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8 特待生試験
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図書館から戻ってミリアンさんに銀髪のイケメンの話をするとアーヴィング第二王子殿下かも知れないと言った。
「王子様でも勝手に鑑定なんて」
「確かに失礼ですね。・・・話は変わりますが、師匠がしばらく留守にします」
「どこに行かれるのですか?」
「どこかの貴族の子どもの家庭教師ですよ。住み込みで雇われたそうで、当分戻って来ないと思います。師匠は特級魔法伯なので人気があるんです。師匠がいないとスパイスを効かせた料理が食べられますね」
「私は辛さ程々でお願いします・・・」
侯爵は特級魔法伯をバレンシアの家庭教師にしていた。ピアノの先生も腕は確かだった。
忌み子と放置したり、しっかり勉強させたりとちぐはぐな行為だ。
ヘレンに説得されて一応バレンシアを教育するつもりだったのか。
「言い出したヘレンが全部握りつぶしちゃったけどね」
***
────やって来ました特待生試験。
ミリアンさんに付き添われて魔法学校の門をくぐり、校舎内の受付に向かう。
受験者が50人以上いる。
合格ラインに入れば何人でも特待生になれるのだが狭き門、昨年の合格者は5人だった。
授業料と寮費は免除。制服、教科書、文具品、昼食の食券の支給等が受けられる。
「ああ、緊張します~」
「いつも通り平常心で頑張って下さい。読書しながら控室で待っています」
「背中を叩いて貰えます?」
「いいですよ、行ってらっしゃい!」
パシッ!とミリアンさんに背中を叩かれて試験会場に向かった。
筆記試験と面接は問題なく、落ち着いて挑むことができた。
魔法の試験となり、魔法障壁のあるドーム型の建物に移動して順番を待っていると、図書館で会ったアーヴィング殿下と思われるイケメンがいるのに気づいた。
周囲に設置されている観客席のような場所で試験の様子を見ている。制服を着ているのでやはり生徒だった。
目を合わせないようにずっと俯いていると「35番シアさん」と名前を呼ばれて試験官のところに向かった。
「土魔法ですか。得意なのはゴーレムの作成ですね」
「はい」
「ではこちらでゴーレムを作って下さい」
足元が土になっている場所で私は黒ヒョウのゴーレムを作った。
人型はオーハン先生に止められたのだ。
なんならサンドストームでもいいと言われたが、砂埃が嫌でゴーレムにした。
「・・・動かせますか?」
「もちろんです。走れ!」
命令すると黒ヒョウは軽やかに走り「戻れ!」と指示すれば足元に戻って来る。
「もういいよ」
頭をなでると黒ヒョウは土に戻った。
「結構です。35番これで終わります」
周囲にめっちゃ注目されている。この世界のゴーレムは固い岩男みたいなイメージ。
私のゴーレムは固いだけじゃなくて機敏に動いて、形態が美しいのだ。
終わった。試験が終わった!
解放感に包まれて、るんるんでドームから出ると銀髪のイケメンが待っていた。
「シア、お疲れさま。豹のゴーレムは面白かったね」
親しげに話しかけてくる彼に私の警戒心はMAXに。
「この前は悪かった。謝罪するよ。名乗っていなかったね、私はアーヴィングと申します」
「はい、謝罪をお受けします。失礼します、アーヴィング第二王子殿下」
やはりアーヴィング第二王子殿下だった。威圧感が半端ない。
急いでミリアンさんの待つ控室に向かう私の背に、殿下の視線がずっと絡みついていた。
「お待たせしましたミリアンさん、大きな失敗は無いと思います」
「お疲れ様。戻りましょうか。師匠もそろそろ戻ってきます。シアさんの事をきっと気にしている筈です」
結果は2か月先だ。オーハン先生の塔に郵送されてくる。
2か月間どうしようかな、できればお金儲けがしたい。
先生に甘えてばかりも良くないし、手持ちも減ってきた。
そうだ、ヘレンに鍛え抜かれた刺繍や編み物のスキルがある。
冬の間はそれでお金儲けできないか試してみよう。
毛糸を買い込んで、セーターやベストを編んで、オーハン先生とミリアンさんにプレゼントした。
二人はとても喜んでくれて、自信を持った私は作品をお店に持ち込んで売り込んだ。
すると一軒の小さなお店で刺繍を頼まれ、レース糸や毛糸も渡されて自由に編んでくれと言われ、冬の間せっせと手芸に励んでいた。
レースの飾りや、ハンカチに刺繍、セーターやストールを数枚編んだ。
出来上がったものは全て商品になり私は賃金を手にすることが出来た。
