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25 覚悟
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ロザリア様に覚悟を尋ねられたけど答えられなかった。
だってアスラン様からは何も聞かされていないもの。
『覚悟を決めなさい』
未来の国母の言葉は重い。
アスラン様の事は大好き、愛してる。
あれ、私は人妻だったわね。いえ、こっちではまだフリーよね。
戻ったら浮気になるのかしら、まさかね。
まだ夢を見させてもらえるなら、アスラン様と結婚式を挙げたいわ。
子どもも産んで母親になりたい。
カイトやディーンみたいな可愛い男の子が欲しいわね。
そうそう、私の家を燃やした賠償に伯爵家と子爵家から相当な金額を払ってもらったのよ。
私名義の敷地も買取を希望したらバーンズ男爵が買い取ってくれた。
ヘンリー達四人は罰としてどこかで強制労働させられるそうだ。
ナタリーは無罪になりそう。
『あの女が 唆したのよ!』とセシリーが言ったけど悪評高いセシリーの言い分は認められなかった。
でも取り調べを受けたナタリーの評判は地に落ちている。
ナタリーは名誉を回復するために何度も私に会いにホテルに来ていた。
今更仲良しアピールを求められてもね。会うわけ無いでしょう。
ヘンリーは『別荘に来ていれば────』と言ってたわ、来ていればどうなっていたのかしら。
ホテル暮らしが2週間経ってアスラン様から求婚された。
ロザリア様の仰った通り侯爵家に戻るので、卒業したら結婚して欲しいとホテル内のカフェでプロポーズしてくれた。
ロザリア様からは何度かお手紙を頂いていた。
長兄様の元婚約者の伯爵令嬢ががアスラン様と婚約してもいいと言い出してるらしい。
ロザリア様はこの伯爵令嬢がセシリーと似通った臭いがすると仰って気に入らないみたい。
伯爵家とは政略的な意味でも両家は繋がりが欲しいようだ。
平民の私に出る幕は無いわ。
「お別れしましょうアスラン様」
プロポーズをお断りするとアスラン様は10秒ほど固まって「いや」と言った。
「いや、受けてくれるまで何度も求婚する」
アスラン様ってちょっと強引な性格だったわ。
前回私は先頭に立って店を切り盛りしたから、女性を引っ張る男性に惹かれてしまう。
既に彼に夢中になっている。
「クレア大事な話だから、ちょっと部屋まで行こう」
手を取って部屋に向かうアスラン様、今までホテルの部屋に訪れたことは無かった。
危険だから誰も入れてはいけないという彼の言いつけも守ってきた。
部屋に入るといきなり抱きしめられて「クレアを守りたいんだ」と仰った。
もう幸せ過ぎて倒れそう。
「サウザー公爵家」
「ぇ!」
天国から地獄・・・私の体は石のように固くなってしまった。
「やはり公爵家と何かあったんだな。クレアは公爵家に狙われている。俺が平民だと守り切れないかもしれない。だから侯爵家に戻ってクレアを守りたいんだ」
「私が狙われている?」
「火事がそうだ。ランプを倒したくらいで直ぐに火は回らない」
「あれが、私を狙ったと?」
「証拠は無い。だが俺はそうだと思っている」
ディーンどういうことなの。協力者って言ったわよね。どうして。
「クレア、貴族が嫌だと言うなら他国に行こう」
「こ、公爵家はそんなに危険なのですか」
「王族に次ぐお家柄だ、危険だ」
「それなら尚更お別れしましょう。私は大丈夫です」
そうよ、どうせ私は死ぬんだもの。これは幸せな夢、アスラン様は夢を叶えてくれた。
もう十分だわ、アスラン様を巻き込めない。
「ダメだ!俺はクレアと幸せなりたい」
そう言ってアスラン様は噛みつくように口づけてきた。
何度も何度も。
そのまま抱きかかえられて私達はベッドで重なった。
死ぬ前に愛する人に抱かれても良いわよね。だってずっと触れて欲しかった。
淋しかった。愛されたかった。
彼の頬の傷にそっと触れる、傷さえも愛おしい。
「私ね、最後に愛してくれる人を探したかったの」
「最後じゃない。これから始まるんだ」
アスラン様の手が私のワンピースの胸のボタンに触れた時───
コンコンコン
無粋なノックの音がした。
「放っておこう」そう言ってボタンを一つ外した。
コンコンコン・・・・ドン!ドン!ドン!
