10 / 21
10
しおりを挟む
オスカー様が領地に行かれた五日間、何度もクラリス様とお婆様は押しかけてきたが、護衛によって追い返された。
私は部屋に缶詰状態で庭の散歩にも出られない。
ウンザリしていると、やっとオスカー様が戻って来た!
待ちわびていた自分に驚いてしまう。
そう言えば、ベニー様が嫌がらせに現れた時、早くオスカー様が来ればいいのに、早く暴言吐いてベニー様を連れ去ってくれれば良いと思っていた。
嫌いだったけど、あの時も、私はオスカー様を待っていた。
廊下で言い争う声が聞こえて、扉が開くと五日ぶりのオスカー様とご対面。
「リアナ大丈夫か。遅くなってすまない」
「いいえ、お帰りなさいオスカー様。お待ちしていました」
「待っててくれたのか・・・リアナ」
オスカー様に抱き締められて心から安堵した。
領地でベニー様の妹とお見合いして断り切れず、3度目の婚約解消もあると思っていた。
護衛を押しのけお婆様が入ってきて、私を抱き締めるオスカー様の腕を引いた。
「オスカー!お見合いはどうなりましたか」
「断って会わずに戻ってきました。どんな重大な問題が起こったのかと思えば、騙すような事を。俺はお婆様に従ってベニーと結婚しました!もう言いなりにはならない、俺は好きな人と結婚します」
「こんな娘は認めませんよ」
「貴方が選んだベニーが何をしたか忘れたのですか!自分の相手は自分が決める。二度と口出ししないで下さい」
これは・・・ベニー様は相当な事をやらかしたようだ。お婆様が怯んでいる。
「それは・・・お前が優しくしてやらなかったからでしょう」
「確かに俺も悪かった。でも長年ベニーと過ごした日々は地獄だった。結婚後も修復の余地はなく、護衛の子を身籠った。リアナは俺を裏切らない。絶対に!」
「信用できるものですか。2度も婚約を解消された娘なんて」
「相手の男に見る目が無かったんだ。俺は絶対リアナを妻にする。気に入らないのなら貴方を挙式には呼ばない。理解したなら領地に戻って下さい。それとも遠くの北の別荘に行きたいですか?」
お婆様はまだオスカー様に抗議したが、翌日馬車に押し込められて領地に戻っていった。
「嫌な思いをさせたな、もうあの人には何も言わせない、すまなかった」
「大丈夫です。護衛やテリーさん達が守ってくれましたから」
クラリス様は、次こそ問題を起こせば「クビだ!」と宣言を受けた。
お婆様に手紙を出したのには悪意は無かったと言い張るので、執行猶予がついた。
シスター・マーベルとオスカー様の関係を聞いたら、叔母だったと話してくれた。
自分の事は息子のように思ってくれていたと説明されて私も追及しなかった。
彼が『お兄さま』なのに変わりはない。
私の中でオスカー様に嫁ぐ決心がついていた。
彼ならダイアナに煩わされる事なく幸せにしてくれそうだし、フワーロンのウェディングドレスにも袖を通したい。
挙式の準備も順調に進み、不本意だった結婚を私は指折り数えて待っている。
このまま問題なく結婚まで待つだけと思っていたが、とんでもないイベントが控えていた。
それを聞かされたのは午後にテラスでお茶をしていた時だった。
「王宮の舞踏会ですか?」
「王太子殿下15歳の誕生祭だ。成人されて、殿下の婚約者の披露もあるようだ」
「それはご挨拶に伺わないと」
「王妃直々の招待で、断れない。俺は毒を飲んで高熱を出そうかと思ってる」
「毒なんて・・・止めて下さい!」
「しかし、リアナを外に出したくないんだ。危険すぎる」
「危険なんてあるんですか?」
「ある!だから俺は毒を飲む、寝込んでしまえば不参加だ」
私の為に毒を飲むなんてオスカー様の愛が重くて・・・嬉しい。
でもそんな危険はやめて欲しい。説得しても聞き入れないオスカー様に困っていたが。
参加して挨拶に来ないと婚姻を認めないと通達が来て参加せざるを得なくなった。
「くそっ!こんな横暴、しかしなんで服毒予定がバレたんだ?」
会話を聞いて情報を漏らした使用人がいるようだ。
「舞踏会では護衛を大勢付けて見張らせる、何者もリアナには指一本触れさせない」
王宮での舞踏会には義姉とアラン、ハワードも参加するだろう。
侯爵家で生活を始めて1か月、もう過去の辛い思い出は忘れよう。
過去よりもオスカー様と結婚を出来なくなる方が辛い。
何というチョロイン。
大嫌いだった赤い目の悪魔は私の大切な婚約者となっていた。
私に起こりそうな危険、やはりワイゼン侯爵家の婚約者の立場を良く思わない人々だろう。
今までのように孤軍奮闘ではない。
オスカー様が心強い味方だ、きっと私は大丈夫だ。
私は部屋に缶詰状態で庭の散歩にも出られない。
ウンザリしていると、やっとオスカー様が戻って来た!
