくせに・・・・」
 ヒソヒソと悪口が聞こえる。

 最近、寮での居心地が悪い。
 コーデリアグループとサイラスのフアングループだ。

 メンバーになったサイラスは美形の伯爵令息で令嬢達から人気がある。

 1-Aの3人組のご令嬢たちが、サイラスに熱を上げている。
 サイラスと組みたければ誘えばいいじゃん。

 コーデリア達は担任に注意してもらったら、恨まれてしまった。


 油断していると、小突かれて足を引っかけられたり、上からゴミや石、汚水が降ってくる。
 寮の部屋の前を生ゴミだらけにされたり、突き飛ばされることもある。
 平民だと思って、やりたい放題だ。

 問題を起こして退学になっても困るし、今は様子見なんだけど。

 濡れる程度は魔法で綺麗にすることが出来る。
 だが怪我したり、制服が破れると困るのだ。

「シア、最近虐められてるよな」
 ロアンが心配してくれる。イイ奴だ。

「ちょっと嫌がらせがあるかな~大したことないけどね」
「早く教師か生徒会に訴えた方がいいぞ。生徒会は俺が話しておくよ」
「うん、ありがとね」

 教師に訴えたらコーデリア達に逆恨みされたのよね。どうしたものかな。


     ***


 ガシャーーーン!

 腕にかすかな痛み。足元に植木鉢の欠片が飛び散った。

 この日はドームに向かう途中、頭上から薬草を植えた植木鉢が落ちてきて、あわや頭が割れるところだった。
 どこからか、ネーロが軌道をずらしてくれて助かった。

「シア!大丈夫か?」
 駆けつけてくれたのはアーヴィング殿下だった。

「ちょっと腕をかすっただけで大丈夫です」
「嫌がらせされていると聞いた」
「大したことないです」

 ロアンが生徒会に話してくれたのね。

「シア、腕を見せて」
「本当に大丈夫「いいから!」

 マズい今度はアーヴィング殿下フアンからも攻撃されそうだ。
 袖をめくると赤くなっているが大したことは無い。

「医務室に行っておいで、犯人は捕まえておく」
「わかるのですか?」
「ああ、嫌な臭いがするよ」

 臭い?そうか殿下は獣人の血を引いていたんだった。

「グレン、彼女を医務室までお連れしろ」
「かしこまりました。行きましょう」

 やだ、グレン・ハサウェイ・・・兄じゃないか。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

処理中です...