4度婚約解消されました。でも私は図太く生きていきます!

ミカン♬

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サロンに案内されると座っていたオスカー様が立ち上がって、エスコートしてくれる。

「やはり赤い色が似あうな、綺麗だ」

なんだろう?こんな優しい言葉は赤い悪魔に似合わない。

「素敵なドレスを用意して頂いて有難うございます」

「明日は仕立て屋を呼んだから、好きなだけドレスを作ると良い」


「はい」

メイドがお茶を用意してくれて、美味しそうなお菓子もたくさん並んでいる。

「もうすぐ昼食だ。食べ過ぎると入らなくなるぞ」

食べるなという事かしら?

「ではクッキーを1枚だけ頂きます」

「ああ、今のうちに話しておこう。2か月間外出は禁止だ。家族であっても訪問は禁止だ」

まさか、軟禁ですか?

・・・ダイアナの顔を見なくて済みそうなのは良いけど。


「この屋敷の中は歩いても良いでしょうか?お庭とか・・・」

「そうだな・・・必ず侍女と護衛を伴うように」

「はい、何かお手伝いを「不要だ。何もしなくていい」

「お茶会などは「開かなくていい、行かなくていい。夜会も出なくていい」

せっかちなのか、私に喋らせたくないのか・・・理解したのは、全く私は必要とされていない。


「とにかく婚姻するまでの2か月間は何もしないでくれ」

「承知致しました。部屋で大人しくしておきます」

「本でも、裁縫でもなんでも必要な物は揃えさせる。遠慮なく言ってくれ」

「はい」
オスカー様の意図がわからない。

「それから、手紙も禁止だ。君宛の手紙は閲覧させてもらう。そのつもりで」


これは、間違いなく監禁だ。
悪魔にここで自由を奪われて、飼い殺し・・・身震いした。

どうして家の犠牲になろうとしたんだろう。
兄に懇願されたから?

婚約解消のショックでまともに頭が働かなかったのかしら。
もうどうにでもなればいいと思ったの?

早く修道院に逃げ込めばよかった!


震えながら飲んだお茶が・・・・・美味しい。
特上品だろうか、飲んだことのない美味しさだ。

クッキーも私の好きなプレーン味。

目の前でオスカー様に穴が開きそうなほど凝視されている。
どうやって虐めてやろうか思案中なの?


落ち着かず、ソファーに広がったドレスの皺を手で伸ばすと、素晴らしい手触り。

着替えている時から感じていた超高級感。これは汚せない!


スコット家では動きやすいようにコットンドレスだった。
私は義母の侍女扱いで、義父が胸を患い薬代もかかり、最近のスコット家は決して裕福な生活ではなかった。

きっとダイアナは今のアランと結婚を躊躇しているだろう。
侯爵様に拒まれて諦めただろうか、執念深いあのダイアナが。



「昼食のご用意が整いました」

執事に声をかけられるとオスカー様は立ち上がり私の手を取った。

「行こうか、リアナ」



昼食は私の好きなコンソメスープのゼリー寄せ、高級魚のポワレミィキュイ、リンゴのコンポート。

「美味しい・・・」
一流の調理人を雇ってるのね、味も最高。

「口に合ったなら良かった。料理長も喜ぶだろう」

「はい、是非お会いして「会わなくてもいい」

会うと何かマズイのだろうか。
「・・・では、とても美味しかったとお伝えください」

「ああ、テリーに伝えさせる」

テリーは老齢の執事だ。
そういえば若い男性の使用人がいない。給仕も女性だった。

──そうか!
過去に私が『男好きの淫乱』だと義姉やベニー様に言いふらされたから、若い男性は遠避けているんだわ。

違うのに、全部嘘なのに。


「リアナ、俺はこの後出かけるが、夕食までには戻ってくる」

「はい、お帰りをお待ちしております」


自室に戻るとソファーに座り込んだ。
まだオスカー様と一緒に夕食という難局を控えている。

3度目の婚約はまさかのオスカー様。

風に当たろうとバルコニーに出ると眼下にオスカー様が見えた。

彼の後を栗色の髪の若い女性が歩いて行く。
ふと立ち止まり彼女はこっちを見上げ、プイッと横を向いた。


部屋に戻って侍女に尋ねてみた。

「オスカー様とお出かけになった女性はどなたかしら?」

「秘書のクラリス様ですわ。従姉だそうです」

「女性の秘書ですか、珍しいですね」

「そうですね、優秀な方だそうですよ」

私が何もしなくてもクラリス様が務めてくれるのかしら。
なぜ紹介してくれなかったのだろう。


「奥様、こちらはご主人様がお揃えになった本です」


本が詰まったキャビネットを覗く。

「まぁ、私の好きな作家の本ばかり、このシリーズは途中までしか読んでないわ」

本を手に取ると、夕食に向かうまで夢中になって読んでしまった。



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