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★《クラリス視点》★
ダイアナが香水瓶で何かを振りかけるとリアナを抱いたオスカーは階段を落ちていった。
意識があった護衛達は階段上で混乱しているのを、王宮騎士たちが医務室に運んだ。
どうしてこんなことに?
ベニーから協力を要請する手紙が来て、仲間のフリをした。
舞踏会を休もうとしたオスカーを引っ張り出すために、王妃から招待状を出させるようベニーに示唆した。
ハワードにはリアナに会わせると約束して、私をエスコートさせた。
二人が愛し合っていると知ればハワードは諦めると思ったのだ。
ダイアナが何かすると思い、護衛達が取り押さえる予定だった。
まさか毒を飛散させるなんて、自身も危険なのに怖いもの知らずな女だ。
死者が出なかったのは不幸中の幸いと・・・いえるのか?
リアナと、特にオスカーは重症だ。
ベニーがダイアナに事件を指示したのは間違いない。
これを利用して王妃殿下にはワイゼン侯爵家との縁は諦めてもらう予定だった。
オスカーは王太子殿下を支持していくつもりで、無理に縁続きになる必要などないのに、王妃は執拗にオスカーを懐柔しようとする。何か淫靡な物を感じて気持ちが悪い。
侯爵家に蔓延るベニーのスパイである使用人たちとも接触できて、全部クビにする予定だ。
後は式を挙げて二人が幸福になるだけだったのに。
リアナはオスカーを憎んでいた。
当たり前だ、オスカーはリアナを守るためとはいえ、相当傷つけてきた。
初日の夜、せっかちなオスカーはリアナを抱こうとしてますます嫌われた。
『どうすればいい?』
『知るもんか、自分で何とかしなさい』
でも不器用なオスカーに、なんとかできるとは思えない。
オスカーが味方であると、言葉ではなく態度で知らしめようと私はリアナを虐めることにした。
功を奏し、リアナとオスカーの仲は親密になっていった。
この舞踏会で世間にも二人を認めさせるチャンスだと思ったのに。
リアナは医務室で手当てを受け、オスカーは重篤な状態だと別室で手当てを受けている。
オスカー、すまない。
連中の悪意は私の予想をはるかに超えていた。
***
★《ベニー視点》★
その毒は私の興味を引いた。
記憶が遡り幸福だった時期に戻る。
オスカーに思い出して欲しかった、想い合っていたあの頃を。
ダイアナは大失敗した。
馬車に乗り込んだ時に二人に毒を振りかけるように言っておいたのに。
無視されて、癇癪を起したダイアナは王宮の階段で事件を起こしてしまった。
階段から落ちたオスカーは大怪我で意識が不明、リアナはオスカーが庇ったので軽い裂傷と打ち身程度で済んでいる。
ダイアナは地下牢に入れられ「ベニー様に命令されたのよ!」と喚いているが、私は知らないことだ。
だって毒は王妃である叔母様が用意してくれたんだもの、言えるわけがない。
大嘘つきな彼女は犯人像にピッタリだった。
ダイアナがぜんぶ罪を被って、罰を受ける事になる。私は関係ない。
叔母様は昔からオスカーに執着している。
彼の父親、亡きワイゼン侯爵にそっくりですものね、オスカーは。
でも目覚めたオスカーは私の物よ。
早く目覚めて私だけを見て欲しい。
***
★《アラン視点》★
ダイアナの動向には気を付けていたのに、まさか、あの毒を吹きかけるなんて想像もしなかった。
同じ事件が以前もあって、毒の原液を吹きかけられた騎士は廃人同様になったが、少しずつ回復していると聞く。
恐ろしい猛毒の管理が甘すぎる、記憶を失うのがどれほど不幸な事か、俺は身をもって知っている。
ダイアナが使った毒は精製水で薄められており、症状は毒煙を吸った俺と同じ程度だった。ならば、二人が記憶を失ってもすぐに解毒薬を与えれば問題は無い。大丈夫だ。
侯爵の姿が見えない。
医務室にリアナは送られたがワイゼン侯爵はどこに運ばれたんだろうか。
俺はワイゼン侯爵がリアナを大切にしてくれると今回知ることができた。
戻ったら母にも、そう話してやろう。
怪我をしたリアナには侯爵の従姉のクラリス様が付いているから心配なさそうだ。
俺とハワードは取り調べを受け、ハワードは厳重注意を受けて解放された。
ダイアナは地下牢に繋がれている。
可哀そうだがお前のやったことは決して許されない。
お前も俺もいくらでも幸福になるチャンスはあったのに、活かせなかった。
さようならダイアナ、最後は守ってやれなくて悪かった。
俺はまた一から人生をやり直すよ。
ダイアナが香水瓶で何かを振りかけるとリアナを抱いたオスカーは階段を落ちていった。
意識があった護衛達は階段上で混乱しているのを、王宮騎士たちが医務室に運んだ。
どうしてこんなことに?
