上 下
11 / 12
Version.圭

4.5 勘違い女の末路

しおりを挟む
~マネージャー視点~

「け、圭君。僕ちょっとお手洗い行ってくるね」
「あ、ちょ、歩?!」

ふ~やっとあの幼馴染が席を外してくれたわ。まったく、気が利かないんだから!
打ち上げにも来るなんてなんて図々しいのかしら。
いくら圭が優しいからって、調子乗りすぎ!
今日はあの子のせいで圭とあまり話せてないわ。圭も寂しかったよね?
ちょっと大胆だけどそろそろ良いよね?

「圭。その…この後二人っきりで打ち上げしない?」

キャ~!!言っちゃた!!

「…は?何言ってんの?」

そう言って私を見る圭の赤い目は、侮蔑を現したかのような冷たい目線だった。

「な、何って…」
「勝手に人の名前呼捨てにしないでくれる?俺とマネージャーって、単なる部活仲間だよね?」
「部活仲間…?」
「それが嫌なら知り合い?顔見知り?ま、もうどうでもいいわ」

圭の口から発せられる言葉に、私の顔はどんどん青褪める。怒ってる…?

「ちょ、伊集院!落ち着けって…」

部長が慌てて圭を諭す。

「ちゃんと話してなかった俺が悪かった!ここはいいから、早く幼馴染恋人のとこに行ってこい」
「お願いします」

圭は、幼馴染の鞄を手に取りダッシュでお店を出て行った。

――は?恋人??―――

「は~…知らなかったとはいえやりすぎ…明日から来なくていいから」
「ちょ、ちょっと待って下さい!何でくび何ですか?!それと、圭の恋人って…」

言いかけて、部長から勢いよく掌を向けられストップが掛けられた。

ね。君、学習能力無いの?誰からも教えてもらってなかったの?伊集院のこと名前で呼んでいいのは幼馴染達だけ。それと、一緒にいた子は伊集院がずっと想いを寄せてた幼馴染。ここに連れて来たから、俺達は伊集院の想いが実ったって分ったからちょっと弄ってたんだよ」

回りを見渡すと、みんなウンウンと頷いていた。

「な、なんでみんなそんなに冷静何ですか?相手、男ですよ?!」
「だから?」
「…え?」
「昔から、伊集院が誰かを想ってるのは知ってたし、その相手が男だって分かっても何とも思わなかったよ。むしろ女子何て違う意味でキャーキャー言ってたし。な」
「愛の重さに悶えたわ~。しかも、高校の時もあなたみたいな女が現れてみんなハラハラしたけど」
「そんな…。そ、その女の人どうなったんですか…?」
「…木っ端微塵に返り討ちにあって、転校して行ったわ。だって、彼の幼馴染に宮之阪君もいるんだから」

はは…あたし、やらかした…。


~圭視点~

「全く、また変なの絡まれた。あんな女のせいで歩を泣かせたなんて知られたら、類達に何言われる事か…」

急いで店を出た俺は、歩のスマホに内緒で入れたGPSのアプリを開いた。もちろん普段は見ない。今の歩の心情を考えると、電話を掛けたところで出ないだろうと思ったからだ。

「良かった。電源は入ってた…」

歩を示す印が、段々と速度を落としここからさほど遠くない公園の中へと入って行った。

「公園に歩一人何て!急がなきゃ!!」

夕方の時刻とはいえ、春先の日暮れは早い。俺は持てる力を出して、歩のいる公園へと走った。

「はぁはぁ…いた!!」

少しカッコつけたい俺は、汗をぬぐい息を整えて歩の座るベンチへと近寄った。

「見つけた」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

絶滅危惧種の俺様王子に婚約を突きつけられた小物ですが

古森きり
BL
前世、腐男子サラリーマンである俺、ホノカ・ルトソーは”女は王族だけ”という特殊な異世界『ゼブンス・デェ・フェ』に転生した。 女と結婚し、女と子どもを残せるのは伯爵家以上の男だけ。 平民と伯爵家以下の男は、同家格の男と結婚してうなじを噛まれた側が子宮を体内で生成して子どもを産むように進化する。 そんな常識を聞いた時は「は?」と宇宙猫になった。 いや、だって、そんなことある? あぶれたモブの運命が過酷すぎん? ――言いたいことはたくさんあるが、どうせモブなので流れに身を任せようと思っていたところ王女殿下の誕生日お披露目パーティーで第二王子エルン殿下にキスされてしまい――! BLoveさん、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうに掲載。

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜

嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。 勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。 しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!? たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

無愛想な彼に可愛い婚約者ができたようなので潔く身を引いたら逆に執着されるようになりました

かるぼん
BL
もうまさにタイトル通りな内容です。 ↓↓↓ 無愛想な彼。 でもそれは、ほんとは主人公のことが好きすぎるあまり手も出せない顔も見れないという不器用なやつ、というよくあるやつです。 それで誤解されてしまい、別れを告げられたら本性現し執着まっしぐら。 「私から離れるなんて許さないよ」 見切り発車で書いたものなので、いろいろ細かい設定すっ飛ばしてます。 需要あるのかこれ、と思いつつ、とりあえず書いたところまでは投稿供養しておきます。

処理中です...