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18 お仕置き
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その夜、私は薬学室の液体の入った小瓶を手に取った。中には強烈なアンモニア臭の液体が入っている。
ハーブで色付けした微温湯を入れた大きなビーカーに、アンモニア臭の液体をスポイドで数滴入れた。
「うぅう・・・めちゃくちゃ臭い!」
鏡の中の出来事は現実にも起こる。
ターゲットは1-Bのコーデリア4人組とサイラスに執着する1-Aのご令嬢3人。
他にもいるがこの7人が特に目に余る。危険な物理攻撃は許せない。
深夜に鏡の中の7人の部屋に向かって、彼女たちのベッドにアンモニア臭のぬるま湯を、それはもうたっぷりとビチャビチャに垂らし黄色の地図を書いておいた。
さてどう対処するのか、私の事など忘れて【オネショした】という恥ずかしい秘密を抱えて悩んで欲しい。
悩みを持つ事がどれ程ストレスになるか、身をもって味わうと良い。
「ふふん、この程度のお仕置きなら、やってもいいわよね?」
「ニャン!」
翌朝、7人の令嬢たちは朝食に来なかった。
ベッドを乾かすことは魔法で可能だが、アンモニア臭は簡単な魔法では消せない。まぁ頑張って何とかすればいい。
更にコーデリア達は生徒会によって警告を受けた。虐めたのが平民だから警告で終わりだが、グレンと殿下に相当脅されたらしく近寄って来なくなった。ウィローだけは傷害罪で三日間停学処分だ。
被害者がルナシアだと全員退学だろうな。そもそも公爵令嬢だから虐められる事もないけど。
因みに1-Aの意地悪令嬢3人組が近づいてくると「なんか臭い」と鼻を押さえれば、慌てて離れて行くようになった。ちょっと甘いかな。まぁ何度でもアンモニア攻撃で対処するけどね。
***
学校、寮生活も一月経って外出許可が取れるようになり、久しぶりに塔に戻れる日が来た。
週末にオーハン先生が養女になった証明書を持って学校まで迎えに来てくれた。
ずっと養女の手続きをしてくれていたと思うと胸が熱くなる。
バレンシアは身元不明の平民から公爵令嬢となり、今やバレンシア・オーハン伯爵令嬢となった。
特級魔法伯は一代限りの伯爵位にある。先生とは父娘、ミリアンさんとは兄妹になった。
「お父様と呼んでいいですか?」
「ああ、もちろんだよ」
先生は照れながらそう言ってくれた。
塔に戻るとミリアンさんがご馳走を用意して待ってくれていた。
「これからはシアって呼びますね。僕の事はミリアンと」
「はい、ミリアンお兄様」
「いや~ちょっと照れるな、可愛い妹が出来て嬉しいよ」
「私もすごく嬉しいです、お兄様」
ハサウェイ公爵家の人達とは大違いだ。
でも先生たちはバレンシアの家族で私の家族ではない。
【妖精の鏡】を割ってしまえば、私はバレンシアになれるだろうか。
首を振った。鏡を割るのは魔女で、私は成り代わった妖精だ。
離れの屋根裏部屋の鏡も保護したい。
絵本のように、万が一割れてバレンシアが戻れなくなると大変だ。
ミリアンに風魔法の成果を見てもらった。ロアンにも習って、風に乗って飛べるようになったのだ。
「僕の妹は優秀ですね。次は水魔法を練習しますか」
「お願いします、お兄様」
なんて幸せなんだろう。この幸せが長く続いて欲しい。
「ニャニャン!」
塔にいる間は鏡の中で留守番のネーロ。
「寮に戻ったら、鏡から出してあげるから、怒らないでよ」
すっかり外に出るのが日常になったネーロは不機嫌だ。
「お願い、塔にいる間はバレンシアを探して。バレンシアが戻れば私はずっとネーロと一緒に居られるわ」
ハサウェイ公爵家を隅々まで探して欲しいと頼んだ。するとネーロはスッと影に溶けて消えてしまった。
気まぐれなネーロだが、バレンシアを探しに行ってくれたと信じたい。
バレンシアが見つかったら────
本当ならヘレンを排除した時点で、バレンシアに戻ってもらうのがベストだった。
最優先事項はバレンシアを探すことなのだけど、毎日バレンシアとして規則正しい生活をしている私にはそれが出来ない。
もしもバレンシアが見つかれば今のこの生活を全て奪われる?
