4度婚約解消されました。でも私は図太く生きていきます!

ミカン♬

文字の大きさ
上 下
9 / 21

9

しおりを挟む
今日は清々しいお天気でオスカー様に誘われて庭園を散歩。

婚約者になって13日目を迎え、彼とは距離が近くなった。
時々軽くキスをされる。

慣れって怖い。一瞬だけ触れるキスは挨拶だと思えるようになった。

基本無口な彼だが、話しかけると応えてくれる。
ご自分の事はあまり話したくない雰囲気があって、突っ込んだ話題は避けている。

「オスカー様、今は外の植物園が見頃だそうですよ」

「そうか、結婚したら二人で行ってみよう」

まぁ、こんな感じで可もなく不可もなくだ。


オスカー様は私が5年間手紙を出し続けた『お兄さま』だった。
シスター・マーベルが手紙を出す時に私の手紙を同封してくれて、いつも短い返事を書いて送ってくれるのを、私は楽しみにしていた。

修道院を出てからは『お兄さま』への手紙を出せなくなり、代わりにシスターと4年前まで文通をしていたがシスターは病気でお亡くなりになった。

オスカー様はシスターのご子息だったのか。手紙は唯一息子に許された行為だとシスターは仰っていた。
なぜ親子は引き離されたんだろう。


     ***


クラリス様は謹慎が解けてまた執務に戻っている。
今度、私に迷惑を掛けたらクラリス様は屋敷を追い出される約束だ。

あれから私に絡んでくることも無くなり、安心していたのだが。


「領地で少し問題が起こったようだ。暫く留守をするが、護衛も多めに付けるので安心して待っていて欲しい」

「はい、大丈夫です。なるべく部屋で過ごして大人しくしています」

「ああ、直ぐに戻るから」

女性の護衛騎士を3人付けて、私にキスを残しオスカー様は領地に向かわれた。



「奥様、心配ございません。何者も奥様には近づくことはできません!」

執事のテリーさんが胸を張ってそう言ったが、私に接近できる者が翌日現れたのだ。



「大奥様がリアナ様に、ご挨拶に来られました!」

焦ったテリーさんに告げられる。

オスカー様と入れ替えに彼の祖母が私を訪ねてきた。



サロンに行くと、上品な白髪の老婦人とクラリス様が私を待っていた。


クラリス様は私を見ると口角を上げて、老婦人に私を紹介した。

「お婆様、噂のリアナ様よ。可愛らしい方でしょう?」

「貴方の噂はクラリスから聞きました。2度も婚約を解消されたのですってね」

最悪だ。お婆様に何を吹き込んだのか、会う前から私の印象は最悪だ。


「初めましてリアナと申します。2度とも婚約者は義姉とご縁が出来まして、私は解消されてしまいました」

正直に話す方がいいだろう、下手な言い訳は更に印象が悪くなる。


「はぁ~ どうしてこのような娘をオスカーは選んだのかしら。次のお相手は私が探すと言い渡してあったのに」

「オスカーは電光石火の働きでした。余程リアナ様に魅入られているのでしょう」

「他人事じゃないですよクラリス。貴方も24歳、いい加減にどこかに嫁ぎなさい」

「私は一生オスカーの面倒をみるつもりです」

「まぁ、馬鹿なことばかり言って」


ここにもダイアナみたいなのが居た。オスカー様に一生付き纏うのか。


「お婆様、次のオスカーの婚約者候補はどなたを考えていたの?」

「ベニーには3歳下の妹がいます。その方と話を進めているのに、なんて事でしょう」

「それは、また王妃様のご意向ですか?」

「そうです、王妃殿下の実家ネイラム伯爵家との亀裂を修復しなければなりません」


私を無視して二人は話し込んでいる。オスカー様の政略結婚は王妃殿下の意向だったのか。

「だそうよ、リアナ様。そろそろご実家に戻って、次の婚姻先を探しなさいよ」

「貴方など認めませんよ。我がワイゼン侯爵家に相応しくありません」


「ではオスカー様がお戻りになれば、ご挨拶を済ませて実家に帰らせて頂きます」

「今すぐ出てお行きなさい。目障りです」

「いいえ、ワイゼン侯爵家ご当主のオスカー様に無断で出ていくなんて出来ません。目障りでしたら失礼いたします」

「まぁ、生意気な。テリー! すぐにこの娘を追い出しなさい!」



私は執事のテリーさんに連れられて部屋に戻された。

「私を追い出しますか?」

「まさか!坊ちゃんが戻るまでお部屋でお待ちください、奥様」

「ねぇ、オスカー様のご両親はどうされているの?」

「事故で坊ちゃんが6歳の時にお亡くなりになり、大奥様が坊ちゃんを育てて参りました」

「そう、クラリス様とは本当に愛人関係ではないの?」

「滅相もない、あのお二人は本当のご兄弟のような関係でした。どうしてあのように豹変されたのか、私も戸惑っています」

「そう・・・・」

オスカー様はシスター・マーベルのご子息では無かった。
