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31.離さない、離れない
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「・・・んっ・・・」
目が覚めて、ゆっくりと瞼をあげると、泣きそうな快斗の顔が俺を見下ろしていた。
「!樹、良かった。気がついたんだね」
「ん・・・あっ!ごめん、俺寝ちゃった?」
「ち、違う!樹、急に気を失っちゃって、このまま起きなかったどうしようって、俺、俺!」
「え?」
言われて、意識が無くなる前の自分を思い出す。
「あっ、その、えっと・・・!」
恥ずかしくて、上手く言えなくてだんだん顔が赤くなるのがわかる。
「ごめんね樹!俺、嬉しくて、優しくするって言ったのに全然優しくできなくて、全然余裕もなくて、樹が倒れるまで無理させちゃって、ほんとごめん!」
目の前で土下座して謝る快斗に驚いて、俺は慌てて起き上がった。下半身に鈍い痛みを感じて、さっきまでの濃蜜な時間を思い出す。
「あ、謝るなよ快斗!そ、その、俺が気持ちよくて快斗に、あ、えっと・・もっとって強請っちゃったからだし・・だ、だから全然快斗は悪くないから!」
はずかしいけど、俺の気持ちを素直に伝えた。
「・・・怒ってない?」
「うん、怒ってない」
「呆れてない?」
「それなら、俺にも呆れてない?」
「全然!」
「なら俺も、全然」
「う~いつ、き~」
「ん」
両手を広げると、快斗は子供みたいにポロポロと涙を流しながら俺の胸に顔を埋めた。
完璧な快斗でも、こんな一面があるんだと思い、さらに愛おしくなった。
「快斗、顔上げて」
声を掛けると、快斗はゆっくりと顔を上げた。その顔は、目を真っ赤にして静かに涙を流していた。その顔を両手ではさみ、親指で涙を拭い目元にキスをする。そのまま快斗の顔中にキスを落とす。
「快斗かわいい」
チュッと、唇にキスをする。
快斗の顔がだんだん赤く染まっていく。
「樹、ズルい・・・」
「俺だって男だよ。好きな人をかわいいと思っちゃ駄目なの?」
「・・駄目じゃない」
「フフ」
チュッチュッと何度も唇にキスをする。そして長いキスに変わる。いつもと逆で快斗の口内に舌を入れる。
「あふ、ん・・・」
クチュクチュと水音が響き渡る。
「ん・・快斗、愛してるよ」
「樹・・・俺、ホントは凄く嫉妬深いよ」
「うん」
「それに、凄く独占欲が強いよ」
「うん」
「・・・樹が居なくなったら死んじゃうくらい樹が好きなんだ」
「じゃあ、快斗が死なないようにずっと側にいるよ」
「ホントに?ホントにこんな俺の側にいてくれるの?」
「こんなに俺の事好きって言ってくれる快斗の側にいないなんて、ありえなく無い?」
「樹・・・」
安心したのか、快斗がフニャリと泣きそうな、幸せそうな顔で微笑んだ。
背中に回した手に力が入り、また俺の胸に顔を押し付けきつく抱きしめられる。
「樹、何があっても離さないから」
「うん、離さないで」
そのままゆっくりと横になると、快斗は抱きしめる手を離さず、足もしっかり絡めて、ギュウギュウと顔を押し付けて俺の存在を確認する。そうして、いつの間にか規則正しい呼吸が聞こえだした。
「おやすみ、快斗・・・」
快斗の頭を抱きしめるように髪に顔を埋め、俺も静かに瞼を閉じた。
目が覚めて、ゆっくりと瞼をあげると、泣きそうな快斗の顔が俺を見下ろしていた。
「!樹、良かった。気がついたんだね」
「ん・・・あっ!ごめん、俺寝ちゃった?」
「ち、違う!樹、急に気を失っちゃって、このまま起きなかったどうしようって、俺、俺!」
「え?」
言われて、意識が無くなる前の自分を思い出す。
「あっ、その、えっと・・・!」
恥ずかしくて、上手く言えなくてだんだん顔が赤くなるのがわかる。
「ごめんね樹!俺、嬉しくて、優しくするって言ったのに全然優しくできなくて、全然余裕もなくて、樹が倒れるまで無理させちゃって、ほんとごめん!」
目の前で土下座して謝る快斗に驚いて、俺は慌てて起き上がった。下半身に鈍い痛みを感じて、さっきまでの濃蜜な時間を思い出す。
「あ、謝るなよ快斗!そ、その、俺が気持ちよくて快斗に、あ、えっと・・もっとって強請っちゃったからだし・・だ、だから全然快斗は悪くないから!」
はずかしいけど、俺の気持ちを素直に伝えた。
「・・・怒ってない?」
「うん、怒ってない」
「呆れてない?」
「それなら、俺にも呆れてない?」
「全然!」
「なら俺も、全然」
「う~いつ、き~」
「ん」
両手を広げると、快斗は子供みたいにポロポロと涙を流しながら俺の胸に顔を埋めた。
完璧な快斗でも、こんな一面があるんだと思い、さらに愛おしくなった。
「快斗、顔上げて」
声を掛けると、快斗はゆっくりと顔を上げた。その顔は、目を真っ赤にして静かに涙を流していた。その顔を両手ではさみ、親指で涙を拭い目元にキスをする。そのまま快斗の顔中にキスを落とす。
「快斗かわいい」
チュッと、唇にキスをする。
快斗の顔がだんだん赤く染まっていく。
「樹、ズルい・・・」
「俺だって男だよ。好きな人をかわいいと思っちゃ駄目なの?」
「・・駄目じゃない」
「フフ」
チュッチュッと何度も唇にキスをする。そして長いキスに変わる。いつもと逆で快斗の口内に舌を入れる。
「あふ、ん・・・」
クチュクチュと水音が響き渡る。
「ん・・快斗、愛してるよ」
「樹・・・俺、ホントは凄く嫉妬深いよ」
「うん」
「それに、凄く独占欲が強いよ」
「うん」
「・・・樹が居なくなったら死んじゃうくらい樹が好きなんだ」
「じゃあ、快斗が死なないようにずっと側にいるよ」
「ホントに?ホントにこんな俺の側にいてくれるの?」
「こんなに俺の事好きって言ってくれる快斗の側にいないなんて、ありえなく無い?」
「樹・・・」
安心したのか、快斗がフニャリと泣きそうな、幸せそうな顔で微笑んだ。
背中に回した手に力が入り、また俺の胸に顔を押し付けきつく抱きしめられる。
「樹、何があっても離さないから」
「うん、離さないで」
そのままゆっくりと横になると、快斗は抱きしめる手を離さず、足もしっかり絡めて、ギュウギュウと顔を押し付けて俺の存在を確認する。そうして、いつの間にか規則正しい呼吸が聞こえだした。
「おやすみ、快斗・・・」
快斗の頭を抱きしめるように髪に顔を埋め、俺も静かに瞼を閉じた。
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