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8.流されるな俺!

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どれくらいそうしてたのか、千尋は無言のまま俺をずっと抱きしめていた。

「あ、あの~そろそろ離し・・・」
「やだ」
「あ、はい・・・」

千尋はさらに身体を押し付けてくる。
いや、くっ付き過ぎかと思うんですが。しかも、俺すっぽり腕の中に入っちゃってるし。いやいや、脚でホールドしないで。てか、脚長過ぎ!

「ハル君、チューしよ?」
「はぁ?」

今聞く?!さっき何も聞かずにしてきたよね?俺、ファーストキスだったんですけど!それに、言い方がすること前提みたいなんですけど?!

「さっき勝手にしてきたじゃん」
「じゃあ、良いんだね♪」
「ちがっ・・・!」

否定しようとしたのに、瞬時に口を塞がれた。離れようとするも、頭をしっかり押さえられるし、横向きの体勢のため体を押し返す事も出来ない。クチュクチュと水音が耳に付く。

「ん・・・はぁ・・・」
「ん・・ハル君カワイイ」
「ん~~~!」

自分の口から甘い声が出た事に驚き、さらに抵抗を試みるが、逆に千尋はもっと俺の口を貪りだした。ん?何か左の腰の辺りに硬いものが・・・っ?!驚いた俺は、おもわず口の中でうごめく千尋の舌を噛んでしまった。

「っつ!」
「あっ!ごめん!」

反射的に謝ってしまった。

「ハル君ひどい」
「か、噛んだのは謝るけど、そもそも許可してないし、腰に何か当たるし!」
「ちゃんと断りいれたし、はキスしてたら仕方なくない?」
「だ、だからって押しつけるなよ!」

俺は真っ赤になりながら千尋に抗議した。

「し~。あんまり大きな声出すと聴こえちゃうよ?」

慌てて俺は自分の口を手で塞いだ。また千尋に塞がれると思ったからだ。

「フフ、そのまま塞いでてね」

千尋が意味ありげなセリフを笑顔で告げてきた。嫌な予感は当たるもので、千尋が首の後ろ辺りに舌を這わせそのままきつく吸い出した。

「ふっ・・・ん・・・!」  

甘く痺れる感覚をひたすら我慢する。ここで声を出したら本能がヤバいと告げている。チュバッという音とともに千尋の唇が離れた。

「うん、上出来♪」

チラッと見ると、髪をかき上げながら舌なめずりをする、妖艶な笑みの千尋がいた。

「な、何した、の?」
「ん?悠希が俺のっていう付けただけ。消えかけたらまた付けるから安心して」
「はぁ?!」

緩んでる腕から抜け出し、机の上の鏡を見る。少し服をずらし体を斜めにして鏡の中を見ると、そこには見事なキスマークが存在していた・・・。
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