待ちわびていた自分に驚いてしまう。
そう言えば、ベニー様が嫌がらせに現れた時、早くオスカー様が来ればいいのに、早く暴言吐いてベニー様を連れ去ってくれれば良いと思っていた。
嫌いだったけど、あの時も、私はオスカー様を待っていた。
廊下で言い争う声が聞こえて、扉が開くと五日ぶりのオスカー様とご対面。
「リアナ大丈夫か。遅くなってすまない」
「いいえ、お帰りなさいオスカー様。お待ちしていました」
「待っててくれたのか・・・リアナ」
オスカー様に抱き締められて心から安堵した。
領地でベニー様の妹とお見合いして断り切れず、3度目の婚約解消もあると思っていた。
護衛を押しのけお婆様が入ってきて、私を抱き締めるオスカー様の腕を引いた。
「オスカー!お見合いはどうなりましたか」
「断って会わずに戻ってきました。どんな重大な問題が起こったのかと思えば、騙すような事を。俺はお婆様に従ってベニーと結婚しました!もう言いなりにはならない、俺は好きな人と結婚します」
「こんな娘は認めませんよ」
「貴方が選んだベニーが何をしたか忘れたのですか!自分の相手は自分が決める。二度と口出ししないで下さい」
これは・・・ベニー様は相当な事をやらかしたようだ。お婆様が怯んでいる。
「それは・・・お前が優しくしてやらなかったからでしょう」
「確かに俺も悪かった。でも長年ベニーと過ごした日々は地獄だった。結婚後も修復の余地はなく、護衛の子を身籠った。リアナは俺を裏切らない。絶対に!」
「信用できるものですか。2度も婚約を解消された娘なんて」
「相手の男に見る目が無かったんだ。俺は絶対リアナを妻にする。気に入らないのなら貴方を挙式には呼ばない。理解したなら領地に戻って下さい。それとも遠くの北の別荘に行きたいですか?」
お婆様はまだオスカー様に抗議したが、翌日馬車に押し込められて領地に戻っていった。
「嫌な思いをさせたな、もうあの人には何も言わせない、すまなかった」
「大丈夫です。護衛やテリーさん達が守ってくれましたから」
クラリス様は、次こそ問題を起こせば「クビだ!」と宣言を受けた。
お婆様に手紙を出したのには悪意は無かったと言い張るので、執行猶予がついた。
シスター・マーベルとオスカー様の関係を聞いたら、叔母だったと話してくれた。
自分の事は息子のように思ってくれていたと説明されて私も追及しなかった。
彼が『お兄さま』なのに変わりはない。
私の中でオスカー様に嫁ぐ決心がついていた。
彼ならダイアナに煩わされる事なく幸せにしてくれそうだし、フワーロンのウェディングドレスにも袖を通したい。
挙式の準備も順調に進み、不本意だった結婚を私は指折り数えて待っている。
このまま問題なく結婚まで待つだけと思っていたが、とんでもないイベントが控えていた。
それを聞かされたのは午後にテラスでお茶をしていた時だった。
「王宮の舞踏会ですか?」
「王太子殿下15歳の誕生祭だ。成人されて、殿下の婚約者の披露もあるようだ」
「それはご挨拶に伺わないと」
「王妃直々の招待で、断れない。俺は毒を飲んで高熱を出そうかと思ってる」
「毒なんて・・・止めて下さい!」
「しかし、リアナを外に出したくないんだ。危険すぎる」
「危険なんてあるんですか?」
「ある!だから俺は毒を飲む、寝込んでしまえば不参加だ」