バレンシアから解放されたい反面、今の生活を失うのが怖い。
学校生活も続けたい、オーハン先生とミリアンさんが家族でなくなるのが嫌だ。
ハーブで色付けした微温湯を入れた大きなビーカーに、アンモニア臭の液体をスポイドで数滴入れた。
「うぅう・・・めちゃくちゃ臭い!」
鏡の中の出来事は現実にも起こる。
ターゲットは1-Bのコーデリア4人組とサイラスに執着する1-Aのご令嬢3人。
他にもいるがこの7人が特に目に余る。危険な物理攻撃は許せない。
深夜に鏡の中の7人の部屋に向かって、彼女たちのベッドにアンモニア臭のぬるま湯を、それはもうたっぷりとビチャビチャに垂らし黄色の地図を書いておいた。
さてどう対処するのか、私の事など忘れて【オネショした】という恥ずかしい秘密を抱えて悩んで欲しい。
悩みを持つ事がどれ程ストレスになるか、身をもって味わうと良い。
「ふふん、この程度のお仕置きなら、やってもいいわよね?」
「ニャン!」
翌朝、7人の令嬢たちは朝食に来なかった。
ベッドを乾かすことは魔法で可能だが、アンモニア臭は簡単な魔法では消せない。まぁ頑張って何とかすればいい。
更にコーデリア達は生徒会によって警告を受けた。虐めたのが平民だから警告で終わりだが、グレンと殿下に相当脅されたらしく近寄って来なくなった。ウィローだけは傷害罪で三日間停学処分だ。
被害者がルナシアだと全員退学だろうな。そもそも公爵令嬢だから虐められる事もないけど。
因みに1-Aの意地悪令嬢3人組が近づいてくると「なんか臭い」と鼻を押さえれば、慌てて離れて行くようになった。ちょっと甘いかな。まぁ何度でもアンモニア攻撃で対処するけどね。
***
学校、寮生活も一月経って外出許可が取れるようになり、久しぶりに塔に戻れる日が来た。
週末にオーハン先生が養女になった証明書を持って学校まで迎えに来てくれた。
ずっと養女の手続きをしてくれていたと思うと胸が熱くなる。
バレンシアは身元不明の平民から公爵令嬢となり、今やバレンシア・オーハン伯爵令嬢となった。
特級魔法伯は一代限りの伯爵位にある。先生とは父娘、ミリアンさんとは兄妹になった。
「お父様と呼んでいいですか?」
「ああ、もちろんだよ」
先生は照れながらそう言ってくれた。
塔に戻るとミリアンさんがご馳走を用意して待ってくれていた。
「これからはシアって呼びますね。僕の事はミリアンと」
「はい、ミリアンお兄様」
「いや~ちょっと照れるな、可愛い妹が出来て嬉しいよ」
「私もすごく嬉しいです、お兄様」
ハサウェイ公爵家の人達とは大違いだ。
でも先生たちはバレンシアの家族で私の家族ではない。
【妖精の鏡】を割ってしまえば、私はバレンシアになれるだろうか。
首を振った。鏡を割るのは魔女で、私は成り代わった妖精だ。
離れの屋根裏部屋の鏡も保護したい。
絵本のように、万が一割れてバレンシアが戻れなくなると大変だ。
ミリアンに風魔法の成果を見てもらった。ロアンにも習って、風に乗って飛べるようになったのだ。
「僕の妹は優秀ですね。次は水魔法を練習しますか」
「お願いします、お兄様」
なんて幸せなんだろう。この幸せが長く続いて欲しい。
「ニャニャン!」
塔にいる間は鏡の中で留守番のネーロ。
「寮に戻ったら、鏡から出してあげるから、怒らないでよ」
すっかり外に出るのが日常になったネーロは不機嫌だ。
「お願い、塔にいる間はバレンシアを探して。バレンシアが戻れば私はずっとネーロと一緒に居られるわ」
ハサウェイ公爵家を隅々まで探して欲しいと頼んだ。するとネーロはスッと影に溶けて消えてしまった。
気まぐれなネーロだが、バレンシアを探しに行ってくれたと信じたい。
バレンシアが見つかったら────
本当ならヘレンを排除した時点で、バレンシアに戻ってもらうのがベストだった。
最優先事項はバレンシアを探すことなのだけど、毎日バレンシアとして規則正しい生活をしている私にはそれが出来ない。
もしもバレンシアが見つかれば今のこの生活を全て奪われる?
バレンシアから解放されたい反面、今の生活を失うのが怖い。
学校生活も続けたい、オーハン先生とミリアンさんが家族でなくなるのが嫌だ。
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