21 / 43
20.友達として
しおりを挟む
カラオケボックスを出たはいいが、ご飯を食べていないことに気が付いた。
「何か食べて帰らないと変に思われるよな~」
「そうだね」
「あ、ここのラーメン旨いんだぜ!ここでいいか?」
「悠希のおすすめなら、食べてみたいな」
「じゃ、決まりだな」
店のドアを開けて中に入る。
「いらっしゃいませー!お好きなお席にどうぞー」
カウンターはまばらにしか空いてなかったので、テーブル席に座った。
「おすすめは何?」
「チャーシュー麺かな~味噌も捨てがたいけど」
「じゃあ、俺味噌にするから、悠希チャーシューにしたら?」
「そうだな。すみませーん」
テーブルに、チャーシュー麺と味噌ラーメン、チャーハン2つと餃子、という定番が並ぶ。
「「いただきます」」
千尋は麺の前にスープを一口、口にした。
「ほんとだ、美味しいね」
「だろ?餃子も旨いから食えよ」
途中で千尋の味噌ラーメンを一口もらったりしながら、あっというまに完食して店を出た。
「ふ~旨かった~!」
「うん、美味しかったね」
「じゃ、帰るか」
「そう…だね」
家に向かって歩き出すと、少し遅れて千尋がついてくる。人通り少ない帰り道は、何となく気まずくてお互い無言で歩いていた。何か話題はないかと、必死で考える。
「あ!そうそう!今度花火大会があって友達と行くんだけど、よかったら千尋も行く?」
「悠希が友達と行くならお邪魔じゃないかな?」
「暇な連中で集まって行くから、一人増えても関係ないよ」
「ん…じゃあ参加させてもらおうな」
「じゃ、陸に連れていくこと伝えとく」
「陸って…?」
「ん?ああ、高校の友達。部活が忙しいからなかなか遊べないけどな」
「そうなんだ…」
「いい奴だから、千尋も友達になれるよ」
「うん、ありがとう」
これ以上会話が進むことなく、マンションに着いた。
「じゃ、おやすみ」
「あ、悠希…」
「ん?」
「今日はありがとう。これからも友達としてよろしくね。…おやすみ」
「あ、ああ」
パタンと、千尋の家の扉が閉まる。これで良かったんだと自分に言い聞かせて、俺も家に入った。
「何か食べて帰らないと変に思われるよな~」
「そうだね」
「あ、ここのラーメン旨いんだぜ!ここでいいか?」
「悠希のおすすめなら、食べてみたいな」
「じゃ、決まりだな」
店のドアを開けて中に入る。
「いらっしゃいませー!お好きなお席にどうぞー」
カウンターはまばらにしか空いてなかったので、テーブル席に座った。
「おすすめは何?」
「チャーシュー麺かな~味噌も捨てがたいけど」
「じゃあ、俺味噌にするから、悠希チャーシューにしたら?」
「そうだな。すみませーん」
テーブルに、チャーシュー麺と味噌ラーメン、チャーハン2つと餃子、という定番が並ぶ。
「「いただきます」」
千尋は麺の前にスープを一口、口にした。
「ほんとだ、美味しいね」
「だろ?餃子も旨いから食えよ」
途中で千尋の味噌ラーメンを一口もらったりしながら、あっというまに完食して店を出た。
「ふ~旨かった~!」
「うん、美味しかったね」
「じゃ、帰るか」
「そう…だね」
家に向かって歩き出すと、少し遅れて千尋がついてくる。人通り少ない帰り道は、何となく気まずくてお互い無言で歩いていた。何か話題はないかと、必死で考える。
「あ!そうそう!今度花火大会があって友達と行くんだけど、よかったら千尋も行く?」
「悠希が友達と行くならお邪魔じゃないかな?」
「暇な連中で集まって行くから、一人増えても関係ないよ」
「ん…じゃあ参加させてもらおうな」
「じゃ、陸に連れていくこと伝えとく」
「陸って…?」
「ん?ああ、高校の友達。部活が忙しいからなかなか遊べないけどな」
「そうなんだ…」
「いい奴だから、千尋も友達になれるよ」
「うん、ありがとう」
これ以上会話が進むことなく、マンションに着いた。
「じゃ、おやすみ」
「あ、悠希…」
「ん?」
「今日はありがとう。これからも友達としてよろしくね。…おやすみ」
「あ、ああ」
パタンと、千尋の家の扉が閉まる。これで良かったんだと自分に言い聞かせて、俺も家に入った。
3
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる