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15.複雑な感情
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着替えていると、スマホに店長から着信がきた。
「はい」
「あ、悠希?バイトまで暇ならメシ付き合ってよ」
「良いですよ。どこ行けば良いですか?」
「マンションの下」
「えっ?!」
電話を切った俺は、カバンを掴むと急いでマンションの下に向かった。そこには、車の横に立っている諒さんがいた。
「すみません、お待たせしました」
「そんなに急がなくても良かったのに」
「でも…」
「走ってきてくれてありがとな。悠希、食べたいものあるか?」
「あ~…諒さんのおすすめで」
「んじゃぁ、めっちゃうまいハンバーガーの店あるんだけど、そこでいい?」
「はい!」
「決まり。じゃ、乗って」
助手席のドアの開けて乗ろうとしたら、千尋がこっちに向かってくるのが見えた。しかも、両腕に女の子を連れて。
「へ~やっぱりモテモテだね彼」
「そうですね…。さ、諒さん行きましょ!」
「あ、ああ」
何故だか、あんな千尋を見たくなくて諒さんの車に乗り込んだ。
―――――side千尋
――「…悠希は、俺が女だったら恋人にした?」
――「は?それが普通だろ?」
さっきのハル君の言葉が頭から離れない。それが普通なんだって、そんなのとっくに分かってる。分かってるけど、幼いころ芽生えた恋心は、消したくても消えてくれなくて、思いは募るばかりで、おかしくなりそうだった。自分は普通じゃない―――。
恋愛の対象が男なのかと思った時もあった。けど、同級生を見ても何も感じなかった。ハル君を想像すると俺の身体は熱くなり欲望が昂ってくる。中学生・高校生になったハル君を想像しては、何度も犯して精を吐き出した。
「ハル君…」
悲しいのに、辛いのに、身体がさっきのハル君の体温とキスの熱に反応して昂っている。今日で最後にしようと決意して、ハル君のすべてを思いだして、何度も何度も熱を放った。
――明日から普通の幼馴染になろう。この思いは蓋をしよう―――
翌朝、重い身体を起こしてハル君に会わないように家を出た。行く当てもなくウロウロしていると、二人組のお姉さんに声を掛けられた。
「ねぇねぇ、今から一緒に遊ばない?」
「ご飯おごるから、お昼一緒に食べようよ~」
猫なで声の、甘ったるい声で俺を呼び止めた。明らかなメスの声。気持ち悪い。吐き気がする。勝手に俺の腕にしがみつき付いてくる。うんざりしていると、道の先にハル君がいた。こっちを見てさっと車に乗り込んだ。一緒にいたのは店長だ。
―――ナンデ――
「はい」
「あ、悠希?バイトまで暇ならメシ付き合ってよ」
「良いですよ。どこ行けば良いですか?」
「マンションの下」
「えっ?!」
電話を切った俺は、カバンを掴むと急いでマンションの下に向かった。そこには、車の横に立っている諒さんがいた。
「すみません、お待たせしました」
「そんなに急がなくても良かったのに」
「でも…」
「走ってきてくれてありがとな。悠希、食べたいものあるか?」
「あ~…諒さんのおすすめで」
「んじゃぁ、めっちゃうまいハンバーガーの店あるんだけど、そこでいい?」
「はい!」
「決まり。じゃ、乗って」
助手席のドアの開けて乗ろうとしたら、千尋がこっちに向かってくるのが見えた。しかも、両腕に女の子を連れて。
「へ~やっぱりモテモテだね彼」
「そうですね…。さ、諒さん行きましょ!」
「あ、ああ」
何故だか、あんな千尋を見たくなくて諒さんの車に乗り込んだ。
―――――side千尋
――「…悠希は、俺が女だったら恋人にした?」
――「は?それが普通だろ?」
さっきのハル君の言葉が頭から離れない。それが普通なんだって、そんなのとっくに分かってる。分かってるけど、幼いころ芽生えた恋心は、消したくても消えてくれなくて、思いは募るばかりで、おかしくなりそうだった。自分は普通じゃない―――。
恋愛の対象が男なのかと思った時もあった。けど、同級生を見ても何も感じなかった。ハル君を想像すると俺の身体は熱くなり欲望が昂ってくる。中学生・高校生になったハル君を想像しては、何度も犯して精を吐き出した。
「ハル君…」
悲しいのに、辛いのに、身体がさっきのハル君の体温とキスの熱に反応して昂っている。今日で最後にしようと決意して、ハル君のすべてを思いだして、何度も何度も熱を放った。
――明日から普通の幼馴染になろう。この思いは蓋をしよう―――
翌朝、重い身体を起こしてハル君に会わないように家を出た。行く当てもなくウロウロしていると、二人組のお姉さんに声を掛けられた。
「ねぇねぇ、今から一緒に遊ばない?」
「ご飯おごるから、お昼一緒に食べようよ~」
猫なで声の、甘ったるい声で俺を呼び止めた。明らかなメスの声。気持ち悪い。吐き気がする。勝手に俺の腕にしがみつき付いてくる。うんざりしていると、道の先にハル君がいた。こっちを見てさっと車に乗り込んだ。一緒にいたのは店長だ。
―――ナンデ――
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