上 下
7 / 11

エピローグ

しおりを挟む
                                
 南の国ハイビスカス国。

 こんがり日焼けしたアリシアとアレンはヒューゼン公爵家の別荘で寛いでいる。
 ここで彼女はアリアと名乗っていた。

 デッキに長椅子を並べて、心地よい海風に吹かれ、夕日を見ながらシャンパンで乾杯する二人は幸福に包まれている。

 アレンはアリシアを抱き寄せて何度も口づけを交わした。
 何年も前から、アレンは彼女に夢中になってしまった。

「外務大臣になるんじゃないの?」

「あー・・面倒だから断った」
「いいのかしら?王弟なのに。お国の評判が落ちてるわよ」

「セルリアン王太子にコールマン侯爵令嬢を側妃に迎えて、立て直すだろう」

「アレンは私のような悪女のどこがいいの?」
「俺も悪人だから。似た者同士で良いじゃないか」

「貴方は好きで放蕩王子をやってた訳じゃ無いでしょう。私は好きで悪女をやってたのよ」

「王太子妃になれたかも知れないぞ?」
「アレンがいるからセルリアン様に未練はないわ。王妃は失脚させたから満足よ」

 海を茜色に染めながら夕日が沈んでいく。あんな風にセルリアンの海に熱くアリシアも沈んだのだろうか────

 アリシアの希望通りセルリアンの心にアリシアは深く刻まれた。
 それが復讐と言えるのかは分からんが、アリシアが満足したなら良いだろう。
 ────恋人としては複雑だとアレンは思う。

「もうこの国で暮らそうかな」
「ずっとここで暮らせば良いわ」

 この国の永住権をとって、アリシアにプロポーズしよう。
 海辺のホテルを買い取って、二人でのんびり暮らすのも悪くないし、もしもアリシアが事業を始めたいと望むなら、俺は協力を惜しまない。

 アリシアの心には俺だけを刻み込んで欲しい。
「俺のアリシア、愛してるよ」

 ──あの日アリシアを拒絶し、ナターシャを選んだセルリアンにアレンは心から感謝した。





 ここまで読んで頂いて有難うございました。
 引き続き後日談も読んで頂けると嬉しいです。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】一途な恋? いえ、婚約破棄待ちです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:390pt お気に入り:5,251

転生したらシンデレラの義理の姉でした!? ~悪役令嬢まっしぐらです~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:164

恋人に捨てられた私のそれから

恋愛 / 完結 24h.ポイント:418pt お気に入り:741

【完結】嫌われているはずの婚約者が妻になった日から可愛くて仕方ない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,250pt お気に入り:2,246

【完結】聖女を引退したいので、後継者を探しに行きます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:113

異世界召喚されました……断る!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:6,896

浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:2,670

薔薇の溺愛~黒き吸血鬼は愛に沈む~

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:196

婚約解消したら後悔しました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:333pt お気に入り:2,763

グラジオラス辺境伯領の残念な人々。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:234

処理中です...