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「ねぇ、クロード様のどこが不服だったの?」
翌日学園でナタリーにしつこく絡まれていた。
「私には勿体ない方だわ。騎士になるそうよ」
「クレアってなんだか印象変わったわね」
そりゃぁ62年生きてきたんですもの、小娘のナタリーとは違うわね。
「病弱だったのは子どもの頃よ、もうかなり丈夫になったわ。お店の手伝いだって出来るし学園だって休まずに通えているでしょう?」
「そうね病弱な印象は消えたわね。いいことだわ」
「ナタリーはクロード様が好きなの?」
「まぁね、好きだから親友のクレアと結ばれて欲しいのよ」
呆れた、好きって言ったわこの子。
知らない人との浮気なら今更こんなに傷つかなかったのに。
「好きなら貴方達が結ばれればいいじゃない」
「おバカさんね、私にはヘンリーがいるでしょう」
「婚約の解消はできないの? 浮気の証拠は掴めるでしょうに」
「伯爵夫人になれるのよ。もうミモザなんかに見下されないわ!」
ミモザ様にマウントを取りたいのね、愚かだわ。
あのご令嬢はワイナー伯爵家に嫁がれたけど、同じ伯爵でもヘンリー様の方が家格は上だし美丈夫だわね。
平民扱いのバーンズ男爵家は滅多にお茶会に呼ばれなかった。
お爺様がお金で爵位を買った事と私の病弱説は有名だったから。
それに今、父は面倒な社交は義母に任せているのよね。
そんな家の娘にクロードを婿入りで取られてミモザ様は悔しがったでしょう。
それもナタリーの計算なのね。
「この事は内緒よ。クレアの事は信用してるわ」
「ええ、私はナタリーに幸せになって欲しいだけよ」
今のナタリーに罪はないけどモヤモヤする。
ううん、店のお得意様だもの大切にするわ!
*****
店を守るには私だけでは手が回らないことが多すぎた。
そこで番頭のマックスさんに相談することにした。
「売り上げを全部銀行に預けるんですか、ゲイリーが何というか」
「マックスさんが言ってくれれば大丈夫よ。それにね・・・」
私は義母が信用できないと打ち明けた。
「再婚してからゲイリーの金遣いは異常だ。私も奥様は信用できない」
「ええ、義母よりも銀行の方がずっと信用できるわ」
義妹達をも良く思わないマックスさんは私に協力してくれる事になり、父を説得して私が貸金庫を利用しているウェルズ銀行との取引を承諾させた。
それから暫くして秋も終わる頃、商売仇で幼馴染、サーレン商店の長男カイトに店先でばったり会った。クロードと婚約してから彼とは言葉を交わすことは無かったわね。
彼は将来ミリアの夫になる。
私たちが養子に迎えたジェイはサーレン商店とバーンズの店を合併しバーレン商会とした。
その時にはもうとっくにミリア達は離婚していたわね。
「よぉ、久しぶりだな。元気そうじゃん」
「カイトも変わりは無さそうね」
カイトは「意外~無視されると思った~」と顔を赤らめた。
「お前さ評判悪いぜ。妹たちを虐めてるそうじゃん」
「虐めるほど接してないわよ。こっちが迷惑被ってるわ」
「へぇ~ 迷惑ってどんな?」
カイトは幼馴染だし、正直に教えた方がいいわね。
「あの子たち手癖が悪くて帳簿の帳尻合わせるのが大変なのよ」
「マジか。店のモンに手ぇ出すのか」
「父が公認だから仕方ないけど遠慮なしよ」
「ふぅん」
「セシリーと同じクラスでしょう? 商品を学園に持参してると思うわ」
「ああ、いろいろ自慢してるな・・・後、お前の悪口三昧」
「はぁ~~ 一応忠告はしたからね。さようなら」
「クレア!」
背を向けるとなぜかカイトに呼び止められた。
「あ、さっきの話は内緒ね。家の評判も更に悪くなるし」
「言わねーよ。あのさ・・・あの」
「カイトじゃない!どうしたの?」
店から出てきたセシリーが彼の言葉を遮った。
「セシリー・・・また何か持ち出したの?」
「ちょっと借りてるだけよ!お姉様は意地悪なんだから!」
冷めた目でカイトがこっちを見ていた。
「ミリアもずっと虐められてるのよ~可哀そうだわ」とセシリーはカイトの腕に縋る。
彼は口は悪いが見た目は悪くないものね。
「カイト、忠告はしたわよ」