私の為に毒を飲むなんてオスカー様の愛が重くて・・・嬉しい。
でもそんな危険はやめて欲しい。説得しても聞き入れないオスカー様に困っていたが。
参加して挨拶に来ないと婚姻を認めないと通達が来て参加せざるを得なくなった。
「くそっ!こんな横暴、しかしなんで服毒予定がバレたんだ?」
会話を聞いて情報を漏らした使用人がいるようだ。
「舞踏会では護衛を大勢付けて見張らせる、何者もリアナには指一本触れさせない」
王宮での舞踏会には義姉とアラン、ハワードも参加するだろう。
侯爵家で生活を始めて1か月、もう過去の辛い思い出は忘れよう。
過去よりもオスカー様と結婚を出来なくなる方が辛い。
何というチョロイン。
大嫌いだった赤い目の悪魔は私の大切な婚約者となっていた。
私に起こりそうな危険、やはりワイゼン侯爵家の婚約者の立場を良く思わない人々だろう。
今までのように孤軍奮闘ではない。
オスカー様が心強い味方だ、きっと私は大丈夫だ。
21
お気に入りに追加
710
あなたにおすすめの小説
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する
みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

その後2人を待っていたのは、正反対の人生でした
柚木ゆず
恋愛
一目惚れをした令嬢・エルザを手に入れるため、エルザの最愛の人であり婚約者のユーゴに大けがを負わせて記憶喪失にさせ、『逆らうと更に酷い目に遭わせる』とエルザを脅迫して自らと婚約させた侯爵家の令息・ウィリアム。
しかし、その僅か9か月後。そのショックによって笑顔を作れなくなってしまったエルザに飽き、彼は一方的に婚約破棄をしてしまいます。
エルザとユーゴの心身を傷つけ、理不尽な振る舞いをしたウィリアム。
やがてそんな彼の心身に、異変が起き始めるのでした――。
※こちらは以前投稿していたお話のリメイク(いただいたご意見とご指摘をもとに文章を書き直し、キャラクターの性格やストーリーを数か所変更したもの)となっておいます。
※8月3日。体調の影響でお返事(お礼)を行う余裕がなく、現在感想欄を閉じさせていただいております。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲


政略結婚で「新興国の王女のくせに」と馬鹿にされたので反撃します
nanahi
恋愛
政略結婚により新興国クリューガーから因習漂う隣国に嫁いだ王女イーリス。王宮に上がったその日から「子爵上がりの王が作った新興国風情が」と揶揄される。さらに側妃の陰謀で王との夜も邪魔され続け、次第に身の危険を感じるようになる。
イーリスが邪険にされる理由は父が王と交わした婚姻の条件にあった。財政難で困窮している隣国の王は巨万の富を得たイーリスの父の財に目をつけ、婚姻を打診してきたのだ。資金援助と引き換えに父が提示した条件がこれだ。
「娘イーリスが王子を産んだ場合、その子を王太子とすること」
すでに二人の側妃の間にそれぞれ王子がいるにも関わらずだ。こうしてイーリスの輿入れは王宮に波乱をもたらすことになる。

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる