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25.花火大会①

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いよいよ待ちに待った花火大会の日だ。

あれから、バイトも千尋との関係も何事もなく過ぎていった。時々、千尋の笑顔にドキっとしたりもしたけど、そこはイケメンだから仕方ない。
母さんたちは今朝から祖母ちゃんの所に行っていて、今日から俺一人だ。陸を家に誘ったけど、明日からまた地獄の日々部活だからと、残念そうだった。まぁ、仕方ないか。

「さ、そろそろ行くとするか」

戸締りをして、千尋の家のチャイムを押す。扉が開くと、そこには浴衣姿の千尋が立っていた。

「母さんがどうしてもって着せられて…」
「いや、似合ってるよ」

浴衣姿の千尋は、髪型も後ろに流して、いつもよりも色気が駄々洩れだった。これは、周りがやばいなぁ…。

「悠希く~ん!悠希君も浴衣着ない?」
「えっ?!あ、俺持ってないんで…」
「ふふ、もう一着あるの!さ、着替えましょ!」
「ちょ、母さん!強引だよ!」
「え~、母さん悠希君の浴衣姿も見たいのに~!」
「あ…じゃあお言葉に甘えて」
「ほんと?!さ、こっち来て~!」

数分後、俺は浴衣姿になっていた。

「似合ってるわよ悠希君!香澄ちゃんに写真送っとくわね!いってらっしゃーい!」
「「行ってきま~す」」

二人で手を振りながら、千尋の家を出る。

「母さんがごめんね」
「いや、浴衣着せてもらえるなんて思ってなかったからラッキーだったよ」
「似合ってるよ悠希」
「ありがと。でも、千尋の方が似合ってるよ」
「ありがとう」

いつもと髪型が違うせいか、普段より大人っぽくてドキドキする。…ん?ドキドキ???

「い、急がないと陸待ってるよな」
「そうだね、行こうか」

千尋は俺の手を引いて、そのまま歩き出した。

「千尋、手…」
「あ、ごめん!そんなつもりじゃ…」
「あ、いや、俺も気にし過ぎた…悪い」

こんなつもりじゃ無かったのに、待ち合わせ場所までお互い気まずかった。



「あ、来た来た!お~い、悠希~!こっちこっち~!!」

陸が俺達に向かって手を振って呼んでいる。俺は、気まずさから陸に向かって小走りで千尋から離れた。

「ごめん、お待たせ」
「いや、そんなに待ってないよ。って悠希、浴衣なんだ」
「うん。千尋のお母さんが着せてくれたんだ。千尋も着てるよ」
「へ~。なかなか似合ってんじゃん!」
「そうかな~?でも、ありがと」

陸にも褒められて少し照れていると、遅れて千尋が到着した。…なんか、後ろに女の子が付いてきてますけど?


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