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Version.類
2.不安な気持ちとやきもちと
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類君がいつの間にか手配していた優先チケットのおかげで、人気のアトラクションにほぼ並ぶ事無く乗ることが出来た。途中でチュロスを食べたり、ポップコーンを食べたりして、楽しい時間を過ごしていた。
アトラクションの前で写真もいっぱい撮った。類君とツーショットは初めてで、入場前に撮った最初の写真はすっごく緊張した顔だった。
「歩」
「何?」
カシャ!
「うん、良い顔」
「え?!や、やだ!絶対変な顔してる~!!」
「何で?俺だけに向けてくれる良い顔だよ」
スマホの画面を見ながらふんわりと微笑む類君。もう~照れるような事言わないで!!
「疲れたろ?カフェで休憩しようか」
「うん!」
カフェに行くと予約してたみたいですんなりと席に案内された。2階のバルコニー席で園内を一望できる席だった。
「すご~い!こんな席あるんだ!」
「歩が喜ぶと思って」
「ありがと、類君!」
「ん」
恥ずかしいので、テーブルの下で類君の指を握ると、類君はその指を絡ませてきた。それだけなのに、何だか背中がゾクゾクしてきて僕はちょっと下を向いてしまった。
「お待たせしました」
店員さんが注文の品を持ってきた。
「うわ~かわいい!!」
アフタヌーンティーのセットは三段になっていて、一番下に一口サイズのサンドイッチとスティックで止められた小さなハンバーガー。二段目には焼きたてのスコーン。三段目はマカロンとキラキラしたゼリーやプリン、ケーキがトレイいっぱいに飾られていた。飲み物はアールグレイのロイヤルミルクティーで類君はストレートティー。
「アフタヌーンティーって初めて。下から食べるの?」
「基本は下からだけど、スコーンが焼きたてだからスコーンからでもいいよ」
「じゃ、スコーンから食べよっかな」
まだ温かいスコーンを手に取り、クリームチーズとブルーベリージャムをたっぷり塗ってパクリ!
「美味し~!」
今度家でも作ってみようかな~。母さんびっくりするかな~。なんてことを考えながら、スコーン食べ終えてサンドイッチを摘まもうとしたら…。
「あれ?類?」
女の人の声が類君の名前を呼んだ。
「やっぱり類だ~!こんなとこで会うなんて運命?!」
その女性は、さらりとした腰まである黒髪に、少し釣り目がちの大きな瞳と艶のある小さな唇。露出は高くないが、それとなく女性らしさを強調した膝丈のワンピースにロングブーツ。…綺麗な女性だった。
「…こんにちは、安里さん。すっごい偶然だね」
「も~依央那って呼んでって言ってるのに~」
ぷくっとほっぺを膨らませて、その女性―安里さんは類君の肩に手を伸ばしてきた。
――触らないで――
類君は、すっとその手をよけていつもと違う笑顔を安里さんに向けた。
アトラクションの前で写真もいっぱい撮った。類君とツーショットは初めてで、入場前に撮った最初の写真はすっごく緊張した顔だった。
「歩」
「何?」
カシャ!
「うん、良い顔」
「え?!や、やだ!絶対変な顔してる~!!」
「何で?俺だけに向けてくれる良い顔だよ」
スマホの画面を見ながらふんわりと微笑む類君。もう~照れるような事言わないで!!
「疲れたろ?カフェで休憩しようか」
「うん!」
カフェに行くと予約してたみたいですんなりと席に案内された。2階のバルコニー席で園内を一望できる席だった。
「すご~い!こんな席あるんだ!」
「歩が喜ぶと思って」
「ありがと、類君!」
「ん」
恥ずかしいので、テーブルの下で類君の指を握ると、類君はその指を絡ませてきた。それだけなのに、何だか背中がゾクゾクしてきて僕はちょっと下を向いてしまった。
「お待たせしました」
店員さんが注文の品を持ってきた。
「うわ~かわいい!!」
アフタヌーンティーのセットは三段になっていて、一番下に一口サイズのサンドイッチとスティックで止められた小さなハンバーガー。二段目には焼きたてのスコーン。三段目はマカロンとキラキラしたゼリーやプリン、ケーキがトレイいっぱいに飾られていた。飲み物はアールグレイのロイヤルミルクティーで類君はストレートティー。
「アフタヌーンティーって初めて。下から食べるの?」
「基本は下からだけど、スコーンが焼きたてだからスコーンからでもいいよ」
「じゃ、スコーンから食べよっかな」
まだ温かいスコーンを手に取り、クリームチーズとブルーベリージャムをたっぷり塗ってパクリ!
「美味し~!」
今度家でも作ってみようかな~。母さんびっくりするかな~。なんてことを考えながら、スコーン食べ終えてサンドイッチを摘まもうとしたら…。
「あれ?類?」
女の人の声が類君の名前を呼んだ。
「やっぱり類だ~!こんなとこで会うなんて運命?!」
その女性は、さらりとした腰まである黒髪に、少し釣り目がちの大きな瞳と艶のある小さな唇。露出は高くないが、それとなく女性らしさを強調した膝丈のワンピースにロングブーツ。…綺麗な女性だった。
「…こんにちは、安里さん。すっごい偶然だね」
「も~依央那って呼んでって言ってるのに~」
ぷくっとほっぺを膨らませて、その女性―安里さんは類君の肩に手を伸ばしてきた。
――触らないで――
類君は、すっとその手をよけていつもと違う笑顔を安里さんに向けた。
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