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18ノエルの秘密
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廊下でメアリーとすれ違い「お先に!」とスーザンが声を掛けて手を振って別れた。
メアリーが食事を終えて部屋に戻り三人揃うと、休み中の出来事を話しながら「あ、クレア結局あの人誰なの?」
スーザンが話を掘り起こしてきた。
「え~なになに~?」
「お見合いしてたのよね。すごくカッコイイ人」
「そうなんだ~、クレアは卒業したら結婚するの?」
「違うわよ、兄みたいな人だったの。3年ぶりに会ってただけ」
「なーんだ。ね、メアリーは恋人いる? もう経験済み?」
「や~ね スーザンは経験済みよね。ちゃんと避妊してる?」
「当り前よ、妊娠したら退学だもん」
「あ、貴方たち週末に恋人に会いに戻ってるの?」
あっけらかんと話す若い二人に戸惑う。
「そうよ、彼氏が可哀そうだもん」
「浮気されても困るしね~ へへ」
「クレアはバージンよね、共学だったら狼に食べられそう」
「おっぱいとか柔らかそうでフワフワ~美味しそうよね~ へへ」
「うーん、このサクランボ色の唇も美味しそう」
スーザンが私の唇に人差し指をあてると────
「ゴホン!」とノエル様が咳払をした。
「お嬢様には刺激が強かったね」
スーザンはペロっと舌を出した。
淑女のノエル様には聞かせたくない話だわ。
その夜、ぐっすり眠っていた私は誰かに揺り起こされた。
「ん? 死神さん?」
死神は「シィ────」と唇に指を当てると部屋に静寂が訪れた。
「ぅぅ」と微かにうめき声が聞こえる。
ノエル様が苦しんでいる。
熱でも出たのかしら? 人見知りだから誰にも言えず苦しんでいるのかも。
私はそっとベッドを下りて「ノエル様、失礼します」と小声を掛けてカーテンをくぐった。
ベッドに腰かけてノエル様は蹲り私と目が合うと「ひっ!」と声を引き攣らせ────
「あ」と声を出しかけた私をノエル様はベッドに引きずり込んで押し倒した。
「誰かに話したら公爵家に消されるからな」
耳元でノエル様は低い声で囁いた。
私の口をノエル様の手で押さえているが、清潔な手ですよね?
ノエル様は自分で自分を慰めていたのだ。
「クレアのせいだ。変な話をするから」
それはスーザンとメアリーです。私は聞いていただけなのに。
「見たものは忘れるんだ、いいな」
コクコクと頷くと「絶対声を出すなよ、出したら・・キ、キスするぞ」
本物のノエル様だったらキスぐらいは許容範囲だったかもしれないわね。
死神はとっくに退散していた。なんで起こしたのよ、もう。
彼は頭から掛布団を被せて話し出した。
「俺を監視していただろう、いつも見ていたな」
「いえ、お美しいので見惚れていただけです」
「嘘つけ。お前は下位とはいえ元貴族だからな、バレると思い警戒していたのに、大失敗だ」
「こんな場所で見られて困る事をしているからです」
「うっ!」
「誰にも言いませんよ。なんならお手伝いしますよ?」
「え!それはダメだろう、いや、いいか」
「何を勘違いしているのですか。女装がバレないようにです」
「そうか、そうだな・・・チッ」
舌打ちしたわ。ノエル様への憧れが崩れていく。
彼はノエル様の従弟で顔が似ているので彼女の代わりにこの寮に入れられたディーン様だった。
公爵の弟が手を出したメイドが産んだ庶子で、2年間寮で過ごせばサウザー公爵家が後見人となって王立学園に入れる約束になっているそうだ。
「ディーン様はいくつなのですか?」
「15歳、最近は体が大きくなってきて女性と偽るのも難しくなってきたんだ」
「なるほど、公爵家のご令嬢にしては仕草が洗練されていないので違和感があったのですよ」
「俺は平民だ。記憶喪失なんて事になってるけど、貴族のマナーなんか知らん」
「ノエル様はどうされたのですか?」
「知るもんか!」
「よく1年間騙せましたね」
「2年になってクレアが見ているから気が気じゃ無かった」
「それは申し訳ありませんでした」
絶対に秘密だと固く約束させられて自分のベッドに戻ったが、余りにもショックで暫く眠れずに何度も寝返りを打った。