「まさかヘレンのスパルタ手芸指導が役立つなんて思わなかったな」
そうして2か月が過ぎた頃、特待生試験の結果が送られてきた。
「王子様でも勝手に鑑定なんて」
「確かに失礼ですね。・・・話は変わりますが、師匠がしばらく留守にします」
「どこに行かれるのですか?」
「どこかの貴族の子どもの家庭教師ですよ。住み込みで雇われたそうで、当分戻って来ないと思います。師匠は特級魔法伯なので人気があるんです。師匠がいないとスパイスを効かせた料理が食べられますね」
「私は辛さ程々でお願いします・・・」
侯爵は特級魔法伯をバレンシアの家庭教師にしていた。ピアノの先生も腕は確かだった。
忌み子と放置したり、しっかり勉強させたりとちぐはぐな行為だ。
ヘレンに説得されて一応バレンシアを教育するつもりだったのか。
「言い出したヘレンが全部握りつぶしちゃったけどね」
***
────やって来ました特待生試験。
ミリアンさんに付き添われて魔法学校の門をくぐり、校舎内の受付に向かう。
受験者が50人以上いる。
合格ラインに入れば何人でも特待生になれるのだが狭き門、昨年の合格者は5人だった。
授業料と寮費は免除。制服、教科書、文具品、昼食の食券の支給等が受けられる。
「ああ、緊張します~」
「いつも通り平常心で頑張って下さい。読書しながら控室で待っています」
「背中を叩いて貰えます?」
「いいですよ、行ってらっしゃい!」
パシッ!とミリアンさんに背中を叩かれて試験会場に向かった。
筆記試験と面接は問題なく、落ち着いて挑むことができた。
魔法の試験となり、魔法障壁のあるドーム型の建物に移動して順番を待っていると、図書館で会ったアーヴィング殿下と思われるイケメンがいるのに気づいた。
周囲に設置されている観客席のような場所で試験の様子を見ている。制服を着ているのでやはり生徒だった。
目を合わせないようにずっと俯いていると「35番シアさん」と名前を呼ばれて試験官のところに向かった。
「土魔法ですか。得意なのはゴーレムの作成ですね」
「はい」
「ではこちらでゴーレムを作って下さい」
足元が土になっている場所で私は黒ヒョウのゴーレムを作った。
人型はオーハン先生に止められたのだ。
なんならサンドストームでもいいと言われたが、砂埃が嫌でゴーレムにした。
「・・・動かせますか?」
「もちろんです。走れ!」
命令すると黒ヒョウは軽やかに走り「戻れ!」と指示すれば足元に戻って来る。
「もういいよ」
頭をなでると黒ヒョウは土に戻った。
「結構です。35番これで終わります」
周囲にめっちゃ注目されている。この世界のゴーレムは固い岩男みたいなイメージ。
私のゴーレムは固いだけじゃなくて機敏に動いて、形態が美しいのだ。
終わった。試験が終わった!
解放感に包まれて、るんるんでドームから出ると銀髪のイケメンが待っていた。
「シア、お疲れさま。豹のゴーレムは面白かったね」
親しげに話しかけてくる彼に私の警戒心はMAXに。
「この前は悪かった。謝罪するよ。名乗っていなかったね、私はアーヴィングと申します」
「はい、謝罪をお受けします。失礼します、アーヴィング第二王子殿下」
やはりアーヴィング第二王子殿下だった。威圧感が半端ない。
急いでミリアンさんの待つ控室に向かう私の背に、殿下の視線がずっと絡みついていた。
「お待たせしましたミリアンさん、大きな失敗は無いと思います」
「お疲れ様。戻りましょうか。師匠もそろそろ戻ってきます。シアさんの事をきっと気にしている筈です」
結果は2か月先だ。オーハン先生の塔に郵送されてくる。
2か月間どうしようかな、できればお金儲けがしたい。
先生に甘えてばかりも良くないし、手持ちも減ってきた。
そうだ、ヘレンに鍛え抜かれた刺繍や編み物のスキルがある。
冬の間はそれでお金儲けできないか試してみよう。
毛糸を買い込んで、セーターやベストを編んで、オーハン先生とミリアンさんにプレゼントした。
二人はとても喜んでくれて、自信を持った私は作品をお店に持ち込んで売り込んだ。
すると一軒の小さなお店で刺繍を頼まれ、レース糸や毛糸も渡されて自由に編んでくれと言われ、冬の間せっせと手芸に励んでいた。
レースの飾りや、ハンカチに刺繍、セーターやストールを数枚編んだ。
出来上がったものは全て商品になり私は賃金を手にすることが出来た。
「まさかヘレンのスパルタ手芸指導が役立つなんて思わなかったな」
そうして2か月が過ぎた頃、特待生試験の結果が送られてきた。
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