もう一度そう言って私は店の中に引っ込んだ。
翌日学園でナタリーにしつこく絡まれていた。
「私には勿体ない方だわ。騎士になるそうよ」
「クレアってなんだか印象変わったわね」
そりゃぁ62年生きてきたんですもの、小娘のナタリーとは違うわね。
「病弱だったのは子どもの頃よ、もうかなり丈夫になったわ。お店の手伝いだって出来るし学園だって休まずに通えているでしょう?」
「そうね病弱な印象は消えたわね。いいことだわ」
「ナタリーはクロード様が好きなの?」
「まぁね、好きだから親友のクレアと結ばれて欲しいのよ」
呆れた、好きって言ったわこの子。
知らない人との浮気なら今更こんなに傷つかなかったのに。
「好きなら貴方達が結ばれればいいじゃない」
「おバカさんね、私にはヘンリーがいるでしょう」
「婚約の解消はできないの? 浮気の証拠は掴めるでしょうに」
「伯爵夫人になれるのよ。もうミモザなんかに見下されないわ!」
ミモザ様にマウントを取りたいのね、愚かだわ。
あのご令嬢はワイナー伯爵家に嫁がれたけど、同じ伯爵でもヘンリー様の方が家格は上だし美丈夫だわね。
平民扱いのバーンズ男爵家は滅多にお茶会に呼ばれなかった。
お爺様がお金で爵位を買った事と私の病弱説は有名だったから。
それに今、父は面倒な社交は義母に任せているのよね。
そんな家の娘にクロードを婿入りで取られてミモザ様は悔しがったでしょう。
それもナタリーの計算なのね。
「この事は内緒よ。クレアの事は信用してるわ」
「ええ、私はナタリーに幸せになって欲しいだけよ」
今のナタリーに罪はないけどモヤモヤする。
ううん、店のお得意様だもの大切にするわ!
*****
店を守るには私だけでは手が回らないことが多すぎた。
そこで番頭のマックスさんに相談することにした。
「売り上げを全部銀行に預けるんですか、ゲイリーが何というか」
「マックスさんが言ってくれれば大丈夫よ。それにね・・・」
私は義母が信用できないと打ち明けた。
「再婚してからゲイリーの金遣いは異常だ。私も奥様は信用できない」
「ええ、義母よりも銀行の方がずっと信用できるわ」
義妹達をも良く思わないマックスさんは私に協力してくれる事になり、父を説得して私が貸金庫を利用しているウェルズ銀行との取引を承諾させた。
それから暫くして秋も終わる頃、商売仇で幼馴染、サーレン商店の長男カイトに店先でばったり会った。クロードと婚約してから彼とは言葉を交わすことは無かったわね。
彼は将来ミリアの夫になる。
私たちが養子に迎えたジェイはサーレン商店とバーンズの店を合併しバーレン商会とした。
その時にはもうとっくにミリア達は離婚していたわね。
「よぉ、久しぶりだな。元気そうじゃん」
「カイトも変わりは無さそうね」
カイトは「意外~無視されると思った~」と顔を赤らめた。
「お前さ評判悪いぜ。妹たちを虐めてるそうじゃん」
「虐めるほど接してないわよ。こっちが迷惑被ってるわ」
「へぇ~ 迷惑ってどんな?」
カイトは幼馴染だし、正直に教えた方がいいわね。
「あの子たち手癖が悪くて帳簿の帳尻合わせるのが大変なのよ」
「マジか。店のモンに手ぇ出すのか」
「父が公認だから仕方ないけど遠慮なしよ」
「ふぅん」
「セシリーと同じクラスでしょう? 商品を学園に持参してると思うわ」
「ああ、いろいろ自慢してるな・・・後、お前の悪口三昧」
「はぁ~~ 一応忠告はしたからね。さようなら」
「クレア!」
背を向けるとなぜかカイトに呼び止められた。
「あ、さっきの話は内緒ね。家の評判も更に悪くなるし」
「言わねーよ。あのさ・・・あの」
「カイトじゃない!どうしたの?」
店から出てきたセシリーが彼の言葉を遮った。
「セシリー・・・また何か持ち出したの?」
「ちょっと借りてるだけよ!お姉様は意地悪なんだから!」
冷めた目でカイトがこっちを見ていた。
「ミリアもずっと虐められてるのよ~可哀そうだわ」とセシリーはカイトの腕に縋る。
彼は口は悪いが見た目は悪くないものね。
「カイト、忠告はしたわよ」
もう一度そう言って私は店の中に引っ込んだ。
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