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秘密篇
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しおりを挟む*母と息子の会話*
~前日夜更け、カノンが治療を受けている間のこと~
「あのね、イディ。いくら夫婦と言えど、無理強いはいけないと思うの」
「いや母上、誤解で……」
「そりゃ姫はとっても可愛らしくてついギュッとしたくなるのはわたくしにもよぉく分かります。でもね、姫はまだあんなにお小さいのよ」
「いや母上? カノンどのは私より年上、」
「怪我をしてまで抵抗する何を要求したの、貴方は」
「してません!」
「まったく、今までのらりくらりと女性と当たり障りなく付き合っていたと思ったら、本命が出来た途端これですか。女あしらいの上手さはどこへやったの」
「母上……私をどういう目で……」
「だいたい貴方は陛下に似てないようでいて実はそっくりなんだから、粘着質なところなんてもうそのまま! わたくしに許婚がいたのも構わず強引に縁談を捩じ込んで、うちみたいな小国が逆らえるわけないでしょう!?」
「……そんな話初耳ですよ母上……」
「わたくしまだ十四でしたのに皆ディオンの口車にまんまと乗せられてムカつくったらないですわ!」
「ディオン…てラシェレット卿?」
「おまけに親子二代そろって少女好きだなんて呪われてますわあああ!」
「人聞きの悪いこと仰らないで下さい!!」
「ソウはソウで相手のいらっしゃる年上の女性ばかりに興味を示すし……何故ですの!? わたくし可愛いお嫁さんと遊びたいのに!」
「カノンどのでは不服ですか」
「だって同居してくれないんでしょっ?」
「……どうして今さら市井の家庭のような悩みを持たなければいけないんだ……」
「それもこれもみんな陛下が悪いんですわッ!」
「また父上は何をやったんです……?」
「あンのエロ親父いぃーーー!!!」
以下、騒ぎを聞き付けた国王が来るまで、延々八つ当たりをされる王子なのでした。
*部下たちの会話*
~その日の午後、訓練終了後~
「見ーたー!? 殿下の婚約者さまっ」(※表向きにはそういうことになってるようです)
「ちょーカワイイしお人形さんみたいだったな!」
「声も可愛かったぞ! なんかこう、キラキラーシャラシャラーなお星さまが降るような」
「……あれで殿下より歳上だってよ……」
「魔女って怖えな……」
「………」
「いやでも! ずっと若い娘が自分のお嫁さんなんていいじゃーん、オトコの夢じゃーん」(※ただ単に若く見えるだけで歳をとらないわけではありません)
「殿下が少女好みとは知らなかったが」
「ほらアレじゃん、今までサラッとしたオトナの女ばかり相手にされてたから、とかー」
「とにかくあんなメロメロな殿下を見たのは初めてだ」
「……俺たちにはわかんない魅力があるんだろうな」
「………」
「殿下、めちゃくちゃ張り切ってたなぁ」
「サウスリード様、最近サボってたから自業自得だけど、可哀想なくらいだったし」
「全部急所に入ってたぞアレ。それでも気をつかったのか浅くしか突いてなかった様だけど」
「いやあれは正確な分、余計にあとあと辛いだろ」
「………」
「………俺が思うに、妃殿下は見た通りの方ではないということだ」
「うおびっくった!」
「ダンマリしてたくせにイキナリ発言すんなよ」
「ドキドキさせんなー」
「で、見た通りじゃないって?」
「………俺は光栄にも見学の際、傍に付く命を頂いたわけだが」
「そーだよな、ズリィよな」
「お傍で匂いを嗅ぎたかった……」
「変態」
「変態」
「変態」
「抹殺されるぞお前………」
「………その模擬戦の間、ずっとあの方は呟かれていた」
「へ?」
「何を?」
「呪文?」
「魔女は呪文いらずなんだぞ」
「………右から五十度、尺伸ばして払う、回して突き、返して打ち、喉ががら空き」
「「「「・・・・・」」」」
「お前は数回突きを入れられてた
お前は長く凌いだが最後足を捕られた
お前は五合で急所を突かれ悶絶
お前は三合で側頭部を払われ失神
………よかったな、姫が剣でなく棒術の使い手であられて。命だけは助かるぞ、皆」
「……ナンデスカソレ」
「ずっと? シミュレートしてたの、彼女」
「………ちなみに殿下の剣も姫の計算では数回防いで何回か攻撃していたか」
「ナニモノデスカ」
「魔女どのだろ……」
「………俺は、あの方ならいずれ王妃と仰いでも不服はない」
「「「「……………。」」」」
皆さん揃って素振りに行かれました。
*弟殿下のボヤキ*
~その日の夜更け~
「うう……イテェ……兄上ひどいと思わない? 誰のお陰で結婚出来たと思ってんの、俺が伯爵に兄上の片想い情報流したお陰じゃん? なのにこの仕打ち……絶対に俺、王太子なんてやってやんないもんね、せいぜい史上初、魔女を王妃に迎える国王ってことで苦労すりゃいいんだ、ウルサイこと言うやつらは俺と伯爵で潰してやるから……って俺動くのかよ結局!」
なんだかんだ、ブラコン。
オマケおわり。
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