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Version.圭
4.大切な事
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お店を出て、ただひたすらに歩いた。
(やっぱり僕じゃ圭君の隣は無理なんだ…)
人気者の圭君と、陰キャな僕。回りから見ても幼馴染っぽくなくて不思議な感じなんだろうな…。
歩き疲れた所で公園を見つけた。休憩しようとベンチに座ったところでカバンを置いてきてしまった事に気が付いた。
「取りに戻るなんて無理だし…圭君に連絡するしかないかな…」
ポケットからスマホを取りだし圭君の連絡先を開いた。けど、連絡する勇気は出せずそのまま画面を見ていた。
「見つけた」
後ろからギュっと抱きしめられ、耳元で…愛しい人の声がした。
「圭君…どうして?」
「俺の歩センサーを舐めるな」
「あ、歩センサーって…」
突拍子もない返答にクスッと笑ってしまった。
「やっと笑った」
「あっ…」
そう言えば、さっきから笑ってなかった事に気が付いた。
圭君は、僕の肩に手を置いたままベンチの前に移動して僕の横に座った。そして、ひょいっと僕を抱え上げ膝の上へと座らせた。
「ちょ、圭君?!」
「こうしないとまた歩どっか行っちゃうだろ?」
「ど、どこにも行かないよ…」
「ダメ。俺がこうしていたいからクレームは聞きません。…で、何で俺に黙って店出たの?」
「そ、それは…」
マネージャーさんにヤキモチ妬いたからとか、やっぱり僕じゃ圭君の隣には…とか言ったら圭君はどう思うのだろか?言ったら、呆れた圭君から僕は…。
「歩。歩の口から俺はちゃんと聞きたい。嬉しい事も嫌な事も、口にしてくれないと共有も解決も出来ないだろ?」
口にしないと…。そっか…。
「あ、あのね…」
「うん」
「圭君の隣にマネージャーさんがいるのが…嫌だった。綺麗な人で、お似合いだなとも思って、モヤモヤして…」
「うん」
「それと…圭君の事、名前を呼び捨てで呼ぶのが嫌だった。それと…なんか親密な感じ…っ!?」
言い終わらないうちに、圭君は僕の事を力強く抱きしめた。
「け、圭くん?」
「ごめん。歩の事不安にさせて…。けど、歩がヤキモチやいてくれて俺、すっげー嬉しくて」
「ヤキモチ…」
「なんだ無自覚かよ。歩らしいな」
「…圭君は嫌じゃないの?ヤキモチやかれるの…」
「ヤキモチやくのは、俺の事好きだからだろ?だったら嬉しいじゃん。歩が俺の事好きって思ってくれてるんだから」
圭君は僕のおでこに、コツンと自分のおでこを当てた。うっ…顔が近いです…。
「歩が好き。大好き」
「うん…」
「不安にさせてごめん。でも信じて。俺は歩と以外恋愛なんてしたくない。ずっと、歩と一緒に生きていきたい」
「僕も、圭君とずっと一緒にいたい…」
「歩…」
真っすぐに見つめられた瞳に、僕の顔が映る。そして、ゆっくりと僕の唇は圭君の唇で塞がれた―――
(やっぱり僕じゃ圭君の隣は無理なんだ…)
人気者の圭君と、陰キャな僕。回りから見ても幼馴染っぽくなくて不思議な感じなんだろうな…。
歩き疲れた所で公園を見つけた。休憩しようとベンチに座ったところでカバンを置いてきてしまった事に気が付いた。
「取りに戻るなんて無理だし…圭君に連絡するしかないかな…」
ポケットからスマホを取りだし圭君の連絡先を開いた。けど、連絡する勇気は出せずそのまま画面を見ていた。
「見つけた」
後ろからギュっと抱きしめられ、耳元で…愛しい人の声がした。
「圭君…どうして?」
「俺の歩センサーを舐めるな」
「あ、歩センサーって…」
突拍子もない返答にクスッと笑ってしまった。
「やっと笑った」
「あっ…」
そう言えば、さっきから笑ってなかった事に気が付いた。
圭君は、僕の肩に手を置いたままベンチの前に移動して僕の横に座った。そして、ひょいっと僕を抱え上げ膝の上へと座らせた。
「ちょ、圭君?!」
「こうしないとまた歩どっか行っちゃうだろ?」
「ど、どこにも行かないよ…」
「ダメ。俺がこうしていたいからクレームは聞きません。…で、何で俺に黙って店出たの?」
「そ、それは…」
マネージャーさんにヤキモチ妬いたからとか、やっぱり僕じゃ圭君の隣には…とか言ったら圭君はどう思うのだろか?言ったら、呆れた圭君から僕は…。
「歩。歩の口から俺はちゃんと聞きたい。嬉しい事も嫌な事も、口にしてくれないと共有も解決も出来ないだろ?」
口にしないと…。そっか…。
「あ、あのね…」
「うん」
「圭君の隣にマネージャーさんがいるのが…嫌だった。綺麗な人で、お似合いだなとも思って、モヤモヤして…」
「うん」
「それと…圭君の事、名前を呼び捨てで呼ぶのが嫌だった。それと…なんか親密な感じ…っ!?」
言い終わらないうちに、圭君は僕の事を力強く抱きしめた。
「け、圭くん?」
「ごめん。歩の事不安にさせて…。けど、歩がヤキモチやいてくれて俺、すっげー嬉しくて」
「ヤキモチ…」
「なんだ無自覚かよ。歩らしいな」
「…圭君は嫌じゃないの?ヤキモチやかれるの…」
「ヤキモチやくのは、俺の事好きだからだろ?だったら嬉しいじゃん。歩が俺の事好きって思ってくれてるんだから」
圭君は僕のおでこに、コツンと自分のおでこを当てた。うっ…顔が近いです…。
「歩が好き。大好き」
「うん…」
「不安にさせてごめん。でも信じて。俺は歩と以外恋愛なんてしたくない。ずっと、歩と一緒に生きていきたい」
「僕も、圭君とずっと一緒にいたい…」
「歩…」
真っすぐに見つめられた瞳に、僕の顔が映る。そして、ゆっくりと僕の唇は圭君の唇で塞がれた―――
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