嘘をついている?でも私が書いた手紙を持っていた。



「差し出がましいようですが。坊ちゃんは本当に奥様を愛しておられます。信じて差し上げて下さい」

「ええ、信じたいわ」


2か月経てば結婚する簡単な話だと思っていたが、そうでも無くなった。

実家に戻ればハワードの元に嫁がされる可能性が高い。

そしてダイアナが絡んでくる、絶対に嫌だ。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】 王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。 しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。 「君は俺と結婚したんだ」 「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」 目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。 どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する

みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

その後2人を待っていたのは、正反対の人生でした

柚木ゆず
恋愛
 一目惚れをした令嬢・エルザを手に入れるため、エルザの最愛の人であり婚約者のユーゴに大けがを負わせて記憶喪失にさせ、『逆らうと更に酷い目に遭わせる』とエルザを脅迫して自らと婚約させた侯爵家の令息・ウィリアム。  しかし、その僅か9か月後。そのショックによって笑顔を作れなくなってしまったエルザに飽き、彼は一方的に婚約破棄をしてしまいます。  エルザとユーゴの心身を傷つけ、理不尽な振る舞いをしたウィリアム。  やがてそんな彼の心身に、異変が起き始めるのでした――。  ※こちらは以前投稿していたお話のリメイク(いただいたご意見とご指摘をもとに文章を書き直し、キャラクターの性格やストーリーを数か所変更したもの)となっておいます。  ※8月3日。体調の影響でお返事(お礼)を行う余裕がなく、現在感想欄を閉じさせていただいております。

不遇な王妃は国王の愛を望まない

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。 ※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷 ※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

【完結】脇役令嬢だって死にたくない

こな
恋愛
自分はただの、ヒロインとヒーローの恋愛を発展させるために呆気なく死ぬ脇役令嬢──そんな運命、納得できるわけがない。 ※ざまぁは後半

政略結婚で「新興国の王女のくせに」と馬鹿にされたので反撃します

nanahi
恋愛
政略結婚により新興国クリューガーから因習漂う隣国に嫁いだ王女イーリス。王宮に上がったその日から「子爵上がりの王が作った新興国風情が」と揶揄される。さらに側妃の陰謀で王との夜も邪魔され続け、次第に身の危険を感じるようになる。 イーリスが邪険にされる理由は父が王と交わした婚姻の条件にあった。財政難で困窮している隣国の王は巨万の富を得たイーリスの父の財に目をつけ、婚姻を打診してきたのだ。資金援助と引き換えに父が提示した条件がこれだ。 「娘イーリスが王子を産んだ場合、その子を王太子とすること」 すでに二人の側妃の間にそれぞれ王子がいるにも関わらずだ。こうしてイーリスの輿入れは王宮に波乱をもたらすことになる。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?

恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ! ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。 エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。 ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。 しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。 「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」 するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

処理中です...