俺の初恋を返せ！！～好きだった女の子が帰ってきた！えっ？俺が嫁とか聞いてない！！

3.きっと人違いだ！

「きゃー！千尋ちゃん、写真で見るよりイケメンだわ！」
「お久しぶりです、香澄さん」
「やだ～おばさんで良いわよ！」

目の前のイケメンは、丁寧に俺の母さんに挨拶した。

(チヒロちゃん・・・？えっ？同じ名前？はっ？）

俺の頭の中はパニックで、イケメンの顔を半開きの口で見ていた。

「そうだ！今日、久しぶりに一緒に晩ごはんでもどう？片づけてたら作れないでしょ？」
「助かる～香澄ちゃん！じゃあ、後でお邪魔させてもらうわ」
「そうと決まれば買い出し行かないと！」

チヒロちゃんと呼ばれたイケメンは、ぺこりと頭を下げてお母さんと一緒に部屋に戻っていった。

「何突っ立ってんの悠希？入るわよ」
「あ、うん」

母さんに促されて、俺も部屋に戻った。
制服を着替えて、リビングに行くとお昼ごはんが用意されていた。

「買い物行ってくるから、食べたら洗っておいてよ」
「わかった。あ、母さん」
「なに～？」
「さっきの間宮さんて・・・」
「悠希覚えてないの？5歳の時お隣に住んでたじゃない。ご主人の転勤で引っ越ししちゃったけど、またこっちで働く事になったからって帰ってきたのよ。で、同い年で男の子同士だから、あんた達兄弟みたいに仲良くて、毎日遊んでたわよ」
「・・・そ、そうだったけ？」
「そうよ～。だから引っ越す時泣きじゃくって大変だったんだから～。じゃ、行ってくるわね～」
「うん、行ってらっしゃい・・・」

母さんを見送り、俺はリビングで立ち尽くしていた。

（男同士？えっ？チヒロちゃんて女の子だったよな？ちょっと茶色いフワフワの髪の毛で、くりくりの目で、ほんのり赤い頬っぺたで・・・。そうだ！写真あるかも！！）

急いでご飯をかきこみ、言われた通り食器を洗い、部屋へ駆け込む。

「どこだ？どこだ？」

机の引き出し、クローゼットの中と俺は片っ端から探した。けど、どこを探しても写真は出てこない。

「母さんが持ってんのかなぁ・・・」

仕方なく片付けていると、チャイムが鳴った。誰だろうとインターホンを見ると、さっきのイケメンが立っていた。

「あ、母さんなら買い物でいないけど・・・」

ドアを開けて対応すると、

「ハル君に用があるんだけど、上がっていい？」
「あ、うん。どうぞ・・・」
「お邪魔します」

玄関に入ってきて靴を脱ぐチヒロちゃんは、どこから見ても男で、思い出のチヒロちゃんは同じ名前の別の子なんだと納得しようとしていた。