「お兄様! クレア!」
間の悪いロザリア様のご訪問だった。
だってアスラン様からは何も聞かされていないもの。
『覚悟を決めなさい』
未来の国母の言葉は重い。
アスラン様の事は大好き、愛してる。
あれ、私は人妻だったわね。いえ、こっちではまだフリーよね。
戻ったら浮気になるのかしら、まさかね。
まだ夢を見させてもらえるなら、アスラン様と結婚式を挙げたいわ。
子どもも産んで母親になりたい。
カイトやディーンみたいな可愛い男の子が欲しいわね。
そうそう、私の家を燃やした賠償に伯爵家と子爵家から相当な金額を払ってもらったのよ。
私名義の敷地も買取を希望したらバーンズ男爵が買い取ってくれた。
ヘンリー達四人は罰としてどこかで強制労働させられるそうだ。
ナタリーは無罪になりそう。
『あの女が 唆したのよ!』とセシリーが言ったけど悪評高いセシリーの言い分は認められなかった。
でも取り調べを受けたナタリーの評判は地に落ちている。
ナタリーは名誉を回復するために何度も私に会いにホテルに来ていた。
今更仲良しアピールを求められてもね。会うわけ無いでしょう。
ヘンリーは『別荘に来ていれば────』と言ってたわ、来ていればどうなっていたのかしら。
ホテル暮らしが2週間経ってアスラン様から求婚された。
ロザリア様の仰った通り侯爵家に戻るので、卒業したら結婚して欲しいとホテル内のカフェでプロポーズしてくれた。
ロザリア様からは何度かお手紙を頂いていた。
長兄様の元婚約者の伯爵令嬢ががアスラン様と婚約してもいいと言い出してるらしい。
ロザリア様はこの伯爵令嬢がセシリーと似通った臭いがすると仰って気に入らないみたい。
伯爵家とは政略的な意味でも両家は繋がりが欲しいようだ。
平民の私に出る幕は無いわ。
「お別れしましょうアスラン様」
プロポーズをお断りするとアスラン様は10秒ほど固まって「いや」と言った。
「いや、受けてくれるまで何度も求婚する」
アスラン様ってちょっと強引な性格だったわ。
前回私は先頭に立って店を切り盛りしたから、女性を引っ張る男性に惹かれてしまう。
既に彼に夢中になっている。
「クレア大事な話だから、ちょっと部屋まで行こう」
手を取って部屋に向かうアスラン様、今までホテルの部屋に訪れたことは無かった。
危険だから誰も入れてはいけないという彼の言いつけも守ってきた。
部屋に入るといきなり抱きしめられて「クレアを守りたいんだ」と仰った。
もう幸せ過ぎて倒れそう。
「サウザー公爵家」
「ぇ!」
天国から地獄・・・私の体は石のように固くなってしまった。
「やはり公爵家と何かあったんだな。クレアは公爵家に狙われている。俺が平民だと守り切れないかもしれない。だから侯爵家に戻ってクレアを守りたいんだ」
「私が狙われている?」
「火事がそうだ。ランプを倒したくらいで直ぐに火は回らない」
「あれが、私を狙ったと?」
「証拠は無い。だが俺はそうだと思っている」
ディーンどういうことなの。協力者って言ったわよね。どうして。
「クレア、貴族が嫌だと言うなら他国に行こう」
「こ、公爵家はそんなに危険なのですか」
「王族に次ぐお家柄だ、危険だ」
「それなら尚更お別れしましょう。私は大丈夫です」
そうよ、どうせ私は死ぬんだもの。これは幸せな夢、アスラン様は夢を叶えてくれた。
もう十分だわ、アスラン様を巻き込めない。
「ダメだ!俺はクレアと幸せなりたい」
そう言ってアスラン様は噛みつくように口づけてきた。
何度も何度も。
そのまま抱きかかえられて私達はベッドで重なった。
死ぬ前に愛する人に抱かれても良いわよね。だってずっと触れて欲しかった。
淋しかった。愛されたかった。
彼の頬の傷にそっと触れる、傷さえも愛おしい。
「私ね、最後に愛してくれる人を探したかったの」
「最後じゃない。これから始まるんだ」
アスラン様の手が私のワンピースの胸のボタンに触れた時───
コンコンコン
無粋なノックの音がした。
「放っておこう」そう言ってボタンを一つ外した。
コンコンコン・・・・ドン!ドン!ドン!
「お兄様! クレア!」
間の悪いロザリア様のご訪問だった。
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