目の保養だったノエル様が実はディーンという名の男性だったなんて。
ショックでミハイルの事は頭から吹っ飛んでしまった。
メアリーが食事を終えて部屋に戻り三人揃うと、休み中の出来事を話しながら「あ、クレア結局あの人誰なの?」
スーザンが話を掘り起こしてきた。
「え~なになに~?」
「お見合いしてたのよね。すごくカッコイイ人」
「そうなんだ~、クレアは卒業したら結婚するの?」
「違うわよ、兄みたいな人だったの。3年ぶりに会ってただけ」
「なーんだ。ね、メアリーは恋人いる? もう経験済み?」
「や~ね スーザンは経験済みよね。ちゃんと避妊してる?」
「当り前よ、妊娠したら退学だもん」
「あ、貴方たち週末に恋人に会いに戻ってるの?」
あっけらかんと話す若い二人に戸惑う。
「そうよ、彼氏が可哀そうだもん」
「浮気されても困るしね~ へへ」
「クレアはバージンよね、共学だったら狼に食べられそう」
「おっぱいとか柔らかそうでフワフワ~美味しそうよね~ へへ」
「うーん、このサクランボ色の唇も美味しそう」
スーザンが私の唇に人差し指をあてると────
「ゴホン!」とノエル様が咳払をした。
「お嬢様には刺激が強かったね」
スーザンはペロっと舌を出した。
淑女のノエル様には聞かせたくない話だわ。
その夜、ぐっすり眠っていた私は誰かに揺り起こされた。
「ん? 死神さん?」
死神は「シィ────」と唇に指を当てると部屋に静寂が訪れた。
「ぅぅ」と微かにうめき声が聞こえる。
ノエル様が苦しんでいる。
熱でも出たのかしら? 人見知りだから誰にも言えず苦しんでいるのかも。
私はそっとベッドを下りて「ノエル様、失礼します」と小声を掛けてカーテンをくぐった。
ベッドに腰かけてノエル様は蹲り私と目が合うと「ひっ!」と声を引き攣らせ────
「あ」と声を出しかけた私をノエル様はベッドに引きずり込んで押し倒した。
「誰かに話したら公爵家に消されるからな」
耳元でノエル様は低い声で囁いた。
私の口をノエル様の手で押さえているが、清潔な手ですよね?
ノエル様は自分で自分を慰めていたのだ。
「クレアのせいだ。変な話をするから」
それはスーザンとメアリーです。私は聞いていただけなのに。
「見たものは忘れるんだ、いいな」
コクコクと頷くと「絶対声を出すなよ、出したら・・キ、キスするぞ」
本物のノエル様だったらキスぐらいは許容範囲だったかもしれないわね。
死神はとっくに退散していた。なんで起こしたのよ、もう。
彼は頭から掛布団を被せて話し出した。
「俺を監視していただろう、いつも見ていたな」
「いえ、お美しいので見惚れていただけです」
「嘘つけ。お前は下位とはいえ元貴族だからな、バレると思い警戒していたのに、大失敗だ」
「こんな場所で見られて困る事をしているからです」
「うっ!」
「誰にも言いませんよ。なんならお手伝いしますよ?」
「え!それはダメだろう、いや、いいか」
「何を勘違いしているのですか。女装がバレないようにです」
「そうか、そうだな・・・チッ」
舌打ちしたわ。ノエル様への憧れが崩れていく。
彼はノエル様の従弟で顔が似ているので彼女の代わりにこの寮に入れられたディーン様だった。
公爵の弟が手を出したメイドが産んだ庶子で、2年間寮で過ごせばサウザー公爵家が後見人となって王立学園に入れる約束になっているそうだ。
「ディーン様はいくつなのですか?」
「15歳、最近は体が大きくなってきて女性と偽るのも難しくなってきたんだ」
「なるほど、公爵家のご令嬢にしては仕草が洗練されていないので違和感があったのですよ」
「俺は平民だ。記憶喪失なんて事になってるけど、貴族のマナーなんか知らん」
「ノエル様はどうされたのですか?」
「知るもんか!」
「よく1年間騙せましたね」
「2年になってクレアが見ているから気が気じゃ無かった」
「それは申し訳ありませんでした」
絶対に秘密だと固く約束させられて自分のベッドに戻ったが、余りにもショックで暫く眠れずに何度も寝返りを打った。
目の保養だったノエル様が実はディーンという名の男性だったなんて。
ショックでミハイルの事は頭から吹っ飛んでしまった。
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