ベニーから協力を要請する手紙が来て、仲間のフリをした。
舞踏会を休もうとしたオスカーを引っ張り出すために、王妃から招待状を出させるようベニーに示唆した。
ハワードにはリアナに会わせると約束して、私をエスコートさせた。
二人が愛し合っていると知ればハワードは諦めると思ったのだ。
ダイアナが何かすると思い、護衛達が取り押さえる予定だった。
まさか毒を飛散させるなんて、自身も危険なのに怖いもの知らずな女だ。
死者が出なかったのは不幸中の幸いと・・・いえるのか?
リアナと、特にオスカーは重症だ。
ベニーがダイアナに事件を指示したのは間違いない。
これを利用して王妃殿下にはワイゼン侯爵家との縁は諦めてもらう予定だった。
オスカーは王太子殿下を支持していくつもりで、無理に縁続きになる必要などないのに、王妃は執拗にオスカーを懐柔しようとする。何か淫靡な物を感じて気持ちが悪い。
侯爵家に蔓延るベニーのスパイである使用人たちとも接触できて、全部クビにする予定だ。
後は式を挙げて二人が幸福になるだけだったのに。
リアナはオスカーを憎んでいた。
当たり前だ、オスカーはリアナを守るためとはいえ、相当傷つけてきた。
初日の夜、せっかちなオスカーはリアナを抱こうとしてますます嫌われた。
『どうすればいい?』
『知るもんか、自分で何とかしなさい』
でも不器用なオスカーに、なんとかできるとは思えない。
オスカーが味方であると、言葉ではなく態度で知らしめようと私はリアナを虐めることにした。
功を奏し、リアナとオスカーの仲は親密になっていった。
この舞踏会で世間にも二人を認めさせるチャンスだと思ったのに。
リアナは医務室で手当てを受け、オスカーは重篤な状態だと別室で手当てを受けている。
オスカー、すまない。
連中の悪意は私の予想をはるかに超えていた。
***
★《ベニー視点》★
その毒は私の興味を引いた。
記憶が遡り幸福だった時期に戻る。
オスカーに思い出して欲しかった、想い合っていたあの頃を。
ダイアナは大失敗した。
馬車に乗り込んだ時に二人に毒を振りかけるように言っておいたのに。
無視されて、癇癪を起したダイアナは王宮の階段で事件を起こしてしまった。
階段から落ちたオスカーは大怪我で意識が不明、リアナはオスカーが庇ったので軽い裂傷と打ち身程度で済んでいる。
ダイアナは地下牢に入れられ「ベニー様に命令されたのよ!」と喚いているが、私は知らないことだ。
だって毒は王妃である叔母様が用意してくれたんだもの、言えるわけがない。
大嘘つきな彼女は犯人像にピッタリだった。
ダイアナがぜんぶ罪を被って、罰を受ける事になる。私は関係ない。
叔母様は昔からオスカーに執着している。
彼の父親、亡きワイゼン侯爵にそっくりですものね、オスカーは。
でも目覚めたオスカーは私の物よ。
早く目覚めて私だけを見て欲しい。
***
★《アラン視点》★
ダイアナの動向には気を付けていたのに、まさか、あの毒を吹きかけるなんて想像もしなかった。
同じ事件が以前もあって、毒の原液を吹きかけられた騎士は廃人同様になったが、少しずつ回復していると聞く。
恐ろしい猛毒の管理が甘すぎる、記憶を失うのがどれほど不幸な事か、俺は身をもって知っている。
ダイアナが使った毒は精製水で薄められており、症状は毒煙を吸った俺と同じ程度だった。ならば、二人が記憶を失ってもすぐに解毒薬を与えれば問題は無い。大丈夫だ。
侯爵の姿が見えない。
医務室にリアナは送られたがワイゼン侯爵はどこに運ばれたんだろうか。
俺はワイゼン侯爵がリアナを大切にしてくれると今回知ることができた。
戻ったら母にも、そう話してやろう。
怪我をしたリアナには侯爵の従姉のクラリス様が付いているから心配なさそうだ。
俺とハワードは取り調べを受け、ハワードは厳重注意を受けて解放された。
ダイアナは地下牢に繋がれている。
可哀そうだがお前のやったことは決して許されない。
お前も俺もいくらでも幸福になるチャンスはあったのに、活かせなかった。
さようならダイアナ、最後は守ってやれなくて悪かった。
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