俺の初恋を返せ!!~好きだった女の子が帰ってきた!えっ?俺が嫁とか聞いてない!!

syouki

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29.俺の気持ち

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「ちょっと待ってて」

そう言って、千尋は自分の家に入って行った。
数分もしないうちに、袋いっぱいのお菓子と飲み物を抱えて出てきた。

「母さんに、ハル君の家に泊まるって言ったら持たされた。小さい子供じゃないのにね」
「泊まっていいなんて言ってない」
「ちゃんと着替えも持ってきたよ」
「…!だから…」
「し~。お家の中で話そ?」

渋々、俺は千尋を家に上げた。でも、内心はすごくドキドキしてた。千尋と二人っきり…。

何となく、俺の部屋に入れるのは気が引けて、リビングへと向かった。コップを用意してソファーに座ると、千尋は俺との間を少し開けて隣に座った。
持ってきたジュースをコップに注ぎ、俺に渡す。

「歩いて喉乾いたでしょ?」
「あ、うん。いただきます」

炭酸のシュワシュワが喉を通って気持ちがいい。
暫く黙っていると、千尋から口を開いた。

「ハル君、聞いてもいい?」
「…何?」
「さっきのアレはどういう意味?」
「…っ!!」

自分の顔が赤くなるのが分かる。思わず、千尋に背を向けてしまった。

「ハル君。ねぇ、こっち向いて?」

ブンブンと首を振り、俺は膝を抱えて顔を隠した。千尋は、さっきから俺の呼び方を変えている。絶対バレてる。分かってるくせに、俺に聞いてくる。意地悪だ。でも、俺だってなかなか言いづらい。だって、一度断っているのだから…。

「…分かってるくせに」
「ハル君の口から聞きたい」
「そ、そんなの言えるわけ…!」

振り向くと、すぐそばに千尋の顔があった。

「一度拒絶したから?」
「あっ…」
「今のハル君の気持ちが聞きたい。教えて?」

俺は覚悟を決めて、話すことにした。

「…千尋が誰かに触られるのがイヤ」
「うん」
「千尋が俺以外に触れるのがイヤ」
「うん」
「千尋が俺以外に笑いかけるのがイヤ」
「うん」
「千尋が…俺以外と付き合うのがイヤ」
「うん」
「俺…勝手なの分かってる。今更…」
「聞かせて」
「…千尋が好き」
「俺もハル君好き」
「怒ってないの?俺あんなに…」

今度は、優しいキスで言葉を封じられた。

「今、ハル君が俺の事を好きって言ってくれたことが大切なの」
「いっぱい傷つけてごめん。今更、千尋が好きなんて自分勝手だって分かってる。自覚したのもほんとついさっきで、俺、どうしていいか、何て言っていいかわかんなくて…」

泣きながら、自分が抱えた気持ちを吐露すると、千尋は俺の涙を拭いながらもう一度キスをした。

「ハル君、好きだよ」
「俺も千尋が好き」

今度は、深くキスをした。








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